心を上手に透視する方法

  • 作者: トルステン・ハーフェナー
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【心を上手に透視する方法/トルステン・ハーフェナー/11年8月初版】
くまざわ書店のビジネス書の1位を2ヶ月ほど独走してます。ドイツで35万部、日本でも10万部売れたそうです。そんなにみんな人の心のうちが知りたいのでしょうか。。ちなみにこの本を読んでも人の心は透視できません。本に書いてるようなことを日々訓練すれば、ある程度才能のある人はできるようになるかもしれませんが、毎日英語の勉強ができないのと同じで難しいと思います。

こころを透視するのに超能力はいらない。なにより必要なのは観察力という1冊です。著者は身体言語を読み解くことで、人の思考や感情を解釈する能力をもち、ドイツでステージショーやテレビやラジオに出演する人気者とのこと。ドイツとアメリカの大学でフランス語と英語の通訳資格を取得しているようなので、コミュニケーション能力がもともと高いのでしょう。

一読して強く印象に残ったのは、暗示と言霊です。この本にも紹介されているナポレオンヒルの「思考は現実化する」と同じような思想が通奏低音となっています。


以下に読書メモを。


<相手がなにを考えているか目の動きでわかる>
以下は自分でやる場合の方向です。対面すると逆方向です。

左上:視覚的な記憶を呼び出す
あなたが昨日着ていた服の色は?

左横:聴覚的な記憶を呼び出す
あなたの好きな歌は?

左下:独り言、内的会話
いったいどういうつもりなのか?

右上:視覚的な創造
あなたの友達の髪をピンクに染めたらどんな感じ?

右横:聴覚的な創造
ベートーベンの第九を笛で演奏したらどんな音になりますか?

右下:触運動覚(嗅覚、味覚含む)
泳ぐときに水があなたをなでる感覚を知っていますか?

ただし左利きの半数は逆の動きになるそうです。また違う動きの人に出会っても、その人なりの一貫性があるとのこと。



<運がいい人>
イギリスの心理学者ワイズマンの実験。自分で運がいいと思ってる人と、悪いと思ってる人を探し出し、
「新聞にのってる写真の数を数えるように」指示をした。ただし被験者には知らされてない重要情報が、新聞には隠されていた。「実験の担当者にこの文章を見たと言えばあなたは百ポンド獲得します」

運が悪いと思ってる人は写真を数えるのに必死でこの文章に気がつかず、運がいいと思ってる人は全員が百ポンドを獲得した。

この結果から、運がいい人はチャンスによく気がつくということがわかった。(逆に言うと運がわるい人は鈍感で、周りが見えてない人ということか)



<赤ん坊をみると首を傾けるのはなぜ>
首を傾けると、動物にとっての急所の頚動脈を見せることになる。急所を相手に見せるということは、非言語コミュニケーションで相手に害を加える気はないと伝えることになる(犬が腹をだすのと同じ)



<腕組み>
相手に対する防御と一般的には言われ、企業研修なんかでは顧客の前でするなとか言われている。パーティで二人で会話してるときにこのポーズをとる場合は、相手に対してではなく、その場にいるほかの人に対して会話の邪魔をしないで、話に口をはさまないでというサインになる。



<賢馬ハンス>
計算のできる馬ハンスは、出題者が答えを知ってるときだけ回答できた。つまり計算ができるのではなく、回りの雰囲気を敏感に察知することに長けた馬だったのである。

著者はハンスと自分を重ね合わせて、馬でもできるのだから、訓練すれば直感で身体言語を読み取ることができるようになると言う。



<表情が感情になる>
思考と表情の関係は一方通行ではない。思考が体の姿勢や動作に表れるのと同様に体の動きや姿勢が、思考や感情に影響する。被験者を使った心理学者の実験では無理やり笑顔をさせられた被験者は、そうでないグループよりアニメを面白く感じた。(ワンピースのデレシシシと同じことか)



<脳波の最良の状態>
リラックスしたアルファ波の状態を作れるようにしよう。この本には体を弛緩させて、大きな腹式呼吸を3回すると出しやすいと書かれていますが、ドイツ人なので座禅を知らないのでしょう。半眼座禅がアルファ波を出すのに最適です。肝は半眼です。
・0~4ヘルツ:意識が無い状態(デルタ波)
・4~7ヘルツ:熟睡してる状態(シータ波)
・7~14ヘルツ:目は覚めているがリラックスしていて心地よく、安静で調和のとれている状態。この状態は潜在意識にアクセスするのに最適な状態。(アルファ波)
・14ヘルツ以上:完全に覚醒している(ベータ波)



<言霊、言葉は潜在意識に強く訴えかける>
バージのプライミング実験で有名ですが、ネガティブワードとポジティブワードを読んだ別々のグループでは反応や身体動作が違ってくるそうです。言葉で人を操れる。そういう意味では、人事情報なんかで「あの人はこんな人」とかいうレッテル貼りは怖いし、人の悪口やネガティブワードを連発する人のそばには寄らないほうが賢明なんでしょう。



「この気持ちをどうやって君に伝えたらいいのか、言葉はほんとに難しい」FRデービッドのワーズです。




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