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本/文学芸術 記事一覧
2018年01月27日:  女衒はクズ。「池袋ウエストゲートパーク13」より
2018年01月01日:  ボクたちはみんな大人になれなかった~あけおめです。
2017年11月25日:  【桜風堂ものがたり/村山早紀】の書評と、本屋はどうすればいいのか?
2017年08月26日:  【村上春樹翻訳ほとんど全仕事】読書メモ
2017年08月23日:  【みかづき/森絵都】が本屋大賞1位にふさわしい、とみんな思ってるのでは?
2017年07月11日:  【上流階級 富久丸百貨店外商部Ⅱ】要約まとめ~続編はドラマ化されるのか
2017年06月24日:  【ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム】要約まとめ
2017年04月25日:  【文章読本さん江/斎藤美奈子】書評と要約
2017年03月25日:  【騎士団長殺し/村上春樹】の読書感想文
2017年03月11日:  歌舞伎はなぜ男ばかりなのか?~「歌舞伎の名作名啖呵」まとめ
2017年01月24日:  東京芸大の進路~「最後の秘境 東京藝大」より
2016年12月06日:  【君の膵臓を食べたい】の感想
2016年08月23日:  【ぼくは明日、昨日のきみとデートする】の感想と名場面・福士蒼汰ⅹ小松菜奈で映画化
2016年08月16日:  【ナラタージュ】の感想~松本潤ⅹ有村架純で2017年映画化
2016年03月12日:  【ラオスにいったい何があるというんですか?/村上春樹】~ヴィレッジ・ヴァンガード訪問記メモ
2016年03月01日:  「火花/又吉直樹」とボブマーリー
2016年02月02日:  【スターウォーズ論】~スターウォーズ新作、今後2020年までの予定
2015年10月18日:  【職業としての小説家/村上春樹】海外で人気の理由は?
2015年05月23日:  「名作裁判 あの犯人をどう裁く?」~''罪と罰/ドストエフスキー''のあらすじ
2015年05月05日:  ぼくの交遊録的読書術/嵐山光三郎~書評とは何か

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女衒はクズ。「池袋ウエストゲートパーク13」より [本/文学芸術]


裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII

裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII

  • 作者: 石田 衣良
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/09/15
  • メディア: 単行本


【池袋ウエストゲートパーク13 裏切りのホワイトカード/石田衣良/17年9月初版】


みなさんは、ずっと見てる続きものってありますか?
ぼくはワンピースと、このIWGPは新作が出れば読んでる。
さいきんはドクターXにハマってます。プライムで連ドラとか一気見するようになった。

IWGP面白いんですよ。
とはいえ直近の11と12は面白くなかった。
少年モノだからおもしろかったんですが、おっさんになってもGボーイズやってる。
設定に無理があって、なんか感情移入できなくなった。

無理な設定に慣れたからかもしれませんが、13は面白かった。
いや慣れじゃなくて、単純にストーリーが面白かった。
サルとかゼロワンとか、警視正とか、過去の人脈がだいぶ出てきたので。

パターンは決まってて、旬な事件に絡めた物語。
今回は、ネットの誹謗中傷、風俗&ドラッグ、スピリチュアルビジネス、カード詐欺。
4つの犯罪に絡まった話です。

いつも思います。よくこんな面白い話を思いつくなあと。

小説はあんまりメモ残さないんですが、
今回は犯罪の手口がわかりやすかったので、後学のためにメモしときます。


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現代の女衒、風〇スカウトはクズ男


最初はすごく優しく紳士的に振る舞う。そして女を自分に惚れさせる。
ホテルに行く。「海外産の媚薬」といって、水に溶いた覚せ〇剤を直接「ねん膜」に擦りこむ。

覚〇い剤の隠語は、シ〇ブ、エス、アイス。
シ〇ブはドラッグに骨までしゃぶられるからシャ〇。
ポン中は、注射器=ポンプ中毒の略語。

さいきんエスのトレンドは変わってる。静脈注射から「あぶり」へ。
アルミホイルに結晶をのせ、下からライターであぶりその煙を吸う。
効果はポンプほどダイレクトではないが、3~4時間持続するという。

注射より多量の覚〇い剤を必要とするので、売人としてもそちらのほうが商売になる。
常用者は身体に針の跡が残らない。どっちにしてもメリットがある方法。

シ〇ブ漬けにしたうえで女をAVに売るか、風〇に沈める。
さいきんは熟女系が人気だから、アラフォーでもルックスがよければカネになる。
スカウトは一定額のキックバックを、その女が仕事をしてる限りもらえる。
店側としては、女のメンテナンス料みたいなもの。

もっと悪いやつは、女の仕事が会社の経理とかなら、会社から直接カネを引っ張ることを考える。
業務上横領の強要。短期間で多額のカネを引っ張れる。
覚せい剤のことをばらすといえば、免職になるので女はすぐに落ちる。
この手の犯罪は当人は重罪だが、示唆したほうはするりと罪を逃れることが多い。
いい年をして恋に狂った方が悪いという。

もっと最低なのは親子どんぶり、
娘がいる場合、どっちにもエスを教え込む。母親をソー〇に、娘をA〇に売る。
18歳までは裏〇俗で稼がせて、18歳になると同時にA〇デビュー。
娘は子供なので、母親のことで脅すと簡単に落ちる。




心霊やスピリチュアル系のビジネスモデル


相談事に行くと、所定のフォーマットにプロフィールを書かされる。
相談料は1時間8千円。オプション料金は、先祖供養5万円、水子供養5万円、
妊娠祈願3万円、浮気封印3万円。

守護霊、過去生、霊障の話などをして、水晶などを売る。
Sサイズ20万円、M45万円、L70万円。大きさでご利益がかわると吹き込む。

もう少し今風なのは、オーガニックカフェ風の店構え。
美人な女性がオーナーで、レッスン主体。レッスンにより魂のステージを上げる。
短期レッスンで、3カ月で15万円ほどの費用。


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特殊詐欺ビジネス


特殊詐欺の16年被害額は400億円。
発覚件数は1万4千件強、検挙数は3分の1の4500件。
出し子は3千人弱逮捕されてる。通常特殊詐欺の出し子の取り分は7%。
出し子は末端のアルバイト。捕まえても本当に悪い奴は捕まらない。





リル・パンプでグッチ・ギャング♪
リル・パンプってリアルGボーイズですよね。えげつない。
17歳でイケメンだから大ヒット。息子が正月に帰省した時口ずさんでました。
グチギャン、グチギャン言うてるから、なんやそれと。この動画流行ってると教えてくれた。

リル・パンプについて。米wikiによると、
複数の学校から追放されたのち、再生学校からも追放。追放理由は戦闘と暴動。
本人は音楽なんかやる気はなかったけど、スモークに仲間に引き込まれた。
歌詞はほんとにヤクザです。本人はあらゆるクスリに精通してると豪語。
コデインとか咳止めシロップとかコカ〇ンとかメタンフェタミンとか。まだ売る気か。
もう音楽のほうがカネになるよ。イケメンは得やね。




Lil Pump

Lil Pump

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
  • 発売日: 2018/01/30
  • メディア: CD




(関連記事)
【詐欺の帝王/溝口敦/14年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-10-04

【フィリピンパブ嬢の社会学】要約まとめ
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-08

【リベンジポルノ 性を拡散される若者たち/渡辺真由子/15年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-02-13

【日本の風俗嬢/中村敦彦/14年8月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-10-28


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ボクたちはみんな大人になれなかった~あけおめです。 [本/文学芸術]


新年あけましておめでとうございます。
よいお正月を迎えられましたでしょうか?
本年がみなさんにとって、素晴らしい一年になることを祈念します。

ところで昨晩は、紅白見られましたか?
ぼくはがっつりみました。がっつりといっても3分の2ぐらいですが。
長い人生、がっつり見る年もあるし、ぜんぜん見ないときもある。
近しい人とゆっくり見る紅白は、尊い時間だと思う。

個人的によかったのは、SHISHAMOとPerfumeです。
それから丘みどり。丘みどりは歌がうまかったと思う。
今後の演歌界をしょって立つ人材か。

とはいえ演歌ってどうなんでしょう。
今後10年はまだ演歌ニーズはある。だけど20年後は需要があるのか。演歌世代が消失する。
いつかは、MTVとかに出るミュージシャンばかりの紅白になるのだろうか。
アイドルや演歌は、音楽番組に必要なのか?

紅白をみながら、そんなこと考えていました。
あと受信料のことも。1か月1300円ぐらい。年間で1万5千円・・・。
みなさんはNHKや紅白のこと、どう思いますか?


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正月ってヒマですよね。
朝から一冊、小説を読んでしまった。読み初め。
心に残った部分を以下に。


「このまま仕事を辞めて遠くに逃亡したいなぁ」
「なんで遠くに行きたいの?」
「だって例えば海外に行って色々な刺激を受けたら人生変わりそうじゃん」
「そうかな」
「そうだよ、俺の知り合いにもいるもん」
今なら分かる。霞のかかった目的地は、いつまでも霞がかかったままだと。

「宮沢賢治は死ぬまで遠くに行ったことなんてなかったんだよ」
「宮沢賢治?」
「病気だった妹を想って、この本を書いたんじゃないかな」
「賢治はずっと東北の田舎町で人生の大半を過ごしたのに、銀河まで旅したんだよ」
「きっと、妹を一緒に連れていってあげたかったんじゃないかな」
「どこに行くかじゃなくて、誰と行くかなんだよ」




「はじめて日本人が南極を目指した時の話って知ってる?」
「なんすかそれ、感動系っすか?」
「氷を割りながら男たちを乗せた船は進んでいくのです」
「乗組員につかの間の休息が訪れる。そこへ1人の乗組員の奥さんから愛のメールが届く」
「メールじゃなくて電報?」
「そうそう。長く送れば送るだけお金がかかるってやつ」
「それで奥さんは短く、3文字だけ送ったわけ」
「3文字。あたし、その話が一番ロマンチックで好きなの」

さて、その3文字はなんて送られたのでしょう?
知りたい方は、ぜひ「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読んでみてください。




「燃え殻」のデビュー作。
むかし「東京80s」っていう名作漫画がありましたが、あれの90年代バージョンふう。
自分の恋愛経験を反すうしてしまう。

「燃え殻」氏は都内で働く会社員。
休み時間にはじめたツイッターで、叙情的なつぶやきが人気。多くのフォロワーがいる。
「140文字の文学者」とも呼ばれる。
ウェブで連載した「ボクたちはみんな大人になれなかった」が話題になる。


ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった

  • 作者: 燃え殻
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/06/30
  • メディア: 単行本





正月なので、U2のニューイヤーズデイを。
ちな2017年世界の音楽興業ベスト5は以下。
1、U2 348億円 (1$=110円)
2、ガンズ・アンド・ローゼズ 322億円
3、コールドプレイ 262億円
4、ブルーノ・マーズ 220億円
5、メタリカ 168億円



さて、いまからユニクロ行ってヒートテック690円でも買うか。
人、多いやろね。

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【桜風堂ものがたり/村山早紀】の書評と、本屋はどうすればいいのか? [本/文学芸術]


桜風堂ものがたり

桜風堂ものがたり

  • 作者: 村山 早紀
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【桜風堂物語/村山早紀/16年10月初版】
2017年本屋大賞5位の作品。
犯罪系なんかの重いのは読みたくないので、今年はベスト10のうち7冊読みます。
今回は6冊目。とってもいい本でした。本好きには興味深い内容です。


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中堅の本屋さん。その書店員の物語です。
駅前の古い百貨店、その6階にある銀河堂。
百貨店も斜陽やし本屋さんも斜陽。だけど懸命にがんばって本好きな人たちが書店を支えてる。

ある日、中学生の万引き事件が起きる。
7年前の調査で、全国の書店の万引き被害額は年間2百億円。儲からない本屋の利益はふっとぶ。
主人公の月原は万引きした中学生を追いかける。中学生は目の前で車にはねられる。

中学生はいじめで万引きさせられていた。
本屋と主人公はネットから攻撃を受ける。中学生を万引きごときで追い詰めるなと。
嫌がらせは百貨店まで及ぶ。責任をとり月原は辞職する。
もちろん心優しい本屋の人たちは引き留めたが・・

本が子どもの頃から大好きな月原は、書店員としてしか生きていけない。
深く傷ついた月原をなぐさめたのは、ブログの世界。
彼は書評サイトを運営していた。

月原は書評サイトを見ることが好きだった。
自身も身元を隠して、書評ブログを長く続けていた。
ブログを通して交流していた小さな本屋さん、桜風堂のブログ更新が止まっている。
心温まる、素晴らしい書評をかくブログ。

月原はネット上だけの交流を好むタイプのブログ主だった。オフ会なんかには参加しない。
自分がブログで交流する人の前に姿をさらすことに、ためらいがあった。

リアルに会うとさまざまな面倒がある。自分の領域に入ってこられることへの不安もある。
ネットの世界では対面ではない気安さもあって、リアルでは口にしないような心情も吐露できる。

月原は意を決して旅に出た。桜風堂のブログ主に会いに。
会ってみるとブログ主は病に倒れていた。わけあって引き取った小学生の孫も途方に暮れている。
幼いころ事故で親兄弟をなくした月原は思う。

なんとかしてその子と、ブログ主の力になれないのか。

ここまでで全382ページの約半分。
このあと、物語は大きく展開して伏線を回収していきます。
とくにラストの面白さはすばらしい。
残りが10分の1ぐらいになってるのに、読み終わりたくない。
もっともっとこの本を読んでいたい。つよく思いました。

嫌な登場人物がいないんですよ。
主人公や周りにいる人たちは、けっこう薄幸で悲しい過去の人が多い。
だからこそ人の痛みがわかり、なんとかして人の力になろうとする優しいひとばかり。

読んでるとなんか、やさしい前向きな涙がこぼれます。

著者は、どんどんつぶれていく本屋さんを応援しようと、この本を書いたそうです。

そうなんですよね・・
本屋さんがどんどんなくなっていく。
ぼくなんか本屋と図書館しか行くとこないので、なくなると困るんです。

ほんとは近所の本屋でどんどん本を買って応援したいけど、
狭い家にはこれ以上本を置くスペースはないし、小遣いもないし。

本屋さんがどうなっているか、こんご本屋はどうしたらいいか、以下に考えてみました。


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書店数の推移、出版売上推移など本の現状


まず書店数の推移です。

書店数推移.jpg


続いて出版売上推移(紙)です。。

本の売上推移.png


2つを見比べます。
--------------------------------------
       書店数   売上高
2000年 21千店  2.4兆円 
2005年 18千店  2.2兆円
2010年 15千店  1.8兆円
2016年 13千店  1.4兆円
--------------------------------------


書店数も売上もほぼ6割弱。比例して減少してます。
ちなみに電子書籍は2016年で約2000億円の売上。コミックが7割を占める。
2千億÷1.6兆=13%が2016年の電子書籍の売上です。

アマゾンや楽天などのネット経由での本の販売比率は2016年で10.6%。
2016年販売ルート内訳概数は以下。
書店63%、コンビニ11%、ネット11%、出版&取次直販15%。

2009年販売ルート内訳概数は以下。
書店65%、コンビニ15%、ネット5%、出版&取次直販15%。

ネットの売上は2016年で、1.4兆円x11%=1500億円ぐらいでしょうか。
2009年にアマゾン&楽天の本売上が1500億円とのデータがあります。
計算が少し合わない気もしますが。

紙の本の売上が2割も減少するなか、ネットはシェアを増やして売上を維持しています。
2010年代に登場した電子書籍を加えれば、たぶん増えている。
そのぶん街の本屋が割を食ってるという。





なぜ本は売れなくなったのか?


新しい趣味を始めるとき、むかしは本屋でハウツー本を買ってました。
いまはインターネットでググります。ハウツー本じゃなくてネット情報ですましてる。

病気とかで不安になったとき、むかしは関連する本を買ってました。
今は検索して悩みを解決しています。

ファッション情報、グルメ情報、むかしは雑誌でした。
これも検索でことたりる。

読んでる活字の量は、あきらかに昔より増えています。
それが本からネットに移ったという事が大きいのでしょう。

要はしらべものが、ネットでことたりるようになった。
それから利便性の高いアマゾンからの購入が増えた。これが本屋が減った主因です。

電子書籍について。
キンドルは数年前に買いましたが、ほとんど使ってません。
ワンピースをキンドルで読みますが、めっちゃ読みにくい。
ほんとはマンガは紙の本で買いたいんだけど、もう置く場所がないんです。
スペースの問題で電子書籍にしています。だけどめっちゃ読みにくい。
ぼくのなかでは電子書籍はオワコンになってしまった。本はやっぱ紙に軍配。
電子は保管だけメリットがあります。




今後本屋はどうすればいいのか?


みなさんは、本屋さんや図書館は好きですか?
ぼくは大好きです。そこにいる人たちも、やさしそうな人が多い。

なんとか街の本屋に生き残ってほしい。

どうすればいいのか?

けっきょくメリットのある場所にしないといけないという。
人は利のある方に流れます。


①楽しい場所にする。
いけば楽しい。どうすれば楽しいか地域によって違うとおもう。



②行けば利のある場所にする。
どこかの企業が協賛して、本屋に行くとポイントが付くようにする。
そうすると本屋に人が集まる。マクドとかミスドとか、そういう洒落た事しないかなぁ。
消えゆく本屋、文化の守り人になった企業はイメージがアップする。
ぜんぜんちがう業界のトヨタなんか、広告費に年間5000億円使うのなら、
こういうところに投資してほしい。



③図書館との協業
まず各市町村の図書館は、予約サイトを共通化する。
全国共通図書館サイト。初期費用は国が出す。統一プラットフォームにする。

新刊の人気本、150人待ちとかじゃないですか。1年ぐらい待たされるんですよ。
読みたい人には地元の本屋が安く売る。地元の本屋と図書館との協業です。

費用はシステム統合によるリストラ費用から捻出。
早く読みたい人用に、シェア本(レンタル)にするか、個人本にするか、それで値段は変える。

今までなかったマーケット。新市場の創出です。
だいたい本の直接費は1400円3万部で14%だそうです。7%が紙代で7%が印刷製本代。
200円ぐらいが直接原価。価格政策ほか4Pはじっくり考えて。装丁もライトにするとか。



④街の本屋さん統一サイトをつくる。
もうアマゾンとかには個々の本屋は立ち向かえません。
合併は無理でも、ゆるやかな合弁とか提携しないと。
統一サイトで買うと、少し安くする。家への配達でなくて近所の本屋に取りに行く。
本を安くする補てんは、国の補助でいいじゃないですか。
コメ守るみたいに、日本語文化を、書店を守ろうよ。みんなで。

アマゾンなんか税金納めてないじゃないですか。日本へは定額の業務委託やゆうて。
その取りっぱぐれてるぶんと、本屋への補てんがバランスする額を補助とする。

アマゾン日本の売上2016年で年間1.1兆円。たぶん本が1500億円ぐらい。
経常5%として100億円弱は利益が出る。税率30%として30億円か。。

う~んちょっと足りない(笑)
30億は統一サイト合弁会社の運営費とする。
本を安くするのは、国の外資から保護名目の逆関税としての補助。
出版社もトータルで売上(利益)増えるなら、安くするのに協力してほしいなあ。



⑤紙の本のリサイクルを出版&本屋連合でやる。
電子書籍は読みにくい。でも本を買うと置く場所がない。
これの解決策はないのか。それを街の本屋が提供する。
たとえば月額制読み放題とからめる。月1千円で読み放題。
読み終わったらキレイな状態で返す。次の人がそれを読む。
出版に返本されるなら、読み放題リサイクルしたほうがいい。
返本率って30~40%もあるそうです。
ビッグデータ駆使したら上手くやれそうな気もするけど。





アレサフランクリンで、エイプリルフール♪
本のなかの架空本、月原が奔走して売ろうとしたのが「4月の魚(エイプリルフール)」。
アレサは洋楽ファンにはおなじみのシンガーです。
米音楽誌Rolling Stoneが史上最高のシンガー100人をランキング。1位がアレサでした。
このランキングは音楽ジャーナリスト、アーティスト、レコード会社やマネージメント会社重役など、
音楽業界関係者179人にシンガーのトップ20をそれぞれ選出してもらい、その結果を集計したもの。
2位レイ・チャールズ、3位エルヴィス・プレスリー、4位サム・クック、5位ジョン・レノン。




