中国大減速の末路

  • 作者: 長谷川 慶太郎
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/06/19
  • メディア: 単行本


【中国大減速の末路/長谷川慶太郎/15年7月初版】
数年前から中国崩壊(ソ連みたいに)を予測している長谷川慶太郎。
本書を読むと、もう時間の問題で、崩壊を織り込み済みでした^^

これまでは、なぜ中国は崩壊するかという説明が多かったのですが、
本書は、崩壊後の世界はどうなるかという説明が多い^^;

中国以外にも、世界情勢に関する面白話は、あいかわらず満載です。


目次を以下に。

序章 中国主導のAIIBは「窮余の一策」にすぎない

第1章 日中冷戦に敗れた中国の惨状
・破たんした国土開発バブル
・経済成長の終わりが意味するもの

第2章 個人独裁を目指す習近平の愚
・反腐敗を名目とした粛清
・平和の時代に恐怖政治は続かない

第3章 ソ連末期に似た新常態―中国崩壊は目前に迫っている
・腐敗する党幹部と解放軍
・共産党独裁政治の末路
・崩壊を加速する周辺からの怒り
・中国崩壊のシナリオ

第4章 中国崩壊後の世界―デフレはますます深化する
・アメリカ優位の時代は続く
・デフレで世界経済は成長する

第5章 日本が世界市場を席巻する―日本経済再び黄金期へ
・日本の技術が世界を席巻する
・医療産業は成長の柱になる


以下に読書メモを。

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<ロシアと北朝鮮の関係>
中国は北朝鮮を切った。
50万トンの原油の供与や、50万トンの食糧支援を停止した。
北朝鮮が崩壊すると、韓国は支えられないので、中国に助けるよう懇願しているが助けようとしない。
中国経済の緊迫度も深刻で、とても助けられるような状況にない。

北朝鮮はいまロシアに接近している。
ロシアは北朝鮮の労働力を必要としている。
北朝鮮の出稼ぎがいてはじめて、サハリンから沿海州さらに東シベリアの農業と林業が成り立っている。
北朝鮮の労働力は6万人の安価な労働力である。

北朝鮮の労働者への給与は、ルーブルで北朝鮮政府に支払われる。
北朝鮮政府は当然ピンハネするが、労働者は三食満腹するまで食べられるから満足である。
ロシアからの労働者募集があると殺到して、応募は定員の3~5倍に達するという。

北朝鮮政府は手に入れた虎の子のルーブルで、ロシアから燃料を買い、
それをラソンまで持ってきて積み替え、北朝鮮全土に配給している。




<苦しむサムソン>
グミでしくじった。グミで半導体工場を始めるのに、日本円で約7兆円の投資を行った。
その際に著者は創業者のイビョンチョン氏に聞いた。

「なぜこんなプロジェクトをやるのか。そのうちに中国に追いつかれて潰れるぞ。
なぜ重電をしないのか。あなたが亡くなって何年かはもつが、そのあと潰れるぞ」
「長谷川さん、それは韓国では無いものなだりなんだ。重電はやりたくても、
インフラがなくてできないんだ」と。そのとおりの展開になっている。

中国のファーウェイがすごく伸びて激安スマホをつくっている。
工場はなく本当のファブレスだ。価格の割にはなかなかしっかりしたものをつくっている。
その激安スマホにサムソンは対抗できないのだ。



サムソンはスマホの後が何もない。
スマホはパーツさえ買って組み立てれば、誰でも簡単につくれてしまう。
そこに高度な技術力は必要ない。安い労働力のコスト勝負になる。




<ロシアの現状>
1998年のロシア危機の時、アメリカが経済的にロシアを救った。
そのときの条件が、「アメリカの世界戦略に異を唱えない」
「アメリカの安全保障上の脅威となるような行動はとらない」
ロシアはこれを承諾した。

2014年ロシアはこの約束を破った。
ウクライナのクリミア半島を併合し、アメリカに反旗を翻した。
これに対するアメリカの政策が、石油や天然ガス価格の急落である。
ロシアを干上がらせようとすると、石油と天然ガスの相場を動かし、その価格を下げればいい。

