日本経済は、中国がなくてもまったく心配ない (WAC BOOK)

  • 作者: 三橋 貴明
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2013/03/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【日本経済は中国がなくてもまったく心配ない/三橋貴明/13年3月初版】
中国はどうなるのでしょう。資源価格の推移には中国の動向が大きく影響します。商社のレポートなんかを日々見ていると、各国の統計データやニュースを元に価格が上下するのですが、結構中国発というのが多いんですよね。

たとえば鉄鉱石価格。世界の粗鋼生産量は年間15億トンぐらいですが、半分近い7億トンを中国が占めてます。この前も春節前にスポット価格が中国で上がったので、4~6月の3大サプライヤーの価格は上げです。やれやれ…

ある程度マクロの動きを頭に入れておかないと、物事の理解がプアなものになるので、そういう意味では重宝しています、三橋貴明のマクロ本。この本なんか45のトピックを2pずつにまとめています。左pにグラフや図解、右pに解説本文。おぉ、なんかサラリーマンの各種会議体での上役への報告資料みたいだ。

個人的には日々三橋貴明の発信情報はフォローしてるので、新味は少なかったですが、これから業務で中国ウォッチャーにならないといけない人なんかには、わずか100pほどでコンパクトに今の中国の状況が理解できます。

ただ現実の世界は、わりと中庸的なところに落ち着いたりします。2008年ごろの三橋氏の「ヤバ韓」のときは、そこまでドラスティックな結果にならなかった。あれを読んで結構それなりの手を打って奔走したんですが。ま、何もおこらなくて被害が無くよかったです。それぞれの立場で、参考意見として頭にいれておくのがいいかと思います。

以下に読書メモを。








<中国の統計数字は捏造>
2012年の中国国家統計局が発表した名目GDPは、約733兆円。ところが中国に31ある省クラスの地方行政区がそれぞれ発表した域内GDPの合計額は、約819兆円。その差86兆円、12%も乖離がある。日本では都道府県のGDPを合計すれば、当然日本のGDPと合致する。共産独裁国では目標数字は当然達成されるべきもので、各省の官僚たちが平然と水増ししているのだ。

⇒こんなもんでGDPの成長率8%(保八)とか言われても、信用できないですよね。

<日本の対中投資はそれほど多くない>
対中投資額は日本のGDP比で1%強に相当する。「年収500万円の人が、5万円で買った株」みたいなもの。ちなみに日本からの直接投資額の国別比較をすると、アメリカは中国の4倍、西欧は約3倍、タイは約半分ぐらい。(2011年JETRO)


<ストライキは日本企業狙い撃ち>
外資系企業での賃上げを要求するストライキが頻発していたが、特に狙い撃ちされたのが日本と台湾資本の工場で、3ヶ月ほどの間に40社以上でストライキが発生したと。そのうち7割が日系企業だった。


<最悪のチャイナリスク中国民事訴訟法231条>
国外に出られなくする人権無視の法律。外国人であっても「法律文書に定めた義務を履行しない」ことを理由に、中国政府が出国制限することができる。国際人権A規約には出国の自由が含まれているが、規約を完全に無視した法律が、中国では当たり前のように適用されている。


<中国は世界で最も貧しい国になる>
「20年後中国は世界で最も貧しい国になる」とヒラリークリントン国務長官は12年7月に述べた。その根拠として「中国富裕層の海外逃亡」を挙げ、移民申請の状況から官僚家族の9割と富豪の8割がすでに移民申請を出したか、またはその意向あると説明している。彼らは自分の国に未来がないことを理解している。後に残されるのは、膨れ上がった不良債権と、破壊され尽くした環境、どこへも逃げられない貧困層だ。


<自国内で植民地化された中国>
特権階級が自国内で人民を相手に「植民地支配」している。そもそも共産体制化では中国人民には「主権」というもの自体がなく、人民の人権や生存権を政府が守るという発想すらない。大戦前の欧米列強の植民地支配には罪の意識はまったくなかったが、今の中国の特権階級も同じだ。


<2億3000万人の流動人口>
流動人口とは、生活基盤を持たず働くために住居を転々としている人々であり、その多くは農村から出てきた出稼ぎ労働者、農民工だ。公共事業投資や不動産投資が過熱していた時期は、多くの農民工が労働力として吸収されていたが、輸出業の停滞、公共事業の減少、不動産バブルの終焉で彼らの仕事は失われつつある。若者の多くはいわゆる「農民工2世」で、農民戸籍でありながら戸籍のない都市部で生まれ育っているため、農作業など一切知らず帰る場所がない。現実的に食べていけないのであれば、追い詰められた彼らがいつ暴動に走ってもおかしくはない。


<ラストエンペラー>
中国国内の知識人の間では、習近平を「ラストエンペラー」と呼んでいるそうだ。彼が受け継いだのは長老たちが回復不可能な段階まで破壊しつくし、搾取し尽した後の中国で、ツケを払うために受け継いだようなもの。不動産バブルの後始末、暴動寸前の貧困層、上がり始めた失業率、環境問題。課題は山積みだ。

共産党も一枚岩ではない。団派(中国共産主義青年団派)、中国共産党高級幹部の子弟グループである太子党、上海閥が激しい権力争いを繰り広げている。

胡錦濤、温家宝は団派で、習近平は上海閥。上海閥が太子党と連携して団派を追い落とした構図になっている。太子党の薄熙来が失脚したことによって、団派に対抗して既得権益を手放したくない思惑が一致した両者の妥協の産物が、習近平の擁立になったというのが大筋の流れ。

最初からとことん八方塞がりの新政権が、結局例によって外敵をつくることで政権維持に走る。なんでも「日本が悪い」と言い出しても不思議ではない。

⇒「進撃の巨人」じゃないけど、70年近く平和が続いたからといって、それがずっと続くとは限りません。ある日突然相手の都合によって破られるかもしれません。


<中国市場などなくても日本は成長できる>
笹子トンネルの天井版落下で死者が出て、各地のトンネルの老朽化が問題視された。トンネルや橋梁の寿命は50年と言われており、高度成長期につくられたものが、ここ数年で次々と寿命を迎える。現在公共投資削減の影響で老朽化のメンテナンスができず、放置されたまま通行止めになっている橋梁は国内に120基ある。


心配ないよ♪
すべてうまくいくさ♪

The Beach Boys - Don't Worry Baby#59126; 海辺で、夕日を見ながら聴きたくなる、美しい曲です♪