舟を編む

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/09/17
  • メディア: 単行本


【舟を編む/三浦しをん/11年9月初版】
紙の辞書の売上は98年の1200万部から、2008年には700万部まで減ってるそうです。一方でその間電子辞書は200万台売上を伸ばしています。減少した300万部は、無料検索に流れてるということでしょうか。国語辞典の代名詞の「広辞苑」は2008年に10年ぶりに改訂し、紙で34万部、DVD8500本も売れたようです。新語収集は2~3人で5年かけて、編集担当者は15人、各分野ごとの校閲の先生は165人、構成作業は20人で途中から編集も加わる。「舟を編む」と比べると、大掛かりな体制です。1冊8400円(DVDは10500円)なので約30億円の売上です。

従来のカネの配分割合、作者:10%、出版社:60%、取次:8%、書店:22%とすると、18億円が岩波の取り分でしょうか。広辞苑のような(中身は他の辞書の方がいいという声も多い)ブランドになれば、10年弱に1回改訂し、大掛かりな広告を仕掛けると、ちゃんとしたビジネスになるのでしょう。

みなさんは国語辞典をどんな時に引きますか?だいたい文章を書くときなので、サラリーマンの方ならEメールやレポートを書いたりするときに引くと思います。頭に浮かんだ語彙を、この使い方で良かったかなと確認したり。

いまはグーグルで検索してます。辞書を引かなくなった。だいたいデジタル大辞林とかgoo辞書とかがページの上のほうに出てきて、さっと確認して終わり。会社の同僚が国語辞典を手元において、それをいまだに引きながら文章を書いてます。「グーグルで検索したらエエヤン」と言っても、「アホですから、これが慣れてるし」と。むかしは国語辞典を引きながら文章を書くというのは、ある種の美徳のようにも思えましたが、いまはなんとなくアナログの象徴かもしれません。

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「舟を編む」は2012年本屋大賞。松田龍平主演でのヒット映画。読むつもりがなかったのですが、あまりに売れてるので一度読んでおこうと思い図書館予約。1年近く待ったような気がします^^;

259pで約3~4時間ほどで読めます。テンポがいいし、クスッとさせる部分も多い。何よりさすがに本屋大賞作品。皆がいいというものは、やっぱり面白いです。休前日の夜の11時すぎから読み始めて、夜中の3時に読み終わりました。途中でおけないぐらい面白かった。これはぜひ映画も借りて見てみたいです。

この本の以下の部分から、20年以上前に読んだ司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を、もう一度読みたくなりました。

『項羽は敵にまわりを囲まれた際、恋人である虞美人との別れを惜しんで、こう詠った。「虞や、虞や、若を奈何せん(虞よ、虞よ、きみをどうしたらいいんだ)」いまこの場で、愛する人をいっそ自分の手にかけるべきか、より過酷な運命が待ち受けているかもしれなくとも、命を長らえてくれることを願って手放すべきなのか。極限の状況下で、愛ゆえに激しく思い乱れる男。心打たれる詩だ』

四面楚歌の究極の選択です。雑兵に陵辱される可能性やら、よくて敵軍の高位な人物の側室。自分が項羽や虞の立場に追い込まれたら、どうするか。結局、虞美人は○○しましたが。。






広辞苑 第六版 DVD-ROM版 (<DVDーROM>(HY版))

  • 作者: 新村 出
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/01/11
  • メディア: 大型本



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