完全いじめ撃退マニュアル

  • 作者: 平塚 俊樹
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/09/24
  • メディア: 単行本


【完全いじめ撃退マニュアル/平塚俊樹/12年10月初版】
どうしていじめ報道には、大きく心が揺さぶられるのでしょう。世に巨悪はたくさんありますが、いじめほど怒りがこみ上げて来るものは少ない。僕だけじゃなくて、大津の事件では多くの人が怒りに震え、加害者を徹底的に糾弾しました。いつ自分が被害者の立場になるかもしれないという恐怖感があるからでしょうか…。

現在進行形のいじめの確率は、小学校で3.6%、中学校で2%だそうです。前にいじめられた経験があるのも含めると、小学校で17%、中学校で12%です。ほぼクラスに1人は、いじめられている子がいると思ってもいいでしょう。

データからすると、必ずおこるいじめ。むかしも今も一定確率で出現するいじめは、防ぎようがないのかもしれません。あのテイラースイフトでさえいじめにあったと言ってました。「カントリーミュージックが祖父の影響で好き」という理由が主因だったようです。

もし今いじめに苦しんでいるあなたが、検索でこのページにたどり着いたなら、図書館でこの本を購入してもらって、一読されることをお薦めします。対応策が書かれています。お父さんやお母さんが助けてくれる環境になくても、まずは以下の公的機関に電話相談することから始めてください。自分で一歩をふみ出さないと何も改善しません。

子供の人権110番(フリーダイヤル、電話代はタダです)
0120-007-110
学校におけるいじめや児童虐待など、子供をめぐる人権問題を専門に扱い、子供からのSOSをいち早くキャッチし、解決に導くための電話相談。法務局・地方法務局の本局につながっている。


以下に読書メモを。


<未成年の自殺者データ>

年度   5-19歳自殺者数   5-19歳人口     5-19歳自殺率
1990   428名           2590万人       0.00165%
1995   489名           2240万人       0.00218%
2000   547名           1992万人       0.00274%
2005   556名           1841万人       0.00302%
2008   566名           1774万人       0.00319%
2010   514名           1746万人       0.00294%
(出展:総務省)

毎年多くの未成年者が自殺している。大津の事件が氷山の一角と言われるも頷ける。文科省によればいじめが原因と思われるケースは、年平均でわずか4~5名とのこと。

⇒そんなわけないでしょ文科省。自殺の原因は、ほとんどいじめだと思うのですが…。 絶対にいじめで死なないでください。生きていればやり直すチャンスはあります。 いつかきっと誰かがあなたを応援してくれます。




<親の6割はいじめに気づいていない>
いじめられた子供は、プライドと恥ずかしさ、そして恐怖心から、親にも友達にもいじめの事実を決して明かさない。ただ一人、心の中に苦しみと悩みを蓄積しながらじっと耐え続け、耐えきれなくなったときに自らの命を絶つのだ。子を助けることができなかった親は、死ぬまで自らを責め続けることになる。ちなみにいじめられている子供の親の6割は、その事実にまったく気づいてない。


(広告)





<いじめ対策マニュアル>
・まず学校を休ませる。学校は命をかけてまで行くところではない。

・証拠を集める。ICレコーダや動画撮影、調査会社など。

・あつめた証拠を活用する。担任、校長、教育委員会はセオリーだがあまり当てにならない。

・法務局人権擁護部に持ち込む。相談したい場合は全国の地方法務局人権擁護部に相談する。 人権擁護委員とは法務省所轄のボランティア組織で、人権侵害問題を解決している民間人。 毎日多くの人権相談が持ち込まれているので、証拠を揃えわかりやすく説明をする事。

 法務局は学校へ立ち入り調査に入る。公的機関が調査に入れば学校側はビビリまくる。 著者の経験上ここまでいけば、学校サイドは間違いなく犯人を差し出してくる。 彼らの行動原理は保身なので、自分の身が危うくなれば「こいつが犯人です」となる。

