元国税調査官が暴く 税務署の裏側

  • 作者: 松嶋 洋
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/06/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【税務署の裏側/松嶋洋/12年6月初版】
このまえ会社に国税がやってきて、いくらかの簿外の資産をみつけて帰りました。
対応した経理と飲むと、棚卸資産の長期滞留品や廃却品を重点的に調べたそうです。

一目散にそこの場所に行った。鋭いなぁと。
サラリーマン会社なので別に誰も悪気があったわけではないのですが、
10年以上そこにある、古い滞留品なんかがそのままになっていました。
担当者も上司も数年ピッチで替わっていくので、自分が関わった資産でもないし、
何の因縁があってそのまま放置されてるのか、よくわからないような材料もあります^^;
「お土産」になってよかったなという結論となりました。

そんなこともあって、国税調査官のメンタルとはどんなものかと思い読んでみました。

著者は東大を出て国税調査官となり、その後税理士試験をうけて税理士となった32歳の若者です。
だからか正義感が人一倍強い。いわく税務署は、とにかく暇で、待遇がいい。
ぬるま湯である。納税者へ公平でもない。こんなんで増税してもいいのかと^^

著者は正義感で憤慨してますが、それくらいは普通かな、と思ってしまったぼくは、
年をとったということでしょうか。

「徴税も徴兵も、呂蒙は厳しくしてる。関羽も決して民には甘くない。しかし公平だった。
 公平に徹すれば、民は少々の苦しさには耐える」

著者は三国志を引用して、公平の大事さを説いています。税務署の職員は、
全体の奉仕者とされている公務員たる自覚を持ち、清廉潔白であれと。

個人的にはクロヨン問題を何とかしてほしいです。
これは税務署が課税の対象となる所得の金額を、どれくらい正確に把握できているか示した言葉です。
サラリーマンは9割、自営業者は6割、農林水産業従事者は4割、からきています。
サラリーマンにも経費を認めてほしい。。

ちなみに労働人口のうちサラリーマンの占める割合は75%、自営業者は15%、
公務員は7%となっています。サイレントマジョリティは立ち上がるべきなのか…

以下に読書メモを。

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<税務調査官の評価基準>
税務調査官の実績の評価は、税務調査でいくら税金を追徴したかによる。
客観的で手っ取り早い評価基準。
著者は上司から「最低でも年収の3倍の税金を取ってくるべきだ」と在職中に言われていた。

税務署の職員がもっとも嫌うのは、税務調査をしても何も間違いが発見できないという事態。
これは税務調査官の恥とする文化が税務署にはある。

このため税務調査官の恥にならないよう、
あえて間違い「お土産」を用意しておくケースが実に多い。




<実質調査率>
実際に税務調査に入られる割合は、確定申告をした個人でおおむね1%。
法人の調査率は5%程度。少ないと指摘されるため、
事前審査というか申告内容を精査したり金融機関から資料を積極的に収集したりして、
不正が想定される納税者を事前にピックアップして、これらの納税者を重点的に税務調査する。




<申告内容のお尋ねには回答せず自主修正する>
審査の結果、申告の誤りや不正が想定される納税者に対しては、
税務署から「申告内容のお尋ね」という文書が送られるケースがある。
・あなたの申告内容に疑義があるので、以下の不明点につき至急回答してください。
・不明瞭な送金があるが、その使途は何か回答してください。

結論をいうと、税務署に連絡するまえに自主修正すること。

税務署に連絡すると、申告がもれてしまった税額に対して原則として以下の加算税がかかる。
・過少申告加算税10%:計算ミスなど不正に基づかないもの
・重加算税35%:意図的に税金を少なく申告するなど不正に基づくもの

実際に間違いを指摘される前までに修正申告を行なったのであれば、加算税はかからない。
(お尋ね文書に明確に間違いを指摘している場合を除く)

著者のクライアントが不正じゃなくてミスで申告漏れがあり、
税務署に連絡をとり修正申告をしようとすると、加算税をかけられた。
あとで確認すると、こっそり修正申告していれば加算税はかからないとのこと。
もちろん修正後には「ご指摘ありがとう。自主修正済みました」の連絡は必要。



わたしは税務署員♪
あなた方はわたしのために働いています♪ 和訳サイト↓
http://beatlesbeatles.blog39.fc2.com/blog-entry-85.html

ビートルズでタックスマン♪




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