10年後に食える仕事、食えない仕事

  • 作者: 渡邉 正裕
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/02/03
  • メディア: 単行本


【10年後に食える仕事食えない仕事/渡邉正裕/12年2月初版】
近所のくまざわ書店のビジネス本ランキングで今週2位です。読むと凹みます。
なんのとりえもなく、紙とエンピツ、人間関係と要領だけで職を得てるぼくのようなサラリーマンは、
思いっきり淘汰されそうです。

子供らが社会にでるまでは、なんとか今の給料レベルを維持してほしいと神にも祈る気持ちです。
神様お願いします。

この本の趣旨は、グローバルに競合する産業はグローバルな賃金に収斂していくということです。
グローバルな賃金とは製造工で、中国400ドル/月、インド200ドル/月、
ベトナム80ドル/月、ミャンマー20ドル/月です。

もちろん職種によって違いますが、中国やインドでざっと日本人の10~20分の1レベルです。
(購買力平価ではそんなに大きな差はありません。物価はそれぞれの国は安いですから)

ただしグローバル化がいくら進もうが、
日本は内需国でもあり日本に残り続ける仕事は必ずあり、
そのブルーオーシャンを目指していくべし。

そのポジションを得られなければグローバル化により、
「減る仕事、賃金相場が限界まで下がる仕事、丸ごと無くなる仕事」の領域になってしまうとの事。
著者の分析によると2010年の国税調査の職業分類で、
72.5%(4224万人)がレッドオーシャンに該当するそうです。

う~ん確かにグローバル化の破壊力はすさまじいです。今の日本の惨状は、
僕が入社した20数年前には想像できませんでした。

まさかJALが倒産したり、日本の誇る家電メーカが総崩れになるなんて。
造船、鉄鋼、自動車なんかも低賃金、為替安の韓国、中国にシェアを奪われてますしね。
かつて高給を謳歌した都銀でさえ統合のたびに給料水準が下がってるみたいですし、
金融もグローバルですもんねえ。。

以下に読書メモを。








<銀行員の給料は激減>
国際的な金融自由化にともない、過去10年で旧都銀の給与水準は激減した。
30歳で年収1千万だった時代は10年前に終わり、
メガバンクへの集約・統合のたびに水準は切下がり、
いまやトップの三菱東京UFJ銀行でも、
過半数の30歳行員は基幹職コースでさえ600万円台であり、メーカーと大差なくなっている。



<グローバル化時代の職業マップと代表的職業>クリックで拡大します。




<政府としてするべきこと>
①無国籍ジャングル人材の優遇
青色発光ダイオードの中村さんのような人材の流出を防ぐ。
具体的には研究開発投資減税の恒久化、企業内研究者の発明対価に有利な条件を確立する法制化

②経済的規制の撤廃
縦割り行政による縄張りで、相互参入ができなくなっている。これを撤廃させる。
たとえば「青いバラ」のサントリーの研究所が米、野菜、果物の品質改良を手がけたら。
たとえばトヨタが農業参入し、少量多品種の生産を効率的に行う「トヨタ生産方式」が導入されたら、
ジャストインタイムで世界一低コストの「トヨタ米」を作るだろう。
分単位で営業を管理するキーエンスには農産物の営業をやってもらう。

③負の雇用貢献税で雇用を国内化する(雇用の流出を防ぐ)
マーチをタイで生産し国内生産比率が3割をきってる日産と、
国内生産比率が45%と業界一高いトヨタが同じ税率ではいけない。
トヨタに減税、日産に増税となる全体で中立になる税制にしないと雇用は流出する一方である。

④単純労働者はギリギリまで受け入れない
建前上は日本は単純労働者の受け入れを認めていない。
だけどその割にはコンビニやファミレスに中国人が多いのはなぜか(理由は省略)。
今後年金支給開始年齢は70に収斂されるとみる。60代の雇用は社会問題化する。
単純労働は彼らのために残しておくべき。

⑤負の所得税による再配分
所得が低い人には所得税をかけるのではなく、逆に所得を補填する。
バラマキ型の現在の生活保護の仕組みよりはるかに優れている。
年収50万円でも、とにかく働いて自力で稼げば、補填分と併せた総額が増えていくと言う仕組み。


P.S.著者が「最後の楽園」とよんだ東京電力はあんなことになりました。
マトリクスでいくら、ここだ!と選んでも何がおきるかわからないのが人生です。
「人事を尽くして天命を待つ」しかないのでしょう。




アラバマの85年のヒット曲で40 hour weekです。
この曲にはたぶん13個以上の仕事が紹介されていますが、
いまアメリカの25歳未満の失業率は18%です。(日本は8%、11年8月調べ)
あのときのアメリカの日本に対する気持ちがよくわかる今日この頃です。




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