アレサの名盤貼ろうかとおもいましたが、こっちにします。著者があとがきに書いてました。
本書をかくきっかけとなった本、どうやったらこの店長が泣かない世界になるのだろうと。
『本屋の日常は過酷な闘いの連続だ。繰り返される万引き、達成不可能なノルマ、
限界を超えた作業量。何より給料が安く、満足に休みも取れない』

傷だらけの店長: 街の本屋24時 (新潮文庫)

傷だらけの店長: 街の本屋24時 (新潮文庫)

  • 作者: 伊達 雅彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/08/28
  • メディア: 文庫





(関連記事)
ゴーストライター論/神山典士~出版業界の仕組み
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-06-09

【売れる作家の全技術/大沢在昌/12年7月初版】
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【ワンクリック ジェフベゾス率いるAmazonの隆盛】ジェフ・ベゾスの生い立ち要約
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-12-04

【誰がアパレルを殺すのか/杉原淳一、染原睦美/17年5月初版】
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【Amazon vs ヨドバシ vs ZOZO ビジネスモデルの違い】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30

日本の音楽業界はV字回復してた!~「ヒットの崩壊」より
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07


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【村上春樹翻訳ほとんど全仕事】読書メモ [本/文学芸術]


村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/03/17
  • メディア: 単行本


【村上春樹翻訳ほとんど全仕事/村上春樹/17年3月初版】


村上春樹の翻訳本カタログ集。
オールカラーでこれまで翻訳した本を、村上春樹の寸評で振り返る。
そして柴田元幸(東大名誉教授、村上春樹の5歳下)との対談。これが面白い。

カタログページはこんな感じ。ちなみに最初の2冊、
「マイ・ロストシティ」「僕が電話をかけている場所」は、80年代前半に買いました。
アホ学生だったぼくが買うぐらいだから、けっこう売れてたんだとおもう。
同時代の短編では、ピート・ハミルの「ニューヨーク・スケッチブック」も面白かった。
「幸せの黄色いハンカチ」の原作者ね。


(クリックで拡大)
マイロスト・シティ.JPG


ぼくが電話をかけている場所.JPG


洒落てるでしょ。
しかし70冊も訳してたとは知らなかった。
デビューして38年、最初の翻訳書から35年。
小説家としてこれだけ翻訳してるのは、森鴎外か村上春樹ぐらい。
多くの作家は下訳をみながら翻訳しますが、村上春樹は下訳なしで自分で訳すそうです。
ただし柴田元幸氏に、訳文をチェックしてもらうことが多いと。

作品として多いのはフィッツジェラルド、カポーティ、カーヴァー、チャンドラー。
ざっとこの本から数えてみた。

レイモンド・カーヴァー17冊
レイモンド・チャンドラー6冊
スコット・フィッツジェラルド5冊
トマス・カポーティ5冊
クリス・ヴァン・オールズバーグ(絵本)12冊
ティム・オブライエン3冊
アーシュラ・グィン4冊
グレイス・ペイリー2冊
JDサリンジャー2冊
ビル・クロウ2冊
アンソロジー(寄せ集め)6冊
その他12冊

ん?全部足すと76冊になる・・たぶんぼくの数え間違い。ま、いいか。
全体感はこんなかんじです。


この本読んで、ぜひ読みたいと思った3冊。


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(バースデイ・ストーリーズ)
誕生日をテーマにした短編小説をいろんなところから見つけてきて、全部自分で翻訳して、
最後に自分で誕生日ものの短編小説を一つ書き下ろした本。


(心臓を貫かれて/マイケルギルモア)
奥さんからぜひ訳してほしいと頼まれた作品。奥さんが英語で読んで面白かったと。
連続殺人犯で死刑になったゲイリーギルモアの実弟、マイケルギルモアが兄の話を書いた。
ダークな因縁話というか怪談というか、人の業の年代記というか、読めば読むほどおっかない話。
終始背筋に冷たいものを感じながら訳した。
「ねじまき鳥クロニクル」を書いてた時に訳した本で、明るい話を訳してたら、
「ねじまき鳥クロニクル」ももうちょっと違う小説になったかも。


(ティファニーで朝食を/トーマスカポーティ)
村上春樹がとても好きな作品。ほかに短編が3つついてる。
この小説を翻訳するのは本当に楽しかったと。1961年の映画とはずいぶん内容が異なってる。


いや、ほかにも読みたい本はたくさんあります。
便宜的に3冊だけ挙げましたが。
本書は文庫本になったら買いたいな。手元に置いておきたい。


そのほかの読書メモを。


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柴田元幸との出会い


「熊を放つ」のときに、翻訳チェッカーのチームを組織した。
はじめての長編小説だったので編集者に相談。それまでは短編ばかりだった。
ひととおりざっと訳したものを、ちゃんと英語のできる人に洗ってもらう。
そのとき集められた5人の中に柴田さんがいた。

村上春樹があらっぽくどんどん翻訳をすすめて、それを5人にチェックしてもらって、
それを村上春樹が手直しして、という手順。

いまなら5名も集めるのはお金もかかるしペイしない。
「5人なんて、ちょっと君それは・・」と会社に言われる。
ただあの頃は、雑誌に広告がたくさん入ってお金が十分あった。




村上春樹は小説書くときに音楽を聴くのか?


小説を書くときは、あんまり音楽って聴けない。
音楽が鳴っていても、集中してるからほとんど耳に入ってこない。
翻訳だとテクニカルな領域の作業が多いから、音楽を聴きながらやれるのがいい。
ボーカルはできれば入らないほうがいいと思うけど、
とにかく翻訳は好きな音楽が聴けて楽しい。




英訳の翻訳者はわりと自由に訳す


(柴田)
村上さんの翻訳を何冊かチェックしましたけど、ちょっと言いすぎだったかな、
とこのごろ思うようになって(笑)。

原文に’’very tired’’とあって「疲れている」とだけ訳してあったら、
‘’very’’があるんだから「すごく疲れている」と強調を入れるように、
という指摘を僕はしてきましたけど、字面どおり強調をそのまま訳すのが正しいかというと、
そうとはぜんぜん限らないなと。

ここ数年日本語から英語に訳す作業にもつきあうようになったので、
それでわかったんですが、英訳の翻訳者たちはもっと自由に考えるんです。
全体としてこのくらいだろうなという感覚で、形容詞が3つくらい並ぶときも、
訳すときはべつに1つでいいとか、あるいは逆に増やすとか、
もっと自由にやってるんですよね。




カーヴァーは小説の師みたいなもの


(村上)
僕はカポーティとフィッツジェラルドがもともと好きで、
その2人をやりたくて翻訳をはじめたようのもの。文体的にはあまり影響を受けてない。

一方カーヴァーは、僕にとってはある部分、小説の師みたいなもの。
彼の63作の短編をぜんぶ訳した。
ああいうシンプルでぶった切ったような文章で、確固とした豊かな文学世界を築き上げてる。

チャンドラーからはかなりの影響を受けてると思う。
小説の文体に関していえば、それは確かです。
チャンドラーは好きだけど、ミステリを書くことには全く興味はない。
チャンドラーのあの独特の語法を、いわゆる純文学の世界に持ち込むという作業が、
個人的にはすごく好きだった。




村上春樹の1日の時間配分


・朝の4時ごろ起きる。
・朝のうちに自分の小説の仕事を済ませる。
あとは時間があまる。
ジムに行ったり走ったりするのは1~2時間ですむ。まだ暇がある。
それで翻訳でもやろうかと、ついついやっちゃう。

朝のうちは翻訳はしない。朝は大事な時間なので、集中して自分の仕事をする。
翻訳は午後の楽しみにとっておく。

日が暮れたら仕事はしない。野球観るか、映画観るか、音楽聴くか。
遊びには行かない。外で遊んでもそんなに楽しくないし、つい翻訳に向かってしまう。
ただ1日に翻訳をやれる時間は2時間ぐらい。頭が働かなくなって限界になる。




そういえば、「村上ソングス」って読まれました?
村上春樹が好きな曲を選んで、歌詞を訳して原詩と並べて、
その曲についてエッセイ書いて、和田誠がイラストを描いた本。選曲はわりあいシブい。

歌詞翻訳は苦労したそうです。
ニュアンスを出さなくちゃいけないけど、使える言葉の量は限られてるから。
その本の中で特に気に入ってるのは2曲だそうで。
アニタ・オデイの「孤独は井戸♪」
シェリル・クロウの「生きてるうちにしたいこと♪」



洗車場の横のバーで♪
火曜の昼間にビール飲んでたら♪
「死ぬ前にちょっとだけ 楽しまない」♪
って くだらない男にナンパされちゃった♪
ウィリアムって名乗ったけど ほんとはビリーとかマックだとおもう♪

まともな人は♪
昼間っからこんなところで ビールなんか飲んでないよ♪
わたしたちは 真面目な人とは人種がちがうのかな♪

わたしは ちょっと楽しみたいだけ♪
わたしだけじゃない みんなもそうでしょ♪

幸せそうなカップルがバーに入ってきた♪
ビリーはバドワイザのラベルをはがして 悪態をついてる♪

それでもこのバーは わたしたちのもの♪
少し楽しめれば それでいいじゃない♪


シェリルクロウでAll I wanna do♪
すいません、「村上ソングス」は手元にないので、歌詞は村上春樹訳じゃないです。
ぼくが勝手に意訳したもの。あらためて歌詞よむと、退廃的ないい歌ですね♪
同じようなフィーリングを感じたこと、みんなあると思う。



ピートハミルの短編集。どこかに消えたので買い直そうかな。

ニューヨーク・スケッチブック (河出文庫)

ニューヨーク・スケッチブック (河出文庫)

  • 作者: ピート・ハミル
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2009/07/03
  • メディア: 文庫




(関連記事)
【職業としての小説家/村上春樹】なぜ欧米で売れたのか
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-10-18

【騎士団長殺し/村上春樹】の読書感想文
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-03-25

【ラオスにいったい何があるというんですか?/村上春樹/15年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12

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【みかづき/森絵都】が本屋大賞1位にふさわしい、とみんな思ってるのでは? [本/文学芸術]


みかづき

みかづき

  • 作者: 森 絵都
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/05
  • メディア: 単行本


【みかづき/森絵都/16年9月初版】


2017年本屋大賞2位の作品、「みかづき」読んでみました。
これ素晴らしい作品です。どう考えてもこれが本屋大賞1位になるべきだと思うのですが。

選者は全国の書店員さん。
2016年の場合、一次投票は全国435書店552人、二次は276書店より331人の投票。
二次投票はノミネート作品をすべて読んだ上で、ベスト3を推薦理由とともに投票だそうで。

書店員さん、「ピアノの森」読んでないと思う。
だから盗作の「蜜蜂と遠雷」を1位にしてしまった。
面白いのは確かなので、ピアノの森読んでなかったら、この世界観のとりこになると思う。
「蜜蜂と遠雷」は、そんな作品です。


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「みかづき」はオリジナリティが高い。
教育に関する作品、何が思い浮かびますか?
坊っちゃん、金八先生、GTO、ドラゴン桜、このあたりですよね。

教育ものといえば、熱血先生もの、指導により生徒が成長していくもの。
「みかづき」は、そういうものとは全然ちがう作品です。

昭和30年代から現代にいたるまで、
四世代にわたる教育一家の、波乱万丈の人生大河ドラマです。
スケールがでかい。

一読して思い出した作品は、
「百年の孤独」
「赤い高粱」です。
2作品とも、ノーベル文学賞作家の代表作。

赤い高粱は、3世代にわたる中国の「抗日ゲリラ」小説。
百年の孤独は、コロンビアあたりの7世代にわたる一族の興亡を描いた作品。

正直いって、上の2作品より「みかづき」のほうが面白いしタメになる。
外国作品は、文体の問題がありますしね。超訳でもしてくれないかぎり読みにくい。
社会背景というか文化というか、民族のメンタルも違うし、ぜんぜん共感できない。

「みかづき」は、身内に教育関係者がいれば、ぜひ読ませたい作品。
得るものや、共感できる部分が多いとおもう。読んだ人の血肉になる。
というか、教育関係者じゃなくても十分におもしろいです。いずれ連ドラになるでしょう。


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ぼくが共感したのは以下の部分。


『押し問答の末、業を煮やした女は卓上の丸い缶を引きよせ、その蓋を開けた。
中に重なる菓子の一枚を華奢な指先がつまみあげる。
彼女のてのひらよりも大きく、紙のように薄い円状の焼き菓子。
せんべいにしてはハイカラなそれを白い前歯がぱりんと割った。
  ~中略~
「いただきましょう」
ため息まじりに手をのばし、未知なる菓子の一枚を口に運ぶと、
ほのかに甘いそれは噛んだ拍子に二枚へ分裂した。
生地と生地のあいだからは風味うるわしいクリームがのぞいている。
いつからこの国にはこんな上等の嗜好品が出まわるようになったのか』



これ、ゴーフルでしょう。
生まれてはじめてゴーフル食べたとき、めっちゃ美味いと思いました(笑)。


神戸風月堂ゴーフル10S

神戸風月堂ゴーフル10S

  • 出版社/メーカー: 神戸風月堂
  • メディア: 食品&飲料




取引先への手土産は、いまでもゴーフル買っていくことが多いです。
あの茶色い大きな丸い缶。あれをお土産でもらうと、子どもの頃すごくうれしかった。
だから今でもつい買ってしまう。


本書のテーマは「三日月」です。
何度も何度も出てくる。満月になろうとする三日月。
三日月にみずからを重ねる千明。吾郎への手土産に満月のようなゴーフルを選ぶ千明。
ゴーフルが起点となり、物語は大きく動きます。



ビートルズのミスター・ムーンライトを貼ろうと思いましたが、
最新のビートルズ動画がアップされてました。ヘルプ♪ 
カラーのライブでかなり状態がいいです。
歌詞ミスしてるみたいですが、それも含めて素晴らしいライブ♪




(関連記事)
ガルシアマルケスの「百年の孤独」
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-04-17

【赤い高粱/莫言/03年12月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-02-19

【ぼくはスピーチをするために来たのではありません/G・ガルシア・マルケス/14年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

【蜜蜂と遠雷/恩田陸/16年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-07-01

【読書感想文】坊っちゃん・夏目漱石
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-08-06

いま「ツバキ文具店」読んでます。
本屋大賞2017年4位。これもかなり面白い。


ツバキ文具店

ツバキ文具店

  • 作者: 小川 糸
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 単行本



またね♪

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【上流階級 富久丸百貨店外商部Ⅱ】要約まとめ~続編はドラマ化されるのか [本/文学芸術]


上流階級 富久丸百貨店外商部II

上流階級 富久丸百貨店外商部II

  • 作者: 高殿 円
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/10/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【上流階級 富久丸百貨店外商部Ⅱ/高殿円/16年10月初版】


この小説、なんでこんなに面白いんだろう。
前作がおもしろすぎて、とうとうシリーズもんになってしまった。
最近では一番のエンタメ小説です。

前作は竹内結子で2015年にドラマ化。
ルームメイトのゲイは斉藤工、上司は竹中直人。
憧れの人は草刈正雄。彼女を引き上げた常務は桂三枝。

ご存知ない方のため、前作の概要を。
未読の方は是非読んでみてください。ドラマより本の方がおもしろいです。
で、本を読むとドラマも見たくなる。
自分が頭の中で想像したシーンは、実写ではどうなるんだろう。


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『竹内結子は百貨店ケーキ売り場のバイトから、
資質を認められ契約社員、そして正社員となる。
いろんな職場で企画を大当たりさせ、外商部へ抜擢。
外商は百貨店の売上4割を支える屋台骨。男の職場で竹内結子は唯一の女性社員。

竹内の仕事にひたむきな姿勢は、いろんな先輩に認められ、
伝説の外商マン、草刈正雄の後継者候補となる。

女の嫉妬の渦巻く百貨店、外商勤務という事で、男の嫉妬にもあう。
しかし彼女の真摯な姿勢はいろんな人を巻き込み、やがて大きな仕事を成し遂げてゆく』




外商部が舞台なので、いろんなお客さんとの絡みというか、サイドストーリーが展開します。
本作では4つの大きなトピックが展開する。


人一倍気をつかう客の鶴さん(高畑淳子)。皮肉屋だ。
最近はどうも気弱になってる。なぜか?溺愛する末の孫娘が不登校気味だという。
孫娘の相手をし、彼女が興味をもつお菓子作りの本場、フランス旅行へ同行する。
竹内結子は20年前フランスに滞在した。その経験が生きる。


斎藤工の実家は大金持ちだ。
母親は巨大企業創業家の娘で、ゴッドマザーとして君臨し、一族は政治家も排出する。
そんな名家のなかで、三男の斎藤工はゲイで、若いころ分家に養子に出された。
複雑な思惑があっての措置なのだが、ゴッドマザーは竹内結子に、仮面夫婦になってほしいと。
この話は大きく展開する。鉄仮面のようなゴッドマザーは、最後に感情をあらわにする。
「私の息子を誇らない世の中が許せない」
斎藤工がすごくがんばって、まっとうにやってるのに、
ゲイというだけで、肩身の狭い思いをする世の中が許せない・・・


神戸の巨大ヤクザ組長の愛人、松雪泰子。
彼女はカゴのなかの鳥。一人目の息子は正妻にとられてヤクザの本家で生きている。
彼女に二人目の子どもができた。彼女はもう二度と子供を盗られたくない。
松雪泰子はシングルマザーで子どもを育てることを願うが、組長は許さない。
「助けて」といわれ、竹内結子は巻き込まれ、巨大ヤクザと対峙することになる。
この話が面白い。手に汗握ります。ドラマになったら最高の山場。
でも今どき、ヤクザな話は放映できないかも・・


外商の催事、上得意ばかりあつめた特賓会。
春の園遊会、夏の風雅会・・
さいきんはお客も飽きて、催事がじり貧になっている。
百貨店の命運をかけた催事のてこ入れ、全社プロジェクトだが竹内結子の案が採用されてしまう。


その他にも、いろんなお客さんの「困りごと」を、
人脈を活かしたり、知恵を絞ったり、スーパーマンのように解決していく。
お客さんにものすごく感謝され、外商の中で存在感はどんどん大きくなっていく。

とはいえ竹内結子は、バイトからのたたき上げの中途採用、
入社年次などから、役職が上がったり給料が増えるわけでもない。
そういう現実的な部分もしっかりと描く。


以下にその他の読書メモを。


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外商員はストレス発散の相手


弁護士や会計士の仕事は会社のトラブルの処理だけではなく、
ほとんどは社長さんの世間話につきあう事だと聞いたことがある。
大きな会社になればなるほど、トップは孤独で誰にも愚痴すら言えなくなる。
そんなとき守秘義務のある相手は楽だ。同様に外商員も彼等のストレス発散のお役に立つ。




百貨店の付加価値とは何か?


