脳はこんなに悩ましい

  • 作者: 池谷 裕二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/12/21
  • メディア: 単行本


【脳はこんなに悩ましい/池谷裕二&中村うさぎ/12年12月初版】
池谷裕二と中村うさぎの対談本です。240pほどでサラッと読めます。東京大阪の新幹線のなかで読むのにちょうどいい。

池谷氏の脳本は新刊が出るたびに読んでしまいます。なぜか?彼は科学専門誌を一日百報チェックしています。しかも参考文献はすべて英語。労せずして世界の最新の知見が手に入るので、彼の新刊は楽しみなのです。

再確認もできます。やっぱり知識はドンドン忘れていくので、定期的に入れておかないと。たとえばプラシーボ効果。「あぁ薬の」ぐらいの記憶しかないですよね。

効き目のない薬を効くと思い込んで飲めば、本当に効果が出るってやつですが、モルヒネのニセ薬を使った実験では、ニセ薬なのに、モルヒネと同じように、脳は痛みの経路を遮断したそうです。

ちなみにプラシーボは、信頼してる医者からもらわないと効きません。さらに値段が高いほど効く。「病は気から」という言葉の重みを、今更ながら感じます。

ピグマリオン効果。ものすごく強い願望をもつと、願いがかなうという効果です。語源はギリシャ神話の王様ピグマリオン。王様が自分の好きな女の彫刻を作ったら、その彫刻が人間になっちゃう。

教師の期待によって学習者の成績が向上する実験が有名ですが、ネズミでも同じです。同じネズミを学生に2匹渡して、ネズミAが優秀だと伝えると、実験結果もネズミAのほうが記憶力がいいと出てくる。偽造してるわけではなく、ネズミAへの扱いが丁寧だからそういう結果になる。

老人ホームでも同じ結果になる。改善の見込みが高い、と診断された患者は、介護士が丁寧に看るので、実際によくなるそうです。「信じるものは救われる」

最近の女性が40代、50代になっても若々しいのはピグマリオン効果かもしれないと、池谷氏は言ってました^^

以下に読書メモを

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<IQは遺伝>
ミネソタ大学の有名な実験。一卵性双生児は遺伝子が一致している。彼らはクローンだ。知能を測定すると、一致率は88%だった。環境影響を見るため、幼いときに里子に出され、まったく別の環境で育てられた双子で比較すると、一致率は少し下がるが69%。この数字は衝撃的。IQの7割は遺伝子だと言ってるに等しいから。放っておいてもできるやつはできる。

IQには複数の遺伝子が関与していて、いくつかのIQ遺伝子は、乳幼児期に母乳で育てられると効果を発揮する。

⇒母乳神話は本当だったんですね。あと凡人としてはピグマリオン効果を信じたいです^^信じるものは救われるはずです…


<男は必要ない時代になった>
生命科学的には男性が必要ない時代を迎えた。クローン技術が急速に進化し、女性は自分の細胞を自分の子宮で育てて、我が子を産むことが技術的に可能になった。


<女性のオルガズム>
30%くらいの女性はオルガズムを感じにくいとされている。情動知の高い人、つまり平素から自分の感情の変化によく気付いて、感情コントロールの上手な人ほどオルガズムに達しやすい。


<人間のセックス>
隠れてセックスするのは人間だけ。動物は公開セックス。しかも多くが乱交。だから産まれてきた子の父親が誰かわからないのが普通。哺乳類でさえも95%以上の種が、つがいをつくらない。


<逃げ道は必要>
ストレスホルモンを強制的に放出させる(ペンタガストリンを点滴)実験。グループを2つに分け、1つはただ点滴するだけのグループ。もう1つは「具合が悪くなったら、ボタンを押せば実験を中止できます」と説明してから点滴されるグループ。

両者に同じ量のペンタガストリンが点滴される。にもかかわらず、ボタンがあるほうが、ストレスホルモンの上昇量が5分の1くらいで済んだ。

ボタンというストレス回避法があることを認識するだけで、すでにストレスを解消したのと同じ効果がある。回避の確保、防衛策を張っておくことは大事。




人生を素晴らしくする♪
新しい薬が欲しい♪
恋のように♪

Huey Lewis And The News - I Want A New Drug


ついでにレイパーカーJrのゴーストバスターズ。パクリでヒュールイスに敗訴しましたね。


79年のMのポップミュージック。Mがルイスを訴えるべきです^^;



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