夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/04
  • メディア: 文庫


【夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹インタビュー集/10年9月初版】

ぼくが中学の頃けっこう尊敬していたローカルラジオのDJが、「風の歌を聴け」を絶賛していました。
ようやく同じ感覚をもった小説家があらわれたと。

それはすぐに買わなくちゃ~と、読んで以来の春樹ファンです。
かれの小説は、ストーリーはもうひとつなのですが、その口語体のPOPな文体に魅了されます。

異界と現世を行き来するオブセッションな世界には、それほど魅力を感じませんが、
ユーモアや比喩表現のセンス、文学、音楽に関する博識が、たまらなく魅力的です。
ストイックで、文壇にも群れない、ハードボイルドを感じさせる私生活にも魅了されます。



今回のインタビュー集は539pの読みごたえのある本です。
インタビュー嫌いの彼は、活字媒体のインタビューだけに応えるようですが、
12年間で18回のインタビューに応えています。そのうち海外のインタビューが12回です。
文学を評論したり、興味のあることや、私生活について語りつくしています。
彼の創作スタイルについてもオープンに回答しています。

しかしどこの国のインタビュアーも同じようなことを、聞いてくるもんですね。
人の興味はだいたい同じようなものか。。


以下こころに残った部分を。

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人の精神というのは、地表の部分を高くしようとすればするほど、
地下の部分も同じだけ呼応して深くなるわけです。
つまり人が善を目指そうとすれば、悪というのは補償作用として必ずその人の中で、
同じぶん伸びていきます。

⇒そうなのか。。感覚的にはわかるけど理解はできない。




アーノルドシェーンベルグいわく
「音楽というのは楽譜で観念として読むものだ。実際の音は邪魔だ」

⇒音楽的才能にあふれた人は、そんなものなのかな。。凡人にはわかりません。




レイモンドカヴァーは、紅茶ばかり飲んでどこか落ち着かない感じがありました。
アディクションというか、何かにひっきりなしに結びついていないと落ち着かない。
それに加えてどうも愛情に対するアディクションみたいなものもあったみたいです。
人なつっこいというか、わりに人に強くくっついてしまうところがあります。

⇒ぼくにもそういう部分あります。あなたにもありませんか?




お金で買うことのできるもっとも素晴らしいものは、時間と自由である、
というのが僕の昔から変わらない信念です。

⇒若いときはそれがあるけどお金が無い。年をとると逆になりますよね。




人間の存在というのは二階建ての家だと僕は思ってるわけです。
一階は人がみんなで集まってごはん食べたり、テレビ見たり、話したりするところです。
二階は個室や寝室があって、そこに行って一人になって本読んだり、一人で音楽聴いたりする。

そして、地下室というのがあって、ここは特別な場所でいろんなものが置いてある。
日常的に使うことはないけれど、ときどき入っていって、なんかぼんやりしたりするんだけど、
その地下室の下にはまた別の地下室があるというのが僕の意見なんです。
それは非常に特殊な扉があってわかりにくいので普通はなかなか入れないし、
入らないで終わってしまう人もいる。

⇒一階が五感、二階が意識の部分、地下室が心理学では無意識、仏教では末那識。
地下二階は心理学では集合的無意識、仏教では阿頼耶識。ということをわかりやすく言ったのでしょう。
村上春樹は、意識してユングは読まないようにしてるそうです。
河合隼雄とはバカ話しかしないとか言ってました。

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