インターネットが普及してからというもの、
大小の小売業にとってネットやアウトレットの登場は脅威であり、
何度も差別化が求められてきた。

あくまで定価売りを重視し、
サービスに付加価値を見いだそうとする百貨店には厳しい現状が続いている。
しかもサービスが付加価値、と口酸っぱくして言われても、
それが具体的にはどういうことなのか、明文化できる人間は少ない。

けれど、ネットやアウトレットにはない特殊なサービスが百貨店にはある。
そのなかのひとつが外商だ。
今まで静緒はこの外商というスタイルの価値を十分に理解してはいなかった。

ネットやアウトレットでものを買わない富裕層のリストを持っているということは、
これから格差社会が広がるといわれている日本では、大いに強みになるかもしれない。

そしてその富裕層が求めているもの、究極のサービスこそ、’’恩’’だ。
サービスというのは、それに大きい小さいあれども’’恩’’なのだ。
この恩こそが信頼関係の構築に繋がり、一見客をリピーターに変えさせる。
そのための丁寧な接客、笑顔、物腰だ。決して接客だけがサービスではない。

恩を売ろう、と静緒は思った。
物を売りながら、それに終始せずに恩を売り続けよう。
それがきっと、自分の目指すまだ影も形も見えない到達点に一歩でも近づくヒントなのだ。




事故物件の処理方法


外国人は敷金とか礼金とかいう日本人のような慣習はないから、
日本の不動産を通すことにデメリットを感じる。
ほとんどは駐在外国人専門の業者や、インターネットサイトを利用する。

事故物件を、縁起が悪いと敬遠する感覚も外国人にはあまりない。
外国人の感覚としては「人は死ぬもので、別に不思議なことはない」
外国人が大事にするのは間取りや周りの環境。日本人は電車通勤なので駅近を重視するが、
社用車を与えられている駐在外国人サラリーマンは、多少車で時間がかかっても、
海が見えたり緑が多かったり、景観のいい部屋を求める。




斎藤工とゴッドマザーのやり取りを読んでると、
ロッドスチュワートのあの歌が、頭の中をまわってました。


ジョージーはいわゆるゲイだった♪
彼のオフクロさんは泣いたけど 彼は変わらなかった♪
ある午後 それでも自分は他の人のように♪
愛が必要なんだと 懸命に訴えていた♪

なにか間違ってる オヤジさんはぼやいた♪
一生懸命話そうとしたし やってきたつもりだ♪
だけどなぜ息子は ’’まとも’’になれないんだ♪

長距離バスに乗って 彼は家を去るしかなかった♪
だって愛する人に 受け入れてもらえなかったから♪


古い過去記事ですが、全訳はここに。http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
ロッドスチュワートで、キリングオブジョージー♪
’’まとも’’って何でしょう。本書の主要テーマです。



(関連記事)
【上流階級 富久丸百貨店外商部/高殿円/13年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-12-06

【宝くじで1億円当たった人の末路/鈴木信行/17年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-05-16

【山口組分裂抗争の全内幕/盛力健児、鈴木智彦ほか/15年12月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-01-26

【アマゾンと物流大戦争/角井亮一/16年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-11-30

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【ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム】要約まとめ [本/文学芸術]


ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム

ベストセラーコード 「売れる文章」を見きわめる驚異のアルゴリズム

  • 作者: ジョディ・アーチャー
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2017/03/23
  • メディア: 単行本


【ベストセラーコード/ジョディ・アーチャー他/17年3月初版】


1億冊売れる本って、たまにあるじゃないですか。
「ミレニアム」、「フィフティシェイズ」、「ハリーポッター」とか。

売れる本と売れない本のちがいは何なのか?
ベストセラーは予測できるのか?

先人たちは人力でがんばりました。

ジョゼフ・キャンベル
神話学の第一人者で、パターン認識の達人。
一生かけて世界中の物語を読み、そのなかの類似点をさがした。
ジョージ・ルーカスは、キャンベルの神話論をスターウォーズに採り入れた。

クリストファー・ブッカー
30年かけて本をよみ、すべての文学作品は7つの基本プロットにわけることができる、
という自説を証明しようとした。

時代は変わりました。ビッグデータ分析。本書は最新の統計学です。
むずかしいことはよくわからないですが、いろんな分析をしてる。
最短収縮重心法とか。なんじゃそりゃ。


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著者たちは何をしたのか?
まずNYタイムズのベストセラーリストをもとにして、ヒット小説を500冊選ぶ。
次にそれ以外に売れていない小説を4500冊選ぶ。
合わせて5000冊の小説から、テキストデータを用いたデータ分析を行った。


1章では概要を。
著者たちの予測モデルは、ベストセラーを80%の確率であてることができた。


2章はテーマについて。
売れるトピック(テーマ)とその割合について検討する。
コンピュータが示したのは、3つか4つの中心的なテーマが、
全体の30%を占める本が売れるということ。

ベストセラーにもっとも見られるテーマは人間関係で、登場人物の心の交流に焦点を当てたもの。
上位に来る他のテーマは、家庭、仕事、子どもの学校生活、最新テクノロジーがある。


3章はプロット(物語の構成を示した設計図)について。
過去30年でもっともヒットを飛ばした作品のプロットには、
共通して規則正しいリズミカルな鼓動があった。
三幕構成で、均整の取れたプロットラインが読者をひきつけること、
感情の起伏を計算して書くことが、世界的なヒットにつながることがわかった。


4章は文体について。
テーマやプロットが正しくても、文体がダメだとヒットはむずかしい。
日常の言葉をつかうべし。
ベストセラーは、I wouldではなくI’dといった略称が多く用いられ、
感嘆符 ! はあまり使われない。
sayやaskといったシンプルな表現をよく使い、
mutter(ぶつぶつ言う)とか、protect(抗議する)といった、
むずかしい言葉をつかうのは、売れない小説の共通点となる。


5章はキャラクターについて。
登場人物と動詞の関係。
ベストセラーの主人公は、want、needという頻度が明らかに高い。
さらにdo、think、smaile、reachといった主体性の高い動詞の頻度も多い。
売れない小説には、halt(立ち止まる)、drop(あきらめる)、wait(待つ)、
といった消極的な動詞の頻度が高い。




著者たちの数年間にわたる膨大な労力による研究は、
一言でまとめると以下のような結論となりました。

「ベストセラーになるには、現実的な舞台で、身近なテーマにフォーカスし、
口語体(短文で読みやすい文体)で、主体的な主人公を描くことを意識すべき」

どんなものでもそうですが、結論は「知ってた」という当たり前のところに落ちつきます。



日本語の場合どうするべきか?もちろん本書には書かれてません。

そういえば文体について、村上春樹の最近のエッセイに書かれてました。
なんども推敲して、「文章に空気を入れる」そうです。たしかそのような表現だった。
適切なタイミングで句読点をいれ、リズムをつくり、漢字をひらがなにして読みやすくする。
口頭で読んでみて、ひっかかるような表現は、徹底的に書きなおすそうです。

あと坂口孝則の研究から。過去記事より。
「文章の漢字比率は、28%以下に抑えるべき。
坂口氏はベストセラー本を裁断し、OCRを使って文字データ化した。
Visual Basicを使って、漢字比率を計算するプログラムをつくった。
ベストセラー本は、全文字数のうち漢字が25~28%を占めた。
漢字比率が30%を超えると堅くるしくなる。20%ならやわらかすぎる」

まあ漢字が多くて、ダラダラ長文で、むずかしい表現の文章なんか、
だーれも読まないですよね。書いた人の「おれは賢いんだ」という自己満足。
とはいえ平仮名だらけはハングルみたいに読みにくいし。中庸ですかね。

それは英語でもおなじで、本書でも以下のような話が出てました。
男性的文章=文語=英国文学的表現、 女性的文章=口語=米語
著者たちのモデルは、70%の確率で男と女の文章を当てるそうです。
男文章と女文章の比率が、50:50で書かれたものが、米国ではベストセラーになりやすいと。
へ~、英語でもそんなんあるんだと、ミョーに納得。

日本だと漢文=男性、ひらがな=女性のイメージがありますよね。
男もすなる日記といふ、紀貫之じゃないけど。
今だったら漢字比率が25%ぐらいがいい、という事になるのかな。
一概にはいえないし、あくまでイメージの話ですが。


以下に3つの読書メモを。


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アメリカの出版事情


アメリカでは毎年、約5万冊~5万5千冊のフィクションが出版されている。
国際標準図書番号を持たない、電子による自主出版は増加する一方なので、
この数字は控えめなもの。その中からNYタイムズのベストセラー入りするのは、
200~220ほど。分母の数を控えめに見積もってもその率は0.5%にも満たない。
米国でミリオンセラーとなるのは年間にせいぜい3~4冊ほど。

ベストセラーの80%は大手出版社5社で占められる。
大手はマーケティングに多額の予算を割くことができる。
とはいえ資金力がすべてとは言えない。

「フィフティシェイズ」は当初は電子書籍とオンデマンドのペーパーバックのみの発売。
マーケティングに費用は一切かけてない。
「ハリー・ポッター」のJKローリングはブルームズベリーから出版できるまで、
12社に断られている。しかも本業は辞めないように、とアドバイスまでされたという。
「ヘルプ 心をつなぐストーリー」のキャスリン・スケルトンは、
60のエージェントに断られた後に、ようやく「ヘルプ」を出版した。




アルゴリズムが選んだTOP100小説


ベストセラー予測モデルが選んだ完璧に売れる小説。
(とはいえ英語なので「翻訳の良しあし=文体」が日本では関係してくる)
日本発売されてる上位5冊を以下に。

1位:ザ・サークル/デイブ・エガーズ
6位:スカーペッタ/パトリシア・コーンウェル
9位:あたしの手元は10000ボルト/ジャネット・イヴァノヴィッチ
10位:ジェイコブを守るため/ウィリアム・ランディ
11位:最後の紙面/トム・ラックマン

1位の小説。

ザ・サークル

ザ・サークル

  • 作者: デイヴ エガーズ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



6位の小説。

スカーペッタ (上) (講談社文庫)

スカーペッタ (上) (講談社文庫)

  • 作者: パトリシア・コーンウェル
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/12/15
  • メディア: 文庫





shazamとは何か?その影響は?


アメリカの音楽業界の問題。
shazamというスマホアプリがある。
街角で気になった音楽を、鼻歌で入力すればそれが誰の曲なのか、検索することができる。
これは消費者だけでなく、音楽制作サイドにも大変な価値を持つ。
なぜなら「1曲のうち、どこの、どのフレーズが印象に残って検索されたか」、
という情報を簡単に得ることができるからだ。

そのデータを参考に「消費者の心を捉えそうな箇所」をちりばめた楽曲を制作し、
プロモーションしたりするようになる。

その結果ヒットチャートの多様性は急速に失われつつあるそうだ。
上位のヒット曲が占める割合は極端に大きくなり、
コード進行もサウンドも、似たようなものが増えてきたという。

小説もPCが執筆したり、ベストセラー予測モデルが浸透すると、
同様のことが起きる可能性がある。

ただ音楽の世界はスタイルチェンジが起こった。
80年代の米国では、派手な長髪をスプレーで固めたロックスターが、
高速なギターソロといったスタイルで一世を風靡した。これが当時の「ヒットの法則」。

しかし90年代、グランジ(薄汚れた)たちがオルタナ(取って代わる)した。
日本ではそのままグランジとかオルタナと呼ばれる。

おそらく小説の世界でも、本書の統計モデルが知りわたり、
ベストセラーの多様性が失われると、どこかのタイミングでオルタナされるだろう。




80年代のヘビメタのことでしょうか。いまとなってはヘアメタルとか言われてますが。
どっちかというとヘアメタルはサブカルで、本流はデュランデュランやカルチャークラブ。
メタル系は米国チャートであんまり上がらんかったです。一部のバンドを除いては。

当時はMTV全盛。第二次ブリティッシュインベージョンに、マイコ―やプリンスの黒人が絡む。
ヴァンヘイレンは別格として、80年代売れ線ヘビメタ(ハードロック)は以下の流れ。
デフレパード⇒クワイエットライオット⇒ナイトレンジャー⇒ボンジョビ
あと好き者がオジーとかAC/DCおしてた。もっと好き者はメイデンとかジューダス。

ヘアメタルで印象深いバンド、Twisted sisterで、We’re not gona take it♪




Stay Hungry

Stay Hungry

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Atlantic / Wea
  • 発売日: 2000/03/13
  • メディア: CD




(関連記事)
【文章読本/谷崎潤一郎/1934年初版】の要約読書メモ
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-12-14

【文章読本さん江/斎藤美奈子】要約まとめ
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-25

【いい文章には型がある】~文章には3つの型がある
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-05-04

【いい文章の書き方のコツ】~「書く力/池上彰」より
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04

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【文章読本さん江/斎藤美奈子】書評と要約 [本/文学芸術]


文章読本さん江 (ちくま文庫)

文章読本さん江 (ちくま文庫)

  • 作者: 斎藤 美奈子
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/12/10
  • メディア: 文庫


【文章読本さん江/斎藤美奈子/2002年2月初版】
「文章読本」とは何であるか?
「じじいの愚痴」だそうです。
「おまえらの文章はなっとらん」「ええい、こっちへ貸してみな。俺様が教えてやる」

じつは今の時代、若者のほうが文章が上手いかも。
書く機会が激増してる。口のかわりに親指を器用に動かして、彼らはしゃべるように書く。
彼らにとって「書くこと」は生活の一部。

この期におよんで、まだ「文章読本」を製造しようというのは、
酔狂というかご苦労様としかいいようがないと。

この前読んだ「書く力/池上彰&読売の竹内氏」が恐れてた一冊。
本書があるから、一貫して下からモノを言ってました。抑止力になってた。
「ぼくたちみたいなのが、恐れ多くも文章読本書いていいのだろうか?」と。

当代随一の文筆家らが恐れる本、読んでみたい。
図書館の本には「書庫」のシールが。こんなパンキッシュな本を書庫に仕舞うとは。

未読であれば、超おすすめ。
「文章がどう変化してきたか」の歴史、
世の中にあるあまたの「文章読本(じじいの愚痴)」の批評(たいていボロクソ)、
リテラシー(読み書きをする能力のこと)なんかが自然に身につく。
第1回小林秀雄賞受賞作。

以下に読書メモを。


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文章読本界の御三家とは?


誰もが知ってる著名な文章読本。
選定理由。人気、知名度、売れゆき、後世への影響力。

(御三家)
谷崎潤一郎「文章読本」
開祖本。
・文章に実用的、芸術的の区別はない
・あるがままに書け
・文章は簡潔明瞭なのがベスト


三島由紀夫「文章読本」
貴族趣味。谷崎本の否定。
書く方じゃなく、読む方からの文章読本。自慢のコレクションを得意げに開陳。
鴎外の文章はアポロン的とか、鏡花の文章はディオニュソス的とか言ってみたり。
訪問先で家族のアルバムを披露されるのと同じで、苦痛でしかない。


清水幾太郎「論文の書き方」
谷崎読本の逆転に成功した本。あるがままに書くのはやめよう。話すように書くな。
「実用的な文章」を「芸術的な文章」の上位に置き、芸術性を暗に批判した。
シンプル志向、反ナチュラル主義。



(新御三家)
本田勝一「日本語の作文技術」
70年代後半の文章読本ブームの先鞭をつけた。
「文のわかりやすさ」に最大の価値を置くが、親切過剰すぎて神経症的な文章。
ラフな態度を一切許さず、細かすぎる。しつこい。強迫観念すら感じる。
シンプル志向、反ナチュラル主義。


丸谷才一「文章読本」
アカデミズム(清水読本)とジャーナリズム(本田読本)にもっていかれた、
文章指南の主導権を、再び文章の貴族=作家の手に奪還した本。
巻頭から小説家の優位性を「なぜそこまで」というほど力説する。
「あるがまま」の谷崎、「あるがままに書くな」の清水。
丸谷読本は「ちょっと気取って書け」。レトリック志向、反ナチュラル主義


井上ひさし「自家製 文章読本」
遅れてのこのこ出てきた。勇気ある。
本田読本に勝るとも劣らないくどさ。アホはあなたではないかと突っ込みたくなる。
あるがままの否定論者。井上読本は引用文に特徴がある。
愛は地球を救うの企画書、坂田明のハナモゲラ語、わざわざ頓狂な例を選んでる。
時代はすでに80年代。エンタテイメントに心血を注いだ。




「文章読本」とは何なのか?


文章とは、いってみれば服なのだ。
みんながいう「文は人なり」は役立たず。酒鬼薔薇聖斗の文章をみんな誤認した。

文章は英語でtextだが、これは「織物」の意味。
「文体」は英語でstyleだが、これをもう一度翻訳し直せば「服装」だ。

文章(衣装)は思想(肉体)に形を与える道具。
文章(衣装)は礼を示す形。
文章(衣装)は時流によって変化する。

ジャーナリスト系の文章読本には色気が不足してる。
彼らの教えに従うと、文章はドブネズミ色した吊るしのスーツみたいになる。
新聞記者系の文章読本は、「正しいドブネズミルックのすすめ」である。
ドブネズミルックに慣れた人が、たまに気張って軽い文章を書こうとすると、
カジュアルフライデーに妙なカッコウであらわれる、お父さんみたいになる。

新聞記者系の「短文のすすめ」。
短く書くとわかりやすいと。
新聞記者の短文信仰は理由がある。
新聞は1行11字詰めで印刷される。1文が短くないと読みにくい。
彼らは「社の教え」「業界の教え」が、あたかも普遍的な文章上の掟のように語る。
たんなる文章界の「中華思想」。

服飾史と文章史には、共通した大きな原則がある。

①文章も服も、放っておけばかならず大衆化し、簡略化し、カジュアル化する。

伊達者はつねに「ちょっと着崩す」がおしゃれの基本。
文語体から言文一致へ、現代かなづかいへという変遷も、
文章のカジュアル化、ドレスダウンへと向かう方向。

②民主化に貢献するようなスタイルの変革は、必ず「外部」と「下部」からやってくる。

だから服飾デザイナーは新しいデザインを、
外(異国の民族服とか軍服の婦人服への応用)、
下(下着とか下々の労働者)に求めてきた。
開国による外との接触は、言文一致を発展させる契機になった。
野口シカの手紙は「下」の代表選手。「下」は話すように書くのが当たり前。
文学者の功績は、服飾デザイナー同様、それを発見し印刷物という舞台にのせたこと。




「文体」とは何か?


文体とは、おおむね文末詞=語尾の問題に還元できる。
明治20年代に、山田美妙が「です体」を、尾崎紅葉が「である体」を、
嵯峨の屋お室が「であります体」を、二葉亭四迷が「だ体」を開発して、言文一致が完成した。

夏目漱石「吾輩は猫である、明治38年」、島崎藤村「破壊、明治39年」
などの例をあげるまでもなく、明治40年代にはすでに口語体が主流になっていた。
しかしあらゆる文章が口語体一色になるのはまだ先のこと。
文学業界を別にすれば、明治の40数年は、むしろ文語体の完成期といったほうがいい。

文語体から口語体の移行期にあたる明治末~大正初期は、
新旧入りまじった文章見本市の観がある。
口語体への道をいち早く開いたのが小説だとしたら、
もっとも遅くまで文語体にしがみついていたのは、大新聞と官庁だった。
読売、朝日などの社説が口語体に変わるのは大正10年を過ぎてから。

ところで、近代における文体改良の提唱者として、まっさきに名前があがるのは、
国語国字改良派のリーダー、「郵便制度の父」、1円切手になっている前島密。
前島が提唱した近代日本にふさわしい語尾は、「ござる」「つかまつる」だった。
徳川慶喜に言上した「漢字御廃止之儀」には以下の文がある。

(訳文)国のことばを制定する場合も、古文式の「はべる」「けるかな」を、
用いる必要はござらぬ。一般的な「ござる」「つかまつる」を用い、
これに一定のルールを設けようではござらぬか。
言語が時代によって変転するのは、どの国とても同じでござる。
口にすれば話しことばとなり、筆記すれば書きことばとなる。
両者がなるべくたがわないようにしたいのでござる。

1866年に建議されたが、徳川慶喜に届くことなくひねりつぶされた。
幕府のえらいさんにしてみたら、討幕派との戦いで大騒ぎのときに、何を寝言をと。
もしこのとき前島案がめでたく採用されていれば、
現代の新聞も「ござる体」で書かれていたものでござろうか。


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「新かなづかい」と「旧かなづかい」の大論争


敗戦後の1946年、内閣の訓示告示で「現代かなづかい」「当用漢字表」が公布される。
制度の改変期には必ず強固な反対意見が出てくる。言論界でも論争が巻き起こった。
反対論者:小泉信三、福田恆存、高橋義孝
支持論者:金田一京助、桑原武夫

中央公論や知性で繰り広げられた福田と金田一のやりとりは秀逸。
歴史に残る言語プロレス。両者がっぷり四つに組んで一歩も引かない。
ちなみに福田の文章の冒頭を。
「なんと厭味たっぷりの文章でせう。かういうことばづかひをする言語感感覚で、
国語問題を論じられたのではかなはないといふ気がします」

新かな支持派の主張
・発音とかい離した旧かなは難しすぎる。
・国民の知識水準をあげる上で、旧かなは、学習上のエネルギーの無駄である。
・旧かなは1000年前の表音に従ったもの。歴史的に見ても表記は変えるのが当然。
・古典を読ませるために、いまを犠牲にするのはインテリの驕りである。

旧かな支持派の主張
・旧かなはむずかしいと誰が決めたのか。
・新かなになったところで、学習が容易になるという証拠があるのか。
・日本語は表音に忠実でならなければならないという理由はどこにあるのか。
・旧かなを捨てるのは、古典を読むための道筋を断つことである。

まとめると、金田一ら新かな派の主張は「リテラシーの共産主義化」
福田ら旧かな派の主張は、自由競争による階級差をみとめた「リテラシーの自由主義経済化」




読書感想文に何を書くべきか。いつ始まったのか?


