【フィリピンパブ嬢の社会学】要約まとめ [本/ルポ社会]
【フィリピンパブ嬢の社会学/中島弘象/17年2月初版】
一時期フィリピンバーによく通ってました。
日本人のいるふつうのスナックやラウンジより、安価で楽しいから。
もちろん社用です。クラブラウンジ系は自腹で行くには高い。
当時カタコトで事情を聴いてると、
たいていの女の子は3~4カ月でフィリピンに帰国。しばらくしてまた日本にやって来る。
ローテーションです。つぎに行く場所はどこかわからないと。
フィリピンバーって、全国津々浦々にあった。
ある時期からフィリピンバーが廃れました。
何が起こったんだ。こんなに楽しい場所なのに。
コリアンバーはアグレッシブなんですが、フィリピンバーはおおらかでした。
ガンガン営業の電話もかかってこないし。なんか法律が変わったとは聞いてましたが。
本書読んで再認識しました。
2015年時点で、中長期に日本に滞在してるフィリピン人は22万4048人。
在籍するすべての外国人数が217万2892人だから、フィリピン人は約1割。
そのうち在留資格を持つフィリピン人は11万8132人で、その75%は女性。
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本書はとても面白い。
私小説のようで、社会学でもある。
ミイラ取りがミイラになった。
著者は大学で国際政治のゼミに入った。
そこで「在日フィリピン女性の生活」をテーマにする。
フィリピンパブを研究するうちに、ある若いパブ嬢と付き合うようになる。
学者の研究じゃないんです。
すべて経験談です。ヤクザと対峙したり、フィリピンの家族に会いに行ったり、
交際について著者の家族に猛反対されたり。結局著者はそのパブ嬢と・・・
著者が一生に一冊だけ書ける本。
・なぜフィリピンパブは2000年代に廃れたのか?
・いま若いフィリピン人女性は、どうやって日本に来てるのか?
・なぜフィリピン女性は日本に来るのか?そして日本で逃げないのか?
上記について、読書メモを。
なぜフィリピンパブは2000年代に廃れたのか?
1980年代、多くのフィリピン女性が日本に来るようになった。
興行ビザでダンサーや歌手として来たが、実際はホステスとして働かされた。
2004年には、最高の8万2741人が興行ビザで来日した。
2004年米国務省は、興行ビザが人身売買の温床になっていると指摘。
あわてた日本政府は2005年3月、興行ビザ発給要件の、
「外国の国もしくは地方公共団体、またはこれらに準ずる公私の機関が、
認定した資格を有すること」という規定を排除した。
これで興行ビザでのフィリピンからの出稼ぎはハードルが高くなった。
興業ビザが規制されたので、今フィリピンパブで働くホステスの多くは、規制前に入国し、
その後日本人男性と結婚して、在留資格を手に入れたフィリピン人女性がほとんど。
ホステスの循環ができなくなったため、現在フィリピンパブで働くホステスは、
30代後半から40代が多い。水商売の女性は若いほど価値があり、
若い男性客は来なくなった。
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いま若いフィリピン人女性はどうやって日本に来てるか?
偽装結婚で来ている。
偽装結婚斡旋に重要なことは2つ。
元手の資金を用意できるか?偽装結婚の相手を準備できるか?
偽装結婚を成功させるには、
夫役の日本人男性を最低3回フィリピンに往復させる必要がある。
渡航費や結婚式やビザの申請代、住居費など、
1人ホステスをつくるには最低でも100万円かかる。
結婚相手の準備はさらに難しい。
戸籍に傷がつくため、普通の人間はまず引き受けない。
ホームレスは、住所、収入がなく、納税をしていなければビザが下りない。
弱みがあってカネが欲しい人を確保するしかない。
ホステスのマネージャーはヤクザが多い。
フィリピンで日本行きを希望する女性を探し契約する。非合法なので口約束。
「契約期間は3年、給料は月6万円、休みは月2回、タコ部屋住まい」
店がホステスに支払う給料はいったん彼らが受け取り、半分以上ピンハネして、
ホステスに渡す。だいたい40万円もらって30万ほどピンハネする。
5人管理していれば約150万円になる。そこからアパート代や、偽装結婚相手への報酬、
フィリピンへの航空券代など実費を引いて、実収は月に100万円。
マネージャーはたいていの場合、地元の暴力団に属している。
100万円のうちかなりの部分が、暴力団への上納金となる。
なぜフィリピン女性は日本に来るのか?そして逃げないのか?
