村上春樹翻訳ライブラリー - 冬の夢

  • 作者: フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【冬の夢/スコットフィッツジェラルド・村上春樹訳/09年11月初版】

1920年から1925年にかけて、スコットフィッツジェラルドが書いて発表した短編小説。

1929年に大恐慌がおこりますから、バブル前の日本のような様相で、
「永遠の繁栄」と言われ、世界の富の半分がアメリカに集中していました。

フィッツジェラルド、24歳から29歳にかけての作品で、人気作家絶頂の時代です。

作者の人生を以下に(簡単ですが)
・まず裕福な家庭でうまれる
・プリンストン大学
・陸軍(内地勤務で除隊)
・広告代理店入社
・アラバマ・ジョージアの2州に並ぶ者無き美女ゼルダと婚約
・婚約破棄(金持ちじゃないと嫌という理由)
・退社し、実家で小説家を目指す
・流行作家になる
・ゼルダと結婚
・ゼルダは奔放に遊びまわる。パーティ漬けの毎日
・娘が生まれる
・ゼルダが統合失調症発祥
・作者もアルコール依存
・44歳でアパートで心臓麻痺で死亡
・ゼルダは入所していた療養施設の火災で死亡

この人の作品は、金ぴかの青春小説だけど影があり、
なんというか、胸がきゅんとなります。
彼の人生を投影しているような気がします。
滅びの美学を感じる。


本作は「若き日の名作集」で、村上春樹は「晩年の名作集」も今後出す予定だそうです。
晩年といっても30後半から44歳までですが。

「意識というものを創り出した神様の罪は重い」
人間は動物と違い、本能だけでなく、自我(意識)がありますからね~。
この人が言うと、つらかったんだろうなと、こちらまで沈思です。

ちなみにジャズエイジの象徴のフィッツジェラルドは、
今度映画になりますが、ゼルダの役はキーラナイトレイです。
ブライアン・アダムスのHave You Ever Really Loved a Woman をバックに、キーラの映像をどうぞ。




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