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【民主主義という病い/小林よしのり】要約まとめ [本/歴史地政]


ゴーマニズム宣言SPECIAL 民主主義という病い

ゴーマニズム宣言SPECIAL 民主主義という病い

  • 作者: 小林 よしのり
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/05/26
  • メディア: 単行本


【民主主義という病い/小林よしのり/16年5月初版】
「ゴーマニズム宣言」読んでますか?
ずっと読んでるのですが、さいきんはボツにすることが多かったです。今回は面白かった。
民主主義とは何か?知ってるようで知らない。目を通すべき本だと思う。


さっそく目についたところを。


・「民主制」は厳密には直接民主主義のことで、間接民主主義/代議制は「共和制」といった方が正確。


・直接民主主義を実現した国は存在しない。共産主義と一緒でユートピア。


ルソーは言う。もし神々からなる人民があれば、その人民は民主制をとるであろう。


・ナショナリズムは民主主義の基盤。
中東など部族や宗派がバラバラで、国民という意識が育たない地域では民主主義は不可能。
イラクやシリアは独裁を崩壊させたら、内戦状態になってしまった。


民主主義の基本は議論であり、議論をするには共通の言語や仲間意識が必要。
共通する国語や文化がなければ民主主義は成立しない。
言語も宗教も違う多民族を、歴史も文化も無視して、人工的に引いた国境の中に閉じ込めて、
無理やり国家とした中東では、民主主義は機能しない。そもそも、議論が成立しない。
お互いの根底に連帯意識や信頼感がないから、議論の中で寛容や妥協は生まれず、
見解の相違は先鋭化し、対立は激化し、行きつくところは内戦、テロということになる。

中東の直線的国境.jpg



・現実にはアラブの春は独裁よりも悲惨な状況を生みだした。
エジプト人女性いわく(ジャスミンの残り香より)、「エジプトは現在国の体をなしていない。
いまは安定が第一。軍政でも仕方がない。表現の自由とかナントカは文化人たちの話よ。
まずは夜でも安心して外を出歩けるようにしてほしい」


・プラトンいわく、民主主義の自由平等がモラルの低下を招き権威が否定される。
そして衆愚政治になって、最終的には僭主(せんしゅ)独裁制に行きつくとした。
プラトンの理想としては哲人政治。


アリストテレスは民主主義についてこう考えた。
王政が堕落すると僭主政、貴族政が堕落すると寡頭政、民主政が堕落すると衆愚政になる。
もっともすぐれた制度は貴族政としている。貴族とは「徳」を持つ者のこと。
堕落しなければどの制度でもいいのだろうが。


・西田亮介のさいきんの新書「民主主義」あまりにも不勉強でひどい。
津田大介、高橋源一郎、江川紹子などが絶賛してる。
この本はGHQの占領期間中に使用され、大江健三郎が中学1年の時に習い、
感激して聖書のように崇めたいわくつきの教科書の復刻。
この教科書はGHQが日本人を洗脳しようとした本。デマだらけ。



以下にその他の読書メモを。


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<なぜフランスは美食の文化が発達したのか>
カトリックの影響がある。
カトリック教国は美味しいものへの執念が、キリスト教文明の良き作法、趣味の良さとして許容された。
カトリック教会では、食卓を社交、礼儀を身につける教育の場として捉えていた。

したがってカトリックの、フランス、スペイン、イタリアではおいしいものへの追及が盛ん。
イギリスやドイツなどのプロテスタントの国では、美食の文化が育たなかった。
プロテスタントの国では、料理、食べ物は飢えを鎮めるためのものであり、
余計な食欲を掻き立てることは、好ましくないとされていた。




<ルソーの社会契約論>
「ドレイは鎖の中ですべてを失ってしまう。そこから逃れたいという欲望も」
「暴力が最初のドレイをつくりだし、彼らのいくじなさがそれを永久化する」
「わたしはドレイの平和よりも危険な自由を選ぶ」

米軍が日本を守っているのだから、最終的な国家主権はアメリカにある。
これを日本人はみないようにしている。主権を持たない民はドレイなのだ。

戦後の日本は「ドレイの平和」を選んだ。
平和がずっと続いてるのは憲法9条のおかげだと。
このドレイたちは、米軍が日本を守ってるという事実から目を背ける。

憲法9条で「盾・矛」の両面をもつ軍隊を失い、
盾だけの自衛隊をもって、矛は米軍に任せる年月が続いている。
それを平和憲法のおかげだと言ってるものはアホなのか、自己欺瞞なのかどちらかでしかない。

