4日間集中講座 世界史を動かした思想家たちの格闘~ソクラテスからニーチェまで~

  • 作者: 茂木 誠
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2015/09/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【世界史を動かした思想家たちの格闘/茂木誠/15年10月初版】
世界史と思想史を再確認するために読んだ本。
駿台予備校の世界史の講師が書いた本なので、とても読みやすい。
さらっと確認してボツ本にするつもりだったのですが、かなり面白かったのでメモ残しておきます。








まず仏教から。悟りとは。
1.永遠の魂が、滅びゆく肉体に宿っているから、生きることは苦しみである。
2.苦しみには原因がある。幻のごとき現世に執着すること(煩悩)が原因である。
3.原因を断てば苦しみは消える。この世への執着を断てば、苦しみは消える。
4.原因を断つには、八つの修行法がある(八正道)。

上記1番に、思わず納得しました。いろんな思想があるけど、仏教がいちばんしっくりくる。



次にキリスト教の教義は3点に要約できる。
1.人は罪深きものとして生まれ、世の終わりの日に神によって裁かれる。
2.キリストは自ら十字架にかかって死ぬことで、人類の罪を肩代わりした。
3.よってキリストを信じる者だけが罪から救われ、天国へ導かれる。

宗教改革(プロテスタント)の最大の論点は、「人はいかにして救済されるか」。
カトリック教会は、カネを教会に寄付すれば救われると説いた。

ドイツのルターは、カトリック教会のカネ儲け主義を批判し、
救済の条件は、「信仰のみ」であると説いた。

スイスのカルヴァンは、「誰を救うかは神があらかじめ定めたこと。
人間の意志で神の予定を変更することはできない」と説いた。



その他の要約読書メモを。

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<ドイツの歴史を簡単に>
中世のドイツ帝国(正式には神聖ローマ帝国)は17世紀の宗教戦争(30年戦争)でバラバラになり、
300を超える小国家や自由都市に解体していた。

カントが生まれたプロイセン王国は、名君フリードリヒ大王に率いられ、
北東ドイツの雄として台頭しつつあった。

ドイツ料理と言えばソーセージとポテトだが、
南米原産のジャガイモは、農村の飢餓対策でフリードリヒ大王が普及させた。

ドイツ最強の国家に成長したプロイセン王国は、100年後にビスマルクによって、
ドイツ統一を成し遂げる。




<強者の正義>
古代ギリシアはポリスと呼ばれる数百の都市国家に分かれ、絶え間ない戦争を続けていた。
アテネとスパルタが雌雄を決する戦いを始めると、弱小ポリスはいずれかの側につくことを強いられた。

ミロス島はスパルタからの移住者が建設した弱小ポリスだったため、
アテネとの戦争を望まず中立を宣言する。
ところがアテネは艦隊をミロスへ派遣し、無条件の服属を要求する。

「なぜ中立を認めてくれないのか」
「正義とは、対等な相手に求めるもの。強者は弱者に対し命ずるのみ」
「弱者に妥協すれば、他国から侮られる。われらはそれを望まぬ」

ミロスの民会は独立を守るため、アテネからの要求を拒否し、開戦に至る。
結果ミロスは敗北。兵役年齢に達した男子はすべて処刑。女性と子供は奴隷となった。
無人となったミロス島にはアテネ人が入植し、新たな街を築いた。
「口で正義を唱えても、力がないものは滅ぼされる」




<ローマとカルタゴの戦い>
カルタゴの英雄ハンニバルがローマ本土に攻め込み、壊滅的打撃を与える。
その後ローマ軍はカルタゴ本土に攻め込み、逆転勝利する。



ローマがカルタゴに突き付けた要求は、
①カルタゴの全海外領土の没収と賠償金の支払い
②軍艦10隻までという軍備制限
③ローマの許可のない戦争の禁止

カルタゴは条件を受入れ、経済発展による国土再建を目指した。
賠償金は前倒しで支払い、カルタゴ商人はローマの商業を脅かすようになる。
ローマの元老院では、カルタゴの警戒論が高まる。

カルタゴはローマと結ぶ隣国ヌミディアから度重なる軍事挑発を受け、再軍備をはじめる。
ローマは「軍備を放棄した先の休戦規定に反する」とカルタゴに言いがかりをつけ宣戦布告。

