「間抜けの構造/ビートたけし」要約まとめ [本/未分類]
【間抜けの構造/ビートたけし/12年10月初版】
「生と死という、よくわからない始まりと終わりがあって、人生というのはその間でしかない」
ビートたけしの辞世の書とも感じられる1冊です。口語体だし、だれかが書き起こした本かもしれませんが、漫才、映画、人生についてまじめに語っています。とは言えあの語り口調で、なかなかに笑わせてくれます。
・間抜けな客:
映画館での話。映画館には割引があるから、学生は「学生一枚」と申告してチケットを買う。それを聞いた田舎のオヤジが、わけもわからず「百姓一枚」と言った。
・打たれたノムさんの間抜け:
王さんが打席に入ったとき、「ワンちゃんよ、銀座の女が…」って言っても、王さんはずっと黙って無視している。で、結局ホームランを打っちゃう。
今度は張本さん。「おい、ハリ。銀座の女が…」と囁いたら、張本さんが「てめえ、野村!いいかげんにしろこの野郎。ガタガタ言ったら張っ倒すぞ!」と言いながら、ヒットを打つ。
最後に長嶋さんが来て、「ミスター。銀座の女が…」って言ったら、ミスターは「そうなんだよぉ」とか言って、バットを置いて話しかけてきたという。一緒になってしゃがんで話し込んじゃうというんだからおかしい。
三人とも独自の間を持っているってことかもしれない。この場合、打たれた野村さんが間抜けってことになる。
・政治家の間抜けな失言:
筆頭は鳩山由紀夫。「最低でも県外」なんて間の悪いこと言って、日米関係をこじらせちゃった。腹案とやらがありもしないのに、一国の総理が軽薄な正義感だけで発言しちゃう。具体的な勝算も可能性もない。この人の奥さんもちょっとおかしい。「たけしさんと私は同じ時代に金星で一緒だったんです。今度お話いたしませんか」って言われたことがあるけど、これはもう間が良いとか悪いとかいう問題じゃなくて「つける薬がない」という典型的な例。
「あなたとは違うんです」by福田康夫元首相
「友だちの友だちはアルカイダ」by鳩山邦夫
「周辺市町村の市街地は人っ子一人いない死の町だった」by鉢呂吉雄元経済産業相
この本読むまで知りませんでしたが、売れるまで結構紆余曲折あったようです。明治大学を中退し新宿でいろんなバイトしてタクシーの運転手をやった。タクシーは半年でやめて、25歳で浅草行ってストリップ小屋のエレベーターボーイをする。そこで先輩のきよしに誘われてコンビを結成。
コンビ組んで5年ぐらいしてから徐々に売れ始めた。その間貧乏のどん底で、きよしとストリップ小屋のオカマ(前も全部取ってる)がデキて同棲をはじめた。売れっ子ストリッパーだったので、きよしはお小遣いをせびる。さらに相方のたけしもおこぼれを頂戴するという底辺の食物連鎖だった。 ちなみにそのまんま東は、売れる前から「絶対売れます」といって弟子入りしてきたので、一番弟子になった。ぼくらが知ってるたけしは、三十を超えて漫才ブームで売れてからのたけしです。
映画については、「映画は間の芸術である」と言ってます。映画の間はコマで決まるそうです。作家にとっての文体が、映画では間であると。具体的にいうと、映画の中に流れる時間をどう操作するかという。フィルムだったら1秒間に24コマあって、その2コマだけ編集でとったりする作業。たけしは編集が大好きで、さっさと撮影を終わらせて早く編集したいと思ってると。
空間の間。これはフルショットなのか、アップなのか、ロングなのか。フレームの中で人物をどう配置するのか。
演技の間。役者どうしは間を取り合う。うまい役者は「自分の方が不利だな」と思った場合は、一旦、間を外しておいてから、「ほら、自分の方がうまいだろう」という芝居を始める。日本では樹木希林が得意。外国の役者なんかみんなそう。デニーロの二度見とか、一度見て視線を外してからもう一回みるので、デニーロの間になってしまう。アルパチーノは四度見を平気でやったりする。ベテランの役者同士だとそれを延々とやり始めるので、たけしの映画では「頼むから演技合戦はやめて、間をどんどん詰めてください」とお願いしてる。
その他の読書メモを。
(広告)
<間がイノベーションを妨げる>
間というものを大事にするのは日本の長所でもあるけれど、その一方で短所もそこにある。間を大事にするということは、つまり過剰に空気を読む文化でもあるわけで、そうするとゼロから何かを生み出す能力がどうしても弱くなる。新しいものをつくるには、何かを壊さなきゃいけないんだけど、それが苦手。結果、思い切ったイノベーションができない。
