ニッポンぶらり旅 宇和島の鯛めしは生卵入りだった

  • 作者: 太田 和彦
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2012/03/17
  • メディア: 単行本


<宇和島の鯛めしは生卵入りだった/太田和彦/12年3月初版>

ニッポン居酒屋放浪記の太田和彦の最新刊。
サンデー毎日連載「にっぽんぶらり旅」を単行本化した1冊です。
酒飲みはラズウェル細木や太田和彦のちょっとした作品を読むと、
うまいものと酒を求めて居酒屋へ行きたくなります。

司馬さんの「街道をゆく」のような雰囲気があります。
その土地の歴史、文化、人物にプラスして、この本は居酒屋を紹介します。

司馬さんは「稀代の人たらし」だったそうですが、著者はどうなんでしょう。
本を読む限りは、いろんな居酒屋の主人の人物像をうまく引き出してる。

「人たらし」は情報通なんですよね。みんなその人の事が好きになって、
ついいろんなことを話してしまう。どうしたら「人たらし」になれるのか。
ざっと思い浮かぶのは、泰然とした雰囲気、清潔な外見、しっかりした顔、
60にして耳が従うじゃないけど老成した耳、
何を聞いても咀嚼できる豊富な知識、ユーモアが溢れてる、
そして何より人の痛みがわかること。

そういうものに私はなりたい(笑)とか思ってるので、
夜の宴席でみんなをリラックスさせて、楽しい場に昇華させることができる人を、
尊敬しフォローします。

この本の訪問先は、宇和島、大分、会津、喜多方、静岡、倉敷、盛岡、高知、富山、
金沢、京都、尾道、高松です。

う~ん、喜多方、盛岡では酒を飲んだことが無いです。いつか行くときのために、
この本で紹介されてる街の居酒屋とうまいものをメモしておきます。


<宇和島>
ほづみ亭:http://www.youtube.com/watch?v=kojtSXr73OI
じゃこ天、かつおタタキ、鯛めし。
宇和島の養殖鯛は品質、味、生産量とも日本一。
鯛飯は、厚切りの鯛刺身を生卵黄身と若布やゴマの浮く甘辛のたれにしばらく浸し、
白いご飯に山盛りにのせてわしわし食べる。


<大分>
こつこつ庵:http://www.youtube.com/watch?feature=endscreen&NR=1&v=2drPFffmXl8
麦焼酎「鉄輪」のロックにカボスを搾りいれる。
関鯖、関アジの刺身をゴマ醤油のたれに浸した大分名物「琉球」


<会津>
籠太:http://www.youtube.com/watch?v=TLcqO4WUN2k
会津名物ニシン山椒漬、福島の日本酒は平成二十一年の新酒鑑評会で金賞二十と、
新潟に大差をつけてトップに輝いた名実ともに日本一の酒どころ。
泉川、無為信は素晴らしい。


<喜多方>
麦とろ:
身欠きニシン、干タラ、カスベ(エイヒレの乾物)などの乾物や塩蔵品を使う郷土料理に優れる。
塩鯨(鯨脂の塩漬け)と夏野菜を薄い味噌汁で煮る鯨汁は、
夏のスタミナ源でうまいが今は鯨は高価になった。


<静岡>
多可能:http://www.youtube.com/watch?v=lPN3DniAXbU
生シラス、桜えび天。桜えびは由比、シラスは用宗。
静岡はカツオやマグロが回遊し、川は鮎の宝庫、うなぎは特産。
農産物は1年中育ち果物は豊富。お茶は日本一。恵まれた土地。


<倉敷>
酒房 八重:
ままかり(生と焼きがある)、サワラのタタキ。
関東のサワラと違い瀬戸内のサワラは身が柔らかく脂が上品にまわっている。

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<盛岡>
とらや:
暖めた豆腐にからしを塗って、ねぎ、かつおぶし、海苔をかけた豆腐。
盛岡は日本一豆腐の消費量が多い街。
万願寺唐辛子の天ぷら「南蛮天」、水煮した里芋を皮のままつぶし塩で食べる「芋の子」


<高知>
くろそん:
カツオの塩タタキ、うつぼのタタキ、鮎、


<富山>
米清あら川:
牡蠣の昆布焼き、ぶりの肝の醤油漬、
オイボの煮こごり(年間10本しか上がらない高級魚で1本40万円する)、
ホタルイカの味噌の塩辛


<金沢>
浜長:
赤西貝、鯛の皮焼き(腹身のところ)
他には冬の金沢は海老。がす海老、牡丹海老、じゃ海老、小がす海老、甘海老、
がた海老などざっと8種類ある。


<京都>
ますだ(先斗町):
きずしはここが一番うまい。焼もろこは琵琶湖の淡水魚で冬だけ。
生姜酢で食べる8cmほどの一尾は素朴な風味で燗酒にあう。
酒は広島の賀茂鶴の樽酒。有名店で常連客は、
井伏鱒二、吉行淳之介、桂米朝、サルトル、ボーヴォワール。
常連中の常連である司馬遼太郎は、先代おかみの葬儀委員長を務めた。
司馬さんの書いた屏風もある。


<尾道>
たまがんぞう:
1枚200円のデベラ(タマガンゾウビラメの干物)。


<高松>
美人亭:
居酒屋評論家の著者への感想やメールで、「あそこはよかった」と最も高評価の店。
サヨリ、小ふぐ、タイラギ、ハゲの煮魚。ここの刺身は山葵がいらない。生臭くない。
そのかわり醤油にスダチを搾る。

「イカナゴいうたら香川と岡山だけや。
もうちょっと太ってきたのをさっと焼くとたまらんな」

「そのイカナゴを追いかけてメバルやサワラが来るんよ。
春がすぎて太ったイカナゴが産んだ新子を炊いたのが神戸の釘煮」

春先の神戸は、釘煮に狂奔します。キロ単位で作って親戚や知人に配る一大行事

酔いどれ詩人のトムウエイツでドランクオンザムーン♪




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