野蛮人の図書室

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/11/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【野蛮人の図書室/佐藤優/11年11月初版】

タフでインテリな佐藤優のブックガイド。
「交渉術」ですごい人がいるもんだな、とファンになりました。

その後に小林よしのりの「わしズム」を小学館に圧力かけて廃刊に追い込んでから、
激しい論争が始まりました。アイヌ、沖縄問題です。
(どこがタフか、1日の睡眠時間が毎日3時間で、山のように本を読み、
酒の量が半端でない。ロシアでアントニオ猪木議員と、ウォッカ3本を二人であけたそうです)

まぁ小林よしのりと物書きが論争を始めると、たいがい物書きがボコボコにされて、
世論は小林よしのり側につきます。物書き側の意見は、誰も読まない固い言論誌に収録されて、
小林よしのりはゴー宣です。

庶民は小林氏が知識人をボコボコにするところに、カタルシスを覚えるのでしょうか。

そんな佐藤優ですが、外務省のラスプーチンの異名をとり、
国際情報局分析第一課での情報活動に従事した経験や、
宗男疑惑で512日間の拘留歴が、単なる知識人と一線を画します。
ノンキャリというところも人気の要因でしょう。

本書は週刊プレイボーイの書評連載をまとめたものです。
宮崎哲弥の「新書365冊」もなかなか面白い書評本でしたが、
本書は120冊くらいの書評本です。1冊を2ページほどで紹介していますが、
要旨が理解できる類のものではありません。佐藤氏のフィルターを味わうものだと思います。

以下に読書メモを

<経済学の効用/宇野弘蔵より>
人間ひとりの労働で、自分自身が生活するよりも多くの生産物を生み出してるのは、
自明であるにもかかわらず、資本主義体制下では貧困や失業が発生する。

⇒なんでかと考えると、結局資本家に搾取されてるということなんでしょう。
1回目は給料でサヤを抜かれて、2回目は金融商品(要は保険の一種)などでペテンにかけられて。
一部の資本家が一人勝ちしてます。

P.S.日本市場の売買は、株式の70%、国債の40%が海外ヘッジファンドです。
(保有高ではなくて、1日の売買数)今のヘッジファンドはロボットトレーディングです。
最大で1秒間に3000回だそうです。
吊り上げて、ピーク(個人売買が参入した時点)へ向けてポジショントークして、
その後に落として空売りで益を得る。個人投資家は長期保有でないと、儲からないはずです^^



<小泉八雲/かけひきより>
死刑にされる罪人が、恨んで仕返しをするという。そこで主人は証拠を見せろ、
首を切られても石に噛み付けと言い放つ。

瞬間首は切られ、ごろごろ転がった首は石のほうへ行き、一瞬必死に石にかじりついた。
屋敷のものはみな祟りを恐れたが、主人はまったく恐れていない。主人いわく、
「あの者の最後の意志は剣呑であった。それで証拠を見せるように言い、
あれの心を意趣からそらしたのだ。あの者は石に噛みつきたい一心で死んだ。
その一心は果たすことができたので、他はみな忘れてしまったにちがいない」

狡猾な主人は、罪人の最期の一念の恐ろしさを熟知してるので、
あえて石という偽の標的を与えたのだ。

佐藤優は言う。2002年の鈴木宗男疑惑のときの激しい自身へのマスコミバッシングに対し、
マスコミを恨んでいない。マスコミは石のようなものだ、
本当に悪いのは虚偽情報をマスコミに流した外務官僚だ。
仇討ちはマスコミでなく、外務省に対して行うべきだと小泉八雲から学んだと。



<統帥綱領/大橋武夫より>
組織において、リーダーシップはきわめて重要だ。戦場で、間抜けな兵隊がいる場合、
そいつが弾に当たって死ぬだけのことだ。しかし司令官がバカだと部隊が全滅する。
これは軍隊だけでなく、企業や官庁にも言えることだ。



<12人の怒れる男戯曲版/レジナルド・ローズより>
無罪を立証する必要はないのです。有罪が立証されるまでは無罪なんです。
あの少年は被告で、被告は何も証明しなくていいんです。発言しなくてもいいんですよ。
これは憲法で保証されていることです。

⇒黙秘権や裁判員制度について考えさせられます。白黒だけどすごい映画でしたよね!



<国家秘密>
佐藤優の経験からして、国家秘密(軍事秘密を除く)の95~98%は、新聞、雑誌書籍、
政府機関のHPなど誰もがアクセスできる公開情報から得られる。
ただし公開情報は玉石混交なので、有益な情報を選び出すコツがいる。
(コツとは、読書等で自分の知識量を増やしておくこと。
ある程度の知識が無いとそれがダイアモンドかどうか判断できない)



(広告)