Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない (角川EPUB選書)

  • 作者: 泉田 良輔
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/中経出版
  • 発売日: 2014/12/10
  • メディア: 単行本


【Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない/泉田良輔/14年12月初版】
日本の最後の砦、自動車産業。
世界シェアの3割を占め、自動車関連産業の国内雇用は545万人ほど。
日本の全就労者数6257万人の8.7%を占めます。

ここで日本の優位性を無に帰すイノベーションをやられて、
ゲームのルールを変えられると、各方面への影響が大きい。

最近よく見かける「自動運転車」とはどんなものなか、読んでみました。



「自動運転車」の時代が来ると、世の中はどう変わるのか?

・運転免許証はいらない
・自動車保険はいらない
・ガソリンスタンドもいらない
・タクシーから運転手はいらなくなる
・車内はホームシアターも同然になる
・車の中で生活する者も出てくる
・会社につけば流浪モードにして、会社が終われば筋斗雲のように迎えに来る
・都市設計を変える必要が出てくる
・事故の過失は自律運転システム運営者
・警察の事故処理係は減員



米国運輸省の自動運転の定義は以下

レベル1:1つの初歩的な運転作業の自動化。自動緊急停止など。

レベル2:2つ以上の初歩的な作業の自動化。運転者は運転を監視し、何かあれば運転を引き継ぐ。
高速道路での自動運転を想定。(2014年)

レベル3:周囲のすべてを監視しての自動化。運転者は監視する必要はないが、
何かあれば移行時間のあとに運転を引き継ぐことができる。(2019年目標)

レベル4:自動運転。運転をする人はいない。ステアリングもペダルもない。(2025年以降)




イーロンマスクンのテスラモータースと、グーグルの違いは何か?

テスラの自動運転はオートパイロットで、グーグルはセルフドライヴィング(自律運転)。
上記定義のレベル3がイーロンマスクで、レベル4がグーグル。

レベル3までは既存の自動車メーカーがメインプレーヤーである可能性が高い。
レベル4になるとネットワークを通じて自動車を監視・制御し、自動運転システムの安全性を担保する競争領域。



アメリカはゲームのルールを変えようとしています。いわゆるイノベーションです。
プリウスみたいなトリッキーな車は作れないし競争力がない。
それなら次世代の車を自国の産業に優位なものにするという。

日本では「イノベーション」の本当の意味が理解されてません。
イノベーションという言葉を簡単に使いたがりますが、イノベーションとは「新旧を入れ替えるためのツール」。
既存のシステムを潰しにかかります。イノベーションは常に残忍です。
アップルが伸び始めて、ノキアは凋落し最終的に撤退。わずか7年前の覇者が消えたのです。



以下にその他の読書メモを。

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<グーグルの問題点>
自分たちの既存事業の収益率が高いために、
結果として「投資することができる、もしくは新しく展開できる事業内容が限られる」ということ。

グーグルは、米国という最もROEを重視する国で上場している。
既存の事業よりも収益率の低い事業に投資をすれば、全体の営業利益率は下がり、ROEは低下する。
そうすると株主から突き上げられるので、むやみに投資や買収ができない。

そのためグーグルは、多くの投資家がすぐさま計算できないような、
「飛んだ」事業を買収したり、立ち上げたりする。
企業価値を守る上で合理的な判断だ。


⇒グーグルの2013年度売上600億ドル。営業利益率は23%。
売上の内訳は、500億ドルがグーグルアドセンス、50億ドルがモトローラ、その他が50億ドルです。
多くのブログに貼られてる広告が(僕も含めて)、グーグルの稼ぎ頭とは不思議な感じです。

検索して役に立たないブログが上位に来ると、誰も検索をしなくなります。
それでグーグルはアップデートでノイズのようなペラサイトの検索順位を落とし、検索の品質を上げます。
そうしないとグーグルの商売のタネである、広告の表示回数が減るからです。

トヨタがグーグルの収益源であるネット広告に参入したら、面白いことになるかも。



<投資家とは>
投資家は、常に未来を考えながら投資をしている。
投資家にとってのポートフォリオとは、投資家自身の渾身のアイデアや考えを組み合わせたものである。
投資家が思った通りに現実が動くかどうかは別として、
ポートフォリオとは、投資家がさまざまなシナリオに沿って考え抜いた未来像である。

本書ではウォーレン・バフェットのポートフォリオを詳細に検証し、以下の結論とした。
「バフェットは、アメリカの自動車産業を復活させるための鍵を握っている」




私は映画スターになるの♪
だからあなたは私の運転手になって
じゃあ今から運転手になるよ
残念ながらまだ私は車をもってないの
でも運転手はみつかった♪


ビートルズで1枚選べと言われたら、やっぱりラバーソウルかな。A面1曲目でドライブ・マイ・カー♪
ぼくはやっぱり車は自分で運転したい。自動運転なんて楽しくないと思う。



関連図書:
【アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日/桃田健史/14年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-03-22

【超入門 失敗の本質/鈴木博毅/12年4月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-09-08

【ゼロ・トゥ・ワン/ピーター・ティール/14年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-01-06-2

【これから5年の競争地図/中村吉明/13年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-12-21


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