日本人投手黄金時代 (ベスト新書)

  • 作者: 杉浦 大介
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2014/10/21
  • メディア: 新書


【日本人投手黄金時代~メジャーリーグにおける真の評価/杉浦大介/14年11月初版】
やっぱりプロ野球が好きです。特に愛する在阪球団の勝ち負けに、シーズン中は一喜一憂しています。日本人メジャー選手の活躍にも心躍ります。ヤフーなんかで日本人選手の活躍記事が出てると、飛びついて読んだりして。

別に自分が褒められたわけではないのですが、イチローやダルビッシュが米国で認められると、わが事のようにうれしかったりします。そういう人にお勧めの本。NY在住の日本人スポーツライターが、現地の評価をメジャーリーガー、関係者、記者にインタビューしたり、現地ニュースを紹介したりする一冊です。



それにしてもタイトル通り日本人投手黄金時代です。ダル、田中、岩隈、上原、黒田。最強じゃないですか。向こうの関係者に聞くと黒田の評価がものすごく高い。歴代評価では野茂か黒田かという。MLB日本人初の5年連続二けた勝利だし、イニングイーターとしての実績が凄い。

広島時代も彼が出てくると手の打ちようがなかった。当時のカープの貧打線で孤軍奮闘でした。味方が打ってくれないのに、ひたすら我慢して打たれない。最高のピッチャーで、個人的には猛虎魂を感じてたのですが^^



米国に行っても、味方が打ってくれない悲運の投手と思われているようです。2年連続ア東地区先発援護率最下位・・・。RS(ランサポート/味方が9回まで取ってくれる点数)3.75・・・






これ、阪神の岩田と同じですよね。岩田も12球団規定唯一の援護率2点台。メッセ、能見は4点台、藤浪は5点台なのに、岩田はRS2.69と今年もダントツ無援護1位でした。黒田より1点以上低い・・・

よく投球テンポとか言われるので、岩田は2014年投球間隔を短くしました。マウンドを降りて前に行って、キャッチャーからの返球を受けてプレートに戻る。この動作を改善しました。プレートの上で返球を受けるようにした。前に行ってプレートに戻る動作の時間が短くなりました。それでも点を取ってくれない。






来年は黒田も40歳。今後の去就が楽しみです。また大活躍してほしい。

WBCについては、やっぱり米国人は誰も興味がないようです。MLBが最強リーグで、そこでいつもプレーしてるから。この国に勝って認められようという気持ちが無いからだとか。ま、そりゃそうですよね。相撲のワールドカップとかしても誰も興味持たないのと同じです。本場所のほうがスリリング#59041;



以下に読書メモを。


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<日米での変化球の違い>
肘を痛めるという事で、米国ではスプリッタ―を使わないように指導している(因果関係ははっきりしてないが)。米国ではクレイトン・カーショーのような最高級の投手でも、3、4の球種しか使わない。マイナーを上がる過程で3つの球種を磨くように鍛えられ、使える持ち球が1つ、2つしかない投手はブルペン行きを命じられることが多い。

そもそも4~6の球種を持つように指導されず、ストレート、カーブ、チェンジアップとか、ストレート、スライダー、チェンジアップとか、そんなコンビネーションの投手がほとんど。

一方で日本人投手はスプリッタ―を中心に、多くの変化球を器用に使いこなすのが特徴。




<メジャーの年金>
メジャーで10年にわたって選手登録されれば、1年10万ドル以上に及ぶ年金が満額で支給される。




<WHIPという指標>
ウォーク・プラス・ヒット・パー・イニング・ピッチドの略。日本語に直すと「投球回あたりの与四球+被安打」となる。1979年に考案されたWHIPは、出塁率と長打率を足すことで打者の価値の新機軸となったOPSと並び、多くのメディアにも扱われるようになったセイバーメトリクス系の指標。防御率は、降板後にリリーフが打たれても先発の自責点として加算されてしまい、近代野球の指標としてふさわしくないとの指摘から、WHIPが考案された。

