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これから日本と世界経済に起こる7つの大激変/渡邉哲也 [本/Biz経済]



これから日本と世界経済に起こる7つの大激変 (一般書)

これから日本と世界経済に起こる7つの大激変 (一般書)

  • 作者: 渡邉哲也
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/01/11
  • メディア: 単行本


【これから日本と世界経済に起こる7つの大激変/渡邉哲也/14年1月初版】
著者は2009年に「本当にヤバイ欧州経済」で、その後の欧州危機をピタリとあてました。あのときユーロは130円強で、その後97円まで下落。かなりの説得力だったので、ユーロの空売りをしてたらよかったなぁと。これは必ず下がると思いましたが、やり方がよくわかりませんでした^^

それ以来ブログをチェックしたり、新刊本を読んだりと情報源にしています。一度当たったからといってずっと当たるとはかぎりませんが^^;

7つの激変は以下。
①金融自由主義の崩壊
②タダ乗り屋であるグローバル企業への規制
③国家が主導する経済への変化
④先進国と新興国の立場の変化
⑤米中蜜月から離別へ
⑥引きこもりから攻めに転じた日本
⑦流通業より生産者が主体となる社会

以下に読書メモを。

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<対中国の経済制裁カード>
アメリカの「国際緊急経済権限法IEEPA」。安全保障上の問題が生じた国やその国民の資産を、凍結や没収できる金融制裁の仕組み。安全保障上の問題とは、安全保障条約を締結している日本などの一部同盟国などにも適用される。

この権限を米国が行使すれば、中国が保有する米国債と中国人が保有する米国国内の資産を無価値にすることができる。しかも現在は国債の現物証券を売買しているのではなく、登録制であるため、登録抹消だけで済む。こうすれば市場に流れている米国債の価格に直接的な影響を与えることもない。ちなみに習近平は米国に3.76億ドル、温家宝は27億ドルの金融資産がある。

加えてこの法律は、敵対国家との通商制限などを含んでおり、これが実施された場合、米国の国内金融機関は中国との取引ができなくなる。ドルは基軸通貨であり、人民元はハードカレンシーですらないので、中国人民元の死と中国の銀行の破綻、中国企業の破綻を意味する。

一部メディアが、中国が持つ1兆3000億ドルの米国債を投げ売る可能性を指摘し、だから米国は中国の言いなりにならざるをえないと評論するが、IEEPAを知らないか、あえて知らないふりをしているのである。


<中国の環境破壊>
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古来よりきれいな水と空気のない文化文明が成長したためしはない。ところが現在の中国は人が住むことすら難しくなっている。都市部における交通警官の平均寿命が43歳という驚くべきデータがそれを裏付けている。


<株式と不動産はゼロサムか>
ゼロサムゲームではない。「私の損=誰かの得」ではない。評価が変わっているだけでいつまでたっても1株は1株だし、50坪は50坪である。そしてこの評価は市場の資金量で決まる仕組みとなっている。

バブルの時は信用が信用を生み、架空資金が急増する。土地を担保にカネを借り、そのカネを株式に投資し、持ってる株式を担保にまた株式を買うという正の信用創造が生まれ、バブルが弾けると、この信用創造でつくられた架空の部分が一気に消えるだけなのである。


<スターバックスの税金逃れの方法>
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現在の国際的な課税制度は「二重課税」を防止する仕組みとなっている。たとえば本社を米国に持ち、子会社を日本に持つグローバル企業があった場合、米国で課税されていれば、日本においては子会社部分の税金を払わなくてよいのである。これを悪用すると「二重非課税」が可能になる。

2012年スターバックス英国法人に対して英国で大規模なデモが起きた。英国で31%のシェアを持ち、3億9000万ポンドの売上があるにもかかわらず、同社は15年間にわたり赤字決算を続け、英国に法人税を払っていなかった。インフラのタダ乗りである。

スターバックスはオランダ(タックスヘイブン)を利用した租税回避を行なっていた。具体的にはオランダに会社を作り、英国法人からロイヤリティとして6%を支払い、コーヒー豆はスイスの法人に20%の手数料を払って英国に納入される仕組みになっている。要は税金の安いオランダに権利管理会社をつくり、海外の利益を吸収することで、それぞれの国では赤字にするということだ。

同様の仕組みは、グローバル企業の多くが採用している。グーグルはアイルランドとオランダを利用して、アマゾンはルクセンブルクを利用して、本来それぞれの国に払うべき税金を払わないで済む体制を構築している。


<シンガポールとは何か>
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日本のグローバル企業が租税回避先としてよく使っているのはシンガポールだ。シンガポールという国は、客家とユダヤ人が作った人工国家、計画国家だ。上海租界がなくなったときに疎開地として作られた。かつて欧州や日本、世界中の国々が、上海のなかに治外法権地域をつくっていた。それが上海租界だ。そこには香港のハンセンバンクや欧州の金融資本が集まり、アジア全域を金融的に支配していた。

この上海租界は第二次大戦終結と共に失われてしまったが、そのとき彼らが逃げた先が、香港とシンガポールだった。現在シンガポールはアジアの金融センターと評されている。金融センターとは、グローバリスト、レントシーカーたちが自由に利用できる地域であることを意味する。

「日本は金融センターとしてのシンガポールを見習え」という声がしばしば聞かれるが、それは言い換えると、「金貸しを集めて、金貸しが暮らしやすい社会を作る」ということなのである。それがはたして日本の目指すべき姿なのか?