内閣総理大臣賞受賞作には同じ特徴がある。
①読書体験と「自分の生活体験」を重ね合わせていること。
②読書体験によって自分は変わった(変わろうとしている)と述べていること。
同コンクールの入賞作すべてに共通した特徴ともいえる。

読書感想文は書評ではない。
あくまで読書という「体験」を題材にとり、
「私」を主人公にして綴られた学校作文=私ノンフィクションの1バージョンなのだ。

しかしちょっと考えてみる。
「自己変革」につながるような読書体験が、そんなにゴロゴロ転がってるか?
まして自ら選んだ本ではなく、与えられた本を読んだくらいで。

現場の教師にとっては便利。
①「文題」をさがす手間が省ける。
②効率的な指導ができる。あらかじめ題材の内容を把握できる。教師は忙しい。
③子供を平等に扱える。イベント作文はプライバシーの侵害にもつながる。

読書感想文の初年度は1955年。応募点数は5万3000編。
2000年はじつに400万編超。全国児童の4人に1人は応募している。


 

人生は豊な色合いのつづれ織り♪


キャロルキングで、つづれ織り♪ 




つづれおり

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  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2013/03/06
  • メディア: CD




(関連記事)
【書く力/池上彰と竹内政明の対談本/17年1月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-04-04

【文章読本/谷崎潤一郎/1934年初版】
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【伝え方が9割/佐々木圭一/13年2月初版】
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【いい文章には型がある/吉岡友治/13年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-05-04

【ブレない自分をつくる「古典」読書術/小倉広+人間塾/16年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-04-30


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【騎士団長殺し/村上春樹】の読書感想文 [本/文学芸術]


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本


【騎士団長殺し/村上春樹/17年2月初版】
「騎士団長殺し」読まれました?
また今回も、井戸、ネコ、手の込んだスパゲッティなんか出てくるのでしょうか?
主人公は悲しみを抱えた男で、不思議な女の子と出会うのでしょうか?

プロットやストーリーが好みじゃなくても、読ませてしまう不思議な作家です。

海外では村上ビンゴがウケてるそうです。
新作を読むとき、キーワードが出てくるとポチッとする。

村上春樹ビンゴ



村上春樹ビンゴ.jpg

5段目: 神秘的な女性、耳フェチ、枯れ井戸、消えた何か、つけられてる感じ
4段目: 予期せぬ電話、猫、古いジャズ音盤、都会の倦怠、超自然力
3段目: 走る、秘密の通路、(フリーブロック)、駅、過去の回想
2段目: 早熟な十代、料理、猫と話す、パラレルワールド、奇妙なSEX
1段目: キッド氏による表紙、夜の東京、変な名前、顔の無い敵、消えた猫

ウイスキとスパゲッティとクラシックレコードがない・・
さいきんはトヨタの車もよくでてくる。前作でレクサスのトリビアは面白かった。
それにしても、こういうものが作られて、世界共通のネタになる小説家は少ない。
さすがウォールストリートジャーナル曰く、「文学的ロックスター」。

英語版は日本語版の1年半後ぐらいだそうです(過去のペース)。
この7年間、情報化が進み世界は一瞬でつながるようになってしまった。
7年前なら1年半待てたけど、今の欧米ファンは待てないんじゃないかな。

むかしハリポタの新作が静山社の翻訳が遅くて、英語版買ったことがあります。
それと同時に静山社へ怒りがつのった。なんで素早い翻訳ができないんだ。
同様の事が、英語圏で起きるかもしれない。


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ハルキストは意識高い系なのか?そうじゃない


村上作品の何がいいのか。
癒されるんですよ。このまえイヤなことがありました。
世の中にはいろんな種類のイヤなことがある(笑)。

他のことで気分は晴れなかったけど、「騎士団長殺し」で癒された。
村上春樹の著作には、傷つけられることがほとんどない。そんな気がしませんか?


村上作品への批判も多い。
・ストーリーが面白くない。
・オシャレスキー粒子が濃すぎる。
・主人公が努力なしでモテる。そんなやつおれへん。だから感情移入できない。


ま、むかしからストーリーはおもしろくないですよね。
話の展開にそった、登場人物の心情の移ろいを楽しむものだし。それが純文学。


オシャレスキーか?
いや、オシャレじゃないでしょ。
ただ、酒と音楽と文学のことを、ある程度知ってないと楽しめないのも事実。
アンチの人は、そういう小道具の描写が理解できない人だと思う。
ミンガスのベースとか、アイラの味わいとか、トニー・ベネットの歌声とか。
書いてあることの3割以下しか共感できないなら、読んでいても面白くない。たぶん。


モテる主人公について。
やっぱファンタジーは必要でしょう。
西成のホルモン屋のテツでさえ、ヨシエはんは美人やった。チエも元気でかわいい。

三島由紀夫は言います。

『どんなに醜悪であろうと、
自分の真実の姿を告白して、それによって真実の姿をみとめてもらい、
あわよくば真実の姿のままで愛してもらおうなどと考えるのは、甘い考えで、
人生をなめてかかった考えです』

『相手の幻想を破ることが、恋愛において誠実であるかどうかは、非常に疑問なのであります。
’’うそ’’というものが、恋愛では一番誠実な意味を持ってくるのではないかと私は思っています』


小説もそうですよね。愛されるには嘘というかファンタジーが必要だ。
エルサレムでの「壁と卵」のスピーチで、村上春樹は以下のように述べてます。

『小説家とは、“嘘”を糸に紡いで作品にしていく人間です。
小説家が巧妙な嘘をつく、言いかえると、小説家が真実を新たな場所に移しかえ、
別の光をあて、フィクションを創り出すことによってこそ、
真実はその姿を現すのではないかと』

生身の人間は美しくない。
愛されるためには、人も小説も「真実の姿」を告白してはならない。


アンチの人にお願いしたいのは、
「ハルキスト」とか「意識高い系」とかいって、ファンを侮蔑しないでほしい。
単に共感できる部分が多くて、癒されるから、彼の著作を読んでるだけやし。


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村上春樹の目標はドストエフスキー


ところで村上春樹の目標、ご存知でしょうか?
「道のりは遠いけど、目標は偉大でダークな小説を書くことです。ドストエフスキーのように」

いや、ドストエフスキーはかんべんして欲しい。
読んでて疲れるでしょう。小説にダークさとか読みにくさを求めてない。

ちょっとタイトルから心配したんですよ。
げ!ひょっとして「罪と罰」みたいな本やったらどうしよ。長編やし。



「罪と罰」のあらすじを以下に。過去記事のコピーですが。
ざっとA4で1枚ほどにまとめてます。ご存知の方は読み飛ばしてください。

『主人公ラスコーリニコフは、
自分をほかの大勢の人々とは区別された存在(非凡人)であると考え、
その頭に描く理想的な自分と、貧しさゆえに大学を続けられなくなった実際の自分を比べて、
今の境遇から脱するために、金貸しの強欲な老婆を殺して金品を奪っても許される、
という論理を立てます。

非凡人が有害無益な者から金を奪ったとしても、それを社会のために役立てるなら、
むしろそれは有益であり正しいことであるはずだと。

ある暑い夏の夜、斧を隠し持って間借りしているアパートから金貸しの老婆の家に向かい、
さほど良心の呵責を覚えることもなしに、斧で老婆を惨殺します。

ところが犯行を終えたとたん、ラスコーリニコフは殺人の現実に苦しめられることになります。
頭では思想による「正しい殺人」を行ったはずでも、
斧で人を殺めた皮膚感覚と血のにおいからは、逃れることができません。
それと計算外に、殺人の現場にたまたま帰ってきた老婆の妹まで殺害してしまった。

混乱と苦悩の中にあって、
ラスコーリニコフの非凡人の思想と殺人哲学は容易に揺らぐことなく、
度重なる予審判事の追求からさえ、なんとか持ちこたえさせていました。
しかし、一人の貧しい少女ソーニャの生きざまを知ることで、
その考えは大きく変化し崩れてゆきます。

自分の身を売って家族の生活を支えるソーニャ。しいたげられ、さげすまれ、
憐れまれるそんざいでしかないソーニャは、ラスコーリニコフに、
「なぜ殺される他人の痛みを感じ取れないのか」
「金貸しの老婆と私たちのどこが違うというのか」
と問います。そしてラスコーリニコフのために震えながら祈る。

その魂の震えに触れてラスコーリニコフは、
過去にソーニャが自分の身を売る決意をした時に、一度自分を殺したこと。
しかし自分を完全に犠牲にすることで、よみがえったに違いないことを直感します。

そしてソーニャが他人を自分と共にある者として感じられるのは、
犠牲の痛みと復活の救いによるものであることを悟ります。

ここにおいて他人と自分を「凡人・非凡人」と区別し、
他者との共感を拒むラスコーリニコフの思想は敗れざるを得ません。
同時に、それまでソーニャのような者を救うべき対象とみていたラスコーリニコフは、
ソーニャによって救われることになったのです。

エピローグは、様々な葛藤の末に罪の十字架を背負うことを決意したラスコーリニコフが、
ソーニャから授けられた粗末な木の十字架を身につけて自首し、
金貸しの老婆とその妹を殺害した経緯をありのままに述べて最終幕を迎えます。
ラスコーリニコフは、懲役8年(シベリア送りの強制労働8年)の刑。
ソーニャは一緒に行きましょうとシベリアまでついていく』



大丈夫でした。
ダークな小説じゃなかったです。第一部は展開が読めないので相当に引き込まれる。
第二部は内面描写が続くので、エンタメ小説好きにはキツイかもしれない。




騎士団長殺しから気に入った表現


以下に「騎士団長殺し」から気に入った表現を。


「あなたはものごとを納得するのに、普通の人より時間がかかるタイプのようです。
でも、長い目で見れば、たぶん時間はあなたの側についてくれます」
ローリング・ストーンズの古い歌のタイトルみたいだ、と私は思った。
⇒この曲のタイトルがわからない人は、村上春樹は合わんでしょうね。
こんな比喩ばっかりだから、理解できないとおもしろくないし、場合によっては謎が解けない。



彼が耐えきれずに射精すると、それに合わせて彼女は異国の鳥のような声を短くあげ・・



ジャガーとプリウスとでは、
ドアの閉まる音がまったく違うことに私はあらためて感銘を受けた。
音ひとつとっても世界には実に多くの差異がある。
ダブルベースの同じ開放弦を一度だけぼんと鳴らしても、
チャーリー・ミンガスの音とレイ・ブラウンの音が確実に違って聞こえるのと同じように。



何もする気が起きないときには、人はせめてタイヤの空気圧でも測ってみるべきなのだ。



「試練は人生の仕切り直しの好機なんです。
きつければきついほど、それはあとになって役に立ちます」



「ドストエフスキーの小説には、
自分が神や通俗社会から自由な人間であることを証明したくて、
馬鹿げたことをする人間がたくさん出てくる。・・・」

「おまえは昔からなかなか馬鹿げたことをしない男だった。
いつだって筋の通ったことをしているみたいに見えた。
たまにはそういう抑制を解いた方がいいいんじゃないか?」

「金貸しのばあさんを斧で殺すとか?」

「ひとつの考え方だ」

「誠実な娼婦に恋をするとか?」

「それもなかなか悪くない」



雨田が「スウェーデンの弁当箱」と呼んでいる古いボルボのワゴン。
トナカイの死体を運ぶには便利そうな車だ。



私はブルース・スプリングスティーンの「ザ・リヴァー」をターンテーブルに載せた。
ソファに横になり、目を閉じてその音楽にしばし耳を澄ませていた。
一枚目のレコードのA面を聞き終え、レコードを裏返してB面を聴いた。
ブルース・スプリングスティーンの「ザ・リヴァー」はそういう風にして聴くべき音楽なのだと、
私はあらためて思った。
A面の「インディペンデンス・デイ」が終わったら両手でレコードをひっくり返し、
B面の冒頭に注意深く針を落とす。そして「ハングリー・ハート」が流れ出す。
もしそういうことができないようなら、
「ザ・リヴァー」というアルバムの価値はいったいどこにあるだろう?
ごく個人的な意見を言わせてもらえるなら、それはCDで続けざまに聴くアルバムではない。

・・・いずれにせよ、そのアルバムにおけるEストリート・バンドの演奏はほとんど完璧だった。
バンドが歌手を鼓舞し、歌手はバンドをインスパイアしていた。・・

・・・そして「ザ・リヴァー」の二枚目のLPをターンテーブルに載せた。
しかしソファに横になって「キャディラック・ランチ」を聴いているところで、
(僕らはみんないつかキャディラック・ランチで顔を合わせることになるんだ)
電話のベルが鳴った。




ロックファンにはおなじみの名盤「ザ・リヴァー」。
2016年音楽興行収入世界1位は、ビヨンセを抑えて、
ブルース・スプリングスティーンの「ザ・リヴァー」ツアーでした。
「ザ・リヴァー」は1980年のアルバムですが、キャデラック・ランチが好きでした。
もっといえば、ニッティ・グリッティ・ダートバンドの84年カヴァーが好きです。
NGDBは、ジャクソン・ブラウンやケニー・ロギンスを世に送り出したバンド。
NGDBバージョンで、キャデラック・ランチ♪



古いアルバムで、昨年世界で一番稼いだボス。古いのに旬。
佐野元春が「NO DAMAGE」ツアーするようなものか。それは見てみたい^^
↓試聴できます。

ザ・リバー(REMASTER)

ザ・リバー(REMASTER)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2015/07/22
  • メディア: CD



(関連記事)
【職業としての小説家/村上春樹/15年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-10-18

【図書館奇譚/村上春樹/14年11月25日初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-01-03

【村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解/NHK出版/14年7月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04

【ラオスにいったい何があるというんですか?/村上春樹/15年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-03-12


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歌舞伎はなぜ男ばかりなのか?~「歌舞伎の名作名啖呵」まとめ [本/文学芸術]


まんがでわかる歌舞伎の名作 名啖呵

まんがでわかる歌舞伎の名作 名啖呵

  • 作者: いまい かおる
  • 出版社/メーカー: ロングセラーズ
  • 発売日: 2016/10/24
  • メディア: 新書


【歌舞伎の名作名啖呵/いまいかおる/16年11月初版】


歌舞伎、お好きですか?
日本の文化なので、少しは語れるようになったほうがいいかも。


まずお値段。
東京歌舞伎座だと以下。
1等席 18,000円
2等席 14,000円
3階A席 6,000円
3階B席 4,000円
1階桟敷席 20,000円

大阪松竹座は以下。
1等席 12,000円
2等席  7,000円
3等席  4,000円

ふむふむ、ストーンズのコンサートより安いやん。
安い席があるのはいい。外タレのコンサートより良心的です。


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歌舞伎はなぜ男ばかりなのか?
教えてgooによると以下。

もともと出雲阿国(いずものおくに)という女性が始めた。
今とは反対に女芸人が男装して男役をしていた。
遊女が客引きのために、流行りだした歌舞伎をまねたので、
幕府によって風紀上好ましくない、と全面的に禁止された。
「では、男なら文句はないだろう」ということで美男子が始めた。
男色が増えたので、これも禁止。
そして成人男性(前髪をそり落とした)の役者が、歌舞伎をするようになった。

なんていうか、昔の政府は立派です。
AVやパチンコを放置する、今の政府に聞かせてやりたい。
パチンコは人間を壊すし、AVは世界から「HENTAI」と日本人が言われる。
いや、まあAVはいいか・・


本書は歌舞伎の名作23作品を、マンガで描いてる。
マンガなので、あらすじが頭に入りやすい。
たまに外人の相手をしないといけない、エリートサラリーマンのあなた。
たった一冊で日本文化通。上司の覚えがめでたくなるかも。

23作品、助六からはじまり、四谷怪談、勧進帳、などなど。大トリは忠臣蔵です。
勧進帳はこんなかんじ。

クリックで拡大して読めます。
マンガ勧進帳1.JPG


マンガ勧進帳2.JPG


寿司に「助六」ってあるじゃないですか。
いなり(揚げ)と巻き寿司(巻き)が入ってるやつ。
あれって歌舞伎の助六が語源みたいですね。

吉原一の花魁「揚巻(あげまき)」、揚巻の彼氏が「助六」です。
たとえばモモの缶詰を、トモカズって呼ぶようなものかと。

ざっとしたあらすじは以下。
助六はイケメン。吉原を歩いてると遊女たちから吸いつけたばこのアメアラレ。
助六は訳あって、スパイのように人の集まる吉原を歩いてます。

そして揚巻に惚れる金持ちの老人「意休」といさかいを起こす。
その金持ちの老人が、じつは助六の探していた悪いヤツだった。
みごと意休を打倒す助六。しかし追手が迫る。

追い詰められた助六、そこを揚巻が救う。一世一代の名たんか!
「その棒の端の わしが身へ ちょっとでもさわってみや 五丁町(吉原)は暗闇じゃぞ」
助六は揚巻にかばわれ、見事に目的を果たし逃げのびていく。

かっこいいなあ、ぼくも言ってみたい。



その他の語源。
大阪で手に負えない腕白のことを「権太」と呼ぶのは、
「義経千本桜」の「鮓屋」からきてる。
権太は札つきのならず者でしたが、さいごはモドリ※。
(※悪人だと思われてたのが、本心をあかすと実は善人(味方))


以下に3点の読書メモを。
・江戸時代の火消とはどんな仕事だったのか?
・鬼の指はなぜ3本なのか?
・なぜ上方の歌舞伎は心中ものが多いのか?


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江戸時代の火消とはどんな仕事だったのか?


当時の消化方法は火を消すというより、火のまわりの建物をたたきこわし、
それ以上火の勢いが広がらないようにするという、荒っぽいもの。
必然的に腕っぷしが強く身が軽く、度胸がよくないと勤まらない。
「町火消」は火事の多かった江戸時代の、庶民のあこがれのスーパースター。

火消は種類があり、鳶の物と呼ばれ時代劇でおなじみの「町火消」以外に、
幕府が管理する、定火消、大名火消、方角火消があった。
定火消は乱暴者ぞろいで、オドシやユスリまがいのことをする者も多く、
庶民に恐れ嫌われていた。

火消と人気を二分してたのが相撲取り。
「一年を二十日で暮らすいい男」
当時の相撲は一場所十日間で一年に二場所しかなかった。
それでも十分やっていけるほど人気があった。

特に武勇をホマレとする大名たちは競って相撲取りのスポンサーになり、
やがて抱力士として家来なみに扶持を受け刀を差すことまで許可される。

相撲取りと町火消、この2大アイドルは、あまり仲が良くなかった。




鬼の指はなぜ3本なのか?


舞踏劇にしろ松羽目物にしろ、能がかりの舞台には鬼の出てくるものが多い。
あの鬼サンたちは、時々こういう手つきをする。これには意味がある。


鬼の指.JPG


仏教では鬼の指は3本である。
5本の指には、慈悲、知恵、貪欲、嫉妬、愚痴の意味があり、
鬼には慈悲と知恵がかけている。




なぜ上方歌舞伎は心中ものが多いのか?


