「マレーシア航空機はなぜ消えた」まとめ [本/ルポ社会]
【マレーシア航空機はなぜ消えた/杉江弘/14年7月初版】
災難続きですよね、マレーシア航空。3月に失踪、7月にウクライナ上空で撃墜。航空史上めったにないことが、半年の間に同一の航空会社で起こった。
とくに失踪のほうはまさにミステリー。いまだに納得のいく結論が出ていない。陰謀論(ロスチャイルド利権)やUFO誘拐説まで飛び出してきて^^
著者はJALの元機長で、運航安全推進部にも在籍していたことがあり、現場や安全施策への造詣が深い。
「謎を解くカギは、航空機と地上を結ぶエーカーズにある」
序章:事故発生
・これは事故なのか事件なのか
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1章:インド洋南部に消えたMH370便の航跡
・レーダー網をかいくぐって、どのように飛んだのか
・衛星からの墜落地点情報の信頼性
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2章:通信手段エーカーズは切断されていなかった
・メディアによる誤訳から切断と報道
・エーカーズでマレーシア政府と交渉が可能であった
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3章:ありえない報道の数々と情報操作
・濡れ衣を着せられた人たち
・質問を受け付けない異様なマレーシア政府の姿勢
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4章:新手のハイジャックか?パイロットの自殺か?
・なぜ着陸地から離れた海上に向かったのか
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5章:飛行の最後はどのように
・着水か墜落か
・要求を拒否され最後は自爆か
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6章:ブラックボックスはなにを明らかにするのか
・海底に沈んだ機体とブラックボックス
・真相が解明される範囲と限界
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7章:すでにあきらかになった教訓
・トランスポンダーとエーカーズ、CVRの運用改善を
・現在のセキュリティは不十分
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終章:事件の全体像と核心に迫る
・マレーシアの政治経済情勢と権力闘争
・これは事故ではなく事件である
・そして最終局面
目次をざっと書きましたが、ご覧のように専門家の立場から様々な検証を行って、あるひとつの結論に達します。最後まで読み通せば推論ではあるけど、これしかないという結論です。他の原因は一冊をかけて潰していってるのでありえない。
以下に読書メモを
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<乗客の内訳>
乗客乗員239名。154名が中国人、台湾人、アメリカの半導体会社の社員(マレーシア人12名、中国人8名)。マレーシア人38名。その他はインドネシアやアメリカ、乗務員12名
<エアラインランキングの問題点>
世界約400社の航空会社の事故率や機材年齢、保有機材数、営業成績などを元にマスコミが発表している。その順位は航空関係者にはピンとこない。安売りの新興エアラインが上位に入ってたり、パイロットの質に問題があり頻繁に事故を起こしてるのに、機材が新しいことが評価され、そこそこのランキングになっていたり。
設立の新しいエアラインは保有機材が新しく、営業成績も悪くない場合が多い。しかしパイロットは寄せ集め、整備は外部委託で、人材育成はされてないし、社の安全哲学は確立されてない。
著者がJALの運航安全推進部で世界中の主要な事故を分析し、安全対策を研究するなかで得た結論は、選択肢があるなら、「アメリカのメジャーな航空会社の、しかも大型機で運航する便」を選ぶべし。どのような緊急事態や想定外のトラブルに遭遇しても、最終的には無事生還を果たしてくれる(実績からも)という信頼感がある。
航空会社はミシュランのように、料理やホスピタリティ、店の内装で選んではいけない。安全性が大切だ。
<バードストライク>
航空機へ鳥の衝突を意味する。雀がエンジンに入ると、エンジン後部から焼き鳥になって出てくる程度だが、雁などの渡り鳥が群れで大量に入ると、エンジンは異常燃焼を起こし最悪は推力を失う。
バードストライクは2007年で日本全国で1320回あり、年々増える傾向にある。抜本対策はなく、大音量で追い払う仕組みは、次第に鳥が慣れてしまう。
ドイツは空港から一定の範囲以内にはゴミ捨て場を設置させない。餌を求める鳥を近づけないために。これは有効なようだが、日本ではなかなか難しい。
<ブラックボックスとは>