<高座の意味>
高座はもともとが、お寺でお坊さんが説法するところだった。お坊さんのありがたい話を聞かせる舞台装置として、一段高くした。それを寄席でも採用した。客席よりもちょっと高くして、演者の目線を上にする。お笑いの方に下駄を履かせて、初めて「お笑い」と「お客さん」が五分になる。昔から芸人なんてものは「河原者」なんて言われて、社会的には一段低く見られていた。だからこそ高座で客より高い位置に立たせて、芸人に下駄を履かせる。
<討論を制する技術>
討論のときにどこで話に入っていくかというのは、縄跳びに入っていくタイミングを見極めるのと同じで、上手い下手がある。上手い人は相手が呼吸するタイミングで入ってくる。相手が息を吸った瞬間に「いやあ、だけどさ」と入ってこられると「ウッ」となって、話をとられる。そうやって相手がしゃべるのをつぶす。人気のあるキャスターやアナウンサーは、このあたりの間合いを熟知してる。息継ぎのタイミングをちゃんと研究してるから、みんな上手い。
最近は話に割って入ろうというときに、否定からは入らない。「それはあなたの言うとおり」と肯定から入る。そう言われると相手も一瞬「うん」となるから間が空く。その瞬間に自分の話にもっていく。
討論が上手くなる方法はまだあって、ちょっと長めにしゃべりたいと思ったら、「私の言いたいことは二つある」とやる。「三つあります」というと、「おまえ三つもしゃべるのか」となるので二つがいい。まず一つめは、すごく短くする。「一つめは、政府の見解には断固反対です」とか。そうやって「こいつの話はすぐに終わるな」と周りを油断させておいて、「二つめ」に、自分の本当に言いたいことを長めに主張する。討論で「この人うまいな」と思わせるのは、大体そういうやり方の人。
わたしはあなたの金星人♪
男をみんな狂わせる♪
この曲で踊った人は結構多いかも。バナナラマでヴィーナス。
(広告)
こんにちは^^
>話に割って入ろうというときに、否定からは入らない。「それはあなたの言うとおり」
と肯定から入る。そう言われると相手も一瞬「うん」となるから間が空く。その瞬間に自分の
話にもっていく。
これは仕事でも生活でも大切ですね、
若い時はすぐやり込めようとするからはじかれてたんですよねw
間と言えば、これだけ興味深く読ませるのも文章の間が良いんでしょうねw
by 川島 (2013-01-12 13:58)
私が最初に勤めた会社で「YES BUT法」というのを教わった事があります。
相手の意見を否定するのではなく、まずはYESから入り、
その後で「しかし、私はこう思うのですが」と話すと相手が受け入れやすいと
いう内容だったのを思い出しましたね^^
by 銀狼 (2013-01-12 15:44)
こんばんは^^)
今日はブログのネタを作ろうと思って散歩に行き
歩きすぎました・・・・・Orz
さて ビートたけしは今最も尊敬する人物の一人であります
それは常に建前ではなく本質を見ようとしている姿勢が
一貫していると思えるからです。。。
でも本人は難しいことだとは思っていないでしょうね。。。
私のような俗物&凡人はいつも周囲の雑事に流され惑わされ・・・
筋が一本通っていない 軟体動物な状態を反省するのであります。。。
by 獏 (2013-01-12 20:24)
日本の芸能界で誰が一番好きかと聞かれたら、
よーく考えたあとで、
「やっぱりビートたけし」、と答えてしまいます。
浮気はしょっちゅうですが(笑)、
最後に戻る人は彼しかいないというか、
腐れ縁の恋人みたいな感覚です。
(ちなみに彼のお母さんの事は、彼以上に尊敬しています。
もしお時間がありましたら、
「ここに母あり」という本も面白いですよ^^)
この本も図書館に予約を入れています。
donさんの記事を読ませていただいて、
ますます楽しみになってきました。
by 青山実花 (2013-01-12 21:30)
コレ読んでみたいです。
図書館で探してみますね。
タイトルだけ拝見して、
僕みたいな間抜けな人間のコトを書いてるんだと思った・・・^^;
間抜けな部分を笑い話にされるような人間になりたいっす^^。
by DEBDYLAN (2013-01-12 22:00)
天才たけし!手放しで大笑いしたラジオ・テレビと、監督したバイオレンス映画に、私自身はギャップを感じたのですがぁ・・・父は「たけし凄い!」とズゥ~ッと言ってました。(今は分かります!ホント?)
