<グレングールド/青柳いずみこ/11年7月初版>
もっとも人気のある(定性的ですが)ピアニストは誰でしょう?
アルゲリッチかポリーニか、リヒテルかホロビッツかルービンシュタインか。

たぶんアイコンの域までいってるのはグールドなんでしょう。
書物も一番たくさん出てるし、タワレコ行っても扱いが違うし。
ハンニバルレクター博士がゴルトベルクを愛聴したり、
坂本龍一もブラームスの間奏曲集をお気に入りだったり。

大きなコンクール歴のないグールドがなぜセンセーショナルなデビューができたのか。
ニューヨークで行った自主リサイタルでコロンビアの重役が聞きにきていて、
とても気に入って契約を結べたから。

現代のようにピアニストが飽和してる状態ではなく、
需要にたいして不足していた時代のようです。

コロンビアのオッペンハイムが誰かいいピアニストがいないか、
ヴァイオリン奏者のシュナイダーに質問したところ、
54年に音楽祭で共演していたグールドを推薦し、リサイタルを聴きにいって感動しました。

また55年はレコード業界の商革新があり、前年比30%売り上げが伸びた年でもあります。
通信販売に大手のコロンビアも乗り出し、1年もたたないうちに40万人も会員が増えた。
新規会員は、広告に出てるジャケットから好きなものを4枚まで無料で提供されました。
そのなかにゴルトベルク55年版も入っていた。幸運も重なりました。

ルイアームストロングを抜き1位になったグレングールドは、
ヴォーグ、ライフ等の一般紙で写真入りで紹介され、
バーンスタインの言うところの「グールドより美しいものを見たことがない」
という美形も相まって、時代の寵児となりました。

著者の青柳いずみこは、30年のコンサート歴と9枚のCDをだしているピアニストであり、
東京芸大でドビュッシーの論文で博士号を取得してる文筆家でもあります。
ピアニストという立場からのグールド論、楽曲評がおもしろく、知的な文章に好感ももてます。
グールドの透明感と相性がぴったりの1冊に仕上がっています。


現代版 魔女の鉄槌

  • 作者: 苫米地英人
  • 出版社/メーカー: フォレスト出版
  • 発売日: 2011/06/22
  • メディア: 単行本










<現代版 魔女の鉄槌/苫米地英人/11年6月初版>
世界3大発明とはなんでしょうか。活版印刷、火薬、羅針盤だそうです。
いわれてみれば、マスコミ、武器、大航海とそれにより文明が大きく進展したものばかりですね。

コンスタンティヌス大帝の時代には、
テレビやラジオ、活版印刷の本のようなマスコミがありませんから、
唯一の大衆洗脳手段は宗教者の教導でした。
権力者と宗教は互いに結びつき関係は長く続きます。

教会は腐敗し、15世紀には現世の悪事が金銭によって許されるという免罪符まで登場し、
宗教改革へ繋がっていきます。

魔女狩とは、教会と権力が結んで、自分たちに害を与えるものを排除する仕組みです。
犠牲者は900万人とする説もあり、15世紀の「魔女の鉄槌」は、
新技術の印刷による大量複製によりベストセラーとなり、魔女狩に大きな影響を与えました。

この本は権力者サイドの情報統制(電通のB層戦略)による今回の原発問題の進展を、
現代の魔女狩と位置づけて解説していきます。

著者ベッチーの結論としては、権力者側(世界&日本)が原発を推進してるので、
しばらくすると日本も原発推進に戻るとのこと。さてどうなるものでしょうか。。

デフレの終わり 2012年に「千載一遇」の買い場がくる

  • 作者: 若林 栄四
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


<デフレの終わり/若林栄四/11年7月初版>
「ファンダメンタルズが相場を決定する」
「市場参加者の需給バランスによって相場は動く」
おそらくこの二つのいずれかの立場から、相場を語っている人が大半のなか、
著者の結論は相場は勝手に動くと。
サイクル分析や黄金分割理論から、今後のマーケット予測を具体的に解き明かします。


(日本経済)
・2012年2月に1ドル=74円の円高をピークに円安局面となる。
・本格的な円安トレンドの到来で物価もインフレ基調になり、
 日本経済の回復への期待感から株価も上昇トレンドに入っていく。
・2012年10月に日経平均は1万2千円程度に上昇。
・2013年10月9000円に向けて再び下落基調。ここが逆三尊の最後の安値
・ここから、20年続いたベアマーケットからブルマーケットへ転換。長期上昇局面へ。

(ドル)
・2012年2月以降、長期のドル高局面へ調整を繰り返しながら進む。
 2025年に180円までいく可能性あり。

(ユーロ)
・対ドルは2012年2月に1.5超えをピークとしてダウントレンドへ。
 2026年にユーロ消滅か上昇局面へ。ユーロ/円は円のほうが安い。

金や米国債、米株価、豪ドル等ほかにも大胆な予想をしています。
読後感がさわやかなのは、今後の日本経済を明るく見せてくれたからだと思います。

モーツアルト嫌いのグールドは、それを証明するためにソナタ集を録音したと言っていますが、
青柳いずみこは、「このようにK331を演奏できる人がモーツアルトを嫌いなわけがない」
と言い切っています。この爽快感、ぼくもそう思います。


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