<そもそも新しい成長分野などあるのか>
一見新しそうに見える分野も、古い商売に読み替えるとその正体が明らかになる。その多くは昔からある商売を横文字にするなどして、毛色を変えたにすぎないものだ。

ヘッジファンドは仕手筋。ネット金融はただの金貸しで、昔も今も何ら変わらない。かつてIT企業の寵児ともてはやされたライブドアの堀江貴文氏にしても、やっていたことは横井英樹と同じ、乗っ取り屋であった。

産業競争力会議のメンバーのバックグラウンドを昔の産業名に読み替えてみると、彼らの正体がわかる。パソナ会長の竹中平蔵氏は、口入れ業である。楽天などは口銭取り以外の何物でもない。お祭りのときにテキ屋の親分がテキ屋を集めて、縄張りに店を出させるかわりに場所代を取るのと一緒。要はインターネットテキ屋。それが新しい商売と言えるだろうか。
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かつての士農工商ではないが、商人よりも職人や農家といった生産者のことを、もっと考えのベースに置かないと、国家を支えるインフラは強く豊かなものにはならない。このことをもう一度強く思い出すべきであろう。


<今後の世界のマネーの動き>
・資金動向は米国は量的緩和の縮小、日本と欧州はさらなる量的緩和。

・結果的には米国の縮小分を日欧が補うが、先進国は量的緩和資金を抱え込み、これまでのように資金が新興国に大量に流れ込むことはない。

・新興国の急激な発展は見込めない。BRICSなどの中進国は「中進国の罠」に苦しむ。

・量的緩和の縮小による新興国からの資金逃避に関しては、日本とASEANにより通貨スワップが拡充されていて、リスクは低くなっている。

⇒これらにより為替はさらなる円安に進む。


・資源価格:中国の鈍化と、先進国の地産地消の動きにより、中長期に船舶の輸送が行なわれづらい環境になる。そうなると資源価格は上がりにくい。

・お金の量が増えれば資源の価値が上がり、お金の量が減れば資源の価値は下がる。米国の量的緩和の縮小と先進国による資金の抱え込みにより、通貨の希薄化が止まり、お金の価値が上がって、資源の価値が下がる。

・株式については米国の量的緩和縮小や日本の消費増税により一時的な下げがあっても、先進国市場はゆるやかに伸びる。

・中国バブルが弾けても世界中に伝播するとは考えにくい。金融ビッグバン以前の日本と同じで国際マーケットに参加していないローカル市場であり、債務にしても人民元建ての国内債務である。

・金は米ドルが不安定化すれば価格が上昇する。

・世界的な金融規制の中、アンダーグラウンドの人は換金性の高い資産として金の保有量を増やそうとする。

・ダイアモンドは金属探知機にかからない。換金性ダイアモンドはタバコ1本につき6個ぐらい詰め込んで隠せる。アンダーグラウンドな人には注目されている。


彼女はお金持ち♪
靴底にはダイアモンド♪
彼は貧しい♪
ポケットは空っぽで 失くすものはない♪

ポールサイモンの歴史的名盤グレイスランドから、シューズにダイアモンド♪



Graceland

Graceland

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Legacy
  • 発売日: 2011/10/24
  • メディア: CD



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コメント 6

DEBDYLAN

我が家の家計に大激変おこらないかなぁ。
イイ意味で^^;

by DEBDYLAN (2014-04-02 23:03) 

獏

見た目や仕組みが新しく感じるだけで
人間の考える商売の根源は進化していないということでしょうね☆
少し安心しちゃいます。。。
ネットというツールと環境を利用して
昔ながらの商売スキームを実行しているケースは
気づくともっとたくさんありそうですね☆

by 獏 (2014-04-03 06:49) 

heroherosr

物作りは大切ですが、「士農工商」なんて儒教に毒された偏見を持ち出されると引いてしまいます。
物を作り出す俺たちの方が、ただそれを売るだけのお前らよりもエライんだという思いは物作りをする人の中にけっこう残っていますよ。
by heroherosr (2014-04-03 18:11) 

don

DEBDYLANさんこんばんは~
遊んで暮らせるような大激変が起こって欲しいですね[__犬]
by don (2014-04-04 18:11) 

don

獏さんこんばんは~
人の求めるものは、そんなに変わらないのでしょう。
アプローチの仕方が変わってるだけで。[__犬]


by don (2014-04-04 18:13) 

don

heroherosrさんこんばんは~
今は順番が逆ですから。商工農士。
商社や量販店や通販が強すぎます。
バランスを取ろうということなんでしょう。[__犬]
by don (2014-04-04 18:17) 

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