エンターテイメントとは何か?・・・何って?そんなもん「コマネチ!」
by hanamura (2013-01-13 00:32)
>>昔から芸人なんてものは「河原者」なんて言われて、社会的
には一段低く見られていた.
一段低いとまでは思わないですけど、お客さんあっての芸人・芸能人でしょ?
よく最近誰々さん一般人と結婚なんてニュースでみますよね。
一般人にひっかかります。
それじゃ芸能界の人は特別人?
バナバナラマ懐かしいです。
卒業旅行で行ったパリのディスコでも踊りましたあ~。
by mignon (2013-01-13 02:28)
分かるなぁ〜。
目から鱗です。
by ta74382 (2013-01-13 06:11)
donさん、こんばんわらべ~[__雪]
ふむふむ~、言いたいことは2つ、という最後のお話、なるほど
ですね~。 話がうまいと思う人って、聴くのも上手ですよね^^!
ヴィーナスってバナナラマの歌だったんですね!
小学生の頃、トランポリン教室に通っていたことがあるのですが、
最後の整理体操の曲がこれでした! っていうか小学生が踊るには
マセすぎた内容ですね[__猫](笑) でも、なんだか懐かしかったです。
by みかん (2013-01-13 11:11)
「百姓1枚」って、ツーギートが流行ってた頃良く聞いて笑ってましたwww
懐かしい~☆
この本読んでみたいです~!
そして、バナナラマ好きでした♪
懐かしい~☆ ^m^
by haku (2013-01-13 12:01)
キタノ映画の独特の「間」にはやられてしまいます。
絶妙なタイミングで、次の場面に切り替わるのが心地良いんですよね~。
天性に加えて舞台で鍛えた人だから、できる技だと思います。
by mino (2013-01-13 12:21)
川島さんこんにちは!
わかってても、なかなか難しいかもしれませんね。
会話にやたらと「でも」を入れてくる人。いますよね。
人のふり見て、直そうと思っても、「でも」使っちゃうんですよね。
たけしの文章は、口語なので読みやすいですよ。
彼の語りは、そんじょそこらの語りとはちがいますしね。
やっぱり間がいいのでしょう[__犬]
by don (2013-01-13 12:54)
銀狼さんこんにちは!
お~、「YESBUT法」ですか。
なるほど、そういう言い方があったんですね。
なんでもそうですけど、ネーミングしてもらえると、
すごく親近感というか、輪郭がくっきりしてきますよね。
この言い方、どこかで使わせていただきます。
ありがとうございました[__犬]
by don (2013-01-13 12:59)
獏さんこんにちは!
いいですね。歩くこと、散歩は素晴らしいことだと思います。
会社帰りにウォーキングは、できるだけするようにしてますが、
休みの日には、なかなか歩けません。ほんとはもっと歩きたい
のだけど、ぼくのブログのネタは本なので、ほとんど家にいます^^;
>私のような俗物&凡人はいつも周囲の雑事に流され惑わされ・・・
筋が一本通っていない 軟体動物な状態を反省するのであります
君子豹変でいい事だと思いますよ。あまりスジばかり通してると、
あいつは「がんこ」とかいうレッテルを貼られますから[__犬]
by don (2013-01-13 13:04)
青山実花さんこんにちは!
彼の事好きな人は、ほんとに多いですね。
最後の大物芸能人。テレビがパワーを持ってた時代の
ラストエンペラーです。
彼の人生を見てみると、三十までは不遇、売れっ子になってからも、
フライデー襲撃事件とか、バイク事故とか、ところどころバランス
取ってるんですよね。だから息が長いのかもしれません。
絶頂は長く続かないですから。
「ここに母あり」図書館にあるようなので、今度借りてみます。
ご紹介ありがとうございました。[__犬]
by don (2013-01-13 13:12)
DEBDYLAN さんこんにちは!