フィリピン人の平均月収は約2万円。
仕事がなくとても貧しい。国民の1割が海外に出稼ぎに出ている。
出稼ぎ先からの外貨送金がフィリピンの消費を生みだし、経済を支えている。
産油国では建設労働者、運転手、メイドなどはほとんどフィリピン人。
日本ではパブのホステスが多い。
外国で働き口を見つけ、家族に送金できれば、フィリピンではそれが勝者。
送金があれば、メイドとして働く身分から、メイドを持つ身分に変わる。
カネを稼ぐのは日本で働く娘の役目。
彼女たちの送金が止まれば、家族は再び掘っ立て小屋の暮らしに戻ってしまう。
フィリピンでは国民の多くがカトリックで離婚できないので、簡単には結婚しない。
未婚率が高い。一方で妊娠してもカトリックは中絶できないから、未婚の母が多い。
結果、貧困が連鎖する。
なぜ日本で逃げないのか?
もし恋人ができて逃げたとしても、偽装結婚が解消できないため、
恋人と結婚することはできない。ビザが更新できない。
逃げたホステスには厳しい道しか残されてない。
だからマネージャーの言うとおりにするしかない。
タコ部屋での生活が貧しくても、ノルマやペナルティが厳しくても、
誰にも訴えることはできない。自分が偽装結婚という違法行為を犯してしまってるから。
フィリピンといえば、ジャーニーのピネダでしょうか。
それにしても、いいボーカル見つけましたよね。
アーネル・ピネダの身に起きた、ロック界のおとぎ話のような実話を追ったドキュメンタリー。
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(関連記事)
【生きるための選択/パク・ヨンミ/15年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-12-29
【そうだ難民しよう!/はすみとしこ/15年12月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-02-23
【いつまでも美しく インド・ムンバイのスラムに生きる人々/キャサリン・ブー/14年1月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-07-12
またね♪
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一瞬ビックリしました。
donさんがフィリピンパブにハマっていた
時期があったのかと(笑)。
社用でしたか^^
フィリピンパブの女の子と一緒に写真を撮った事があるのですが、
女の私にも、
さり気なく腰に手を回してきました。
慣れてるなーと思いました^^
by 青山実花 (2017-04-08 13:07)
青山さん、こんにちは~
サラリーマンの小遣いでは、
平均1万円/1回する店は、通うには無理があります。
居酒屋とか、ショットバーとか、安めのスナックとか。
そのへんしか通えないです^^;
ああ、リッチになりたい[__犬]
by don (2017-04-08 13:22)
donさん、こんばんは〜
フィリピンパブを最近見なくなったなぁ、と思ったら規制の変更があったのですね。
それにしても外国に出る時も、出稼ぎに出た後もキツイですね。。。
ご紹介されているジャーニーのBDを持っていたりします。
アーネル君、自分の(暗い)過去を、笑いながら話していました。
本当にスゴイ人だな、と思いました。
by ヒサ (2017-04-08 19:49)
ありましたねえ、フィリピンバー。
ぼくは’96年から4年ぐらい東京銀座7丁目勤務だったのですが、
当初なかった(ほとんど目にしなかった)のに、その頃から急に
目立ち始めたのがコンビニとフィリピンバーでした。
その頃の銀座にフィリピンバーか?と思われるかもしれませんが
小さな店から始まって、あっという間に広がったように思います。
donさん、楽しかったの?
