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なぜゲームに依存するのか?「インターネット・ゲーム依存症」より [本/健康心理]


インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで (文春新書)

インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで (文春新書)

  • 作者: 岡田 尊司
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 単行本


【インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで/岡田尊司/14年12月初版】
ゲーム依存って、思ったより危険です。

いろんな依存症があります。アルコール依存、ドラッグ依存、ギャンブル依存・・・
脳内で起こってることは、それらと同じでした。ゲームが優先順位の1番になってしまって、他の事への興味がなくなってしまう。

今日では、心地よさや満足感といった報酬を生じる行為は、すべて依存症になる危険性を持つと考えられています。

大きく分けて3種類の依存対象があります。
・物質への依存(ニコチン、アルコール、薬物、食べ物など)
・プロセスへの依存(ギャンブル、インターネット、セ○クス、買い物、仕事など)
・人間関係への依存(恋愛、カルト宗教、DV、虐待など)

親は子供に酒やドラッグ、ギャンブルなんかは提供しません。それが危険であると知ってるからです。

ただ、ゲームやネットの危険性はあまり認識されてませんでした。新しく出てきて、それの危険性がちゃんと認識されるのに2~30年はかかります。

とくにオンラインゲームは、「現代のアヘン」、「デジタルヘロイン」とまで言われています。日本は他国に比べて、この分野の規制が遅れています。現状は放置です。

自分の子供を守るため、この本で提示されている対策は有効だと思います。できるだけゲームの開始年齢を遅らせる、という事です。上手くなければつまらないので、ゲームから離れやすい。

ビルゲイツは自分の娘に、PCの使用制限をしていました。1日45分まで。そこまでの規制は難しいというなら、せめて依存症になりやすいゲームは提供しない。開始年齢は遅らせるべきです。

日本は自由なので、国の規制は期待できません。自分の家族は自分で守るしかない。


以下に読書メモを。


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<報酬系が壊れるとどうなるか>・・詳細は本書にて
2014年の研究ではインターネット依存の人では、報酬に対する脳の反応が通常と異なることが報告されている。機能的MRIを使って脳の活動を比べてみると、ネット依存の青年の脳は、ゲームをうまくやりこなすこと自体が一番強い報酬で、社会的報酬や金銭的な報酬には、あまり興味を示さなかった。



<ゲーム依存のメカニズム>
非日常的な興奮に没頭し、脳をお祭り騒ぎにしてしまうことは、自分で躁鬱病を作り出しているようなものだ。覚せい剤を覚えた人は、覚せい剤以外が与えてくれる普通の歓びが、もはや退屈にしか感じられない。オンラインゲームに熱中した人でも、同じことが起きている。日常的に大量のドーパミンが放出されるような時間を繰り返し過ごした結果、普通の生活の刺激では何も感じず、空虚感や落ち込みを覚えるようになってしまう。

PETを用いた2011年の研究では、ドーパミンが大量放出されると、ドーパミン受容体の数自体が減ってしまう事が確かめられている。

耐性ができればできるほど、より多くのドーパミンを出す行為をしないと、最初ほどの満足が得られなくなる。ドーパミンは際限なく放出されるものではなく、やがて枯渇し鬱になる。これがネットゲーム・アパシー。



<インターネット依存者は国内で4~5百万人>
厚労省の2014年調査では、ネット依存の傾向が疑われる成人は421万人。20代前半では19%にも上る。12~18歳の若者のオンラインゲーム利用率は、わが国が韓国、中国を上回ってトップであり約4割。オンラインゲーム依存が深刻とされる中国の11%の4倍近い水準。

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<ネットゲームへの各国の規制>
韓国では2004年にネットゲーム依存が深刻な状況となり、2011年に規制をはじめた。16歳未満の児童に対して、深夜0時~朝6時までネットゲームへのアクセスを禁止している。

中国では2007年から、18歳未満の児童が1日に3時間以上プレイした場合は、それまで稼いでいたクレジット(ゲームをする権利)が半分になってしまい、5時間以上だとゼロになってしまう。

日本は現時点で何の対策もされていない。



<フェイスブック依存>
アクセスを許された友達の間では、大抵フレンドリーで心地よいやりとりがなされる。共感や賞賛の言葉にふれることは、自己愛を支えるのに大いに役立つ。一言発言すれば、まるで痒いところに手が届くように、すぐさま多数の慰めやねぎらい、アドバイスが得られる。

現実の人間関係では、そこまで自分に関心や共感を寄せてもらうことは、小さな子供だったとき以来ないだろう。家族や配偶者さえ、そこまで本人にかまってはくれない。

肥大気味な自己愛と、冷淡な社会のギャップに傷ついている現代人にとって、何とも言えない心地よい癒しとなる。

しかしそれは依存を生むことにつながる。人々は常に友達の反応をチェックし、そこに新たな共感や賞賛を見つけ出そうとする。多くの人とつながりすぎて、その維持に多大な時間を奪われる。目の前の対人関係や、家族との関係が疎かになってしまうのは本末転倒だ。



