【ラストソング 人生の最期に聴く音楽/佐藤由美子/14年12月初版】
音楽療法士という仕事があるそうです。
・死期が近づいた患者さんの苦痛をやわらげる。
・末期の患者さんやそのご家族のケアをする。
・残された時間をどれだけ有意義に過ごさせるか。
・患者さんや家族の心身の健康の回復のために、効果的に音楽を利用する。
・意識を失い目を開けることもできない患者さんでも、聴覚だけは残っている。
具体的にはギターやその他の楽器を使って、病室なんかでリクエストされた歌を歌ったりします。
また心を閉ざした患者さんの話を、聴いてあげたりもします。
音楽を介したカウンセリングだったり、音楽そのもので人を慰めたり。
著者は19歳の時にアメリカのノースカロライナ州の大学に留学し、
その後バージニア州にあるラッドフォード大学の大学院に入り、26歳の時に正式な音楽療法士となります。
以後10年、末期患者を専門とする音楽療法士として、アメリカで活動したと。
この本には、著者が深くかかわった10人の物語が書かれています。
胸を打つ話が多いので、電車の中で読むのは控えたほうがよいかも。
その中のひとつ。難病で苦しんだ一人の父親の物語。
ビジネスで成功したスティーブ。54歳で会社の副会長になり、絶頂の時にALSを宣告されます。
意識ははっきりしてるのに、体が徐々に動かなくなる難病です。
ホーキング博士がかかってる病気といえばわかるでしょうか。
彼の言葉は沁みます。
「病気になって初めて、人生において何が本当に大切か気づいた。
今まではビジネスで成功することが、一番重要だと思っていた。
でも車が3台あっても、大きい家や貯金があっても、今となってはなんの意味もない。
逆に家族の争いのもとになったぐらいだ」
「本当に大切なのは人との関係だ。もっと息子と一緒に過ごせばよかった」
「人はみな、どれだけ収入があるかとか、どの大学に行ったとか、そんなことばかり気にする。
あなたの子どもはどこに就職したんですか?とか。
そんなことばかり聞くけど、あなたの子どもは幸せ?って聞く人はいないよ。
でも、それが本当は一番大切なことだと思うんだ。僕は今やっとそのことに気づいたんだ」
「人は死ぬとき、自分がこの世で手に入れたものは持っていけない。
死んだ後に残るのは自分が相手に与えたものだけだ。」
著者の語るホスピス(終末医療)の難しさについて。
「ホスピスの仕事は本当に難しい。私たちが心を開かなかったら、患者さんだって心を開いてくれない。
だから私たちは患者さんとできるだけ親密な関係を築こうとする。
患者さんの感情を理解し、共感することでそれをセラピーにいかせることもある。
しかし一方で常に自分を客観視できる視点を持ってないと、
自分が深い悲しみに飲み込まれてしまい、適切なケアが施せなくなる。」
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ふと考えてしまいました。
自分が患者の立場になって、音楽療法士が来たとすれば、一体なんの歌を歌って欲しいのかという。
中学の時から洋楽ばかり聴いてるので、大好きな日本の歌というのが、ぱっと思い浮かばなかったりします^^;
アラフォーからアラフィフの洋楽全盛期に思春期を送った人には、そんな人が多いと思います。
少なくとも僕の周りには多い。
「あまちゃん」で駅長がゴーストバスターズばかり歌う気持ちがよくわかります。
この本はアメリカでの医療なので、たとえば以下のような歌がリクエストされたりしてます。
・きよしこの夜
・この素晴らしき世界
・ラブミーテンダー
・テネシーワルツ
・アンフォーゲッタブル
・オーヴァーザレインボウ
どれもこの上なく素晴らしい歌なのですが、邦楽なら何があるか。考え込んでしまいました。
ひばり、百恵、聖子・・千春、長淵、達郎、元春、ハマショウ、尾崎・・・サザン、中島みゆき、さだまさし・・・
それとも演歌か。アンジェラもいいなぁ。。
あなたは最期に何を聴きたいですか?
最近ハマってるSEKAI NO OWARI♪
発売1か月でCD40万枚突破とか。かれらいいですよね。
永劫は瞬間にほかならないですが、このバンドの微妙なバランスが、長く続くことを願います。
幼なじみが集まって、一つ屋根の下に住んで音楽活動を続けてる。結束の強さがワンピース並みです。
ちなみに「世界の終わり」とは、ボーカルの深瀬が精神病院の閉鎖病棟入院時に感じた感覚だそうです。