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AIの衝撃~人工知能は人類の敵か?ディープラーニングとは何か? [本/Biz経済]


AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

  • 作者: 小林 雅一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/03/19
  • メディア: 新書


【AIの衝撃 人工知能は人類の敵か/小林雅一/15年3月初版】

これまた良書。人工知能の現状と、今後どうなるかがコンパクトに俯瞰できます。
ただこの分野の知識が僕はプアなんで、わかりやすくまとめることが難しかった。

本質である幹の部分は、以下の読書メモで提示しましたが、
枝葉である、理解のための説明部分は端折りました。
そこまで書いてると、膨大なものになる。

ちゃんと理解しようと思えば、本書にぜひあたってください。
かなりいい本なので、アマゾンで買って工学部の長男の下宿に送りつけました。

「暇があったら読むわ。ありがとう」だって。。暇がなくても読めよ^^

以下に読書メモを。






<現代AIのベース>
AI(人工知能)のベースとなっているのは「機械学習」と呼ばれる技術。
音声認識や自然言語処理、画像認識など、現代AIを構成する要素技術は、
すべて「機械学習」という基盤技術の上に構築されている。



<機械学習とは何か?>
ビッグデータを解析し、そこから「モデル」と呼ばれる、
ある種のパターン(規則性、法則性、類似性)を導き出す技法。
線形回帰分析やロジスティック回帰分析が典型的な手法。

機械学習がモデルを導き出すためにはコスト関数が使われる。
モデルと現実データのズレ、つまりコスト関数を徐々に小さくしていって、
最後に最少の値に収束させる。これはモデル(理想)を現実に近づける作業。
人間も日頃やってること。

この結果得られるのは、線形回帰分析における近似直線や、
ロジスティック回帰分析におけるグループ化の境界線。
そしてこのコスト関数を最小化する計算こそ、機械学習システムが実際にやってる作業。

現在スタンフォード大学で学生に一番人気のある講義が、エン准教授の「機械学習」

人工知能と呼ぶには大げさかもしれないが、
現時点のAIは統計(確率)的な計算によって実現されている。
「意識」や「本物の知恵」は現時点ではまだ完成されていない。



<ディープラーニングの衝撃>
ディープラーニング(深層学習)は、
人間の頭脳を構成する神経回路網を人工的に再現した、「ニューラルネット」の一種。
大脳視覚野の認識メカニズムに基づく、一連のアルゴリズムが実装されている。

脳科学との融合によって、AIの研究開発は新たなフェーズに入った。
単なる解析ツールにとどまらず、人間と同じく汎用の知性を備える希望ができてきた。

現時点でディープラーニングの長所は、
「特微量(特徴ベクトル)」と呼ばれる変数を人間から教わることなく、
システム自身が自力で発見する能力にあると言われる。

この能力は脳の視覚野が、
自然界の映像から、特徴ベクトルを抜き出してくるアルゴリズムに基づいている。

問題の変数(特微量)は、従来人間が指定していた。
ディープラーニングは人間という手助けがなくても、
自分で勝手に大量のデータから何かを学び、
ある問題を解く上で何が本質的に重要なポイント(変数)であるかを、
システム自身が探し出してくる。

なぜディープラーニングはそれらの変数を選び出してきたのか?
そこに至るシステムの思考経路を、それを開発した技術者は理解できていない。

問題を解決するために必要な「何かに気付く」という能力こそ、
これまでのAIに欠如していたもの。
ディープラーニングは、その限界を突破した。
今後、脳科学とAIは相乗的に進化し、そのスピードは一層加速すると見られている。

今後数年間でディープラーニングによって大きく進化する分野は、
自然言語処理と見られている。
人間がふつうに話す言葉を、機械が理解する技術。

さらにグーグルが進めているのは、翻訳にディープラーニングを応用する研究。
英語と日本語のようにまったく異なる言語族の間で、かなり正確な機械翻訳が可能となり、
一種の意訳もできるようになる。

すでにマイクロソフトは2014年12月よりスカイプで、
英語とスペイン語の間で自動的に同時通訳ができるようにしている。



<次世代ロボットはトロイの木馬>
米IT企業は、次世代ロボットを使って本当は何をやりたいのか?
彼らの秘めた野望は、ビッグデータの収集。
ロボットにはカメラをはじめ各種センサーが搭載されている。