ロシア経済は大混乱に陥り、2013年末に5000億ドルあった外貨準備金が、
2015年2月時点で3600億ドルまで減少している。

ルーブルに対する不安で、ロシア国内で物価は急騰し、
モスクワでは、市民がルーブルをドルかユーロに換えることが日常化している。
その結果外貨準備が減少する。

結局、石油をめぐる争いでは、ロシアはアメリカに勝つことは絶対にない。
アメリカがドルを握っているからだ。石油の取引はほとんどがドルで、どう転んでもアメリカが有利なのだ。

⇒日本がロシアから天然ガスを買えない理由がわかりました。




<円安の流れの仕組み>
日本の3大バンクのCEOは、海外企業のCEOとの面会に毎日追われて、多忙をきわめている。
金利の低い日本において、長期資金の調達を要望する声が多いのだ。

アメリカの基準となる貸出金利は、10年物の長期国債利率+スプレッド。
スプレッドは1~1.5%ほど。アメリカの長期国債レートが2.6%とすると、
アメリカで資金調達した場合の貸出利率は4%超になる。

金利が低い日本で借りれば、アメリカで借りるより、ずっと低い金利で借りることができる。
その結果、日本のメガバンクに融資の申し込みが殺到している。
しかも借り手は世界的に名の通った一流企業ばかりである。貸し倒れはほとんどない。

この流れは為替相場に影響を及ぼしている。
膨大な額の円がドルに換えられていくことになるので、実需として円がますます安くなる。
円安は製造業にとって、もちろん企業収益にプラス寄与する。




<もっとも期待される農業技術>
LEDライトを太陽光代わりとして、穀物を量産できる可能性がある。
中村修二氏によると、LEDの出力をもっと上げる必要があると。
現在普及しているLEDは、使用する電力の5~60%が光になり、残りが無駄になっている。
この無駄をなくし、100%に近い効率のLEDを開発できれば、穀物量産の可能性が高くなる。

工場の中で水と肥料を与えれば、1年で数回の生産が可能となる。
24時間LEDライトを照らしっぱなしで大量生産する。
葉物野菜のLED工場生産はすでに一般化しているが、その穀物版が実現すれば、
農業は世界的に大きく変わる。広い土地は不要になる。
何十階という高層ビルをつくって、それを穀物工場にすることは十分にあり得る。

一番の問題は種と水。工場における栽培育成に適した一代雑種の種をいかにつくるか。
そして水をいかに確保するか。水の面では日本は有利だと言える。




<タイのケータイ事情>
タイの人口は6700万人。2000万台のケータイが普及している。
タイでは銀行口座を持ってない人も多く、そのためプリペイド式が多く普及している。
タイのほとんどのタバコ屋でプリペイドカードが売られている。
ケータイが使えなくなったら、タバコ屋に買いにいけばいい。
同様に中国でも農村部は、プリペイド式が多く使われている。




<ケータイを統制できない政府>
中国共産党政府は情報ネットワークが怖い。
政府批判の情報が流され、暴動への参加が呼びかけられると収集がつかなくなる。

ケータイ、それもプリペイド式であれば通話の発信者の身元は明らかにならない。
パソコンの通信は端末登録の際に名義登録をしないといけないので、
1億5000万台のパソコン端末は一応当局に捕捉されている。

ところが5億台を超えるケータイすべての発信について、監視することは不可能だ。
チベットやウイグルの民族運動にも、ケータイを使ったやりとりが行われている。

この点アメリカは違う。スノーデンが明かしたが、アメリカでは個人が発信する情報を、
完全に補足できるシステムが確立している。テロの動きがあれば、誰が対象者かを、
情報の発信経路から特定できる。中国でこの技術が確立されるのはまだしばらく先のことになる。



カーリーのコール・ミー・ベイビー♪ まえにカラオケ歌ったけど、グダグダでした^^;



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  • メディア: エレクトロニクス




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