日本のグランドデザイン -世界一の潜在経済力を富に変える4つのステップ

  • 作者: 三橋 貴明
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/06/08
  • メディア: 単行本


【日本のグランドデザイン/三橋貴明/10年6月初版】

いま日本は閉塞感の中にあります。これは経済が停滞してるためです。
米国はオバマが明確なビジョンとして輸出の倍増を掲げました。
今後ビジョンに沿った手を打ってくるでしょう。
元の切り上げ、ドルの切り下げさまざまな方策が頭をよぎります。

世界経済は米国の消費増大をエンジンとして、過去10年弱成長してきました。
(欧州経済も崩壊、中国も時間の問題)それが無くなったいま、
どこに供給過剰となったものを振向ければいいのか。

だいたいどこの業界もピーク比7~8掛けの生産状況です。
業績連動型になったボーナスの影響で、年収8掛けの方も多いと思います。

どう考えても景気は好転しそうもない状況のなか、実際にこうすべきだと思えるのが本書です。
読んでてわくわくします。

マクロ経済本は好きなので(仕事にも関連するので)、ここ数年は話題作に目を通してますが、
著者の常識的でデータをもとにした解説が、一番落ち着くというかしっくりきます。

簡単に要約すると、
日本の新たな国家のグランドデザインは、
・ビジョン:石油文明から電力文明へ、文明フェーズの移行
・戦略:将来の供給不足を解消するための投資支出により、現在の需要不足を補う

文明については、英国の石炭文明から米国の石油文明をへて、
日本が誇る技術力で、日本が最初に電力文明を構築する。
電力は原子力です。ウランは海水からとれますが3倍のコスト。
(日本のウラン使用量8000トン/年に対して黒潮が日本近海に運ぶウランの量は、500万トン/年)
まずは核燃料サイクル(使用済みを再利用する)からはじめる。

その後は、7000万台ある車を、すべて電気自動車に変えます。
(まるで地デジのように)代替需要やインフラ整備で日本中の企業が活気にわきます。

そのほか、ITS,リニア新幹線、都市化、メタンハイドレード(竹島近海も有望らしい)、
農業、コンテンツなど詳しくは本書で。
神が日本に授けたメタンハイドレードの話はおもしろかった。

また便利な日本を維持するための基本となる物流ですが、
道路と橋が危険な状態(50年寿命)にあり、
2026年までに日本の橋の半分7万基はメンテナンスが必要となります。
その必要額は直轄国道分だけで、13兆円。

財源の問題については、1章にくわしくあります。
(ここでは問題ないとだけ言っておきます)



石油文明から脱却し、新たな文明を創出する。
日本を、世界中の人々が憧れる国にしましょう。との本でした。



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