企業から一般家庭まで次世代ロボットを送り込み、日常データを大量に吸い上げる。
AI技術を独占されていたら、クライアント側もビジネス情報を米IT企業と共有せざるを得ない。

「情報端末としての次世代ロボット」は、グーグルをはじめ米IT企業が、
あらゆる業界の企業や一般消費者について深く理解し、
彼らを内側から支配するために投入する「トロイの木馬」である。

trojanhorse[1].jpg



<創造性とは何か?>
「一見異なる領域に属すると見られる複数の事柄を、一つに結び付ける能力」
byアイザック・アシモフ

「創造性というのは物事を結びつけることににすぎない」
byスティーブジョブズ

ダーウィンの進化論も同様と言われる。

ダーウィンはガラパゴスで「ゾウガメ」や「イグアナ」などの奇妙な動物を目にする。
英国に帰国後、これらの存在を合理的に説明する理論を懸命に考えるが、
なかなかそれにたどり着けない。

その後偶然、マルサスの「人口論」を読み、
ダーウィンは長年かなわなかったブレークスルーを成し遂げる。

マルサスが人口の変化を説明するために使った、
「人口過剰」と「経済的弱者の淘汰」という考え方を、
ダーウィンはガラパゴスで目撃した奇怪な爬虫類に結び付け、
ここから「自然淘汰に基づく生物の進化論」を作り上げた。

19世紀中ごろ、ガラパゴスの変種動物の存在は英国で広く知られていた。
また「人口論」は多くの人に読まれていた。
しかし異なる両者を一つに結び付けたのは、ダーウィンとアルフレッド・ウォレスの2人だけだった。

創造性は一見簡単そうなことだが、実は天才にしかできない。
「進化論」を読んだトマス・ハクリーは、
「こんな簡単なことに気付かなかった自分は、なんと馬鹿なんだろう」と嘆いたそうだ。

最近のコンピュータは、
「ある領域で学んだ事柄を、別の領域へ応用する能力を示し始めている」と言われる。




僕は感情のないロボットじゃない♪
僕の心は人間なんだ♪

STYXでミスターロボット♪
この歌のオチは感情のあるロボット、じつはキルロイ(人間)だったという^^;
80年代前半のビルボード1位のヒット曲。あのころLPのライナー読んでると、
80年前後、アメリカのティーンが選ぶ人気バンドでSTYXは1位だったとか。
たしか2位がヴァンヘイレンだったような。




Kilroy Was Here

Kilroy Was Here

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: A&M
  • 発売日: 1990/10/25
  • メディア: CD




(関連図書)
【ビッグデータの罠/岡嶋裕史/14年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-01-27







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コメント 16

hanamura

なんで衝撃で、人類の敵か?・・・なのかなぁ?
AIは、とっても役に立っています。
もっと進歩して欲しいですね。
by hanamura (2015-04-25 17:28) 

青山実花

「ドモアリガト ミスターロボット♪」
いいですねー、大好きな曲です。

https://www.youtube.com/watch?v=leq5chTC6Wo
映画「ロボジー」で、
ミッキー・カーチスが歌っているミスターロボットも
カッコいいですね。
by 青山実花 (2015-04-25 23:14) 

song4u

人工知能ですか。
ぼくもdonさんの足元にも及ばないぐらいの乏しい知識しかありません。
どうなって行くんでしょうかね、こういうものって。
まったく想像ができません。

例えば、少し前に話題になった将棋の人間vs計算機(ニコ動の電王戦)。
計算機の実力が急激に向上したのは、自力学習機能だと言われております。
確かに、膨大な量の資料を、計算機のスピードで手当たり次第に学習して
行きますから、そのすべてが有効と言えなくても、人間に比べて短期間の内に
恐るべき成長を遂げるのかもしれませんね。

しかし、学習の仕方も色々あります。
どういう学習をするように方向付けたのかと言えば、それは人間の指示です。
つまり、この例のように人間の指示の範囲にいれば、どこまで行っても人間の
敵にはなり得ないのではないでしょうか?

