「本当のこと」を伝えない日本の新聞 (双葉新書)

  • 作者: マーティン・ファクラー
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2012/07/04
  • メディア: 新書


【本当のことを伝えない日本の新聞/12年7月初版/マーティンファクラー】
ニューヨークタイムズの東京支局といえば、従軍慰安婦問題での売国女性記者のいるところ。
だからあまり信用してないです。まぁこの問題は朝日新聞のほうがひどいのですが…。

そういう意味では「本当のこと」を伝えないのは日本の新聞だけでなく、
東京支局のあなたのお膝元も同じですよ、と著者に申し上げたいです。

とはいえ3.11で露呈した日本の新聞社のジャーナリズムの欠落というのは、目を覆うばかりでした。
原発だけじゃなく、TPP推進では経産省の言いなり。

反アベノミクスでは、財務省や日銀の言い分を官報のごとく撒き散らす始末です。
国民をミスリードしています。


今後の新聞はどうなるのか。以下に読書メモを。


(広告)





<日本の全国紙の記者の給料>
日本の全国紙の記者の給料は、能力によって決まるわけではない。
事実上年功序列によって右肩上がりに推移していく。

朝日新聞や読売新聞、日経新聞の記者の給料は特に高く、
30歳を迎えるころにはすでに1000万円近くになると聞く。

編集部門の平均給与は1200~1300万円前後にのぼり、
論説委員や編集委員など幹部ともなればこれを大きく上回るそうだ。
日本の一流企業と比べても、ずいぶん恵まれた額である。




<アメリカの記者の給料>
アメリカのジャーナリストの年収は高くない。
ニューヨークタイムズの記者の平均給与は9万2000ドル(約830万円)だ。

これは新聞業界のなかでトップレベルであり、地方紙の給料はもっと安い。
ケンタッキーのレキシントンヘラルドリーダーの場合は、年収およそ3万7000ドル(約330万円)で、
米国の記者の平均年収は約3万4000ドル(約310万円)程度だ。

求人情報誌によると、未経験の新聞記者の平均年収は約2万7000ドル(約250万円)で、
ホワイトカラーの平均より61%低いそうだ。




<日米のジャーナリズムは何が違うのか>…専門職でなくサラリーマン。
日本のメディアの採用方式は異質だ。
テレビ局や全国紙の記者の経歴は有名国立大、難関私立大の出身者ばかりだ。
日本のキャリア官僚も同様だ。官僚とジャーナリストは同じようなパターンで生み出されている。
大学で机を並べていた者たちが、官庁と新聞社という違いはあるにせよ、
同期入社組として、それぞれが同じように出世していく。

これは何を意味するか。
権力を監視する立場にあるはずの新聞記者たちが、むしろ権力側と似た感覚をもっているということだ。
読者(庶民)の側に立たず、当局(エスタブリッシュメント)の側に立って読者を見くびる。

記者クラブという連合体を形成し、情報を独占し他社と横並びの報道をする。
官僚機構の一部に組み込まれる形でプレスリリースを行なう。
政治家に対しては批判的なのに、行政のバッシングは避ける。
権力に近づきすぎたジャーナリズムを、米国では「アクセスジャーナリズム」と呼び批判される。
日本の記者クラブが生み出す一連の報道は、まさにアクセスジャーナリズムそのものだ。


(広告)





<日経新聞は企業広報掲示板>
なぜ日本のビジネスマンが、日経新聞をクオリティペーパーとして信頼するのか理解できない。
紙面はまるで当局や企業のプレスリリースそのままだ。
大量のプレスリリースの要点をまとめてさばいているだけである。

おなじ経済紙でも、イギリスのフィナンシャルタイムズや米国のウォールストリートジャーナルは、
報道姿勢がまったく異なる。これらの記者は企業のプレスリリースにはさほど興味を持たない。

1日や2日、他社より早くプレスリリースをもらえたからといって、たいした価値などないからだ。
ネット全盛の時代、多少のタイムラグはあっても、いずれ企業のホームページのIR情報コーナーにでも公開される。

⇒個人的には、日経新聞発祥の紙面であるマーケット商品面は、日々読むべき値打ちがあると思っています。




<日本の新聞の未来はどうなるか。米国の現状>
新聞は紙からネットへ、無料から有料へ移行する。
インターネットの広告収入は、紙の新聞の広告収入に比べて圧倒的に低い。
ウェブに広告を載せたところで、バナーをクリックしてもらえなければお金は入ってこない。

それでも新聞をウェブ版にするメリットは大きい。
ウェブの有料会員になってもらえば、輸送コストや紙インク代、配達員給料は不要だからだ。

いかにして無料のウェブサイトから有料のウェブサイトへと読者を引っ張り、
コストが安いウェブ版の新聞の利益率を高めるか。

ニューヨークタイムズも課金の問題には頭を悩ませたが、
2011年以降は完全に「これからはウェブ版の新聞がメインになっていく」という方向性に切り替えた。

ウォールストリートジャーナルは、ウェブサイトの開設と同時に有料化をスタートさせた(1996年)。
ニューヨークタイムズは当初、創刊以来のすべての記事をウェブサイトで無料公開していた。
この方針を改め、2011年3月からは有料に切り替えている。

1ヶ月に10本の記事までは無料で読めるが、11本以上の記事を読むためには、
有料読者に登録しなければならない
(パソコンでの無制限アクセスは4週15ドル。紙の新聞の購読者はウェブ版も無料)
⇒朝日新聞のウェブ版は3800円/月。高い…

ニューヨークタイムズが1ヶ月に10本までの記事を無料公開している意味は大きい。
こうしておけばグーグルでネットサーフィンしている読者もウェブサイトへと誘導できるからだ。
完全有料化にしてしまうと、有料サイトの記事がブロックされてグーグルの検索に引っかからない。

ネットの世界で新聞が生き残るには、
①入口は無料にしておく
②ケタ違いの読者を惹きつけておく
③その上で課金に踏みきる
という方法が、この10年間の各社の試行錯誤を通じてわかった最善のビジネスモデルのように思える。

ちなみに米国の各紙の紙面と有料ウェブ版の部数は以下。
              
ニューヨークタイムズ:紙面78万部 ウェブ81万部
ウォールストリートジャーナル:紙面157万部 ウェブ55万部
ワシントンポスト:紙面47万部 ウェブ4万部
ロサンジェルスタイムス:紙面49万部 ウェブ10万部

p.s.新聞記者の給料や、新聞の購読料はアメリカ並みに収斂していくと思いませんか?



ジョン・メレンキャンプでペーパーインファイア#59126;

夢は終わるのさ♪
火の中の紙のように
緑の草原は枯れて
紙は灰になる♪




(広告)