一般にブラックボックスと呼ばれているものは、デジタルフライトデータデコーダーDFDRと、コクピットボイスレコーダーCVRの2つ。これらは揃って尾翼付近の胴体に収められている。最も機体のダメージが少ない部位。DFDRは大きさ50センチ重さ7キロ、CVRは大きさ30センチ重さ8キロ。水深6000メートルの圧力と1000度の高温に耐え、長い年月が経っても海水中でも腐食しない設計になっている。オレンジ色なのにブラックボックスと呼ばれているのは、中が封印されており、すべての問題を解明する心臓部にあたるというイメージから。
<新たなハイジャックの手口>
犯人は、どこかの飛行場に降りて当局と交渉しても、失敗することが折り込み済であった。近年はどこの国でもハイジャック犯には譲歩せず、特殊部隊を機内へ強行突入させるという方針が確立しつつあり、犯人側へ譲歩すると、国際的な非難を浴びる風潮がある。
犯人はこのような状況を十分に承知したうえで海上を長時間飛び、その間に当局と交渉をした。多くの乗客乗員を人質に取り、「要求に応えなければ海に自爆するぞ」という脅しだ。
本書は終章で、犯人の個人名、およびマレーシアの政治的背景を元にした明確な動機、などを推論として導き出しています。時間をかけて読むと、それができる人はこの人しかいない、かなりすっきりした結論です。もっとクリアにしたいかたは、本書でどうぞ。
パイロットでスカイブルー♪
マジックやジャニアリーなんかのメジャー曲もいいですが、この歌もいい♪
Pilot (From the Album of the Same Name)
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: RPM Retrodisc
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: CD
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本を読むのは面倒だけど、犯人、動機は知りたいですう・・・orz
by heroherosr (2014-08-23 15:53)
heroherosrさんこんにちは~
ミステリーなんで、ネタバレはちょっと・・・
いつもの経済本だったら、ガンガンまとめ(ネタバレ)してるんですが・・
とはいえブログ上で長いお付き合いなので、特別サービス^^
「マハティール、ナジブ首相、アンワル元副首相、ザハリエ、親戚」
このへんでググると雰囲気はわかるかも。
by don (2014-08-23 16:34)
やはり専門家が冷静かつ理論的に分析することが一番説得力がありますね。
どこかの国のマスコミにも見習って欲しいですね。
by seawind335 (2014-08-23 18:28)
ぼくなどの一般人はマレーシアについてあまりにも知らないことが多くて、
今回の「事件」にはマレーシアの国内事情が何らかの重要なキーを握って
いると感じたとしても、それ以上深入りすることができない感じです。
一方、フライトレコーダもボイスレコーダも、これだけ時間が経ってしまっては
もはや発見は不可能でしょう。そうなると、この前代未聞の難解な事件、
結局、真相は分からず仕舞いで終わるんでしょうね。
それを許す雰囲気があること自体、極めて不可解なんですけどね。
と言うか、それこそがこの事件の本質なのかもしれませんが。
by song4u (2014-08-23 21:43)
本来、航空事故調査等は、犯人捜しではないのです!
事故の原因究明によって、事後の航空安全を希求するのが第一です!
(まったくの偶然に、こういう事故も発生したの・・・かもしれません。)
・・・なので、このような出版の意図が、何か?おもしろおかしければ?
ネタバレうんぬん?・・・まるで読む気に、なりません!
by hanamura (2014-08-23 22:59)
seawind335さんこんにちは~
このへんの分野は、プロとアマの差が大きいでしょうね。
専門家の分析は理論的です[__犬]
by don (2014-08-24 15:37)
song4uさんこんにちは~
ぼくもマレーシアのことは何にも知らなかったです。
真ん中の人がかぶってる帽子が、マレーシアのイスラム教徒の
ものだというのも、今回ググって初めて知りました。
「songkok」と言うそうです。songのとこが、かぶってますね^^
真相はわからないままでしょう。オープンになってないだけで、
各国の首脳は知ってるのかもしれません。政府の対応としては、
そうするしかなかったはずなので。
今の時代、テロの脅しに屈してたら、国際社会から非難をあびて
しまいます。[__犬]
by don (2014-08-24 15:49)
hanamuraさんこんにちは~
原因がわかれば、再発防止策も打てるのですが。
原因が謎なので、ミステリーと化してます。
多くの人の疑問に答える形になってるので、
それはそれでよい本だと思っています[__犬]
by don (2014-08-24 15:56)
なんか報道も尻切れトンボだったような・・・
そういう事故って背後に何かあるんでしょうね。
by DEBDYLAN (2014-08-24 22:18)
DEBDYLANさんこんばんは~
背後というより、日本あんまり絡んでないですしね^^;
by don (2014-08-24 22:40)