インドの鉄人 世界をのみ込んだ最後の買収劇

  • 作者: ティム・ブーケイ バイロン・ウジー
  • 出版社/メーカー: 産経新聞出版
  • 発売日: 2010/01/30
  • メディア: 単行本


ミッタルスチールは、2006年の世界最大規模のM&Aによりアルセロールミッタルとなり、
新日鉄の3倍の規模の会社になりました。

国内大手鉄鋼メーカーは、浮き足立ち、経営陣が困惑していたことを思い出します。

会社は株主のものであることを、強烈に考えさせらる本です。
ぼくたち日本人は、世界でもっとも成功した社会主義国と言われ、
ややもすれば、会社は従業員のものという思想です。

こういう黒船のやり方を読み解くのも、日本の経営陣の責務だと思います。
ぼくはいち労働者ですが(笑)



<生い立ち>
世界で5番目の資産家と言われる、ラクシュミミッタルは、
インドのタール砂漠あたりの小さな町の、5人兄弟の長男として1950年に生まれた。

父親はカルカッタの小さな鉄鋼会社の共同経営者で、ミッタルは学校が終わると、
工場で父の使い走りや、郵便集配室で働いたりした。

16歳になったミッタルは、インドの名門校のセントザビエルカレッジに、
ヒンズーの青年でありながら成績が驚嘆すべきレベルであったため入学が許可された。

1969年にカレッジはじまって以来の最高の成績で卒業し、
21歳でインド式見合いで結婚。25歳まで家業に専念する。

25歳になった彼は、融資を引き出し、インドネシアに新鋭の製鋼所を建設し、
その後はM&Aを繰り返し、現在にいたる。



<概要>
アルセロールとミッタルの敵対的買収の、壮絶なバトルを描いてます。
約400pで字が小さいので、読むのに1WEEKかかりました。

金融と関係国家の法律を駆使したバトルです。
広報戦略も重要です。盗聴も尾行も当たり前のようです。

ミッタル陣営:
ゴールドマンサックス、クレディスイス、シティ他

アルセロール陣営:
モルガンスタンレー、メリルリンチ、ドイツ銀行他

一番印象に残ったのは、ミッタル陣営の中心的役割のゴールドマンの司令塔と、
アルセロール陣営の同じ役割のモルガンの司令塔は、
ザオウイ兄弟(兄がアルセ側)だったことです。
石原兄弟か、藤巻兄弟みたいな優秀な兄弟なんでしょうね。。



<読後感>
世の中の物事には、流れがありそれに逆らったら、だめだということです。
共通の想念があれば、それにむかって流れていく。
アルセ側には錦の御旗がなかったのでしょう。

アルセのCEOは、肝心の場面で、忍耐と配慮ある沈黙が抜けていたようです。

一方のミッタルは、コンピュータのような頭脳と、
人の話をしかっり聞く寛容さを持ち合わせていたようです。



曲のほうは、トイレの神様♪
3月10日発売予定で、キングレコード曰く10年に一度の名曲です。
有線の問い合わせチャートの1位だそうです。
朝からこの曲で、2回ほど涙腺が決壊しました。



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