考えすぎた人: お笑い哲学者列伝

  • 作者: 清水 義範
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/21
  • メディア: 単行本


【考えすぎた人 お笑い哲学者列伝/清水義範/13年6月初版】
現在の日本の離婚率(その年の離婚件数÷結婚件数、結婚する若者が少ないので数字は大きめになる)は約36%だそうです。米国はもっと多くて約50%。みんな我慢しないということなんでしょうね。とはいえ多くの人が、それなりに辛抱してると思います。

世の多くの男性にとって、ソクラテスはある意味心の支えかもしれません。あの偉大なソクラテスでさえ、奥さんには頭が上がらなかった。自分が奥さんをコントロールできなくても、しようがない。

ソクラテスが語った奥さんクサンティッペに関する名言はWIKIによると以下。

・「セミは幸せだ。なぜなら物を言わない妻がいるから」。
・「ぜひ結婚しなさい。よい妻を持てば幸せになれる。悪い妻を持てば私のように哲学者になれる」。
・ある時クサンティッペはソクラテスに対して激しくまくしたて、彼が動じないので水を頭から浴びせた。しかしソクラテスは平然と「雷の後は雨はつきものだ」と語った。
・「そんなにひどい妻なら別れたらいいじゃないか」と言った人に対し、ソクラテスが語ったとされる言葉に次ようなものがある。「この人とうまくやっていけるようなら、他の誰とでもうまくやっていけるだろうからね」。

水を差して悪いのですが、どうも作り話っぽい。クサンティッペが悪妻であるという根拠は本書によると、クセノフォンという男が書いた「ソクラテスの思い出」という本の中に、ソクラテスの息子ラムプロクレスが、「母さんはひどいことばかり言って、あんな人を母だとは思いたくないくらいです」と言って、父にたしなめられているシーンがあるだけだと。

う~ん、みなの願望だったということか。

だいたいにしてソクラテスは自分で本を書いてません。弟子のプラトンがソクラテスの言葉として書いています。なんかこのパターンも多いですよね。論語も弟子が書いてるし、新約聖書も弟子が書いてる。パウロなんかは一度もキリストに会ってないのに、自分で想像して書いてる。それを正当化するための三位一体(聖霊が書かせた)^^;

本書によると、プラトンは20歳のとき62歳のソクラテスに出会い弟子になる。ソクラテスは70歳で亡くなるので8年間の弟子だったようです。で、プラトンは自分が出会う前の事も、ソクラテスはこう語った、と見てきたように書いている。親や兄弟もソクラテスと親交があったようなので、そこから聞いたとも解釈できますが、自分の考えをソクラテスを通して語らせたと言う見方が自然なんでしょうね。ま、パウロよりはマシです。聖霊が書かせたわけじゃないから。

クサンティッペが悪妻というのも、誰かが自分の境遇をソクラテスを通して具現化したのかもしれません。

本書は哲学者をネタにしたユーモア短編小説です。全267p。モテナイ君が合コンでカントを女の子に語ったり、ルソー研究家がテレビ番組で、降霊したルソーと対談したり、いわゆるお笑い系なのですが、各哲学者の思想や生い立ちがよくわかります。だいたい一人20pほどです。ま~それにしても、みんな哲学者は変人です。登場する哲学者は以下。ソクラテス、プラトン、アリストテレス、デカルト、ルソー、カント、ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ハイデッガー、ウィトゲンシュタイン、サルトル。全12名。真剣に読むと怒る人も出てくると思うので、かる~く読むと面白いです。


以下に読書メモを。

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<ジャン・ジャック・ルソー>
子どもをどう教育するかという「エミール」を書いて、生まれてから5歳までは何よりも母の愛によって育てなければならないとしている。しかし自分の子を5人も生まれてすぐに孤児院に入れている。経済的に困窮していたから。

ルソーの母はルソーを生んで9日目に亡くなり、父は10歳のときに逮捕状が出て逃亡。孤児となり以降は裕福なご婦人を頼って渡り歩く。


<デカンショ節>
戦前の大学生がよく歌った歌。「デカンショ デカンショで半年暮らす ヨイヨイ あとの半年寝て暮らす ヨイヨイ」
デカンショとは、デカルトと、カントと、ショーペンハウアーのこと。そういう哲学者のことをガリガリ勉強して、あとの半年は寝て暮らすという意味。当時の大学生のインテリ気取りの洒落。この歌は本当は兵庫県篠山市付近の盆踊り歌で、デカンショは、出稼ぎしよ、の意味。半年稼いで、半年は楽に暮らそうという歌。


<フィロソフィー>
フィロは「愛する」の意、ソフィーは「知恵」。知恵を愛すると言う意味。
⇒フィロソフィーを哲学と翻訳したのは明治の思想家、西。 あなたならなんと翻訳しますか?

笑いたければ笑えばいいよ♪
僕には僕の哲学がある

僕は大地と同じぐらい
その哲学を信じている
だから僕は倒れそうになっても
歩き続けていられるんだ

ベンフォールズファイブは90年代に結構流行りましたね。ピアノ、ベース、ドラムのトリオバンド。ギターレスなところが受けて、ジャズファンからも注目を集めました。全作品を聴いてるわけではありませんが、この曲の入ってるデビュー作と、ソロになってからの1作品目が好きです。とくにソロ1作目はとてもメロディアスで、ベンフォールズが天性のメロディメーカーであることがよくわかる作品です。ビリージョエルやポールマッカートニー、ギルバートオサリバンのような美メロをお探しの方には、ベンフォールズのRockin the Suburbsはお薦めです。ちなみにベンフォールズ、結婚を4回しています。

ベンフォールズファイブでフィロソフィー♪




Rockin the Suburbs

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony
  • 発売日: 2001/09/12
  • メディア: CD




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