上方(関西)の歌舞伎には「心中もの」が多い。これはなぜか?
ほとんどは日本のシェイクスピアといわれている、
近松門左衛門(1653~1725年)の作品で、彼が関西で活躍したので。

上方ではその芝居を見て影響された男女が心中する事件が相次ぎ、
ついに「心中ものは上演まかりならん」という条例まで出た。

遊女と情人の芝居は江戸にもあるが、江戸は男の対面中心に展開する話が多い。
いっぽう上方は恋愛問題を中心にした筋立てがほとんど。
商人中心に栄えた関西と、侍がハバをきかせた関東とのお国柄の違い。




海老蔵の弁慶役はカッコイイ。
相続した父・團十郎の借金(親族の連帯保証人)は19億円。
成田屋350年の伝統も背負って、夫婦でよく耐えてると思う。
夜の酒で発散して暴走した時もあるけど、今は日本中が応援してる。がんばれ。



パック中の顔は不気味だけど、歌舞伎フェイスならいいかも。
パーティグッズとしてもいけるかも。





(関連記事)
お岩さんは実話なのか~「円楽の大江戸なんでも番付」より
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-05-24

【お盛んすぎる江戸の男と女/永井義男/12年10月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-12-15

【居酒屋の誕生~江戸の呑みだおれ文化/飯野亮一/14年8月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-01-24

吉原手引草&吉原の落語
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2011-11-20

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東京芸大の進路~「最後の秘境 東京藝大」より [本/文学芸術]


最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常

  • 作者: 二宮 敦人
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常/二宮敦人/16年9月初版】

『藝大生はみんな、僕には天才に見える。しかし、そんな藝大生をして「あいつは天才だ」、
といわしめる藝大生も存在する。

音楽環境創造科の青柳呂武さんも、その一人だ。
「僕は、口笛をクラシック音楽に取り入れたいんです」

青柳さんは、2014年の「国際口笛大会」成人男性部門のグランドチャンピオン。
名実ともに口笛界の頂点だ。そしておそらくは最初で最後の「藝大に口笛で入った男」になるだろう』

これが世界一の口笛♪



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著者はエンタメ小説を書いてる作家さん。奥さんが藝大生だそうです。
はじめてのノンフィクション作品。取材は2014年12月から2016年2月にかけて行った。

本屋でベストセラーの上位にいたので、なんだ?と思って読んでみました。
読みやすいし面白い。東京藝大。倍率が凄くて「狭き門」ということはみんな知ってると思います。
宝塚みたいなものか。試験は実技がメイン。センター試験は3割しかとれなくても入れると。




『「旅行に行ったとき、大変だったのよね」
妻のお母さんが、腕組みしながら苦笑した。
「ルーブル美術館でね、本当に、全然動かなくなっちゃって」
ルーブル美術館の一角で、妻は全く動かなくなってしまったという。
「踊り場にある、あの彫像。「サモトラケのニケ」。あれをずっと見てて。
1時間くらい見てたかな、まだ見る?って聞いたら、見るっていうわけ。
じゃあもう、好きなだけ見なさいって」
なんと、妻はえんえん5時間以上も「サモトラケのニケ」だけを見つめ続けたという。
人が芸術に触れるとき、時間の流れは少し普段と変わってしまうようだ。

サモトラケのニケ
サモトラケのニケ.jpg




『ケースに向けられた山口さんの目は、
まるで自分の掌を眺めるようでもあり、大切な人を見つめるようでもあった。
「ヴァイオリンは、山口さんにとってはどんな存在なんでしょう?」
そう聞くと、山口さんはしばらく黙して俯いた(うつむいた)。
「・・・私、中学の頃いじめられていたんです」
ぽつりと、山口さんが言う。
「死ぬ間際まで追い詰められてました。そんな時、ヴァイオリンに集中することで乗り越えられたし・・
ヴァイオリンに集中していたら高校にも合格して、そこから藝大にも進んで・・・
道が開けていったんです。だからヴァイオリンは恩人ですね。命の恩人」』




『「津軽三味線の全国大会では4回、日本一を取らせていただきました。
私がやりたい音楽は、渋谷原宿系ポップを突き詰めた、
「ニッポンカワイイチューン」と自称してるもの。新しくジャンル化していきたいんです。
そのためにはおおもとをおろそかにして批判されるようではいけない、と思ってるんです。

「川嶋さんが藝大を目指したのは、どうしてなんでしょうか?」
「古典邦楽をちゃんと勉強しておきたかったんですよ。
藝大では、長唄三味線と関わりの深い唄や邦楽囃子も副専攻というかたちで学べるんです。
他の、例えば尺八や日舞もレッスンを受けられたり、その特性や歴史について教えてもらえます」』

これが日本一の津軽三味線♪


以下にその他の読書メモを。


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<卒業生の進路は?~藝大生の半分ぐらいは行方不明>

確かに藝大生は凄い。だけどそれって社会で役立つのだろうか?
卒業してから、食べていくことができるのだろうか・・・・。

平成27年の進路状況には、卒業生486名のうち「進路未定・他」が225名とある。
彼らは今、どうしているのだろう。

バイトをしながら作品制作を続けたり、いろんなパターンがあるようだが、詳細は不明だった。
卒業生486名のうち、いわゆる就職をした人数が48名。毎年1割にも満たない。
就職先は音校なら楽団、劇団、放送局、音楽事務所、自衛隊音楽隊など。
美校であれば広告代理店、デザイン会社、ゲーム制作会社など。
大学院や留学などの進学は全体の4割の168名。

学長曰く、
「何年かに1人、天才が出ればいい、他の人はその天才の礎。ここはそういう大学」

多くの藝大生が目指すのは、やはり作家だ。
作品を売って食べていける画家、工芸家、彫刻家、作曲家。
演奏で食べていける演奏者、指揮者・・・・。しかしそんな存在はほんの一握り。
何人もの人間がそこを目指し、何年かに一人の作家を生みだして、
残りはフリーターになってしまう。それが当たり前の世界。




<東京芸大/楽理科とはどんな学科か?>

楽理科とは音楽学を学ぶ学科。わかりやすくいうと「言葉を使って音楽を表現するところ」。
器楽科や声楽科が、音を使って音楽をしているのに対して、楽理科が使うのは「言葉」。

「コンサートのパンフレットに、解説文があるでしょ?ああいうのを書くのが、私たちなの。
音楽ってバックグランドがあるよね。この曲がいつ頃どこで作られたか。
当時の世相はどんな感じだったか。
戦争の時代に世を憂えた作曲が作ったとか、恋に破れた作曲家がその苦しみをぶつけたとか。
そういうことを知って聴くと、面白いでしょ」

「1、2年でまず音楽学の基礎を学びます。
大きく6つに分かれて、西洋音楽史、日本音楽史、東洋音楽史、音楽理論、音楽美学、音楽民俗学。

楽書購読という授業。
音楽文献、たとえば三味線音楽について書かれた、江戸時代の写本を、実際に読んだりする。

実技の授業。
実際に楽器を触り、演奏するのだが、その楽器の種類がとても豊富。
ガムラン、胡弓、中国琵琶、シタール・・・

音楽を音以外の形で、誰かに伝える架け橋の役目をする。
楽理科の学生は、どうやって「伝える」か、毎日考えている」





明日は家賃の期日♪
僕の名前では 小銭も稼げなかった
自分なりに成功しようと頑張ったけど
新しい職を探した方がいいかもしれない

僕は自分に問いかける♪
音楽家とは何なのだろう
気楽な人生でないことは いまの僕にはわかる
音楽家として生きるのは 簡単じゃない

僕はあえて険しい道を選んだ♪
なぜそうしたのか 後悔はしていない
昔は僕も チャンスを得ようと希望を持っていた
だけど 高望みをし過ぎたのかもしれない

そして僕は微笑み続ける♪
痛みを忘れるために 微笑んでいる
心で泣きながら


5年ほど前に一度貼りましたが。
シルバー、76年のヒット曲で、ミュージシャン♪ いつものように若干意訳気味。



アルバム1枚で解散してしまったシルバー。メンバーにはバーニーレドンの弟もいました。

ファースト(期間生産限定盤)

ファースト(期間生産限定盤)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2016/07/27
  • メディア: CD




(関連記事)
【旧約聖書 名画とあらすじでわかる/町田俊之(監修)/13年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-08-09

【印象派で「近代」を読む/中野京子/11年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-03-13

【にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語/サム・キーン/13年10月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-12-11

【サウンド・マン/グリン・ジョンズ/16年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-07-02

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【君の膵臓を食べたい】の感想 [本/文学芸術]


君の膵臓をたべたい

君の膵臓をたべたい

  • 作者: 住野 よる
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/06/17
  • メディア: 単行本


【君の膵臓を食べたい/住野よる/15年6月初版】
キミスイ、読みました?
2016年本屋大賞2位の作品です。ちなみに1位は「羊と鋼の森」。
これで2016年は、1、2、4、10位の作品を読んだことになる。

本屋大賞2016では、一番好きな作品です。
やっぱ青春恋愛ものはいい。

読み始めます。
あれ?シンクロした。句読点のタイミングが、じぶんのリズムとあってる。
言葉の選び方や、ひらがな比率も感性がちかい。そういう人ってたまにいますよね。
ああ、これは村上春樹の文体と作風、マネてるな^^
2pほど読めば、みんな感じるとおもう。

指摘しなくても、本文中で村上春樹をリスペクトしてることがわかります。
そこ読んだとき爆笑しました。正々堂々とオマージュ(パクリ)をカミングアウトしてる。
とっても爽やか。
それも最初から貼った伏線としてコクる。そう回収したかと^^
ざぶとん10枚です。


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あらすじをwikiより。

『主人公である「僕」が、病院で偶然拾った「共病文庫」というタイトルの文庫本。
それは僕のクラスメイトである、山内桜良(やまうち さくら)が綴っていた秘密の日記帳であり、
彼女の余命が膵臓の病気により、もう長くはないことが記されていてた。

僕はその本の中身を興味本位で覗いたことにより、身内以外で唯一桜良の病気を知る人物となる。
「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」に付き合うことにより、僕、桜良という正反対の性格の2人が、
互いに自分の欠けている部分を持つそれぞれに憧れを持ち、次第に心を通わせ成長していく。

そして僕は「人を認める人間に、人を愛する人間になること」を決意。
桜良は恋人や友人を必要としない僕が、初めて関わり合いを持ちたい人に選んでくれたことにより、
「初めて私自身として必要されている、初めて私が、たった一人の私であると思えた」と感じていく』

16年10月にマンガ連載開始、17年は小栗旬&北川景子主演で映画化とか。
ん?高校生役に北川景子?とふしぎに思うと、原作の12年後が追加されるそうです。
ああ、セカチューパターンやね。と、プロデューサーがセカチューと同じでした^^


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デイリーによると、
『原作の12年後を描く「その後」パートでは、
教師となった「僕」を小栗旬(33)、ヒロイン・桜良の親友・恭子を北川景子(30)が演じる。
2人は初共演。物語は母校に帰ってきた「僕」が過去を回想する構成となっている』

これは楽しみです。
成長した「僕」を見たかったから。よしこの映画は見にいこう。

読んだ時に感じた類書。
・セカチュー
・風立ちぬ
・ぼくは明日、昨日のきみとデートする

どれも成就しない、切ない恋というか。
いや、片思いではないので、成就したとも言えるか。
初夏のホタルのような儚いものに、なぜ人は惹かれるのだろう。


・シンドラーのリスト
・マジソン郡の橋
なんかも類書かな。追想部分で泣かすという手法。

そういえば12月は見たい映画がたくさんあります。
・ぼくは明日、昨日のきみとデートする
・スターウォーズ
・君の名は。

「君の名は。」をまだ見てなくて。すんごく見たい。世界中で大ヒット。日本発のムーブメント。
いつまでやるのかな。時間がとれそうな正月休みに行きたいなあ。


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一冊の本についての場面を、「キミスイ」から。
読んでなかったので速攻で読もうと思ってます。

「阪急電車」では、高知の地酒で相手を家に誘います。
「キミスイ」は、一冊の本を借りにくる?と相手を家に誘います。


『僕はクラスメイトであった彼女に連れ出されない限りは、
以前から休日を自分の部屋で過ごす性分だった。

部屋で僕はたいていの時間、本を読んでいる。
指南書や自己啓発本は好まず、小説をすすんで読む。
ベッドの上に転がって、白い枕に頭や顎を預けて、文庫本を読む。
ハードカバーは重いから、文庫本のほうがいい。

現在読んでいる本は、彼女から以前借りたものだ。
本を読まない彼女が人生で唯一出会った至高の一冊』


『「そんな呆れた目で見ないでよ。はいはい、じゃあ話を戻すけどね、
私この前、本は全然読まないって言ったじゃん」

「言ってたね、漫画は読むけどって」

「うん、だけどあれから思い出したことがあってさ。私、基本的に本は読まないんだけど、
小さいときから一冊だけ好きな本があるの。お父さんから貰ったんだけどね。興味ない?」

「なるほど、それは僕にしては珍しく興味があるよ。
好きな本っていうのは、人となりを表すと思ってるから。
君みたいな人間がどんな本を好きなのか気になる。で、なんなのその本は」

彼女はもったいぶったように間をあけてから言った。
「星の王子さま、知ってる?」

「サン・テグジュペリ?」

「ええ!知ってるの?ちょっとぉ、
私外国の本だからさすがの【仲良し】くんも知らないと思って張り切ってたのに、損した」』


このあと僕が彼女に本を持ってきてと頼むと、
女の子に重たいものを運ばすの?とりに来て、という展開です。

なんかアマゾンのランキングで、星の王子さまが上位にいるのが謎だったんですが、
キミスイの影響もあると思う。




Somewhere only we know♪- Lily Allen




星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

  • 作者: サン=テグジュペリ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/03
  • メディア: 文庫




(関連図書)
「阪急電車」を読んで「土佐鶴本醸辛口」を呑んだ。本当にうまかった。
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-05-28

【風立ちぬ/堀辰雄/1936~1938年初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-07-27

【ナラタージュ/島本理生/2005年2月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-08-16

【ぼくは明日、昨日のきみとデートする/七月隆文/14年8月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-08-23


またね♪

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【ぼくは明日、昨日のきみとデートする】の感想と名場面・福士蒼汰ⅹ小松菜奈で映画化 [本/文学芸術]


ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

  • 作者: 七月 隆文
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫


【ぼくは明日、昨日のきみとデートする/七月隆文/14年8月初版】
きらいな言葉があります。「キモイ」です。
自分に向けて言われたことはないですが、この言葉を聞くと、ハッとします。
すべてを破壊するような言葉。言われたほうは全否定される。そういう印象を受けます。

日本では「万葉集」の時代には言霊信仰というのがありました。
言葉には霊力が宿っていて、発せられた言葉の内容を実現する力がある。
だから言挙げという行為が一番忌み嫌われた。安易に相手を全否定しないほうがいい。
ヤマトタケルノミコトが死ななければならなかったのは、言挙げしたからです。
いらんこというたらあかん。

「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 100万部突破。
夏休みに読んだラノベ恋愛小説です。キモイって言わないでください。
おっさんがラノベ読んでもいいじゃないですか^^

恥ずかしいので、読んだことはだまってて、ボツ本にするつもりだったのですが、
あまりにもよかったので、おすすめします。これ、めったにない名作やね。切なさメガトン級。


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(小説の概要)
・京都の美大男子学生、南山高寿(福士蒼汰)の恋愛話。
・SF設定あり。美しい彼女、福寿愛美(小松菜奈)は別の世界からやってきた。
・41日間で彼女は別世界に戻る。それは読んでると話の途中でわかる。
・タイトルのように、こちらの世界と時間の流れが逆になってる。彼女はぼくの未来を知っている。
・さえない大学生のぼくに、高嶺の花子さんという、「わたしの沖田くん※」のような王道ラブコメ。
 (※80年代ヤンジャンの看板マンガ)
・作者は京都精華大の美術学部出身。絵も描くけど小説も書くという主人公は、願望的自叙伝か。
・ラノベ(ティーン向け童話)かと思って読むと、どの年代でも共感できる素晴らしい作品だった。
・文章はスカスカで読みやすい。

DSC_0470.JPG




「刹那を大切に生きよ」と釈迦はいいます。いまこの瞬間を楽しみなさいと。
セミは土の中に7年もいて、たった10日間だけ地上に出てきて恋をする。
世界で5000万部売れた「マディソン郡の橋」は4日間の恋だった。ロミオとジュリエットは5日間。

そういう意味では、本書の41日間の恋というのは、十分な恋愛時間という気もする。
ひと夏の恋みたいなものか。ひと夏の恋、みなさんはご経験ありますか?
本書は5月の恋ですけどね。夏の京都は暑くてかなわん。




以下に気に入った場面を。


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彼女のことが浮かぶたび胸がくっとなって、ああつらい、と思う。
甘い痛みだなんて誰が言ったんだろう。




とても自然な入り方だった。
その空気感だけで、彼女の場に対する気遣いやコミュニケーション能力が伝わってくる。




これ、食べさせたいなあ。強く思った。このおいしいものを、福寿さんに食べさせたい。
そのときぼくは――はたと気づいた。何かにつけ彼女のことを考えている自分に。
面白い場所を目にしたら彼女に見せることを考え、
おいしいものを食べたら彼女にも食べさせたいと願っている。
どんな反応をするだろう。好きだろうか。喜んでくれるだろうか・・・・。
今までのように自分だけの「よかった」で終わらず、彼女と分かち合いたいと自然に望んでいる。

ああ――。人を好きになるって、こういうことなのか。
賑わう人通りの中で、ぼくは実感した。とても清らかな感情が胸を満たす。
このさき彼女との関係がどうなっても、ぼくはこんな心境があることを教えてくれた彼女に感謝するだろう。
そう思った。




キスしたい。と浮かんだ。共有された。
そこからはほんとうに星がひかれあうような当たり前の自然さで、
ぼくたちは首を傾け、唇を寄せて・・・合わせた。

拍子抜けするほど簡単にできたキスは、驚くくらいに気持ちよくて、全身に漣が広がっていくようで、
なんだろう、頭の奥に「この人だ」という感覚が前よりずっと強く光って・・・ぼくは感動した。
みんなそうなのだろうか。キスはこんなにすごくて、感動するものなんだろうか。
キスを終えて、ぼくたちははにかんでみつめあう。
そしてまた、ひかれあう。華奢な体を抱きしめる。




涙が溢れた。
凪いだ気持ちでいたはずなのに、愛美のやさしさや、あたたかさや、
ぼくをみつめる美しくて聡明な瞳を感じたとき、奥から真実がこみ上げてきた。

「・・・どうして愛美とは家族になれないんだろう・・・」
悲しみが。絶望が。ぼろぼろと溢れて落ちていく。愛美と家族になって、ずっと寄り添って生きていく。
そんな未来が、どうしてぼくたちにはないんだろう。
泣いたぼくを見る愛美のまなざしが引きつれ、熱く潤む。
「・・・ごめんね」
「なんで謝るんだよ・・・」
「うん・・でも・・ごめん・・」
「ぼくも・・こんなつもりじゃなかった、のに・・・」
穏やかな午後のバス停で、ぼくたちは手をつなぎながらひたすら泣いた。
時刻表から1分遅れでバスが来た。
今日が終わっていく。
最後の日が来てしまう。




いかがでしたでしょうか。
京都で大学生してる息子に薦めましたが、読みそうにない。
アマゾンで買って、送り付けようかな。


映画は、原作がいいので見に行きます。セカチューみたいに社会現象化しそうです。
福士蒼汰と小松菜奈。2016年12月17日より全国ロードショー。
あ、小説読んでからのほうがいいですよ。



(関連記事)
【シン・ゴジラの感想】⇒憲法9条改正案とリーダーシップ論
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-07-31

【スターウォーズ論】~スターウォーズ新作、今後2020年までの予定
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-02-02

映画『セッション』~デイミアン・チャゼル監督のインタビューが興味深い
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02

古事記/池澤夏樹訳~あらすじざっくり
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-02-24



あ、そういえば、漣の読み方、
「はす」ちゃいまっせ。はすが広がったら、はすコラになってまう。「さざなみ」です。
またね♪

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【ナラタージュ】の感想~松本潤ⅹ有村架純で2017年映画化 [本/文学芸術]


ナラタージュ (角川文庫)

ナラタージュ (角川文庫)

  • 作者: 島本 理生
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 文庫


【ナラタージュ/島本理生/2005年2月初版】
松本潤と有村架純で、2017年の映画化が決定。
甘い恋愛小説はあんまり読まないのだけど、夏休みだったので読んでみました。
冷房の効いた部屋で狂おしいほどのを恋話を読み、「たまには恋愛モノもいいなぁ」・・
というより、おっさんフカクにも感動してしまった。なぜか?