・警察への被害届は証拠不足でたいてい受理されない。証拠を警察が集めるのは現実的には 無理がある。警察は殺人や強盗に手一杯だ。事件化できないのに受理すると検挙率が下がる という大人の事情もある。また原則論をいえば被害届とは警察への報告のようなもので、 受理した警察が捜査に動くか約束されているわけでもない。警察には被害届より最初は 防犯相談という形をとるほうがよい。

 誤解してる人が多いが、警察は「法的機関」ではなくて「捜査機関」だ。被害届というのは 法的手段であって、実は警察には権限がなにもない。受理したら検察へおくるだけが仕事。

 そのため法的手続きである届けのやり方に、警察はあれこれアドバイスしない。防犯相談や 少年相談は警察の領分であるので、相談にのってくれる。いじめの証拠を集めたら、相談 という形で警察へ持ち込み、アドバイスを受けて足りないものを補足し、「OKですよ」と なってから被害届を出すのが、少年事件で警察を頼る場合の一番いい方法。

・弁護士は証拠集めのプロではないし、民事で加害者から慰謝料をもらってもかえって事態が 悪化する場合が多い。

・案外抜けるのが被害者の心のケア。「死にたい」と悩む児童の衝動をまず落ち着かせるのが最優先。まずは緊急避難、学校を休ませて児童の心のケア、このことを肝に銘じる。

 
 

<調査費用>
お父さんが会社を休んで尾行など証拠集めをするのは、現実的ではない。調査会社に頼むとだいたい30~40万円かかる。調査会社は1人ではなく、通常2~3人で手分けして調査を行なう。一般に調査員1名の時間料金が7千円~1万円前後で、仮に登下校の尾行記録を2~3人にやってもらうと、1日の経費が6~8万円。仮に1週間(5日間)を依頼すれば30~40万円となる。調査会社は現在全国に2~3千社あるといわれる。




<賠償額>
ネット掲示板やブログ、動画サイトを使った告発の場合は、名誉毀損で訴えられる場合もあるが、その費用はせいぜい十数万円程度。子供の救出を考えれば安い経費とわりきる。




<教育委員会とは>
まるで機能してない。橋下市長の言うように「廃止すべきだ」という不要論まで出ている。

日本に教育委員会を設置したのは戦後のGHQである。アメリカは日本の問題は軍国主義を教育に持ち込んだ点にあったと考えた。アメリカは日本の国家から教育権を剥奪し、代わりにアメリカのように教育委員会を作り、そこに独立した教育権を与えた。このため実は今でも文科省には直接の教育権はないということになっている。

日本中すべての自治体に教育委員会がある。基本的な組織の仕組みは、市町村長が民間人から5人の「教育委員」を選び、この委員たちが町の教育政策すべてを決めることになっている。ただしそこには膨大な事務仕事があり、事務方として役所職員や学校の教職員が出向という形で派遣されている。

そもそも教育委員とは単なる名誉職で報酬がない。それで補佐すべき事務方の職員がいつのまにか中心になり、主人公の教育委員はお飾りになった。つまり教育委員会を実際に運営しているのは、学校や自治体から出向してくる公務員たちだ。

何が問題なのか。出向してきた職員らにとって、学校や役所は自分の本籍の職場だ。出向期間が終われば再びもとの職場に戻る。教師や職員には顔見知りが多い。そんな関係だから学校で問題が起こっても、厳しい態度で責任追求することができない。指導や処分を下すどころか、ときには隠蔽工作を一緒に手伝うこともある。仲間を助けることと、自分の責任回避のために、彼らは隠そうとするのだ。

ちなみに教育長は多くの自治体では、地元の元校長や役所のOBから選んでいる。ボーナスも含めた年間報酬は1千万円~1千5百万円が相場。定年後の余白を埋めるには、実においしい仕事である。

つまるところ、学校と教育委員会、市町村役場は表向きの組織は別であるが、実際には人の移動を通し、三位一体となって密接に結ばれているのだ。




テイラースイフトでMEAN♪日本語訳付きです。
いじめっこを徹底的に批判する歌です。彼女の人気はこんな歌からくるんでしょうね。





(広告)