ぼくはそうでもなかったなあ。ただ安いだけって感じでした。
でも、女の子はどの子も本当に可愛かった。
あれで日本語と日本文化に慣れてくれれば、みんなイチコロだと
思うほどでした。ほぼ全員がアイドルタレントという感じ。
だけど急に縮小したのは、こういう事情があったんですね。
なるほど~。
自国で幸福に暮らせるように頑張って欲しいなあ。
出稼ぎなんて、不幸にも程がありますよ。
みんな幸福になる権利を持って生まれて来てるんだから。
今日は雨です。
ああ、一年に一回、せっかくの桜が散るなあ。
雨に濡れる桜もいいものですけどね。
(…なんて朝から何言ってるんでしょうか、このおじさんは。笑)
by song4u (2017-04-10 08:58)
ヒサさん、こんにちは~。
おお、ジャーニーお持ちですか!さすが。
じつは僕は持ってません。なのに貼ってしまった・・
ごめんなさい<_ _>
そういえば2017年ロックの殿堂入りしましたよね。
イエス
エレクトリック・ライト・オーケストラ
ジャーニー
ジョーン・バエズ
パール・ジャム
トゥパック・シャクール
スティーブペリーが出てきたそうですが、
スピーチだけで歌わなかったでそう。
たぶん歌はアーネル君のほうが・・・
[__犬]
by don (2017-04-10 12:26)
song4uさん、こんにちは~
そりゃ楽しかったですよ。
あんなことや、こんなことや。
まあ、ひとつの快楽でしょうか。
みんなおどろくほどキレイで、しかもウブなんですよ。
初々しい。
桜が満開の時は、よく雨が降りますよね。
昨日図書館いくとき、途中の神社で満開の桜を目に焼き付けました。
匂いもかぎましたが、香りはほとんどしなかったです。
桜って、匂いうすいんでしょうか。
[__犬]
by don (2017-04-10 12:33)
ここ、10年くらいフィリピンは経済成長が著しいと聞きます。
投資の本でも、フィリピンが取り上げられてますよね。
タレントでも日比ハーフの人活躍が目立ってますよね。
「フィリピン」から、貧困や犯罪をイメージするのは私の様なオッサンエイジの遺産になるのかもしれません。w
by シュウ(^^; (2017-06-29 12:30)
シュウさん、コメントありがとうございます。
ぼくもオッサンエイジですが、ぼくのフィリピンイメージは、
キラキラのかわいい女の子たちです。
ほんと美人なんですよ。なのに気さく。
あ、ほんとに好きなのは「純和風」の色白の女の子です。
[__犬]
by don (2017-06-29 12:41)
3/18 フィリピンの新聞に、大阪が取り上げられてますよ...
http://www.philstar.com/lifestyle/travel-and-tourism/2019/03/18/1894994/universal-studios-japan-gateway-worlds-finest-culture-and-entertainment
Universal Studios Japan: A gateway into the world’s finest in culture and entertainment
Gerald Dizon (philstar.com) - March 18, 2019 - 3:09pm
by サンフランシスコ人 (2019-03-19 07:29)
USJ大阪は2020年に任天堂マリオエリアができるんですよね。
そうなったら行ってみたいです。
by don (2019-03-19 12:37)
8/31 山田五十鈴出演の『折鶴お千』(溝口健二監督)....フィリピン共和国で上映します...
http://businessmirror.com.ph/2019/08/15/international-movie-fest-brings-silent-films-back-to-life/
On Saturday, August 31 at 3 p.m., the Japan Foundation-Manila will present The Downfall of Osen (1935) by Kenji Mizoguchi, a story about a beautiful servant girl used by her unscrupulous employer, an antique dealer, to help his illegal business. A live musical performance by Kaduma ni Karol will accompany the film.
by サンフランシスコ人 (2019-08-18 05:08)
音楽と無声映画ですか。
ヘップバーンの白黒映画を無声で流して、
音楽はBGMっていう洒落た飲食店がたまにあります。
日本の古い映画は、あまりかかってないですね。
なぜかヘップバーンが多いです(笑)。
by don (2019-08-18 15:37)
「3/18 フィリピンの新聞に、大阪が取り上げられてますよ...」
9/28 サンフランシスコの日本町で大阪祭があります....
http://sfjapantown.org/events/celebrate-the-culture-of-osaka-at-osaka-matsuri/
When – Saturday, September 28, 2019
Where – Japantown Peace Plaza
Cost: Free
by サンフランシスコ人 (2019-09-17 07:24)
串カツとたこやきですか。
通天閣と大阪城。わかりやすいです。
by don (2019-09-17 12:36)
「9/28 サンフランシスコの日本町で大阪祭があります.......」
http://www.flipsnack.com/Bayspo/bayspo-issue-1610-10-4-2019.html
サンフランシスコの日本語新聞に....P5....
by サンフランシスコ人 (2019-10-05 01:45)
なぜか阿波踊りも参加してるんですね。
by don (2019-10-05 22:20)