小説による追体験です。
読者は、小説の中にある言葉を媒介に、
じつは、自分の歴史、記憶、考えも、改めて呼び覚まして読んでいます。
これが、主人公や作者への共感のもとになるもの。
自分個人の、誰にも言ったことのない経験を、言葉で整理して、再体験する。

自分の恋愛体験を思いだしてました。
舞台設定が高校や大学の演劇部というのが、すこし感情移入できなかったのですが。
レミニセンスバンプ(思い出の隆起)である青春時代の恋を、反すうしてた。
すごく幸せな時間だった。




三島由紀夫はいいます。
『私自身の経験に即して言うのですが、性や愛に関する事柄は、
結局百万巻の書物によるよりも、一人の人間から学ぶことが多いのです。
われわれの異性に関する知識は異性のことを書いたたくさんの書物や映画よりも、
たった一人の異性から学ぶことが多いのです。
ことに青年にとって、異性を学ぶということは、人生を学ぶということと同じことを意味しております』

まずは「書を捨て町に出よ」か。


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生涯で3回大恋愛したら、ものすごく幸せな人生』とは誰の言葉だったか。
吉本ばななか、林真理子だったか。20年ぐらい前に何かの本で読みました。
この意味をずっと考えてきた。さいきん少しわかってきたかなぁ。
暖かい思い出がたくさんある人は、金持ちと同じぐらい満たされてるということか。

まずお金について。
お金が欲しいんじゃない。あれは単なる紙切れです。
お金を使って何かを得たあとのことを、頭の中で想像して楽しんでる。
お金をもっただけじゃ、まだ楽しいことは発生していない。使える時間もあるのかどうか。

ヒトの遺伝子は、金銭の多寡によって幸福が決まるようにプログラムされてません。
人が幸福を感じるのは、愛情空間や友情空間でみんなから認知されたときだけです。

お金を使って自分を磨いたり、みんなに与えたりして、まわりから認められ尊敬される。
そういう場面を想像して、楽しんでる。

つぎに暖かい思い出について。
ノスタルジア、頭の中で過去に戻る能力は、
人がアイデンティティを確立するうえで、重要な役割を果たしています。
人は過去を振り返り、それをより所にして個性を形成し、人生の意味を見出す。
人は過去を振り返ることで自尊心を高め、自分の現状を受け入れる。
ノスタルジアは安らぎをもたらす。

昨年、アメリカ・デンバー大学の研究が話題になっていました。
「10代でステキな恋愛を経験すると、精神的に安定した人生を送ることが、追跡調査で分かった」と。

ニーチェの「アンチ・キリスト」によると、初期キリスト教のイエスの教えは、
「天国は死後にやってくる何かではなく、今ここで実現される心の状態」
釈迦の初期の教えである小乗仏教も同じです。目的地は、「精神の平穏」。

お金はたくさんあると、楽しいことを想像して、精神的な余裕ができます。
恋愛経験を中心とした、たくさんの暖かい思い出は、これも精神を平穏に保つ。
金持ちと、思い出いっぱいの人は、同じように心が満たされ安定している。
ぼくはそう思います。

命短し恋せよ若者


すいません、つい前置きが長くなりましたが、以下作品にふれていきます。


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『物語は、大学2年生の春、
主人公・工藤泉のもとに高校時代の演劇部の顧問・葉山貴司から電話がかかってくる所から始まる。
高校時代、学校に馴染めずにいた泉を助けてくれた葉山から、演劇部の後輩の為に、
卒業公演に参加してくれないかと誘われる。

卒業式の日の葉山との誰にも言えない思い出を胸にしまい、彼を忘れようとしていた泉だったが、
一年ぶりに再会し、押さえていた気持ちが募っていく。
叶わないとわかっていながらも、それでも抑えきれない葉山への恋心。
葉山もまた泉への複雑な感情を抱えていた。
やがて、大きな事件が起こり、ふたりの想いがぶつかりあったとき、
それは痛みすらも愛おしい、逃れることができない恋となっていた』

結婚を前にした主人公の回想録です。
主人公の工藤泉(有村架純)は、人生で3人の男性と付き合います。

20160604152127[1].jpg

狂おしいほどの恋心を抱いていた高校の先生、葉山(松本潤)、
泉のそういう気持ちを知りながらつきあい、苦しむ大学生の小野君、
そして就職先で知り合って結婚することになった彼。

著者の島本理生は本作「ナラタージュ」を若干20歳で執筆しています。
ナラタージュとは「回想録」のことです。 

発表と同時にスキャンダラスな内容が話題となり、23万部を超えるベストセラーに。
また2006年版「この恋愛小説がすごい」第1位、「本の雑誌」が選ぶ“2005上半期”第1位の作品。
それにしても、20歳でこんな人に共感させる恋愛小説が書けるのか。。すごすぎる・・・・




気に入った部分を以下に何点か。



どこかで耳にしたことがあると思ったらシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」だった。
「小野君、タイム・アフター・タイムって日本語でどういう意味だっけ」
忘れてしまったような口調で尋ねたけれどじつは最初から意味など知らないくせに。
黒川ならそう抜け目なく突っ込むところだろう。
「何度も何度も、ていう意味だよ」
「ありがとう」
何度も、何度も。それはなんだか今の私みたいな言葉だ。




「僕は君が好きだ」
絞りだすような声で彼は言った。
「私も好きです。どうしようもないほど、あなたが好きです」
今さらなにを言ってるのだろう。もうずっと、私は胸の中でそう言い続けてきた。
「本当は、ずっと君のそばにいてあげたかった」
私はふたたび彼の体を強く抱き寄せ
「それが聞けただけでも十分です」




もっと好きに動いて、そう頼むと、彼は素早く首を横に振って
「まだ、だめだ。もっと僕の知らない君を見てからだ」
彼は私の腎臓、胃腸や心臓、そういった体に抱いたすべてが1つになってしまえばいいとでもいうふうに、
強く体を合わせてきた。見上げていた白い天井から視界が一転して、枕に顔が押しつけられた。

強い前歯に背中のあらゆる部分を噛まれると、そこにも神経は通っていることを思いだす、
胸や腹よりはずっと強いはずの場所、だけどかんたんに負けてしまう。

私はふいに怖くなる、この先もう誰と寝ても同じように満たされることはないのではないか。
それとも今日この午後がすべてとなって、その余力で残りの一生を、
セックスをもちこたえていくのではないか。・・・

「これしかなかったのか、僕が君にあげられるものは、ほかになにもないのか」
「あなたはひどい人です」私は叫んだ。
「これなら二度と立てないぐらい、壊されたほうがマシです。お願いだから私を壊して、
帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある」




MDコンポからはさっきからニール・ヤングの曲が流れている。
彼の好きな1枚だった。音楽は部屋中に満ちて、気まずい沈黙の上に柔らかく覆いかぶさる。
小野君はじっとうつむいていた。


小野君との別れのシーンで、ニールヤングが流れます。
ものがたりのクライマックスの1つです。これは映画で流れるのかな。
むかし村上春樹の「ノルウエーの森」の最も印象的なシーンには、
ビルエバンスのワルツフォーデビーがBGMとして流れてましたが、映画では使われなかった。
個人的には、小野君の繊細さや別れのシーンには、ニールヤングの声質や曲調はあうと思う。
アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ♪




アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ

アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2009/11/11
  • メディア: CD




(関連記事)
【風立ちぬ/堀辰雄/1936~1938年初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-07-27

【世代論の教科書/阪本節郎、原田曜平/15年10月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-12-08

【なぜか、自動的に幸せになれる72の習慣/小山竜央/15年2月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-05-19

【三島由紀夫の言葉/佐藤秀明/15年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-02-06

【脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体/中野信子/14年1月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-09-23


さいごに恋したのは、いつですか?
またね♪

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【ラオスにいったい何があるというんですか?/村上春樹】~ヴィレッジ・ヴァンガード訪問記メモ [本/文学芸術]


ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/21
  • メディア: 単行本


【ラオスにいったい何があるというんですか?/村上春樹/15年11月初版】
なんか最近すごいペースで仕事してますよね。
去年の秋に2冊本だして、立て続けに本作。半年で村上春樹3冊目です。

とはいえ今回は過去の旅行記をまとめたもの。

・チャールズ河畔の小径―ボストン1 1995年11月初出
・緑の苔と温泉のあるところ―アイスランド 2004年2月初出
・おいしいものが食べたい―オレゴン州ポートランド・メイン州ポートランド 2008年3&4月初出
・懐かしいふたつの島で―ミコノス島・スペッツェス島 2011年4月初出
・もしタイムマシーンがあったなら―ニューヨークのジャズ・クラブ 2009年11月初出
・シベリウスとカウリスマキを訪ねて―フィンランド  2013年7月初出
・大いなるメコン川の畔で―ルアンプラバン(ラオス) 2014年10月初出
・野球と鯨とドーナッツ―ボストン2 2012年4月初出
・白い道と赤いワイン―トスカナ(イタリア) 2015年6月初出
・漱石からくまモンまで―熊本県(日本) 2015年9月初出

掲載誌はAGORAが多いです。AGORAは日本航空の機内誌。

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彼の紀行文は、「遠い太鼓」「雨天炎天」「辺境・近境」「やがて悲しき外国語」、
「うずまき猫のみつけかた」「シドニー!」なんかがあります。
シドニー!って読んだかな。。あんまり覚えてない。
ま、いいや。

上述のとおり、ほとんどが海外紀行なんですが、今回は熊本がある。
紀行文といえば、司馬さんの「街道をゆく」が有名です。
「街道をゆく」にはぼくの故郷のことが書かれてまして、そこの文章は何回か読み直しました。

司馬さんがとても好意的に書いてくれていて、
ある季節が、「日本で一番美しい場所」とまで書いてくれてた。
それがうれしくてうれしくて、誇らしくて。。何度も読みかえしました。
街道をゆく以外にも、ほかのエッセイでもふれてくれて。

それを読んだ昔の上司が、「一度は君の故郷に行ってみたい」と言ってました。
司馬さんに会ったら、お礼が言いたいぐらいです。


そもそも司馬さんと比較してはいけないのかもしれませんが、村上さんは熊本に愛がない。
とても軽いです。熊本の紀行文は、読んでて数回吹いたので、ユーモアはあるのですが。
これ読んだ熊本の人は、どう思うのかな。

ふと思ったのは、影響力のある人というのは、何かを少しでもからかったりすると、
それにかかわる多くの人が悲しむということ。
影響力のある人は、そのへんのさじ加減が大変だ。



今回はヴィレッジ・ヴァンガード訪問記が面白かった。
以下に読書メモを。

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『今回のニューヨークのジャズ・クラブ探訪の目的のひとつは、
「ヴィレッジ・ヴァンガード」に行って、オーナーのロレイン・ゴードンさんに会うことだった。
ロレインさんはジャズの世界ではかなり伝説的な人である。

娘時代からの熱狂的なジャズファンで、
まずブルーノート・レコードの創始者であるアルフレッド・ライオン氏と1942年に結婚して、
まだまだ設立間もないそのレコード会社の発展に寄与し、彼とわけあって離婚してからは、
ジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」のオーナーであるマックス・ゴードン氏と再婚した。
そしてゴードン氏が亡くなってからは、女手ひとつでその伝統あるジャズクラブを切り盛りしている



ヴィレッジ・ヴァンガードは文字通りグリニッジ・ヴィレッジにある老舗ジャズクラブである。
マックス・ゴードンが1935年に最初のライブを始めて以来、なんと延々76年間にわたって、
同じビルの同じ地下室で営業を続けている。

最初のうちはフォークソングやコメディなんかもやっていたが、
50年代の半ば以降はジャズ専門のクラブになった。
歩道に張り出したテントと、ネオンサインのロゴがこの店のシンボルになっている。

ニューヨークには数多くのジャズクラブがあるが、
こんなに長いあいだ引っ越しもせずにひとつの場所でやっている店はほかにはない。
もう店そのものが「世界遺産」みたいなもので、そこに入って椅子に座っているだけで、
歴史の中に静かに呑み込まれていくような粛々とした気分になってしまう。

「でもね、トラブル続きでそりゃひどいものよ」とロレインさんは言う。
「なにしろ百年近く前意に建てられたビルだから、雨は漏るし、配管は壊れるし、
消防署は文句をつけるし、次に何が起こるかわかったものじゃないのよ」』

NewYork_VillageVanguard_20110111_02-1-2[1].jpg


『たしかに建物は古い。むしろおんぼろに近いと言っていいかもしれない。
家具調度も決して豪華ではないし、メニューは限られた飲み物だけで、食事もまったく出さない。
・・・天井やかべはけっこうでこぼこしているし、フロアは不規則に折れ曲がった奇妙な形をしている。
まるで意地悪く作られたゴルフコースみたいに見えなくもない。

・・・実際に出てくる音を耳にすると「うん、そうだよな、これがジャズの音だ」と一発で納得させられる。
まるで店の隅々にまでジャズの音がしみ込んでいて、それが演奏される楽器の音に、
みずみずしく共鳴しているみたいにも聞こえる。

だからこそこれまでにこの店で、ソニーロリンズやビルエヴァンズやら、ジョンコルトレーンやら、
キャノンボールアダレイやらの、数々の素晴らしいライブ録音がとられてきたのだ。』



どんなミュージシャンを出演させるかは、今でもロレインさんが決定する。
ほとんど家族経営みたいな状態で、娘さんや娘さんのご主人が店を手伝っている。
出演者のギャラは有名でも無名でもぜんぶ同じ。・・・
・・・それほど広くない場所だし、出演者のランクによってチャージが変わるということがほとんどないので、
払いたくても現実的には払えないのだ。

商売っ気がないというか、素っ気ないというか、いったんミニマム・ドリンクを出してしまうと、
お代わりの注文もほとんどとりに来ない。
しかし「安ギャラでもいいからヴァンガードに出たい」というミュージシャンがたくさんいる。
僕は思うんだけど、そういうのが要するにジャズであり、そういうのが要するにニューヨークであり、
そして言うまでもないことだけど、それが要するに「ヴィレッジ・ヴァンガード」だ。・・・
・・・この店に入って、ウィスキーのソーダ割りを飲みながらライブの開始を待っていると、
ほとんどタイムマシーンに乗って来たような気がするくらいだ。』



『ヘンリー・キッシンジャーがこの店を訪れたとき、入り口にいたロレインさんがにこりともせず、
「うちはミュージックチャージが20ドルと、ミニマムドリンクが10ドル。
カードもチェックも受け取りません。それでよろしいかしら?」と言った話は有名である。
なにしろハードコアな店なのだ。

ロレインさんは1960年代にはジャズを離れて、反戦運動に打ち込み、ハノイにまで出かけた人である。
きっとキッシンジャー氏とはあまり相性が良くなかったのだろう。』



「バードランド」ももちろん古くからある超有名なクラブだが(今を遡る六十年前、
オリジナルのクラブの開店初日はには、チャーリー・パーカーのバンドが出演した)、
そのあと場所は何度も引っ越しているし、経営も様変わりしている。

「古式豊かな」というか、昔ながらの雰囲気を頑固に維持している「ヴィレッジ・ヴァンガード」とは対照的に、
最新の設備を備えたナイトクラブに近い店だ。
店は清潔で広々しているし、おいしい料理も出るし、飲み物のお代わりもちゃんと取りに来る。
サービスもとてもきちんとしている。

女性同伴で、ちょっと気取って、ニューヨークのナイトライフを愉しみに来るのには最適かもしれない。
でも値段はリーズナブルだし、演奏の質も申し分ないし、ジャズがしっかりと鳴り響いている。
ここもお勧めです。』




せっかくなので今回はヴィレッジ・ヴァンガードの映像を探しました。
するとロバートグラスパーに行きついた。ジャズ好きの若い知り合いに、
「なんかお勧めのアルバムある?」と聞くと、教えてもらった人です。
2012年のグラミー賞でベストR&Bアルバム賞を受賞。
今世紀最重要のジャズピアニストといわれてます。

さいしょ「ブラックレディオ」聞いたとき、なんかヒップホップかなという。
このドラムはどう考えても打ち込みだろうと。

今回映像をみて衝撃を受けました。マジですごいドラマーだ、クリス・デイブが人力で叩いてた^^;
個人的なインパクトは、アートブレイキー、スティーブガットに匹敵します。
それ以上かもしれん。5:47ぐらいから叩いてます♪

あ、@ヴィレッジヴァンガードと書かれてますが、なんか違うような気がします。ま、いいか。




Black Radio

Black Radio

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Blue Note Records
  • 発売日: 2012/02/28
  • メディア: CD




(関連記事)

【職業としての小説家/村上春樹/15年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-10-18

【図書館奇譚/村上春樹/14年11月25日初版】 
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-01-03

【村上春樹「かえるくん、東京を救う」英訳完全読解/NHK出版/14年7月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-11-04

【女のいない男たち/村上春樹/14年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-06-24

【恋しくて/村上春樹編訳/13年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-02-18

【色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹/13年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-05-18

昨日ヨーカドーに、ぼくの大好きなベルギー発泡酒、
「ベルモルトホワイト」が大量に入荷してました。
ずっとなかったので、うれしくて6本パック買って帰りました。
これからはベルモルトの白と黒は常備してほしい。
またね♪





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「火花/又吉直樹」とボブマーリー [本/文学芸術]


火花

火花

  • 作者: 又吉 直樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/03/11
  • メディア: 単行本


【火花/又吉直樹/15年3月初版】
「火花」読まれました?
なんか2015年に一番売れた本だそうです。250万部。
これ、オールタイムでもけっこう上位にくるんちゃうやろか?

歴代ベストセラー本ランキングです。
1981 窓ぎわのトットちゃん        黒柳徹子   580万部
1998 五体不満足            乙武洋匡   480万部
2003 バカの壁             養老孟司  432万部
1995 脳内革命             春山茂雄   410万部
1945 日米会話手帳                  360万部
1982 気くばりのすすめ          鈴木健二   340万部
2001 世界の中心で愛をさけぶ      片山恭一   306万部
1970 冠婚葬祭入門           塩月弥栄子 300万部
1987 サラダ記念日           俵万智    280万部
2009 もしドラ              岩崎夏海   270万部
2005 国家の品格            藤原正彦   260万部
1982 積木くずし            穂積隆信   250万部
2004 頭がいい人、悪い人の話し方   樋口裕一   250万部
1987 ノルウェイの森(上・下)       村上春樹   220万部

おどろきの、「ノルウェーの森」超えです。
なんでこんなに売れたんでしょう。

それにしてもデータがちょっとおかしい。調べてみました。
2010年末の時点で、「ノルウェーの森」は国内だけで1095万部突破。
上下巻、文庫合わせての数字です。

現時点では村上春樹は国内売上より、国外売上のほうが多いようなので、
世界売上合計では、2000万部を超えると思われます。

それと、なんで司馬さんが入ってないの?
ぜったいおかしい。これまた調べてみました。
2005年の時点で司馬さんの「竜馬がゆく」は2125万部、
「坂の上の雲」は1475万部、司馬作品売上10位の「世に棲む日々」でさえ445万部です。

ま、こういう統計はあんまり正確じゃないということか。
とはいえ、「火花」が歴史に残るベストセラーということに、まちがいない。
村上春樹や司馬遼太郎を別格としても、セカチューやもしドラなみに、世間をにぎわした。

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作者について。
ピース綾部というのは、熟女キラーとして、なんとなく知ってました。
テレビで見て、すごく印象に残った。だけどピース又吉は知らなかった。

これって「マタヨシって読むんやんね?」と後輩に聞くと、
「いや、マタキチです」と自信たっぷりに答えられた。
調べてみると「マタヨシ」やん、あかんやん、先輩にウソ教えたら。

ふだんテレビあんまり見ないから、タレントさんのことあんまり知りません。
いや、正確にいうとテレビは1日1時間ぐらいは見てます。
晩酌時に見てる。地上波じゃなくて、ケーブルです。
ニュースチャンネル、スポーツチャンネル、音楽チャンネルをザッピングしてる。
ニュースを30分、音楽30分ぐらいかな。さいきんは猛虎キャンプレポートばかり見てた。
みんな地上波って見てるのかな。




読んだ感想です。
すごく不安になる。なんでだろう。登場人物が危なっかしいからかな。
オチというか、着地点が見えないんですよね。破滅的な展開はあまり読みたくない。
ま、純文学だからそういうのがいいのか。

それから、この本はボブマーリーの本です。
いちばん印象的なラストシーンは、ピストルズでもなくクラッシュでもない。
ボブマーリーが流れます。

小説というのはワンシーンです。人生もそうかもしれない。そして永劫は瞬間にほかならない。
この先はどうなるのか?これをボブマーリーにラストで歌わせてる。
夢があれば、人は生きられる。


「サラダ記念日」といえば、ホテルカリフォルニアです。
読者の頭の中にあるいろんなものが、音楽によって浮かびあがる。
「火花」の場合は、ノーウーマンノークライ♪

ジョンレノンが主夫になり、ミックジャガーは社交界やディスコに寄りそう。
パンクロックが出てくるまで、世界の若者は、ロックをボブマーリーの中に見た。
ボブマーリーは、ある時代の希望であり夢だった。

主人公(徳永)にとってのボブマーリーが、師匠(神谷)なのかもしれない。




以下あらすじというか、内容について。

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売れない漫才師の生活を描いてます。
師匠(といっても4歳違い)との、笑いに関する哲学のやりとりが現役芸人ならでは。
ピースの漫才を見たことないんですが、知ってる人なら味わい深いかも。

火花というタイトルは、主人公(徳永)の漫才コンビ名がスパークスだから。
師匠(神谷)との出会いのシーンが、花火大会だから、ということか。

花火大会のステージで、強烈な漫才やってた他のコンビの神谷と飲みにいき、
その場で徳永は弟子入りします。「本を読め、偉人伝は面白い、オレの偉人伝を書いてくれ」
こう師匠は弟子に依頼する。