ノイマン型の電子計算機が発明されて約60年。
取り柄は処理スピードが速いだけ、と言う時代が長かった気がします。
もちろん処理速度は何にも増して重要ですから、それだけでも十分に意味の
あることには違いありません。
人間が時間のかかることを計算機が代行、スピーディにやってくれる・・・
その範疇に留まっていてくれたほうが安心ですね、ぼくなんかは。
by song4u (2015-04-26 09:24) 

don

hanamuraさんこんにちは~
科学の進歩への恐怖感でしょうか。
そいうものへの畏怖は、多くの人の中にあると思います。[__犬]
by don (2015-04-26 16:53) 

don

青山実花さんこんにちは~
映画ロボジー、面白そうですね。
僕の好きな吉高さんも出てる^^

映画と言えば、いまやってる「セッション」が無性に
見に行きたいです。生活導線上の映画館でやってないので、
どうしようかなぁ。DVD待つかなぁ・・・[__犬]


by don (2015-04-26 16:59) 

don

song4uさんこんにちは~
まずは脳の解明が終わってからでしょう。
脳の仕組み(意識や知恵)が完全にわかったら、
それを模倣する段階になります。

そうなると怖いAIが出現するかもしれません。
2001年宇宙の旅みたいなAIは、まっぴらごめんですが。

ビルゲイツやらホーキング博士やら、AIの潜在的な危険性に
警告を発しています。20年ぐらいは大丈夫だけど、その先は
コントロールできなくなる。ちゃんと倫理委員会を設けて、
開発をコントロールしようと。

といっても複数の企業が熾烈な開発競争を繰り広げてるので、
勝つためには、危険なAIが生まれるとしても止めないでしょう。

これからの数十年は、科学が加速度的に発達していきそうです。
だけど危険な領域に踏み込んでることも、理解すべきだと思います[__犬]


by don (2015-04-26 17:15) 

扶侶夢

「トロイの木馬」という表現は面白いですね。言い得て妙。
by 扶侶夢 (2015-04-26 21:35) 

seawind335

これは、興味がある本ですね!

ただ人類が制御できなくなるターミネーターのような世界が出現したらこわいですね。。。。(^_^;)
by seawind335 (2015-04-26 23:59) 

獏

スティクスのミスター・ロボットが発表された時
ディスコに寄り添ったな!!と怒りを覚えましたが
今となってはいい曲ですねぇ。。。(@w@;))

by 獏 (2015-04-27 07:00) 

heroherosr

ドモアリガット ミスターロボット♪スティックスとは懐かしいです。
本編は難しくてコメントできましぇ~ん。
by heroherosr (2015-04-27 17:31) 

みかん

donさん、おはようございます^^

むかし、AIという映画があったような気がします。

本文は難しいですが、スティックスのミスターロボット!
ダンスダンスダンスで僕が現実的な現実と向き合う日、
にお掃除しながら口ずさんでいる曲、です(笑)
マニアックですみません(^▽^;)

日本で「フランス人は10着しか~」を買いました!
今日は天気が悪いので、これからさっそくクローゼットの
整理しますよ~^^ 影響されやすい。。。
by みかん (2015-04-27 22:50) 

don

扶侶夢さんこんにちは~
著者の創造性を感じる言葉でした。
なるほどと思ったので、木馬の画像を貼りつけました[__犬]
by don (2015-04-28 12:48) 

don

seawind335さんこんにちは~
ターミネーターもAIの引合によく出てきます。
なんでしたっけ、スカイネットだったような[__犬]
by don (2015-04-28 12:49) 

don

獏さんこんにちは~
コーナーストーンとパラダイスシアターの2枚が
名盤だったので、このアルバムがイロモノに感じてしまうんですよね。
どうしても[__犬]
by don (2015-04-28 12:50) 

don

heroherosrさんこんにちは~
本書を読めばかなり理解できると思います。
お時間あれば、おすすめの一冊です[__犬]
by don (2015-04-28 12:52) 

don

みかんさんこんにちは~
AIってありましたよね。
見てないけど、ロボットの少年の悲しい話じゃないかな。
あんまり悲しい話は見ないようにしてるので。
水戸黄門が一番です^^

ダンスダンスダンスでそんなシーンありましたか。
インパクトある歌ですしね。
ロックオペラみたいな感じやし。
ダンス~のストーリーをあんまり覚えてないのですが^^;

フランス人~、やっぱり影響されましたか。
ぼくもバッチリジーンズなんか数本捨てました。
さっぱりして気持ちいいですよ!

さてこれから同僚と飲み会です。
大将に言ってアルパカワインを入れてもらってるので(1本1000円)、
魚&日本酒の後は、肉&ワインを食べるつもりです。

あ、今日はブログ更新日なんで、できるだけ早く帰るつもりです。

それではまた[__犬]

by don (2015-04-28 17:32) 

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