>間抜けな部分を笑い話にされるような人間になりたいっす
なかなか深いことをおっしゃる。アメニモマケズ的な心境なのか、
笑い話にされるほど愛される人、人の口に上がるほどの大物
になりたいのか、いろんな取り方ができますね。
ぜひすべてになってください[__犬]
by don (2013-01-13 13:16)
hanamura さんこんにちは!
そうですか、お父さんまでたけしを絶賛されてましたか^^
かれの映画で印象に残ってるのは、「座頭市」と「HANABI」
ですね。バイオレンスの映画は見てないような。。
エンターテーメントとは、、、癒し、ですかね[__犬]
by don (2013-01-13 13:23)
mignon さんこんにちは!
一般人にひっかかりますか^^
まあ芸能人は「有名人」でしょうね。セレブ。
彼らは自分の存在を消費してますから。
外で顔がさすというのは、大変な苦痛だと思いますよ。
相応の対価をもらわないと、やってられないでしょうね。
テレビの凋落で、ギャラはむかしほどよくないようですし。
パリのディスコ、なんかカッコイイですね。
お立ち台はあるのでしょうか[__犬]
by don (2013-01-13 13:29)
ta74382 さんこんにちは!
目から鱗ですか^^
たけしは、みんなの共感を呼びやすいのかな[__犬]
by don (2013-01-13 13:31)
みかんさんこんにちワンコ!
やっぱり話が長いと、みんな引きますから^^
できるだけスピーチは3分以内に、飲み会は
人の話を聴いて、自分がオンステージにならないように、
気をつけています。おっさんはしゃべりだすと長い^^;
みかんさん、すごい。トランポリン教室ですか。
僕のころは、そんなしゃれた教室はなかったです。
柔道とか^^;
ヴィーナスは原曲は「ショッキングブルー」ですけど、
ぼくらの世代は、バナナラマのディスコヒットの印象が強い[__るんるん]
この曲でマハラジャとかで踊ったオネエサン方も多いはずです[__犬]
by don (2013-01-13 13:41)
hakuさんこんにちは!
百姓一枚は、ツービートのネタだったんですか[__!?]
近所の本屋で新書1位でした。2位は阿川さんの聞く力。
テレビタックルコンビでした。図書館の待ちは長そうですね^^;
バナナラマ、あの時代を象徴するような気がします[__犬]
by don (2013-01-13 13:48)
minoさんこんにちは!
>絶妙なタイミングで、次の場面に切り替わるのが心地良い
お、けっこう映画ツウなんですね。しばらく彼の映画を見てない
ので、そのへんの印象が薄れてしまってます[__たらーっ]
by don (2013-01-13 13:54)
鳩山さんは中国に行く(行った?)みたいですね。
また、余計なことをやらかさないか心配になります。
by heroherosr (2013-01-13 17:14)
何かとても奥深く、面白そうですね!
彼の経験と引き出しの多さには感服します。
by seawind335 (2013-01-13 18:34)
ヴィーナス!私はショッキングブルーの方が馴染みがあります(^_^;)
by TAMA (2013-01-14 00:34)
たけちゃん、大好きです~!
未だに、『オールナイト日本』のテープを聴いて爆笑してます^^;
by yukky_z (2013-01-14 01:07)
heroherosrさんこんばんは!
それにしても、よくあんな人を総理にしてたもんだと思います。
その間、国民のストレスはたまりましたが。[__犬]
by don (2013-01-14 22:55)
seawind335 さんこんばんは!
ビートたけし、非凡ですよね。
ただこの本は、そんなに奥深いものではなかったです[__犬]
by don (2013-01-14 22:57)
TAMA さんこんばんは!
お~、ショッキングブルー世代でしたか。
オリジナルもいい歌ですよね[__るんるん]
by don (2013-01-14 22:59)
yukky_z さんこんばんは!
テープがまだ残っていますか。
ちゃんと保管されてるんですね。しかもFMじゃなくて
AMの放送でしょう?すごいですね[__犬]
by don (2013-01-14 23:01)
最後の討論を制する技術、
わずか6歳の子供相手に既に言い負かされそうになっているので
たいへん参考になりました。
by su-nya (2013-01-18 11:22)
su-nya さんこんにちは!
たしか女の子ですよね。女の子は口が達者です。
3歳ぐらいでも、いっぱしのこと言う子がいたりするので、
びっくりします。ま、頼もしいからいい事だと思いますよ[__犬]
by don (2013-01-19 10:59)