笑いの求道者である師匠神谷は、破滅的人間です。
弟子の徳永のほうが売れてしまう。なんかこういう展開いややなあ。
現実世界はそんなものかもしれない。ゴロゴロ転がってる話か。
だから僕たちは、ハッピーエンドのサクセスストーリーを読みたい。
サクセスを自分に重ね合わせて、ひとときの夢を見る。

徳永が売れたといっても、一過性のお笑いブーム。
けっきょく中ヒットで過ぎ去ってしまう。そして相方の結婚を機にコンビを解散。
引退を決意します。相方は携帯ショップ店員、徳永は駅前の不動産屋で働き始める。

10年ぐらい前の、「エンタの神様」のお笑いブームを思い出します。
あのときの超売れっ子芸人たちは、いまどうしてるのだろう。

師匠(神谷)は、破天荒な生き方で借金をつくり、1年ほど姿をくらましたあと自己破産。
それでも、お笑いをやめない。このあとどうなっていくのか、というところで物語は終わります。
徳永の青春は終わり大人になったけど、神谷はずっと夢を見てる。
まるでボブマーリーのように。


若手お笑い芸人の、約10年間の青春を描いた小説でした。
ふつうの学生やサラリーマンと違い、売れないお笑い芸人という、低い目線から見上げた社会。
不安に感じたのは、不安定な主人公たちのポジショニングからかもしれません。




以下にいくつか目についた表現を。


神谷さんは偉人と呼ばれる人達の人生が綴られた伝記を貪り読んでいたらしい。
「絵はな、表紙とな途中に少しだけやったんちゃうかな。あとは全部活字」
神谷さんは、活字が多い本だったということを強調したいようだった。
「新渡戸稲造が何者か知ってるか?」
「五千円札の人ですよね?」
「そうや、あの人も色々やった人やねんで。そんなんも書いてたわ」
「そうなんですね。何をした人なんですか?」
「忘れたけど、読んだ時は感心したん覚えてるわ」



「お前のコンビ名、英語で格好ええな。お前は父親になんて呼ばれてたん?」
「お父さん」
「おい、びっくりするから急にボケんな。ボケなんか、複雑な家庭環境なんか、
親父が阿呆なんか判断すんのに時間かかったわ」
「お母さん、お前のことなんて呼ぶねん?」
「誰に似たんや」



僕は神谷さんを、どこかで人におもねることの出来ない、自分と同種の人間だと思っていたが、
そうではなかった。僕は永遠に誰にもおもねることの出来ない人間で、神谷さんは、
おもねる器量はあるが、それを選択しない人だったのだ。両者には絶対的な差があった。



エジソンが発明したのは闇。



帰り際に、「握力が強過ぎるゴリラ同士の握手みたいやったな」と言われた。



長時間にわたり、審査する方は更に疲弊していて不憫だったが、
彼らが正確にネタの善し悪しを判断出来ていたかには些か不安もあった。
肉体はぶっ倒れれば、そこが限界だとわかるが、審査する方の思考が正常に機能してるかどうかは、
側で見ていてもわからなかった。



実際に僕の家は裕福ではなかった。・・・
姉が紙のピアノで「ねこふんじゃった」の練習をしていた話を何度も繰り返しぼくに話させた。・・・

IMG_1489[1].JPG

姉の通うヤマハの教室を覗きに行くと、他の生徒達は演奏しているのに、
姉だけエレクトーンの前の椅子に座った状態で、落ち着きなく周りをうかがい、
エレクトーンの裏を手で触ったりしていた。なぜ弾かないのだろう?母も不安そうに姉を見ていた。

ようやく異変に気づいた先生が姉の側に寄って行くと、姉は「音が出ない」と言った。
すると先生が当たり前のように、エレクトーンの電源を入れて、姉も途中から演奏に加わった。
姉は緊張で身体が強張り、異常に両肩が上がっていて無様だった。
いつもは優しくて頼りがいのある姉のこんな姿を見ていると、なぜか僕は胸が苦しくなり、
眼から涙が溢れた。「なんで、あんたが泣いてるの?お姉ちゃん頑張ってるで」
と言った母の眼も赤かった。その夜、家に帰ってからも姉は無言で紙のピアノを懸命に弾き続けていた。



でも、ずっと笑わせてきたわけや。それはとてつもない特殊能力を身につけたということやで。
ボクサーのパンチと一緒やな。無名でもあいつら簡単に人を殺せるやろ。芸人も一緒や。
ただし、芸人のパンチは殴れば殴るほど人を幸せに出来るねん。
だから事務所やめて、他の仕事で飯食うようになっても、笑いで、ど突きまくったれ。
お前みたいなパンチ持ってる奴どっこにもいてへんねんから。



神谷さんが、「なんで、ライブバージョンやねん!」と湯に浸かりながら叫んだ。
これは、受付で借りたボブ・マーリーに対しての言葉だろう。・・・
神谷さんはやかましいほどに全身全霊で生きている。
生きている限り、バッドエンドはない。僕達はまだ途中だ。これから続きをやるのだ。
神谷さんの言葉を無視して、
ジャマイカの英雄はエビシンゴノビーオーライと世界に向かって唄い続けている。・・・




いい友だちと出会い♪
いい友だちを失った♪
輝く未来の中で 過去を忘れてはいけない♪
だから 涙をふいて♪
もう泣かないで♪
僕がいなくなっても♪
すべてうまくいくよ(エビシンゴノビーオーライ)♪

ボブマーリーのベストを聞くと、
たしかにNo Woman No Cryは、ライブバージョンが入ってます。
彼の名盤でLIVE!というアルバムがありますが、それと同じ音源です。
(Along The Wayの前のハウリングが同じ)

スタジオバージョンは軽いです。
ライブバージョンのほうがあきらかに重厚でカッコイイ。だからベストにもライブバージョンが入ってる。



Live

Live

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Island
  • 発売日: 2001/06/12
  • メディア: CD




(関連記事)
【ボブマーリーの伝記】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2009-12-31

【俵万智3・11短歌集あれから/俵万智/12年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-09-11


またね♪





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【スターウォーズ論】~スターウォーズ新作、今後2020年までの予定 [本/文学芸術]


スター・ウォーズ論(NHK出版新書 473)

スター・ウォーズ論(NHK出版新書 473)

  • 作者: 河原 一久
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2015/11/07
  • メディア: 新書


【スター・ウォーズ論/河原一久/15年11月初版】

スターウォーズ・エピソード7見られました?
面白かったですよね。後述しますが、これから毎年スターウォーズがあるようです。
ルーカスフィルム時代は、資本や人手の問題でバンバンつくれなかったけど、
巨大資本ディズニーになりましたから。これからは毎年バンバン。
飢餓感がなくなって、食傷気味になるかも。

スターウォーズは初期3部作(78、80、83年日本公開年)が最高でした。
映像の技術革新を目の当たりにして、ワクワクした。

70年代後半の映像コンテンツで面白かったもの。

・77年: 宇宙戦艦ヤマト、ロッキー
・78年: スターウォーズ、さらば宇宙戦艦ヤマト、ブルースリー死亡遊戯
・79年: スーパーマン、機動戦士ガンダム(テレビ)、ジャッキーチェン酔拳

ブルースリーとジャッキーチェンの新旧交代は、感慨深いですよねぇ。

こうしてみると、後にシリーズ化される超人気作がメジロ押しです。
もちろんビデオなんてなかったので、みんな映画館で見ました。
何日も前からウキウキして、夜も眠れず、早朝から映画館に並んだ。
弁当やらおかしを持ち込んで、入れ替えなしで2回は見た(笑)。

この中でベストを選ぶとしたら、やっぱり「さらば宇宙戦艦ヤマト」か。
あの時の感動を超える映画って、いまだにないんですよね・・


スターウォーズは、世界でのべ約10億人(総人口70億人)が見たそうです。
スターウォーズ1作目は観客動員数で、いまだに全米映画史上2位。
それを上回っているのは唯一、1939年の「風と共に去りぬ」。
あ、アバターは興行収入1位です。チケット代が高くなれば興行収入は増える。動員数とは違います。

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スター・ウォーズ今後の展開について

2015年からはじまった新3部作は2年ごとに新作が公開される。


その間の年はスピンオフが公開される。


・サーガ本編とスピンオフという区別なく、劇場公開作品として見るなら、
2015~2020年は、毎年スターウォーズの映画が劇場公開されることになる。
スピンオフ作品は、現在のところ3本の製作がアナウンスされている。


2016年に公開予定されてるのは「ローグワン」。サーガのエピソード3と4の間の物語。
帝国が建造中のデススターの設計図を奪った反乱軍と、
それを取り戻そうとする帝国軍の攻防を描いた作品になる。

帝国軍が賞金稼ぎを雇って設計図の奪還を図り、そこにはボバ・フェット、
ボスク、デンガー、ザッカス、4ROM、IG-88、キャド・ベインといった賞金稼ぎが登場する。
すでにアナウンスされてるキャストは、主人公にフェリシティ・ジョーンズ(またも女性)、
フォレスト・ウィッカーやマッツ・ミケルセンといった実力派俳優のほか、
ドニー・イェン(カンフースター)がアジア系初の主要キャスト入りを果たした。

(ボバフェット)
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・2018年公開予定の2本目のスピンオフは、タイトルは未定だが、
20代前半のハンソロが、いかにして密輸業に手を染めていったのかを描く物語。
若き日のハンソロにボバフェットが何らかの形で絡んでくる話になる。


・2020年公開の3本目のスピンオフは、ボバフェットの物語になる。
これはキャスリーン・ケネディが言及したものだが、正式発表ではないので、
今後変更される可能性がある。その他の可能性としては、オビワンケノービの物語がある。


・サーガについては、ルーカス語録から、6部作、9部作、12部作の説がある。
ディズニーによる買収、新3部作政策決定の背景には、12話分のあらすじの存在が確実にあった。
ただエピソード7は、「ルーカス案」は採用しなかったと。



その他の読書メモを。

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<まさかのディズニーによる買収劇>
2012年10月30日、ウォルトディズニー社は、ルーカスフィルムを3200億円で買収。
系列会社や所有するコンテンツなど全ての権利を手に入れた。

3200億円は大バーゲン価格と言える。
たとえばペプシ社はエピソード1~3のタイアップ権利を、約3000億円でルーカスフィルムと契約した。
つまりたった1社との契約金額と変わらない金額で、ディズニーは全てを手に入れた。
スターウォーズは6作品だけで4000億円の興行成績記録し、グッズの売り上げは2兆円を超えている。
スターウォーズだけでなく、ディズニーが買ったものの中には、「インディジョーンズ」の権利も含まれている。

ルーカスが手を引いた理由について。
私生活の問題。長年交際していた実業家メロディ・ホブソンとの再婚が現実味を帯びてきていた。
2人はルーカスフィルムの売却の翌年6月に再婚、その2か月後にルーカスにとって初の実子である、
エベレストちゃんを代理出産で授かっている。

スターウォーズの製作に関われば、間違いなく数年間はそれにかかりきりになる。
最初の3部作製作時に、マーシャ・ルーカスとの夫婦関係が破たんし、離婚に至った過去もある。
ルーカスは子供との生活を最優先させるため、すべてを売却した。




<スターウォーズ1作目でルーカスが参考にした映画>
・意志の勝利(1934年)
ヒトラーの依頼でレニ監督が撮影した、ナチスドイツの宣伝色満載の作品。
ナチスのシルエットが、帝国軍の造形に影響を与えている。


・暁の出撃(1955年)
ドイツのダム破壊の軍事作戦の映画。
3機編隊で突入し、前衛の2機が防御に回り、後衛の1機が爆弾を投下する。デススター攻撃のモデル。


・633爆撃隊(1964年)
これもデススター攻撃の描写で参考にされた作品。


・真昼の決闘(1952年)
ゲイリークーパー演じる保安官のいでたちが、まさにハンソロ。


・用心棒(1961年)
映画の冒頭、三船敏郎がジェリー藤尾の腕を切り落とす場面は、
オビワンケノービが、ポンダバーバの腕を切り落とす場面の参考になった。
帝国の逆襲ではルークが、ジェダイの帰還ではベイダーが腕を切り落とされている。
クローンの攻撃ではアナキンが、シスの復讐ではドゥークー伯爵やメイスなど。
この腕切断がスターウォーズで好まれるのは、
①あきらかに勝負の決着がわかること
②物語をつぎの段階に移行させやすい
といった簡便さによる。
ちなみに用心棒は、ダシールハメットの小説「レッドハーベスト」を参考につくられたオリジナル作品。


以下その他参考とされた作品名を。
・椿三十郎(1962年)、ルークがトルーパーの捜索から逃れるシーン。
・デルスウザーラ(1975年)、タトゥイーンの2重太陽がが沈む様子をルークが見つめる有名なシーン。

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・頭上の敵機(1949年)、迫力ある空中戦。
・捜索者(1956年)、ルークが家に戻った際に、家が焼かれるシーン。




<ルーカスの才覚>
第1作製作時、ルーカスの英断として知られる2つ。

続編の権利の確保
グッズ商品化の権利確保

アメリカングラフィティ(1973年)の大ヒットで、大幅にギャラのアップが保障されていたにもかかわらず、
ルーカスはその額を据え置きにし、「続編の権利が欲しい」と言った。

ルーカスはスターウォーズの脚本執筆に3年を費やした。
それは1本の映画には多すぎる量になった。ルーカスは物語を3つに分割した。
撮影に入る前の段階で、彼はすでに3部作という構想をもっていたのだ。

生みの親であるルーカスは、この物語をどうしても映像化したいという願望をもつ。
もしヒットしなかったら、続編の製作にはゴーサインが出ない。それは絶対に避けたい。
ルーカスは「続編をつくるための資金源」とすべく、副収入となるグッズ商品化の権利にこだわった。




<帝国の逆襲、その衝撃のエンディング>
主人公ルークはベイダーとの対決に敗れ、そのうえ「私がお前の父だ」という衝撃告白をされ、
奈落の底に身を投げる。レイア姫は、ハンソロに惚れてしまうが、ハンソロはカーボン冷凍されてしまう。
反乱軍も秘密基地を追い出され、ほうほうの体で逃げ延びる。
まったくいい所なしで映画は終わる。

SF小説の巨匠アイザック・アシモフは、映画が終わった途端に立ち上がり、
「早く続きを見せろ!」と叫んだという。
しかし世界中のファンは、それから3年間待たされた。

なお帝国の逆襲から、オープニングにエピソード番号とサブタイトルが出るようになった。
「エピソード5 帝国の逆襲」といった具合だ。この時点ではシリーズは全9部作とアナウンスされた。



2016年公開の「スターウォーズ・ローグワン」の予告編をどうぞ。



(関連記事)
【映画『セッション』~デイミアン・チャゼル監督のインタビューが興味深い】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-05-02

【ポーン・サクリファイス(完全なるチェックメイト)原作本のあらすじ】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-04-13

【忘れられた巨人/カズオ・イシグロ/15年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-10-10

またね♪





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【職業としての小説家/村上春樹】海外で人気の理由は? [本/文学芸術]


職業としての小説家 (Switch library)

職業としての小説家 (Switch library)

  • 作者: 村上春樹
  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
  • 発売日: 2015/09/10
  • メディア: 単行本


【職業としての小説家/村上春樹/15年9月初版】
ウォールストリートジャーナルいわく、「文学的ロックスター」村上春樹。
50を超える言語に翻訳され、世界各国でベストセラーになってる。
総発行部数は、ググってもよくわかりませんが、いまは国内より海外での売上のほうが大きいと。
2010年末の時点で、「ノルウェーの森」は国内だけで1095万部突破。
上下巻、文庫合わせての数字です。
世界売上合計では、「ノルウェーの森」だけで2000万部を超えると思われます。


アメリカでは「1Q84」はNYタイムズのフィクションで2位、「色彩を持たない~」は1位を獲得
ロシアでは90年代半ばの時点で、村上作品がベストセラー10位の半分を占めたことがあったそうです。
ニューヨークを海外出版のハブにしたことが、ヨーロッパでの売上の伸びに繋がったと。

アジアの人気も凄い。
韓国では2005~2015年の最多販売作家が村上春樹で、400万部ぐらい売った。
ちなみに2位は「木」のベルナール。3位は韓国人作家。
中国でも「1Q84」は初版100万部。台湾では50万部・・・
これだけ売れると、発言がリベラルになるのはしようがないか^^;

今年は話題作が続きますよね。年末ぐらいに旅行記も出すそうです。
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文体が平易で翻訳しやすいのも、世界でウケる理由のひとつだとは思いますが、
彼自身が、ちゃんとアメリカで営業した、というのが成功の大きな要因です。

本書で詳細に語られてますが、最初は80年代後半に講談社アメリカがバックアップ。
ニューヨーカー誌が、羊をめぐる冒険を評価し、専属作家契約を結びます。
でもその段階は、まだカルト的人気。

「アメリカで作家として成功しようとしたら、アメリカのエージェントと契約し、
アメリカの大手出版社から本を出さないとむずかしい」と何人かのアメリカ人からアドバイスされ、
知り合いのつてを頼って自分でエージェントを探し、新しい出版社探しをします

エージェントは大手エージェンシーのICMのアマンダ・アーバン、
出版社はクノップフ(トップはサニー・メーター)、担当編集はゲーリー・フィスケットジョン。
米国文芸界のトップクラスの人たちです。

この3人はそのままレイモンド・カーヴァーのエージェントで、出版代表で、担当編集者。
村上春樹はレイモンドの翻訳者で、彼の作品を日本に紹介したというつながりがあります。

タイミング的にノルウェーの森が日本で200万セット売れてたし、
ニューヨーカー誌も高く評価したニューカマーだったことが、米国の大物を惹きつけたと。
この3人の出版人は、広いコネクションと、業界への確かな影響力があったそうです。

それからアメリカ作家と同じ土俵に立つために、
自分で翻訳者を見つけて個人的に翻訳してもらい、その翻訳を自分でチェックして、
その英訳された原稿をエージェントに持ち込み、出版社に売ってもらうという方法をとったそうです
そうしようとしたのは、アマンダに「英語で読めない作品は自分に扱えない」とはっきり言われたから。

アマンダ、サニー、ゲーリーとは個人的に親しくつきあい、よく一緒に飯を食ったりするそうです。
そういうのは、どこの国もおなじで、エージェントに丸投げだったら、動くものも動かないと。

アメリカも浪花節なんですね。
成功した人っていうのは、やらなければならないことは、ちゃんとやってる。
やらない人が成功しない。



ぼくが村上春樹を知ったのは、深夜放送のディスクジョッキーが絶賛してたからです。
「すごい作家がいる。価値観が似てて、これまでのどの作家とも違う。
こんなに自分にぴったりの作家ははじめてだ」

すぐに「風の歌を聴け」を読み、いらい彼の作品と共に人生を歩んでます。
当時中学生で、中学生にも簡単に読めて、それまでのどの日本人作家よりもクールだった。
今でいうところの、ラノベみたいなものか。

本読んで笑ったのは初めてでした。それだけで衝撃です。誰の文章とも違う。
もちろんウンチクというか、その価値観に感心するところもある。

それからというもの、村上春樹がいいという音楽やら酒やら、ファッションやら生き方やら、
いろんなものに影響されました。たぶん文体なんかも、そっくりになってると思う。
文体は多くの人が影響されてますよね^^

ぼくの好きな3作品。図書館で借りて読んだ後に、手元に欲しくて買った本。
寝る前に読むことが多いです。
DSC_0135.JPG

アンダーグラウンド (講談社文庫)

もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)

ポートレイト・イン・ジャズ (新潮文庫)



「職業としての小説家」は、村上春樹ファン必読です。
いろんな作品のメイキング風景も書かれてたりする。
たとえば「ノルウェーの森」。
ギリシャ各地のカフェのテーブルや、フェリーの座席や、空港の待合室や、
公園の日陰や、安ホテルの机で書いたそうです。
ローマの文房具店で買った安物のノートに、BICのボールペンで細かい字を書いた。


今回の要約読書メモは、以下の3点に絞りました。
・当時まったく新しかった衝撃の文体を、どうやって編み出したか。
・長編小説の書き方。
・1人称から3人称への変化。


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<村上春樹はどうやってあの文体を編み出したか>
「風の歌を聴け」は原稿用紙200枚弱の短い小説。
でも書き上げるまでに、ずいぶん時間がかかった。
最初に書き上げたものを読んでみると、自分でも感心しなかった。
そこで原稿用紙と万年筆を放棄した。

