警察・ヤクザ・公安・スパイ 日本で一番危ない話

  • 作者: 北芝 健
  • 出版社/メーカー: さくら舎
  • 発売日: 2015/05/11
  • メディア: 单行本-平装


【警察・ヤクザ・公安・スパイ 日本で一番危ない話/北芝健/15年5月初版】

『2014年夏、めぐみさんのお父さんである横田滋さんと同じテーブルで食事をする機会があった。
柔和でいつも半分笑ったような顔をしていて、その表情のまま悲しい話をされるので、
聞くほうとしてやりきれなさが募る。

目黒雅叙園での食事会に同席してたのは、横田滋さんのほか、菅官房長官、
安倍総理に近い中西輝政京大名誉教授、どういう立場か不明だがドクター中松氏もいた。

横田滋さんはめぐみさんの生存に関して疑ってる様子はない。年齢から関心は、
「すぐ戻ってきますかね」だった。

いつ戻るかわからないが、現在の居場所は断言できる。
平壌市内の病院にいる。実情は入院というより、幽閉されている。

横田めぐみさんは、国の内外からシンボル的な存在と見られているため、
日本政府としてもなんとか彼女を奪還したいと考えている。
見込みもあるが、メドが立たない。

そこで家族の焦りをやわらげようと、菅官房長官自ら、
とくに横田滋さんが信頼してる中西さんにも同席してもらって、接待につとめている。
政府がいまつかんでる情報を伝え、やる気があるところをみせている。

政府は拉致問題を解決するために裏金を出している。小泉訪朝のときで、
1人1億~1億5000万円。北朝鮮からの要請による。

北朝鮮はなぜそんなにお金をほしがっているのか?
北朝鮮の二大看板である偽ドルとシャブの両方がだめになったからだ(詳細は本書で)』

元公安外事警察の北芝健の本です。「踊る大捜査線」の原案協力者。
一時期テレビによく出て、たかじんの番組でかなりやばい話してましたが、
最近見かけません。暴露しすぎでつぶされたか。

まぁ本なら影響力は少ないし、多少やばい話書いても大丈夫でしょう。
長谷川慶太朗とか副島隆彦ほどデカイことは書いてません。

北芝健は公安時代に何度もころされかけてます。
今も日米の諜報関係の人脈や情報欲しさに、各国のスパイから接触があるそうです。
現役でなくても利用価値があると。
そんなスパイがらみの話がお好きな人には、お勧めの一冊です。

以下に読書メモを。

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<北朝鮮の日本人拉致の目的は何か?>
特定失踪者問題調査会が2014年に公表した特定失踪者は271名。非公開が約200名。
計約470名が拉致された可能性が高いと(日本政府が公式に認定したのは17名)。
一説には800名近くいるだろうとまで言われている。

なぜ横田めぐみさんのような一般家庭のローティーンの少女が拉致されたのか?
北朝鮮の拉致実行者は、潜入した日本での収穫がないまま空の船で帰国すれば、
罰せられて僻地送りになる。彼らにしたら通りがかりの人でもかまわない。

北朝鮮の拉致行為は、誰が何の目的ではじめたのか?
金日成の時代、情報部の統括責任者が部下に対する訓練の一環として、
「船で日本まで行って帰ってくる」という教程があった。それがことのはじまり。

日本に向かうときは覚せい剤を積んでいく。
それを下してお金をもらってくるのだが、きちんと仕事をしたという証拠に、
誰でもいいから日本人を連行してくるようにと命じられた。

金日成の代になって、平壌市に江西学院というスパイ養成学校がつくられた。
これは軍事、警察、情報にかかわるものがスパイ技術を学ぶための施設で、
対日本のためだけにつくられた情報機関。

拉致事件の後半には、この江西学院で訓練を受けていたものが多くかかわっている。
こうした事実は、日本の公安外事警察もすべて把握している。




<金正男の娘>
長男だった正男の愛人は東京の韓国クラブにいて、女の子を産ませた。
彼はその子に会うため、しょっちゅう日本に来ていた。
また中国の北京政府は、性格がおおらかで性質もいいと言われる正男をことのほか好んでいた。
だから中国国内でもわりと好きなようにさせていた。
北京に豪邸をもっていて遊び好きで、ディズニーランドには執着がつよい。



<検挙率100%の手法>
現場の刑事は事案をいっぱい抱えてるので、次の事件の捜査にかかるまでには、
かなりの時間が経過している。

そこで中間幹部が上に報告する場合、事件数、被害者数をなるべく小さく見せようとする傾向がある。
事件を意図的に隠したりすることもある。とくに大阪府警は伝統的にその傾向があった。

手口はいたって単純。被害届が提出されたら一応受理しておくが、引き出しにしまっておく。
そして犯人が捕まったら、そこで被害届を出す。捕まらなかったらいつまでも引き出しに入れたまま。
こうすれば受け付けた事件と解決した事案の数が一致するので、
検挙率は100%ということになる。検挙率には暗数、グレーゾーンがあるのでいくらでもいじれる。



<キャリアは日本独自>
500人のキャリアが、一般警察官27万人の組織を動かしている。
両者は融合しておらず、不祥事はあとをたたない。



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キャリアの優等主義は日本独特の傾向で、アメリカやイギリスにはキャリア制度はない。
捜査の経験もない若い警察官がいきなり捜査課長になったりするのは日本だけのきわめて特殊な例。
末端ほど身分が低いという江戸時代の「与力・同心・岡っ引き」制をいまだに引きずっている。



