ミャンマー 驚きの素顔 現地取材 アジア最後のフロンティア

  • 作者: 三橋 貴明
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2013/08/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【ミャンマー驚きの素顔/三橋貴明/13年9月初版】
「最後のフロンティア」と呼ばれるミャンマー。人口はタイとほぼ同じぐらいの6200万人ほどいて、国民所得はタイの6分の1未満。労働者の平均月収は9000円とのこと。

東京三菱のデータhttp://www.bk.mufg.jp/report/aseantopics/ARS20130510.pdf を見ると、9000円というのは、ヤンゴン地区のエンジニアと一般工のほぼ中間値。タイのバンコクや、中国の大連あたりと比較すると6分の1レベルになっています。

IMFの2012年1人あたりGDPの世界ランキングでは、189か国中162位、最貧国レベルです。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4540.html ただ食べ物にまったく困らない。南国で農産物が容易に大量に採れる。著者の取材によると、市場では穀物、野菜、果実、魚類、香辛料、肉類が「これは絶対に売り切ることができないだろう」と思うほど店舗に積み上げられていて、しかも安いそうです。衣料品関係の供給も豊かだと。

国民の80%強は原始的な農業で生計を立て、本格的な仏教国で犯罪は少なく、若年層の識字率は95.7%(日米は99%)と発展途上国にしては高い。またビルマ語は日本語と同じ文法で「主語、目的語、述語」と並ぶので日本語の上達も早く、対日オフショアの一大拠点になる可能性も秘めているそうです。

いいことばかりでもなく、インフラが整っていません。電力の安定供給が難しい、通信品質がひどい、道路はアスファルトでなく穴ぼこだらけのコンクリート、貧弱な港湾、政府の許認可が複雑で時間がかかり賄賂が横行。法律(法律もインフラ)が未整備、金融経済が未発展で国民の多くは銀行口座をもってない、証券取引所がなく株式市場が存在しない・・・

さらにミャンマーブームで、オフィス賃料、ホテル宿泊費、外国人向け家賃が高騰してるようです。どれぐらいのレベルかというと、ヤンゴンのサクラタワー周辺のオフィス賃料は1平方メートルあたり70~90ドル。これは東京の赤坂、六本木、青山あたりの高級ビルの単価と同じ。無茶苦茶です。今後ホテルやオフィスが開業ラッシュとなるようなので、そろそろ緩和されるはずですが。


その他の読書メモを。

(広告)




<国名の意味>
ビルマはビルマ族(バーミー)のみを意味し、ミャンマーは国内の全民族を指す。元々現在のミャンマーが位置する地域は「ムランマー」と呼ばれていて響きが時代と共に変化しミャンマーになった。89年に「Union of Burma」から「Union of  Myanmar」に英語表記を変更した。


<世界でもっとも日本車が普及している国>
ミャンマーの日本車普及率は95%を超えている。10年、数10年前の日本車が現役で走っている。貧しい国でだれが買うのか。そこには格差がある。

<ミャンマーのジニ係数>
世銀の統計によると貧困線は「1人あたり1日に1ドル以下の消費しかできない」。ミャンマーの貧困人口は05年で32%となっている。カンボジアやラオスとほぼ同じ。

ミャンマーの格差水準はどの程度か。政商や軍関係の官僚は、レクサスの中古を日本のレクサス新車価格の2倍で購入しヤンゴン郊外の豪邸に住む。一方マジョリティは月給9000円で働く一般の労働者。所得格差を示すジニ係数は著者の推測では0.6前後で、中国や南米に匹敵するほど格差が開いていると。

ジニ係数とは所得格差を表す指標で1に近づくほど格差が開いているとみなされる。日本は0.3、アメリカは0.4、中国は0.62と中国内の大学が計算値を発表したが、中国国家統計局が即座に反論し「わが国のジニ係数は0.43である」と訂正したが、誰も信用してない。

ジニ係数は0.4を超えると暴動が頻発し、0.5を超えると社会的動乱や革命が発生すると考えられる。ミャンマーで貧困層による反政府暴動がないのは、食べ物に不自由しないから。それと敬虔な仏教徒が多いため。


<リスク・かつてのユーゴと似た体質のミャンマー>
一党独裁による強権政治、他民族国家、異なる宗教の存在、独裁時は安定しているが、民主化することでかつてのユーゴのように内戦が勃発する可能性がある。

ユーゴスラビアは民主主義の導入により、スロベニア、マケドニア、クロアチアが次々と独立し、ボスニアヘルツェゴビナ戦争、コソボ戦争とユーゴスラビア連邦を構成する各国へ伝播した。

ミャンマーの人口の6割以上はバーミー(ビルマ)。その他にシャン族、カレン族、カチン族・・など135の人種が暮らしている。宗教や言語も違う。カレン族、カチン族はそれぞれ60年以上も独立戦争を行なっている。イスラム教徒のロヒャンギャ族と仏教徒の2012年の衝突では200人近く死亡し、ラカイン州では10万人が避難生活を行なっている。

⇒浮かれて飛び込むと、痛い目を見そうです。とはいえ虎穴に入らずんば虎子を得ずか・・


ブーム ブーム ドルがいっぱい♪
きみのポケットにはお金がいっぱい♪

キングコングとジャングルガール でBoom Boom Dollar ♪ ちょっと懐かしいバブルソングです。




(広告)