【政府はもう嘘をつけない】~ISDS裁判には勝てない [本/Biz経済]
【政府はもう嘘をつけない/堤未果/16年7月初版】
世界の対立軸が変わってきてます。
「1%の金持ち vs 99%の一般人」へシフト。みんな気づいてきた。
ふつうに考えたら99%が勝ちそうなもんだけど、けっこういい勝負というか拮抗してます。
それでも、イギリスのブリクジット、アメリカのトランプ、イタリアの国民投票など、
なんとか99%側が勝ちました。とはいえ、オバマのチェンジが何も変わらなかったように、
カネの力、プロパガンダには、だれも逆らえないのかもしれない。
もう投資家や欧米系のグローバル企業、なんとかして欲しい。
マッチポンプで守銭奴で、「今だけ、カネだけ、自分だけ」です。
安倍総理は好きでした。
中韓には毅然と対応してるし、いい政策も結構とおしてる。
でもね、グローバル化がひどい。TPP可決させちゃった。
発効しないものを批准して、どないしますのん。いったい誰のため?
トランプに2国間交渉で、「日本は批准したでしょ?TPPがスタートラインやで」って言われますよ。
トランプの2国間交渉をのりきっても、いずれTPPはグローバリストが復活させてくるでしょう。
「グローバリズム vs ナショナリズム(大多数の日本人の利益)」の戦いは、始まったばかりです。
日本が世界から羨望されてる、医療の国民皆保険&農協。
みなで助け合っていく日本のDNAです。グローバリストはこれに狙いを定めてる。
年間40兆円かかる日本の医療をアメリカ型にすれば、100兆円の市場になる。
カネ儲けのために使えない共同体形式で、預金総額400兆円を持つ農協共済や農林中金。
よだれを垂らしてウォール街が狙ってます。
もちろん日本国民だけじゃない。アメリカ国民も被害者です。たとえばNAFTA。
本書によれば、NAFTAによってアメリカの製造業は経済のわずか9%まで減り、
労働者は低賃金のサービス業に就くしかなくなり、実質賃金は最大17%も減ってしまった。
今ではアメリカ国民の78%が、TPP発行に反対してるそうです。
後述しますが、ヨーロッパの人たちもTTIP(EU版TPP)に反対してます。
ここはひとつ、ピコ太郎に「TTIP」を新曲で歌ってほしい。いまなら世界のヒーローになれるかも。
曲は同じでいいんですよ。替え歌だけで。そのほうが一瞬で世界に広まる。
ピコ太郎に、身の危険が迫るかもしれませんが。
以下3点について読書メモを。
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本当に恐ろしいTPPのISDS条項
ISDS裁判とは、国際貿易協定を結んだ国家間で、
その国の国内ルールによって、投資家が商売を邪魔されたと判断した場合、
投資家側がその国家を訴えることができるというルール。
元は法整備の不十分な途上国に対する投資家の権利を守るためのものだが、
さいきんでは先進国間でも乱発され訴訟件数が急増、巨大ビジネスとして花開いた。
国内に100万人以上弁護士がいる訴訟大国アメリカでは、
NAFTA締結以降弁護士たちの関心は、いかにISDS訴訟で利益を上げるかの研究。
この裁判自体平均8億円(1$100円換算)の費用がかかる。
裁判の結果に関わらず、弁護士には多額の報酬が転がり込む。
大手製紙企業アビティビー・ボウォーター社がカナダ政府を相手に起こした訴訟は、
467億円を請求し、結局カナダ政府は130億円を支払った。
ことのき賠償金の8割は法律事務所に支払われた。
以下国際弁護士の話。
「ギリシャのような債務危機のとき、我々の業界ではラッキーチャイムが鳴り響くんだ」
「IMFが国内インフラや国有財産をさんざん切り売りさせた後を狙う。
国内がスカスカになって、もうこれ以上借金が返せないとなり、借金の一部が免除される」
「そこからが我々の出番。
投資した分を回収できず損害を受けた投資家たちに、ISDS裁判の営業をかける」
「2001年に債務危機に陥ったアルゼンチン。40件のISDS裁判があった。
これまでアルゼンチン政府が支払った賠償金は1150億円。国民の税金から支払われる。
その3割が報酬として弁護士に入った」
「2012年インド政府が高額な抗がん剤の薬価を下げたときは、
