戦わずして中国に勝つ方法

  • 作者: 矢板 明夫
  • 出版社/メーカー: 産経新聞出版
  • 発売日: 2013/05/25
  • メディア: 単行本


【戦わずして中国に勝つ方法/矢板明夫/13年5月初版】
中国ジャスミン革命。幻の革命でした。本当は日本より、一党独裁中国共産党への反発の方が強いんでしょうね。天安門広場の毛沢東の絵(共産党の象徴)が下ろされたとき、新しい中国が始まるのだと思います。

著者は産経新聞の中国特派員、72年中国天津市生まれ。15歳のときに残留孤児2世として日本に引き揚げ。慶応大文学部卒業後、松下政経塾に入塾。アジア外交の研究員や大学講師を歴任後、2002年に産経新聞入社。2007年より中国北京特派員です。

本書は産経ニュースの中国ネットウォッチや、正論、WILLに掲載されたものを加筆構成されたものです。

これまで中国ウォッチャーといえば、石平、宮崎正弘あたりが面白かったのですが、著者は若くこれからの人です。足を運んでの取材以外に、中国ネットユーザーの意見も丹念にウォッチしています。将来はおなじく産経の韓国ウォッチャー黒田勝弘みたいな存在になるかもしれません。

中国のインターネットユーザーは12年末までに約6億人に達したと言われています。その大半は30代以下の男性の若者だそうです。そのため非常に好戦的な世論を形成します。なぜか?当局による反日教育のほか、毎日のようにテレビで流される日中戦争をテーマとしたドラマ・映画が、日本に対する憎しみを作り出しているようです。

抗日ドラマが大量に作られる背景には、中国政府の厳しい検閲制度があります。現代の中国人の生活を描けば、格差や腐敗などの社会問題を避けては通れません。発禁処分となれば投資は回収できない。抗日が最も安全なテーマであると。

日本側が反日教育や反日ドラマの作成に大きな反対をしない限り、反日の若者の再生産は、今後も延々と続いていくのでしょう。


以下に読書メモを。

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<戦わずして中国に勝つ6つの方法>
12年秋ごろに中国のネット上に出回り大きな話題となった。ヒラリー長官の警告と題された書き込みは、実際は中国人ネットユーザーによる作り話とみられる。ヒラリー長官は「貴国がフィリピン、ベトナム、日本と開戦すれば米国は6つの対策を考えている。一兵卒も使わず、中国を負かすことができるだろう」と言ったという。

・中国の政府高官が所有する海外の銀行口座の残高を発表し、凍結
・米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表
・米国に住んでいる中国人高官の家族名簿を公表
・ロサンゼルスにある「妾村」を一掃⇒中国高官は愛人を米国LA付近に住まわせていることが多い。
・米国在住の中国人高官の家族をグアンタナモ刑務所に収容
・中国国内の失業者などの不満分子に武器を提供


<著者の考える戦わずして中国に勝つ3つの方法>
勝つとは目的を達成することである。日本の目的は固有の領土を守ることであるから、それほど難しいことではない。

・中国軍に急襲のスキを与えないように、国内法の整備など尖閣を守る環境を整えるほか、弱体化している日米安保を強化する。

・中国は今後尖閣問題で日本に対し三戦(世論戦、心理戦、法律戦)を展開するとみられるが、その影響を受けないようにしっかり準備する。同時に対中外交で人権や少数民族問題など中国のアキレス腱を攻めることで時間稼ぎをする。

・中国の混乱などのタイミングを待って、尖閣問題で中国の譲歩を引き出す。共産党一党独裁を守るためなら、国益を外国に譲る前例がいくらでもある。1949年に建国した中国は23ヶ所の領土問題があったが、現在はそのうち17ヶ所が解決している。60年代にミャンマー、ネパール、パキスタンなど6カ国と、90年代にはソ連、ベトナム、カザフスタンなど6カ国と領土問題解決文書に調印している。いずれも中国側がそれまでの主張を取り下げ、相手国に大きく譲歩した。共産党内の権力闘争と国際社会における孤立が背景にあった。90年代は天安門事件により国際社会は揃って中国に制裁を実施し、四面楚歌となり、鄧小平は領土カードを使い状況の打開を図った。ちなみに当時主要国で中国への経済制裁を最初に解除したのが日本の海部内閣だった。中国に何の条件もつけなかったが、尖閣に対する中国の主張の放棄を要求していれば、中国は応じていた可能性もあった指摘されている。実に惜しいチャンスを逃したのである。

<薄熙来は悪人か>
「中国の政治家には悪人と極悪人の2種類しかいない。薄は悪人だ」「薄が悪いことをしたことを否定しないが、人間的にどこか純粋なところがあるから、極悪人たちにやられてしまった」薄は今日の中国で最も仕事熱心な政治家の1人だった。その能力の高さは中国駐在の外国人記者たちも認めている。

11年夏に香港で出版された「太子党金権帝国」という本には、温家宝や習近平などの26家族が取り上げられたが、薄の名前はその本の中には出てこなかった。問題があったとしても、ほかの家族に比べてその規模が小さいと判断されたのだろう。

薄の裁判での刑罰は、彼がどれだけ悪いことをしたかに関係なく、党内の権力闘争の行方によって決まる。


<五毛党とは何か>
中国のネット用語の一つで、政府や共産党に雇われて当局よりのコメントを発信する匿名集団を指す。1件当たり5毛(1元の半分5角の俗称。8円程度)の報酬で情報操作を行なっている。2006年に内部資料がネット上にアップされたことから存在が明らかになった。基本月給は600元(約9600円)、それにネット上での書き込み1件につき0.5元を加算し給料を支払っている。

ネット世論を重要視している当局は、政府批判を削除するだけでは効果が限定的で政府支持の世論を形成できないと判断し、05年ごろから予算を組み「ネット評論員」に政府を支持するコメントを書かせるようになった。五毛党の多くは、就職浪人をしている大学卒業生か、政府系団体の若手職員が副業で雇われている。最近は1件の報酬が1元か1.5元に値上がりし、毎月1万件以上を発信するとサラリーマンの平均月収より高い収入が得られる。もちろん秘密厳守の誓約書を求められる。

君らは革命を望むのか#59126;
破壊は無しにしてくれ

毛沢東の写真を持ち歩いてるのなら
革命はうまくいかないよ

心を自由にしてたら
いつかうまくいくさ

ビートルズでレボリューション♪



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