自衛隊だけではこの国は守れない。
敵国を攻撃できる米軍に守られているからこそ、平和に見えているだけである。
本当は日本にある米軍基地からベトナムへの侵略戦争も行われたし、イラクへの侵略も行われた。
日本は米軍の兵站基地として、とっくの昔に戦争協力している。
ベトナム人から沖縄は、「悪魔の島」と呼ばれていたのだ。




<なぜナポレオンは強かったのか>
世界史上初の「国民軍」だったから。
当時のヨーロッパ各国王政の兵士はカネで雇われた傭兵か、
プロセインのように無理やり兵隊にされた農民だった。当然士気は低かった。

それに対しフランスは、フランス革命を経て軍は王政の支配から脱した国民革命軍となり、
兵士は徴兵制となった。

フランス革命で封建制度は打倒され、政府は亡命貴族の領地を没収し、農民たちに与えた。
対外戦争でフランスが負けてしまったら、フランスに王政が復活し、亡命貴族が戻ってくる。
せっかく革命によって手に入れた土地と自由が失われてしまう。
一人一人の士気が非常に高く、しかも徴兵制だからいくらでも兵の補充がきく。
質・量ともに従来の傭兵とはまったく比べ物にならなかったのである。

さらにナポレオンは「自由・平等」の旗を掲げて戦争を行ったので、
敵国に入っても、その地の民衆から支持された。
現地で必要な物資を調達でき、軽装備だったので機動力があった。


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<グローバリズムとは何か>
グローバリズムの出どころはアメリカ。
製造業で日本に追い込まれたアメリカが、軍事機密だったIT技術を開放し、
情報のグローバル化を加速させ、金融商品をインターネットで瞬時に売買できるようにし、
さらに国民国家を守るための規制(関税や商習慣)を、アメリカ標準に修正させる戦略を立てたのである。

グローバリズムがアメリカニズムといわれるゆえんであり、
国民国家を弱体化させて、世界中をアメリカが有利な商売のルールで統一し、
単なる地球市場にしようとする国家戦略、それがグローバリズム。




<世界のイスラム化>
イスラム教は平等主義を掲げ、貧困層にやさしい宗教である。
イスラム教では富の追及は善とされながらも、
それはウンマ(イスラム共同体)全体の利益にならなければならない。

個人の財産の無制限な蓄積は、
ムスリムの基本的行いである五行のひとつ「喜捨」によって戒められていて、
これによって富の再分配が行われるようになっている。

世界中で格差が拡がれば、貧困層がイスラム教に回収されるだろう。

フランスでは、人気作家ミシェル・ウエルベックの小説「服従」が話題になっている。
フランスにイスラム原理主義組織による政党が生まれ、
2022年の大統領選に勝利しイスラム政権を樹立。
パリソルボンヌ大学は、パリソルボンヌイスラム大学と改名され、
非イスラム教徒の教授は、イスラム教に改宗しなければ失職するという近未来小説。




<選挙民も非選挙民も愚民すぎる>
大規模の社会集団で私利私欲の代表が多数決の結果、国政に参加すると、
「公」の政治から遠ざかる一方だ。
小林よしのりとしては、選挙権も被選挙権も、試験を受けて合格した者だけが獲得し、
民主制にさんかできるようにすべきだと。エリートの寡頭制のほうがいい。
民主主義はどうしても愚民主主義に堕す。国民を幸福にしない。




<平等とは>
平等とは、チャンスの平等であって結果の平等ではない。



チャンスは少なくて♪
消え入りそうで♪
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  • 出版社/メーカー: RCA Victor Europe
  • 発売日: 2003/04/16
  • メディア: CD




(関連記事)
【チョムスキーが語る戦争のからくり/ノーム・チョムスキー、アンドレ・ヴェルチェク/15年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15

【なぜフランスはテロに狙われるのか?】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-11-14-1

【なぜ中国はウイグル人やチベット人を虐殺するのか?】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18

【㈱貧困大国アメリカ/堤未果/13年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-11-05


「カエルの楽園」読みました。
日本が中国に蹂躙される近未来小説です。
それを人間じゃなくて、カエルの世界の話にしてる。イソップ物語のような寓話です。

このまえ見た「シンゴジラ」も改憲映画でしたが、この本も憲法9条を改憲しようという気持ちにさせる。
けっきょく国民投票で改憲できなくて、ツチガエルの国はウシガエルに攻め滅ぼされてしまう。
ウシガエルは、チベットやウイグルのように、日本を残忍に虐殺する。お花畑は通用しない。