押し入れにしまっていた英文タイプライター「オリベッティ」を持ち出した。
小説の出だしを試しに英語で書いてみた。
英語の作文能力はたかがしれてる。センテンスは当然短いものになった。

英語では頭の中の複雑な思いは表現できない。
内容をできるだけシンプルな言葉で言い換え、意図をわかりやすくパラフレーズし、
描写から余分な贅肉をそぎ落とし、全体をコンパクトな形態にして、
制限のある容れ物に入れる段取りをつけていく。無骨な文章になってしまう。
そうやって書き進めていくうちに、自分なりの文章のリズムが生まれた。

そのときに発見したのは、言葉や表現の数が限られていても、
効果的に組み合わせることができれば、そのコンビネーションによって、
感情表現・意思表現はけっこううまくできる。

「何もむずかしい言葉を並べなくてもいいんだ」
「人を感心させるような美しい表現をしなくてもいいんだ」

外国語で書く効果の面白さを発見し、自分なりに文章を書くリズムを身につけると、
英文タイプライターを押し入れに戻し、もう一度原稿用紙と万年筆を引っ張り出した。

そして机に向かって、英語で書き上げた一章ぶんくらいの文章を、日本語に翻訳していった。
翻訳といっても直訳ではなく、自由な移植に近いもの。
するとそこには新しい日本語の文体が浮かび上がった。

それは自分自身の独自の文体で、自分の手で見つけた文体。
そのときに、こういう風に日本語を書けばいいんだと思った。

そうやって新しく獲得した文体を使って、既に書き上げていた「あまり面白くない」小説を、
頭から尻尾までそっくり書き直した。小説の筋そのものはだいたい同じで、
表現方法はまったく違う。それが今ある「風の歌を聴け」という作品。




<村上春樹の長編小説の書き方>
1日に400字詰原稿用紙にして、10枚見当で原稿を書いていく。
マックの画面でいうとだいたい2画面半。
もっと書きたくても10枚でやめ、今ひとつ乗らないときでもがんばって10枚書く。
長い仕事をするときは、規則性が大切な意味を持ってくるから。

1日10枚原稿を書けば、1か月で300枚書ける。半年で1800枚。
「海辺のカフカ」の第一稿が1800枚。

第一稿を終えると、1週間休んで、第1回目の書き直しに入る。
頭から全部ごりごり書き直す。その書き直しに1~2カ月かかる。
それが終わるとまた1週間置いて、3回目の書き直しに入る。

4回目の書き直しが終わると、一度長い休みをとる。半月か1か月ほど作品をしまい込む。
その間は旅行をしたり、翻訳の仕事をしたり。作品をしばらく寝かせる。
その後に再び細かい部部の徹底的な書き直しに入る。前に見えなかった欠点が見えてくる。

次に第三者の意見が必要になる。
奥さんに原稿を読ませる。作家としての最初から、この段階でずっと奥さんに読ませてる。
出版社の編集者はサラリーマン。どこまで親身につきあえるか予測が立たない。
妻は配置転換もなく、観測定点になる。

妻から言われたことは、すんなり受け入れられないこともある。
批判的なことを言われると、頭にくるし感情的になる。激しい言い合いになることもある。
編集者相手に、きつい物言いはできないので、身内の利点ともいえる。

奥さんの批評に納得するまで、数日を要することもある。
自分の思いのほうが正しいと思うこともある。
だけど個人的ルールとして、批評に納得がいかなくても、指摘を受けた部分は頭から書き直す。
書き直した部分をもう一度読んでもらい、また討論して必要があれば、また書き直す。
それを繰り返し、全体のトーンを修正し、そこで初めて編集者に正式に読んでもらう。

編集者の指摘があれば、また同じように修正を繰り返す。
つまり大事なのは、書き直すという行為そのものなのだ。




<1人称から3人称になるまで20年かかった>
1人称「僕」で小説を書き始め、そういう書き方を20年くらい続けた。
短編では3人称を使ったが、長編ではずっと「僕」でとおした。
1人称だけをもちいた長編小説は、「ねじまき鳥クロニクル」が最後になった。

さすがに「これがもう限界だな」と感じるところがあり、「海辺のカフカ」では半分を3人称の語りにした。
その後に書いた短編小説「東京奇譚集」、中編小説「アフターダーク」はどちらも、
最初から純粋な3人称小説になった。

短編や中編というフォーマットで、自分に3人称がしっかり使えることを確かめた。
1人称に別離を告げ、3人称だけを使って小説が書けるようになるまで、
デビュー以来ほぼ20年を要した。




なんのひねりもないですが、ノルウェーの森♪ やっぱ名曲♬




ラバー・ソウル

ラバー・ソウル

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
  • 発売日: 2009/09/09
  • メディア: CD




(関連記事)
【騎士団長殺し/村上春樹/17年2月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2017-03-25

【村上春樹翻訳ほとんど全仕事/村上春樹/17年3月初版】
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【図書館奇譚/村上春樹/14年11月25日初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-01-03

【色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹/13年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-05-18


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「名作裁判 あの犯人をどう裁く?」~''罪と罰/ドストエフスキー''のあらすじ [本/文学芸術]



(056)名作裁判 あの犯人をどう裁く? (ポプラ新書)

(056)名作裁判 あの犯人をどう裁く? (ポプラ新書)

  • 作者: 森 炎
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2015/03/03
  • メディア: 単行本


【名作裁判 あの犯人をどう裁く?/森炎/15年3月初版】

一粒で二度おいしい一冊。
名作のあらすじ(完全ネタバレ)&批評と、法律の知識が身につくという。

『元裁判官が徹底指南!
「罪と罰」「模倣犯」「羊たちの沈黙」「1Q84」「容疑者Xの献身」など、
犯罪をテーマにした名作文学や名作映画たち。
もしそこに登場する犯罪者たちが実際に逮捕されたとして、
あなたはその犯人がどのように裁かれ、どのような判決を受けるか、想像できますか?

本書では、誰もが名前くらいは聞いたことのある15の名作を題材に、
元裁判官が実際に犯人に判決を下していきます。
刑事裁判における罪の裁き方を知ると同時に、
人が人を裁くとはどういうことかを考えられる一冊です。』



ちょっと前、次男と白木屋で晩飯食ってるときに、この本の話しました。
(下宿してるけど遠くないので、たまに一緒に外食する)
それと「罪と罰」のところを少し読ませた。以下の感想。

・本書をネタにした講義があったら面白そう。
人文系の授業で、「文学部唯野教授/筒井康隆/1990年初版」を読み解くという講義があるそうで、
同じようにこの本をネタに、法学系の授業があったら面白そうと。

・法律家の書いた文章だけど読みやすい。
難解な「罪と罰」を、ものすごくわかりやすくまとめてる。



この本で取り上げている名作は以下の15作品。

・罪と罰/ドストエフスキー
・ウエストサイド物語/ロバートワイズ
・陽のあたる場所/ジョージスティーブンス
・異邦人/カミュ
・太陽がいっぱい/ルネクレマン
・死刑台のエレベーター/ルイマル
・勝手にしやがれ/ジャンリュックゴダール
・赤と黒/スタンダール
・ゴッドファーザー/」コッポラ
・俺たちに明日はない/アーサーペン
・羊たちの沈黙/ジョナサンデミ
・容疑者Xの献身/東野圭吾
・模倣犯/宮部みゆき
・悪人/吉田修一
・1Q84/村上春樹



かの有名な「罪と罰」のあらすじ要約と、本書での判決は以下。

ドストエフスキー
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『主人公ラスコーリニコフは、自分をほかの大勢の人々とは区別された存在(非凡人)であると考え、
その頭に描く理想的な自分と、貧しさゆえに大学を続けられなくなった実際の自分を比べて、
今の境遇から脱するために、金貸しの強欲な老婆を殺して金品を奪っても許される、
という論理を立てます。

非凡人が有害無益な者から金を奪ったとしても、それを社会のために役立てるなら、
むしろそれは有益であり正しいことであるはずだと。

ある暑い夏の夜、斧を隠し持って間借りしているアパートから金貸しの老婆の家に向かい、
さほど良心の呵責を覚えることもなしに、斧で老婆を惨殺します。

ところが犯行を終えたとたん、ラスコーリニコフは殺人の現実に苦しめられることになります。
頭では思想による「正しい殺人」を行ったはずでも、
斧で人を殺めた皮膚感覚と血のにおいからは、逃れることができません。
それと計算外に、殺人の現場にたまたま帰ってきた老婆の妹まで殺害してしまった。

混乱と苦悩の中にあって、ラスコーリニコフの非凡人の思想と殺人哲学は、容易に揺らぐことなく、
度重なる予審判事の追求からさえ、なんとか持ちこたえさせていました。
しかし、一人の貧しい少女ソーニャの生きざまを知ることで、その考えは大きく変化し崩れてゆきます。

自分の身を売って家族の生活を支えるソーニャ。しいたげられ、さげすまれ、
憐れまれるそんざいでしかないソーニャは、ラスコーリニコフに、
「なぜ殺される他人の痛みを感じ取れないのか」
「金貸しの老婆と私たちのどこが違うというのか」
と問います。そしてラスコーリニコフのために震えながら祈る。

その魂の震えに触れてラスコーリニコフは、過去にソーニャが自分の身を売る決意をした時に、
一度自分を殺したこと。しかし自分を完全に犠牲にすることで、よみがえったに違いないことを直感します。

そしてソーニャが他人を自分と共にある者として感じられるのは、
犠牲の痛みと復活の救いによるものであることを悟ります。

ここにおいて他人と自分を「凡人・非凡人」と区別し、
他者との共感を拒むラスコーリニコフの思想は敗れざるを得ません。
同時に、それまでソーニャのような者を救うべき対象とみていたラスコーリニコフは、
ソーニャによって救われることになったのです。

エピローグは、様々な葛藤の末に罪の十字架を背負うことを決意したラスコーリニコフが、
ソーニャから授けられた粗末な木の十字架を身につけて自首し、
金貸しの老婆とその妹を殺害した経緯をありのままに述べて最終幕を迎えます。
ラスコーリニコフは、懲役8年(シベリア送りの強制労働8年)の刑。
ソーニャは一緒に行きましょうとシベリアまでついていく。』

ここから本書は10pを使って、判決を検討します。
帝政ロシアでもこのような判決で終わるはずがない。
現在の日本だったら、二人殺害の強盗殺人となる。
わが国では約70%の確率で死刑になる。

30%の確率で無期懲役になっても、仮釈放が認められるまでの期間は30年を超えている。
(最近10年間の統計で)

ラスコーリニコフとソーニャが一緒に生活できる確率、30%で30年後。
55歳と50歳になっている。それでもソーニャはついて行くのかという。。。



いかがでしたでしょうか。文学に造詣が深い法律家にしか書けない、
創造性に溢れた一冊になっています。



その他の読書メモを。

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<スタンダールの赤と黒は元ネタがあった>
スタンダールが活躍していた時期に、フランスで実際に起きた事件をモデルにしている。
元神学生のベルテが教会でミシュー夫人を撃って重傷を負わせ、死刑になったベルテ事件。

貧しい鍛冶屋の息子ベルテが、町の有力者であるミシュー家に家庭教師として入って、
夫人と親密な中になったこと、そのためミシュー家を追い出されたこと、
ベルテはその後別の有力者の家に取り入って、そこの令嬢とも関係したことなど、
主要な状況はすべて小説のシチュエーションとして取り入れられた。
主人公が死刑になる結末も同じ。



<羊たちの沈黙も半ば実話に基づいていた>
アメリカで実際に起きた2つの事件をつなぎ合わせ、合体させて作られている。
1つは近代犯罪史上最多殺人と言われたヘンリー・ルー・ルーカスの事件。
ルーカスは推定360人殺し、起訴件数で9人殺しの快楽殺人犯。
彼は死刑判決を受けたが、FBIがその異常心理を探求して、
未解決殺人事件の犯罪捜査に用いようとしたため、死刑判決を免れ寿命をまっとうした。
FBIに助言を与える見返りに、ジョージ・ブッシュ(当時テキサス州知事)から死刑判決の延期を得た。
この姿がハンニバルレクター博士として描かれた。

もう1つはエド・ゲインの事件で、ゲインは羊たちの沈黙のバッファロービルと同じことを現実にやっていた。
ゲインの自宅の内部は、羊たちの沈黙で描かれたとおりになっていた。



<容疑者Xの献身は迷惑だった>
あの時点でXがなすべき献身は、母娘にすぐに自首してありのままを話すようアドバイスすることだった。
・過剰防衛が成立する。
・前夫のつきまといが遠因。
母娘は不処分で終わる可能性が高かった。
つきまといの前夫を殺した母親は、執行猶予がついて刑務所には行かないですむ。
中学生の娘は家庭裁判所の措置で不処分で終わる。

殺人罪の法定刑の下限は「懲役5年」。
執行猶予がつけられるのは、3年以下の刑。
したがって殺人事件には執行猶予はつけれない。

しかし別途同情すべき事情がある場合は、酌量減刑という措置ができると定められている。
酌量減刑をした場合、法定刑の下限は半分にまで下がる。
そのため殺人事件でも酌量減刑をすれば、執行猶予をつけることが可能になる。



ハイロウズで「罪と罰」♪ テンション高いときにカラオケで歌う曲♪



次男が薦めるので読んでみました。さすが筒井康隆。まれにみる傑作本。
今年読んだ本では一番面白かった。25年前の本だけど今読んでもめちゃくちゃ面白い!

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

文学部唯野教授 (岩波現代文庫―文芸)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/01/14
  • メディア: 文庫



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ぼくの交遊録的読書術/嵐山光三郎~書評とは何か [本/文学芸術]



ぼくの交遊録的読書術

ぼくの交遊録的読書術

  • 作者: 嵐山光三郎
  • 出版社/メーカー: 新講社
  • 発売日: 2015/02/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【ぼくの交遊録的読書術/嵐山光三郎/15年2月】

嵐山光三郎の書評集。
過去の「週刊朝日」連載の書評関連記事、文庫や書籍に寄せた解説文からセレクトし、加筆したもの。

新刊の読書術やら書評集なんかが出たら、つい読んでしまう。
プロの書評レベルって、どんなものなのかと。

嵐山光三郎のことはほとんど知らないけど、
むかしよくテレビに出てたタレントで、とても好印象の人だった。
新卒で平凡社の編集を経て独立。以降は作家、エッセイスト、書評家として活躍。

ボツ本にするつもりだったのですが、
書評に関する一家言がおもしろかったので、読書メモを。



・日本で原稿料だけで生活してる人は100人前後。
作家の多くは教師、講師、編集者等さまざまな仕事と兼業している。

・売れるのは数万冊のうち1冊。

・書評はそのほとんどが新刊紹介。

・嵐山光三郎は週刊誌の書評ページ等で、年間30編x35年=1000編以上書評を書いた。

・週刊誌の書評は1回に800字が目安。

・内容を簡単に紹介して読みどころをおさえつつ、読者の興味を刺激する。

・新刊書評は、読んだ人がすぐその足で書店に買いにいきたいと思わせなくてはいけない。

・書評がキャバレーの呼び込みと似てるのは、
客の耳元で低い声で「お客さんいい子いますよ」とささやくことである。
声高になると客は敬遠する。

dc3b3e67[1].gif

・本は生まれたての子のようなもので、本をけなされると人格を全否定された気になって、
怒りはおさまらず、生涯の敵になる。書評は恐ろしい行為である。

・読売新聞の書評委員は、大学教授、文芸評論家、作家、詩人、科学者などの、
各界の専門家で構成され、月に1回読売新聞社の会議室に集まる。
会議室には1か月分の新刊が山とつまれ、テーブルを順番に廻ってくる。
その中で書評でとりあげたい本を1、2冊申告する。
同じ著者の本は1年1回というルールや、取り上げる本に関する意見が出たりするので、
そういった調整をするための会議であった。

・書評の原稿料は安く、時間をとられる。書評だけではもちろん生活できない。

・ではなぜ書評するのか。読売新聞の書評は権威だった。
書評欄に取り上げると、小出版社ほど予想以上に喜ぶ。

・週刊現代の書評連載時は、編集者から毎日段ボールで新刊本が届いた。
「乞御高評」や「謹呈 著者」の献本がやたらと送られてくる。

・書評が出た、ということだけで筆者も版元も湧き立つ。
中にはひとつの書評も出ずに、初版でわびしく去っていく本もある。



なるほどねぇ。読んで思ったことは3つ。

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まず1つ目は文字数の事。

800字が目安ですか。自分のブログ記事は何文字書いてるかわからない。数えた事もなかった^^;
ぼくはオープンオフィスの「Writer」で書いてます(フリーソフト)。

記事はできるだけ、3~5個はストックするようにしてる。
今ストックしてる記事4つの文字数をカウントしてみました。
「Writer」の文字数カウント方法は、ツール⇒文字カウントで簡単に出ました。
だいたい2000~4000文字/1記事ぐらい。ちなみにこの記事は3679文字。

一般的な書評からすると、長文すぎるかもしれません。



2つ目、僕のサイトは書評じゃなかった。

嵐山氏の本を読んでわかったこと。書評って本を売るためなんですね。
「本を聴く日々」は読書メモです。目的が違うので書評とは言えない。

新聞の書評欄は好きでした。1年ほど前に新聞止めたので最近は読んでません。
この前読んだ本に書いてましたが、もう2人に1人は新聞を読んでません。
影響力は徐々に落ちてくるんだろうなぁ。

「ここのサイト」によると、
若年層の新聞購読率は惨憺たるものになってます。
10代……3.6% 
20代……9.2%
30代……25.3%
40代……34.6%
50代……51.0%
60代……58.7%

「ここのサイト」によると、
本は20代、30代がたくさん買ってると思われる。自分が本を買ってたのも20~30代だった。
新聞の書評欄は、ターゲット層にリーチできてない。

書評欄を読んでて思うのは、「こんな本があるんだ」ということだけです。
有用な情報が書かれてない。寸止め生ごろしです。買って読めということ。
もうちょっとサービスしてくれてもいいと思うけど。

最近は、多くの読書サイトが内容のまとめ紹介をしています。
その中には、1つの記事に1つ以上有用な情報が書かれてるサイトもある。
新聞書評読むんだったら、そういうサイトのほうがサービスがいい。

こんな本があるんだというのは、「ここのような」新刊情報サイトを見てたら十分かと。


一番いいのは、本屋に寄って読みたい本を探すことです。
視覚から入ってくる情報量が、圧倒的に違う。

忙しい人はなかなか本屋に行けないと思うけど、
読みたい本を自分で探し歩く時間は、とても楽しい時間です。



3つ目、ライターはまったく食えない。

「ここのサイト」によると、800文字100円だそうです。
仕事としてサイト運営してる人たちが、クラウドワークスやランサーなどに外注記事作成を頼むと、
800文字で100円。在宅ライターさん(おもに主婦)がいて、記事を納品してくれるそうです。
クラウドソーシング会社っていうのは、派遣屋みたいに中抜き商売なんでしょうね。

作家が食えないという以前に、テキストに価値がなくなったのでしょう。
音楽や動画もそうですが、タダで面白いものがネットにゴロゴロ転がってる。

ふと自分のブログ文字数でカウントすると、1記事300円として、1か月2400円の文字数です。
う~ん、在宅ライター搾取されすぎ。ああ野麦峠・・・

どうせ書くなら自分でブログやったほうが、数倍リターンがあります。

アドセンスとアマゾンの合わせ技で、ソネブロだったら1日1000人の訪問者を集めると、
CTR1%のサイトなら、1か月で諭吉さん前後にはなります。
2000人なら諭吉2人、500人なら一葉1人。基本的に比例します。

CTR(クリック率)は、広告配置とテーマに左右されます。
広告配置は僕と同じにすれば大丈夫でしょう。
(ソネブロだったらこの配置がベストか。配置のトレンドはよく変わるので研究が必要)
テーマは、ITリテラシーの高い人が集まるものは、CTRが低くなると言われます。
これはテーマを変えたことがないので、僕には違いがわかりません。


在宅ライターするなら、自分でブログやったほうがいいと思う。
人が集まってきて、自分が興味を持てるテーマを探すこと、
そのマッチングが一番難しいとは思いますが。




あなたを愛してるという本なら書ける♪
それを読んだら世界中の人が発見するだろう♪
友達を恋人に変える方法を♪


そんな本読んでみたいですね^^
I Could Write a Book♪ マイルスデイビスのリラクシンで最初に聴きましたが、トニーベネットで。




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