<歌舞伎町の集金システム>
2003年1月、中国マフィアと日本の暴力団の手打ちが行われ(住吉会幹部射殺事件)、
一転して業務提携することになった。

中国マフィアは日本の暴力団の比ではない。日本の暴力団は半グレまで入れて12万人だが、
中国マフィアは全世界で200万人いる。

日中業務提携後は歌舞伎町には中国マフィアが堂々とはびこるようになり、
売春を生業とする風俗店の多くは中国マフィア系の経営、
ほかの風俗店にみかじめ料を集めにいくのも、日本の暴力団ではなくみな中国マフィアになった。

彼らは歌舞伎町の性風俗店から月に一軒、平均すると5万円を取りたてる。
日本語ペラペラのものが取りたてにいくが、
それらはみな中国マフィアの関連組織たる二世三世のグループ。
主としてトンペイの血を部分的に持つ特定の暴走族出身の若い者が集金にあたる。

月5万円のうち3万円を中国マフィアが取り、
あとの2万円がテリトリーをもっている日本の組に落ちる。



<スキミングの手法>
チャイナ風俗に多い。カードを受け取ると奥の事務室など客の見えないところで決済する。
客に見えないところには、手のひらに入るぐらいの機械がある。



そこにカードを通すと、スキミングといって磁気記録された個人情報が吸い取られ、
機械にそのままコピーされる。それを別のプラスチックカードに転写すると、
持ち主と同じ機能をもったクレジットカードができ上る。

そのようにしていろんな場所で偽造された多くのカードが集められ、
アタッシュケースに入れられて、中国マフィアの手を通じて香港や台湾、バンコクなどに運ばれる。
するとそこに別の役割をする人がいて、そのカードで家電製品を買いあさる。

向こうは貨幣価値が日本と違うので、多くの製品が買える。
その製品を転売すれば、その差額がいい儲けになる。
さらに磁気情報にキャッシングできる情報(暗証番号)があれば、
何十万円単位でキャッシングされてしまう。



<著者の公安外事課への異動経緯>
もともと英国留学経験があり英語が得意だったが、刑事時代語学研修制度があって推薦された。
選抜試験、中間試験、卒業試験ですべてトップの成績で総代を務めた。
三度の試験ですべてトップというのは「前代未聞の優秀な成績」で、今泉副総監から表彰された。
(もらったものは万年筆と賞状。金一封はでなかったと)
副総監じきじきに「今後も励んでください」という言葉をいただいた翌日、
公安外事警察へ異動の辞令があった。



<公安の盗聴は合法か>
通信傍受はアメリカは令状なしでもOK。日本では捜査のために通信傍受が許されるのは、
薬物、銃器、集団密航、組織的殺人行為の捜査に限定される。

日本は令状主義だから裁判所に申請する。
ところが許可申請書の中に「通信傍受を許可する」という文書があっても、
書類が山のようにたまってるので、かなりの裁判官は詳細を見ずにハンコを押す。
すると裁判所がOKしたということで、通信傍受のほとんどは事実上合法になっている。



<ハニートラップ>
世界でもっともハニートラップを使うのは中国。起用される女性はもっぱら留学生。
中国からの女子留学生のうち、半数ぐらい、
人数にして200~300人はハニートラップ要員ではないかと目されている。

彼女たちは1年ほど日本に滞在し、居酒屋チェーンなどで適当にアルバイトしながら、
情報収集している。こうした女性の親や親戚は本国で政府や党から仕事をもらっている。
彼女が命令通り働かないと、親族が失職したり、僻地の農村に追いやられたりする。
だから情報をとるためには、わが身を呈して頑張る。

情報収集目的で日本に来る場合、日本の新設大学は海外からの学生をどんどん受けいれてるので、
留学生として学校に行くのがもっとも簡単。入学金や授業料は北京政府が出している。



<スパイの残酷なやり方>
諜報関係の公務員は危なくて一軒家をもてない。
マンションでさえ火をつけられる。公安の講習時にそういうことを聞かされてるので、
放火されてもあまりびっくりしない。

火災保険申請のため被害届は出すが、警察もそのへんは了解してるので、
あまり真剣に捜査はしない。犯人のめぼしはついてるが、放火のプロがやるので、
ネタが残ってないのだ。

特定の人への報復や見せしめなど、明確な意図が認められる放火と、
不特定多数の一般市民を恐怖に陥れるような愉快犯的な放火とは、捜査するほうも一線を画している。

交通事故偽装、転落事故偽装、うつ病での自殺偽装などの手口は本書にて。
工作員によるそのような事件は、マスコミでは報道されない。



<イギリスのスパイ>
英国大使館の外局で、日本各地で英語教室や留学斡旋を展開している、
ブリティッシュ・カウンシルの職員のかなりのパーセンテージが、MI6の局員と目されている。





そういえば、今年は007の新作「スペクター」が12月公開予定です。
主題歌はレディオヘッドかアデルか?
前作で主題歌担当したアデルも、子供がそろそろ3歳になり9月前後に新作発表?
次は「25」ですね。ファレルウィリアムスも参加してるみたい。
結婚、出産を経験したアデルが、どんな歌書いたかちょっと楽しみです。

ポールマッカートニーで007死ぬのは奴らだ♪何度見てもいいです。
ぼくが見たのは東京ドームじゃなくて、大阪ドームでしたが。



NEW-ジャパン・ツアー・エディション(DVD付)

  • アーティスト: ポール・マッカートニー,ポール・エプワース
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2015/04/15
  • メディア: CD



関連図書:
【CIA諜報員が駆使するテクニックはビジネスに応用できる/JCカールソン/14年7月初版】
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【暴露 スノーデンが私に託したファイル/グレン・グリーンウォルド/14年5月初版】
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【諜報機関/井上太郎/14年12月初版】
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【ポール・マッカートニー/大阪ドーム/11月12日セットリスト】
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【ヤクザ1000人に会いました/鈴木智彦/11年4月初版】
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