アメリカの法律事務所が即、特許を持つ製薬会社に営業をかけた。
ドイツ、イギリス、オランダの法律事務所など、世界中の弁護士が営業攻勢をかける。
この世界も弱肉強食、スピードが勝負」
「今後NAFTAやFTAに続いて、TPP、TTIP(欧州)、TISAが締結されれば、
ISDS裁判はとてつもない規模に成長する」
ISDS裁判は3人の企業弁護士によって判決が下される。
この3人は訴えた投資家側から1人、訴えられた国の政府から1人出され、
「双方に中立な立場」が条件の3人目が75日以内に見つからなければ、
世銀総裁(アメリカ人)が任命する仕組みになっている。
ほとんどのケースで、3人目はアメリカ国籍の世銀総裁が任命するため、
裁判はアメリカ有利になるといわれ、実際アメリカ政府はISDS裁判で過去一度も負けたことがない。
裁判に負けたら最後、政府側は国内ルールを変え、税金で巨額の損害賠償をしなければならない。
投資してる企業側は何度でも繰り返し相手政府を訴えられるが、政府側から訴えることはできず、
たとえ裁判で負けなかったとしても、その度に毎回数億円の裁判費用を税金から負担する羽目になる。
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儲かりすぎてやめられない、テロとの戦い
2014年8月から始まった「対ISIS措置」、米国防省によると約1年で約500億円の税金が費やされた。
フランスの同年の武器受注額は、前年2倍の2兆円。中東テロ特需に沸いている。
ギリシャ危機。「国内の支出をギリギリまでつめてさっさと借金を返せ」
と迫っているが、なぜかどこも軍事費削減だけは口にしない。
2014年までの5年でドイツは551億円、フランスは136億円相当の武器をギリシャに売っている。
ギリシャがドイツと同じように軍事費をGDPの1%台に抑えれば、
IMFへの当座の借金はすぐに払える。
EU版TPPのTTIPに怒り狂うヨーロッパ
TPPは世界のGDPの4割を占める。TTIPは6割。
TPPは発行後4年間非公開であるのに対して、TTIPはなんと30年その内容が秘密にされる。
草稿はTPPと同様、多国籍企業群によって作成され、中身を見ることができるのは、EU特別委員会のみ。
EU加盟国28カ国の国会議員はおろか、一般の国民もその詳細を一切みることができない。
リークが出たのは2014年6月。たちまちEU内に衝撃が走る。
TTIPはヨーロッパを、多国籍企業群の植民地にする内容だと。
締結すれば、各国が守っている、医療や教育、水道などの基本的社会インフラが、
すべて民営化され、アメリカを中心とする多国籍企業群のカモになってしまう。
TTIPでヨーロッパ市民の逆鱗に触れたのは以下の個所。
・インターネットの監視が強化される。
・教育や医療、水道などの公共インフラが民営化される。
・著作権保護が過度に強化される。
・農業の株式会社参入で、多国籍農業法人が欧州の中小農家を買収し、食の安全が脅かされる。
・遺伝子組み換え、成長ホルモンが、アメリカと同じように合法化され、成分表示ができなくなる。
・欧州で禁止されてる水圧破砕が合法化される。
・ISDS条項がある。
・ISDS裁判は既存の裁判所ではなく、裁判官、陪審員、検事も、すべて企業弁護士が務める法廷で行われる。
なかでも大きな反発を呼んでいるのはISDS条項。
ちょうどスェーデンのエネルギー企業バッテンフォール社が、ドイツ政府の「脱原発政策」で損害を受けたとして、
6000億円の賠償を求めるISDS裁判を起こしていることも、危機感を広げる原因になった。
脱原発ISDS裁判は、ドイツ政府が負ける可能性が濃厚なのだ。
「ドイツ政府の脱原発政策によって、うちの原発が稼働停止されたら。
われわれが投資した資金や、そこから得られるはずの利益がパーになってしまうじゃないか」
カネがなかったのさ♪
だからオレは法と戦い 法に負けた♪
そして すべて失ってしまった♪
最高の女も 人生も♪
クラッシュでアイ・フォート・ザ・ロウ♪
(参考記事)
【亡国の農協改革/三橋貴明/15年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-10-13
なぜフランスはテロに狙われるのか?