防御率に対しWHIPは1イニングあたりに出した走者の数を表し、その投手の安定感、支配力を如実に表している。ランナーを出す確率が低ければ必然的に点を取られる可能性も低い。

1.00未満:素晴らしい
1.10以下:非常に良い
1.25以下:平均以上
1.32以下:平均
1.40以下:平均以下
1.50以下:悪い
1.60以下:非常に悪い




<メジャー史上最高のWHIP投手>
2013年の上原は、リリーフ投手としては史上最高のWHIP0・565を記録した(シーズン50イニング以上)。伝説の守護神マリアーノ・リベラや現代最高のクローザーと言われるクレイグ・キンブレルのベストシーズンを上回る。
また奪三振を与四球で割ったK/BBは、2013年まで通算250イニング以上を投げた投手の中で歴代最高の8.74を記録した。K/BBはBABIPは関係なく、直接コントロールできる結果を表しているだけに、投手としての能力をわかりやすい形で示すと考えられている。特に2013年はK/BBが11.22で、2位のリベラ6.00と比べてもダントツの成績であった。ポストシーズンに至っては、13試合で16奪三振、無四球であったため、K/BBが算出不能だった。

歴代WHIPトップ10(50イニング以上)
1位:2013年上原浩二⇒0.565
2位:1989年デニス・エーカリーズ⇒0.607
3位:1990年デニス・エーカリーズ⇒0.614
4位:2012年クレイグ・キンブレル⇒0.654
5位:2008年マリアーノ・リベラ⇒0.665
6位:2010年ホアキン・ベンワ⇒0.680
7位:2003年エリック・ガニエ⇒0.692
以下略




<甲子園での投手酷使に関するアメリカの反応>
じつは日本で報道されているほど、甲子園の事は米国野球関係者には知られていない。甲子園のカルチャーを説明した後にアリーグのチームスカウトに反応を聞くと、「高校生は2~3イニング、いやたとえ1イニング登板でも、その翌日は投げさせるべきではない。腕を使った直後には休みが必要なんだ。過酷な連投を経験した選手が長持ちするとは思えないから、私は獲得を敬遠する。15~17歳の腕の筋肉、靭帯はまだ十分に発達していない。リトルリーグの投手が変化球を投げるのも賛成しない。アリーグのチームで育成担当をしていたときは、若い投手には2日間の連投すら絶対にさせなかった」






<ドラフトとトミージョン(肘の手術)の関係>
2010~2012年に高卒でドラフト指名された選手が22歳までにトミージョン手術を受ける確率は38%に達し、2002~2009年の約6倍に跳ね上がっている。その背景には快速球を重視する近年の米球界の風潮がある。
「2008~2013年までの5年間で、メジャーの平均球速は90.9マイルから92マイルにアップした。この球速の増加はアマチュアレベルでも同じである。トレーニング方法の向上、合法なサプリメント、スピードガンの入手がより容易になったことなどから、この結果はもたらされている。

メジャーのファストボールの平均球速の推移

2002年:89.9マイル143.8キロ
2005年:90.1マイル144.1キロ
2008年:90.7マイル145.1キロ
2011年:91.5マイル146.4キロ
2014年:91.8マイル146.8キロ




<なぜメジャーの投手の故障が増えたのか>
前述の球速の増加の他には、医学の進歩で「見えるようになってしまった」ことが原因。肘のケガはこれまで以上に精密に発見されるようになった。そしてドクター、選手、チームが迅速に対応し、治療、あるいは故障リスト入りとなる。しかしあるチームのGMは、''10年前であれば、田中将大のようなケースは、痛みどめを受けてそのまま投げ続けていただろう。単なる腱炎と発表されていたはずだ''と語っていた。医学は進歩した。

中4日説、スプリッタ―説等あるが、球速アップと医学の進歩が主要な理解となっている。




ワン・モア・マイル♪ 
ティモシー・B・シュミットの2009年のエクスパンドから。スタンダードっぽいですが、全曲書下ろし自伝的なアルバムです。ベーシストなのに結構ギターが上手い。JDサウザーより上手いかも^^




Expando

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Lost Highway
  • 発売日: 2009/10/20
  • メディア: CD




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