ツチガエルの美しいメスガエルは、ウシガエルに凌辱されながら、
「憲法9条が私たちを守ってくれるの・・・」とつぶやき死んでいく。

夏休みか冬休みの、読書感想文の課題図書にぴったりだと思う。
いや、若い人よりGHQに洗脳されてる、団塊以上が読むべき本かもしれない。


カエルの楽園

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  • 作者: 百田尚樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: 単行本




またね♪

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コメント 10

heroherosr

小林よしのりさんは好きか嫌いかといえば大嫌いですが、「選挙民も非選挙民も愚民すぎる」という主張はとても共感しますね。
カトリックでは勤労と蓄財は罪ですからね
by heroherosr (2016-08-10 17:01) 

don

heroherosrさんこんにちは~
そうなんですか、お嫌いですか。アクが強いですからね。
あわない部分もありますが、いい事もけっこう言ってますよ[__犬]
by don (2016-08-10 17:24) 

DEBDYLAN

愛国心が根っこにある主張であってほしいですね。
イロイロな意見がありますが。
語弊があるかもしれないけど、
自分の国を愛する、守るってのは忘れたくないです。

by DEBDYLAN (2016-08-10 23:27) 

song4u

小林よしのりは同学年、同郷、同大学でありまして、
その時はまったく知らなかったわけですが、後で知ってビックリでした。
ま、ぼくが言うのも僭越至極ではありますが、昔から傲岸不遜というか
傲慢無礼というか、彼の言動は残念なところが少なくありません。
好きな部分(共感できる点)が10あるとすると、嫌いな部分(アホかと思う点)
はどう少なく見積もっても15はあり、トータルでは5の嫌いというのが
ぼくの個人的な印象です。
時々いいこと言ってるんですけどね。でも、すぐにブチ壊すから。
友人に居たら面白いヤツだと思うけど、立場が立場ですからねえ。
結局、残念な人なんじゃないでしょうかね。
by song4u (2016-08-11 09:53) 

don

DEBDYLANさんこんにちは~
尖閣に中国の船がたくさんやってきて、
アメリカが一言いうと、帰っていきました。
いろいろナンギです[__犬]
by don (2016-08-12 14:49) 

don

song4uさんこんにちは~
トータルでマイナスですか^^
同じような人、多いでしょうね。

イヤなところを見ずに、いいところだけ見ると、
「戦争論」で日本の言論の流れを変えた、功労者だと思います。
あの本が出るまで、朝日新聞的な論調が主流でしたから。

きのうから夏休みで6連休です。
冷房の効いた部屋で、本読んでます。
なぜか恋愛小説ばかりが重なってしまってます。

たまにはいいか[__犬]
by don (2016-08-12 14:54) 

みかん

donさん、こんばんは^^

よしりん(笑)の本は、幼少の頃は弟と一緒に
コロコロコミックのお坊茶魔くんを熱心に読んでました)^o^(
亀に乗って通学しててウケました~☆

大人になってからは彼の作品あんまり読んでいないのですが、
梨さんが「戦争論」を持っていて読みました!
カエルの楽園ですか、そちらも気になります。

日本はアメリカの愛人だとか色々な意見もありますが、
アメリカと仲が悪くなると今は困ります(;^ω^)
なかなか、小さな島国がほんとうの意味で独立するのは
難儀なのですかねぇ。。。
by みかん (2016-08-17 08:48) 

don

みかんさんこんにちは~
困りますよね。アメリカと関係悪化したら。
むかし韓国出張前に、韓国と関係悪化したことがあって、
勘弁してくれよと・・・

バイデンさんがクリントンの応援演説で昨日、
「日本に核武装させたくなかったから、アメリカが日本国憲法を書いた」
と言っちゃったみたいです。そのとおりで一定の人は知ってますが、
言わない約束だと思ったのですが。

憲法改正や本当の自主防衛には、まだまだ時間がかかります。
今のアラフィフが80ぐらいになったら、30年後ですが、
日本はそれができるようになってると。

青山繁治もあと四半世紀かかるといってます。
じょじょに、国民分断することなく、変えていけたらいいですね。
[__犬]
by don (2016-08-17 12:44) 

全般的な予防策として

 右も左もひれ伏す既得権益に対して、どう向き合えばよいのかという意味では作者自身が身をもって示しただけあって必読するべきだと思う。
by 全般的な予防策として (2017-11-30 13:25) 

don

「全般的な予防策として」さん、コメントありがとうございます。
著者は右も左も関係なく、けんかしますよね。
これからどうするかが、むずかしいですよね。
[__犬]
by don (2017-12-02 11:06) 

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