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-11-14-1
【㈱貧困大国アメリカ/堤未果/13年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-11-12
【トランプ大統領で世界は発狂する!?崩壊するアメリカ/横江公美/16年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-06-07
そろそろ正月休みで、息子たちが帰ってきます。
なんか旨い酒を買おうかなぁ。外せないベースロードは「アルパカワイン」。缶ビールより安上がりやしね。
前回帰省時、シャブリのプルミエクリュ(1級畑)と、アルパカ白シャルドネセミヨンを飲み比べて、
500円対3000円が、そんなに変わらないという、男3人の結論となりました^^
アルパカのシャルドネ&セミヨンも、ここ数年酸味が強かったり、雑味が強かったのですが、
2015年モノは雑味もなく酸味も少なく、若干のミネラル感もあって、村名クラス以下のシャブリに匹敵すると思う。
ちゃんと冷蔵庫の野菜室で冷やしておけば。
みなさんはどう思われますか?
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donさん、おはようございます^^
ピコ太郎のTTIP♬、見てみたい~!! でも、当局から
命を狙われてしまいそうですね(^_^;)
そうか、白ワインは野菜室で冷やすといいのですね~。
アルパカ、かなりコスパが良さそうですね、飲んでみたいデス☆
いま、大掃除中ですが、スタバのパイクプレイスを淹れて
休憩中です~(''◇'')ゞ
by みかん (2016-12-15 01:34)
みかんさん、こんにちは~
いまは星野珈琲の、焙煎(100g500円)を飲んでますが、
つぎはまたスタバに戻そうかなと思ってます。
スタバのコーヒーパスポートつくって、
世界のコーヒー制覇しようかなと^^
[__犬]
by don (2016-12-15 12:27)
こんにちは。
日本は、決してアメリカに追従してはいけません。
アメリカは「人間の皮を被った悪魔のため」の国だと思います。
多くのアメリカ国民がここまで苦しみ喘いでいる中で、悪魔たちだけが肥え、90パーセント以上を犠牲にした幸せを噛みしめるような仕組みだからです。
アメリカの保険制度は世界一最悪です。
アメリカ政府は、中・下層にかけられている重い税率を犠牲にして(最下層と超富裕層は税金を払っていない)、世界一多くの健康保険費用を払い続けています。
にも拘わらず、その費用は国民に還元されていません。
一体誰が非人道的に儲けているのか。金の流れを観れば分かります。
アメリカは強欲で非人間的な経営者たちによる社会です。そして彼らによる献金によって政治家たちは彼らの代弁者となり果てています。
たとえば、日本では日帰りで5cm未満の乳腺腫瘍摘出(よくある手術です)の場合、25000円ほど。窓口で3割負担であればその3割の1万円弱を支払います。
ところがアメリカの病院の場合、日帰りの1時間未満の乳腺腫瘍摘出手術の平均額が40万円!!
毎月、日本と変わらない高い民間会社の保険代を支払いながら(労働者はオバマ保険ではない国民も多い)、保険会社が支払うのは免責額が大きかったり、支払い上限が低かったりするため、自己負担額が異常な額となってしまうのです。しかも病院と保険屋がグルの州も多く、そのような州の場合は、どの病院を巡っても日帰り乳腺摘出手術費用だけで300万円などという異常な値段が付けられています。
患者をバカにするのも甚だしく、アメリカではこのようなとんでもない詐欺価格が横行しており、患者がたった小さな手術代すら支払えずに自己破産することが多いのです。アメリカ人に寿命が先進国の中で短いのも、この馬鹿げた医療費用の所為です(検査代や手術費用、フォローアップ費用が高く支払えないので病院に行けない)。
アメリカの医療は、最低なモラルのぼったくり詐欺、その一言です。
日本の国民保険を破壊したくて仕方が無いブログも見かけますが、それらは医療費ぼったくり団体による利権側に立つ、非人道主義者たちです。
by アメリカ暮らし (2016-12-20 07:28)
アメリカ暮らし様、拝読させていただきました。
コメントありがとうございます。
日本で1万円のものが、なんと40万円ですか。
>患者をバカにするのも甚だしく
ほんとうに怒りを覚えます。
日本のよい制度を、守り続けて欲しいです。
[__犬]
by don (2016-12-20 12:18)