国家破産・これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと

  • 作者: 吉田繁治
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 単行本


【国家破産・これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと/吉田繁治/11年12月初版】
2011年初版のビジネス本のベストです。これ1冊で他のマクロ経済本は不要です。ほぼ全ページが知識源なので、読むのに400ページで10時間以上かかります。普通の本だと400Pは5時間程度でしょうか、内容を理解するには2倍の時間が必要です。

吉田氏はビジネス分野のメルマガ人気No.1の人です。無料読者も合わせると4万人がこの人のメルマガを読んでます。本は2年ぶりです。だいたいメルマガで年間10冊分の本を書いてる換算だそうです。「ビジネス知識源」は内容が濃く、ぼくも無料読者のほうですけど、毎回楽しみにしています。

マクロ経済の知識については、人気ブログランキング総合1位の三橋貴明氏と双璧です。この2人がTOP2と言っていいと思います。三橋氏は財政に関して楽観論者です。今回の吉田氏の「国家破産」は、題名を聞いたとき、えっ〜吉田氏も、辛坊や藤巻や大前や朝倉etc.とおなじ破綻論者になったのか〜とびっくりしました。

読んでみて納得です。国家破産の定義が楽観的なのです。日本の場合は外国からお金をほとんど借りてないので(94%国内調達と6%の海外も円建て)円安、インフレ、金利の高騰、公務員給料の大幅圧縮+社会保障費の圧縮で済みます。ぼくなりの理解での国家破産後のシナリオ要約は以下です。

国家破産とは金融資産をもたない我々にはいいことで、国家とは400万人いる公務員のことです。彼らへの給料が約40兆円です。福利厚生を入れると1人1000万円平均です。国家破産後は100万人程度の公務員リストラと、約30%程度の公務員給料カットが行われます。(個人的にはG7の人口当たりの公務員数と比較し日本は多くないので、減らす必要はないと思います。なにより教員、警察、消防で150万人いてそこは減らして欲しくない。ただし厳しいようですが、国家破産時にはG7並み(先進国平均)の公務員給料350万円/人にせざるを得ないと思います。地方公務員の平均給与728万円/人の半減となります。雇用を守り給与を下げる。ワークシェアリングです。上記案の同レベルの効果額となります)

それから金利は5%程度になり、円は暴落し、だいたい150円/$から最悪200円程度になります。原油、LNGや小麦等の輸入価格高騰で、短期的には物価が高騰しますが、今の時代はハイパーインフレ(10倍以上の物価高騰)はありません。その後は円安で製造立国日本が復活します。国内で製造しても十分に戦える。

国破れて山河あり。家のローンを固定金利で組んでいて、金融資産がマイナスのものは得をします。損をするのは公務員、金持ち、老人です。このうち老人は年金医療費の負担では得をしてるので、若年層と「おあいこ」といっていいでしょう。

ちなみに財務省は国家(公務員)破産を避けようと必死になって増税しようとしてますが、デフレ期の増税は名目GDP(税収の原資)を減らすので、かえって税収減になります。(過去の歴史)

読んでて気づいた三橋氏との考え方の違いを2点挙げときます。

・金融機関が国債を買う理由
三橋氏:デフレ時は企業の資金需要がないので、運用するには国債を買わざるをえない。
吉田氏:財務省が談合で金融機関に無理やり買わせてるという解釈
(破綻論者の朝倉の最新本もおなじこと言ってた)

・デフレの正体
三橋氏:人口減がデフレの原因ではない。人口減の国でもインフレになってる。
吉田氏:不動産価格を中心に人が減れば物価が下がる。藻谷氏よりの考え方。


その他の読書メモです。

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<フランスの人口増政策 扶養家族が多ければ税率ダウンN分のN乗方式>

日本がとるべき人口増政策。高齢者を扶養する若年層を増やさなければならない。

日本の人口は100年前は4000万人でした。それがいまは3倍です。これが減少局面になっていて、先進国は同様の問題を抱えています。フランスでは子供を生めば生むほど課税所得が低くなる税制です。しかも私生児もOKです。子供に関する支援策だけで6.8兆円(日本は人口が約2倍なので13兆円に相当する)さらに税制面の優遇もあります。これにより50年前4000万人が約6000万人まで人口が増えました。



<ドル基軸通貨から通貨バスケット制へ数年内に移行>
これだけドル安になると、企業は利益計画がたちません。世界中非常に困ります。GDPの12%もの財政赤字国の通貨が、基軸通貨であり続け、対外収支の黒字国(中国、産油国、日本)がドル安で損をし続けるファイナンスの不均衡は、維持できません。数年内には世界からの要請で、通貨バスケットが志向されることになる。中国を含む新興国のGDPと世界の貿易における比重が30%に高まったので、ドル基軸の維持はもう無理になっています。

世界の合意からIMFのSDRのような通貨バスケットになると、米ドルもユーロ、円、元のように従属通貨になります。長期傾向でいえば1$=60円に向かう。米国の貿易が均衡するレートに向かい下がっていきます。

著者自身の1章の要約版です。
http://www.cool-knowledge.com/2012/01/27/626/

きゃりーぱみゅぱみゅの「つけまつける」さいきん頭の中で回ってます^^
おなじ空がどうみえるかは こころの角度次第だから~♪



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