ローマ軍に40日間包囲され、食料を断たれたカルタゴは大量の餓死者を出し陥落。
カルタゴは全員が奴隷とされ、ローマに連行された。
圧倒的な軍事力で地中海世界を統一したローマ帝国に対抗する勢力は存在せず、
結果的に200年にわたる平和が実現する。これをパクスロマーナと呼ぶ。
「ローマ人は廃墟を作って、これを平和と呼ぶ」




<唯物論の歴史の要約>
インド哲学では、意識のことをアートマンと呼ぶ。
肉体が死ねばアートマンも死ぬという考え方を、唯物論という。
古代ギリシアのデモクリトスが唱えた説。

すべての材料の根本的な物質は何か?ギリシア人はこの議論を好んだ。
タレスは水だと考え、ピタゴラスは物質ではなく数学的秩序が不変と考えた。

デモクリトスは目に見えない微細な粒子-原子(アトム)が存在し、
それ以上分割できない物質の最小単位だと考えた。

さらに意識や魂もアトムから形成されているので、
人が死ねば魂はバラバラに拡散し、何も残らないと考えた。
死後の世界も、神の裁きもないという、現代人のような考え方。
魂の転生を信じていた同時代のプラトンは、唯物論を嫌った。

「われわれが生きているときは死は存在しない。死が存在すればわれわれはもはや存在しない」
だから死を恐れるな、といったのはヘレニズム時代のエピクロス。
エピクロス学派をエピキュリアン(快楽主義者)と呼ぶのは、
「死後の世界に思い悩むことなく、今を生きよ」と説いたから。
肉体的な快楽を求めよ、説いたわけではない。

ギリシア・ローマ時代にはオリンポス12神の多神教が信仰されていたが、
「神もあの世も存在しない」と説く唯物論が、一定の支持を得ていた。

やがて「唯一神による救い」を説くキリスト教やイスラム教が広まると、
唯物論は数世紀にわたって危険思想とみなされて排斥され、
フランス革命前の啓蒙主義の時代(18世紀)にようやく復活する。

ドイツでは19世紀のフォイエルバッハが唯物論を説き、これを受け継いだのがマルクス。
マルクスの唯物史観によれば、世界史の原動力は、神や人間の理性や精神ではなく生産手段、
(モノを生み出す土地や工場) を誰が所有するかという階級間の闘争だ、という階級闘争史観。
やがて共産主義に共感する知識人は唯物論を賞賛し、
宗教や神話について教えることを忌避するようになる。




<なぜカトリックは偶像を崇拝するのか>
キリスト教がヨーロッパに広まる過程で、神々の像を祭るギリシア・ローマの多神教の影響を受けて、
イエスや聖母マリア、使途ペテロやパウロといった聖人たちの像を刻み、
これらを教会に祭るようになった。

聖書には偶像を崇拝してはならない、という規定がある(旧約聖書・出エジプト記20章)。
ルターやカルヴァンは、カトリックは聖書からの逸脱であると考えた。
だからプロテスタント教会には十字架だけが掲げられている。
宗教戦争の際は、プロテスタントはカトリック教会を襲撃し、聖像を破壊した。
このような思想を原理主義(ファンダメンタリズム)という。聖書の原点に帰ろうという意味。



雪の降るクリスマイブの日♪
彼女は幼い子供を乗せて 
両親に会いに行く
辛く長い1年で とても疲れていた

スピードを出しすぎ♪ 
凍結した道の上で車が回転した
泣き叫ぶ時間はなく
人生が走馬灯のように浮かぶ
彼女は怖くなりハンドルから手を放した

神さま運転を代わって♪
私には もうどうしようもない
この危機から私を救い
もう一度チャンスをください
神さま お願いします

気づいたとき♪
車は停まっていた
とても寒い夜だった
彼女は無事な子供を見つめて涙した

彼女は人生ではじめて祈った♪
神さま ごめんなさい 
私は変わらなければいけない
今夜からでも


もうどうしようもないとき、人は神に祈りますよね。
キャリー・アンダーウッドで、ジーザス・テイク・ザ・ホイール♪
アメリカンアイドル優勝者でもっとも成功した女性。
2007年のデビューから築いた総資産は、約130億円だそうです。
2010年27歳のとき、NHLのマイク・フィッシャー(年棒5億円)と結婚し、今年2月第一子が誕生。



彼女の1stアルバムは、いまでもよく聴きます。

Some Hearts

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Arista
  • 発売日: 2005/11/15
  • メディア: CD




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【大いなる探求 経済学を創造した天才たち 上巻/シルヴィア・ナサー/13年6月初版】
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よいクリスマスを。 またねっ♪