<メールチェックはスロットマシーンに似る>
パチンコやスロットは「確率変動」させることで変率強化を行い、依存を強めさせるのだが、意外なものに同じメカニズムが働いている。

メールやブログの書き込みを絶えずチェックしないといられないという人は多いだろう。心理学者のデヴィッド・グリーンフィールドによれば、メールをチェックする行動は変率強化となっているという。

嬉しい返信や心地よいコメントを期待して必要以上にチェックを繰り返すのは、勝つかもしれないが負けるかもしれないという不安定な結果にもかかわらず、幸運を求めてスロットに通い続けてしまうのと似た構造をもつ。その変動する確率ゆえに、人はその行為にはまってしまう。

⇒これは思い当たる人が多いかも。メールやコメントだけじゃなくて、アフィリの収益確認なんかもそうなんでしょうね。



<依存症になりやすいタイプのゲームとは>
オフラインのゲームがコカインや覚せい剤とすると、オンラインのゲームはヘロインやモルヒネだと言える。オンラインゲームが急成長したことは、それが持つ強力な依存性を示している。

重度の依存に陥る人が多いジャンルは以下。

FPS:一人称視点シューティングゲーム。ドゥーム、ヘイロー、コールオブデューティ、バトルフィールドなど。

RTS:リアルタイムストラテジー。プレイヤーが指揮官として、現場で戦う兵士に指示を与え戦わせる形式。アートオブウォーが最初のRTSとされる。

MMORPG:オンラインゲーム版のRPG。
オンラインゲーム愛好者の46%がこのタイプのゲームをプレイしている。



<オンラインゲームは人間の基本的欲求を満たしてしまう>
代表的なオンラインゲームの1つ、ワールドオブウォークラフト。RTSとMMORPGを兼ね備えている。世界最大の1200万人の登録ユーザー数を誇る。このゲームにハマった人の悲惨な事件も多い。

オンラインゲームには、達成や上達の喜びだけでなく、周囲からの賞賛や所属の欲求を満たし、コミュニケーションを楽しむこともできるというソーシャルな要素がある。そこは従来のゲームから進化した最大のポイント。

ログインするだけでチームのメンバーから受け入れられ、歓迎され必要とされ、活躍すれば賞賛される。外の世界ではことはそう簡単に運ばない。その連帯感が抜けられないように縛り合う仕組みにもなっている。

オンラインゲームの世界では、マズローの唱えた人間の基本的欲求がかなり高度に満たされてしまう。しかしそれは幻の満足であり、多くの人がゲームの世界に閉じ込められてしまう。




人生はパラダイス♪
今日は何のゲームして遊ぶ?

What Game Shall We Play Today♪ チックコリアの名盤「リターントゥフォーエバー」から。




リターン・トゥ・フォーエヴァー

リターン・トゥ・フォーエヴァー

  • アーティスト: チック・コリア,フローラ・プリム,ジョー・ファレル,スタンリー・クラーク,アイアート・モレイラ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2011/06/22
  • メディア: CD




関連図書:
【ショックやっぱりあぶない電磁波/船瀬俊介/13年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-12-07

【真面目な人は長生きする/岡田尊司/14年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-11-22

【脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体/中野信子/14年1月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23

【直感でわかるゲーム理論/逢沢明/12年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-12-29


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コメント 8

DEBDYLAN

まぁ、ほどほどに楽しみたいっすね^^;
ゲームはやらないけど。

by DEBDYLAN (2015-04-07 23:38) 

hanamura

あんなにゲーム好きだったのに・・・
なぜかやらなくなりました。
by hanamura (2015-04-08 05:48) 

song4u

例えば、朝の通勤電車の中。
スマホでゲームしてる人、すごく多いですね(性別に無関係)。
スマホの存在意義って、そこじゃないと思うのですが。^^;

ぼくは差し詰め、「カロリー消費依存症」かもしれません。
ウォーク、ジョグ、ランニング。とにかく身体を動かしたい。
喉が渇いて飲むビールの旨さ、腹が減って食べるメシの旨さ。
本当に堪えられません。生粋のアホです。(笑)
by song4u (2015-04-08 21:44) 

heroherosr

いい歳をしてTVゲーム好きのおっさんですけど、オフラインでしかしません。
自営業の私がオンラインにはまると死活問題になります。
by heroherosr (2015-04-09 10:50) 

don

DEBDYLANさんこんにちは~
何事もほどほどが一番ですか[__犬]
by don (2015-04-09 12:34) 

don

hanamuraさんこんにちは~
ぼくもそんなかんじです。
最後のゲームはFF10-2です[__犬]
by don (2015-04-09 12:35) 

don

song4uさんこんにちは~
スマホゲーム好きな人多いですよね。
喫煙コーナーでもやってる人がいます。

カロリー消費依存症ですか。
健康的ですね。
最近痛感しますが、健康第一です。
アラフィフ以降になると、だんだんガタがきます
[__犬]
by don (2015-04-09 12:37) 

don

heroherosrさんこんにちは~
オンラインにはまると、とめどがないようですね。
げにおそろしや[__犬]
by don (2015-04-09 12:38) 

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