阪急電車 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2010/08/05
  • メディア: 文庫


「阪急電車」読みました。今さらですが^^
酒ではじまり、酒で終わった。ビールではじまり、日本酒で終わる本です。

主人公の征志とユキが、ラストで結ばれるシーンがあります。
そのときのキッカケが高知の酒「桂月」でした。以下のようなシーン。



誘いは電話でかけた。
「ちょっとしたツテで高知の「桂月」っていう日本酒が手に入ってんけど・・」
店に自前の酒を持ち込むわけにはいかない。呑むならどちらかの部屋ということになるだろう。
「えっ、「桂月」ってあの「桂月」!?」
ユキの食いつきはさすがだった。

というか、決して全国区でメジャーではないというその銘柄に反応したことがすごい。
「昔、大阪のどこかのお店で呑んだことがあって・・おいしかったなぁ」
味の記憶を反芻しているらしい。声がうっとりしている。
「高知県出身の人が呑み会のメンバーに混じってて勧められたの。
こんなの置いてるお店めったにないから呑んどきなって」

確かに普通の店で地酒として置いてある高知の酒は、
全国区選手になっている「土佐鶴」や「酔鯨」程度だ。

「それでそのときのその人の話がおもしろくて。
おいしい日本酒っていうのは基本的に水と米がいい土地じゃないと造れないんだって。
だからほら、銘酒どころって大体米どころと重なってるじゃない。新潟とか。
でも、高知って田舎だから水はいいとしても、お米はそんなに有名じゃないでしょ?」

確かに、高知で特別いい米が取れるという話は聞いたことがない。
「だから酒造で既に一歩不利なはずなのに、「土佐鶴」とか新酒鑑評会で金賞常連、
もう15回だか16回だか連続受賞してるうえに通算受賞回数も30回以上で全国ぶっちぎりなんだって。
不利なのに何でそれだけ強いと思う?」
「え、何でやろ。その分独特の技術を持ってるとか?」
「ハズレー。その人いわく、高知県民のお酒に対する意地汚さがハンデを撥ねのけてるんだって!」

確かに高知県には酒豪が多いという話はよく聞く。
女性でもどれほど嗜むのかと訊くと「ほんの少々」と返事をされ、それなら潰してちょっと、
などと助平心を起こすと一向に潰れる気配がなく、「少々」とは、「升々」をかけて、
「ほんの二升ほど」というオチだった



たしかいつも行く酒屋は「土佐鶴」と「司牡丹」おいてたな。「桂月」はなかったけど。
さっそく「土佐鶴」買いに行きました。小説も面白かったし、そこまで有川浩が推すなら飲んでみよう。
話のタネになる。




「土佐鶴本醸辛口」ありました。一升瓶で税込み2200円ぐらい。
「司牡丹純米酒豊麗」は2250円ぐらい。50円差だったら純米酒にしようかな。
ま、いつも純米酒以上しか飲まんし、たまには本醸造でも飲んでみよう。
ワインなんかの四合瓶換算では800円相当。コノスルぐらいの価格レベルです。

コク・・・なんじゃこりゃ~めっちゃうまい!?
日本酒飲んで、「お、これは違うな」と思ったのは久しぶりです。
人生で3本の指に入る酒でした。

1本目。「紀伊国屋文左衛門」の荒走り。蓋が飛ぶほどフレッシュでリンゴ酒みたいだった。蔵元で入手。
2本目。「獺祭」の純米大吟醸 精米歩合は忘れました。これもフルーティさに衝撃。荒走りほどではない。
ま、いわゆる非日常な酒です。高価だったり蔵元に行かないと手に入らなかったり。
こういう酒は、晩酌で日常というわけにはいきません。

ふだんは何を飲んでるか。
1升紙パックの純米酒です。だいたい灘の大手酒造メーカー品が5~6種類ありますよね。
1000円強。よく飲んでるのは、セブンブランドの純米酒だけど。

ビールと等価(アルコール純分単価)なのは、日本酒だと一升で2500円ぐらいです。
2500円以下なら晩酌で飲んでもいい。なんかうまい酒は無いかなと。
セブンのはちょっとエグミを感じるので。


2008~2014年ごろまで日本酒バーに通ってました。だいたい月1回ぐらい。
そこで3杯飲み比べセットをいつも飲んでました。大吟醸、吟醸、純米の3種類。
たぶんその店で300種類ぐらいの日本酒は飲み比べました。
人生通算では400種類ぐらい飲んだかな。

じつはこれ多いようで少ない。
日本酒の銘柄数は2010年で4~5万種類あります。
日本酒バーに数年間月一回通っても、日本酒の99%は飲めてない。
だからぼくの知らない旨い酒は、たくさんあります。
基本といわれる旨い日本酒すらまだ飲めてない。



これまで本醸造酒は避けてました。
生半可の知識で、純米酒以上しか飲まなかった。
たしかにコメ不足の時は、醸造アルコールで量を増やしてたという歴史がある。

だけど今はコメ不足じゃない。味の調整(スッキリした風味に仕上げる)や、
製造過程で高度な技術として(発酵を止めたりする)醸造アルコールは用いられています。
ウイスキーのグレーンみたいなもんでしょう。味をまろやかに飲みやすくする。

ちなみにアル添率平均は、本醸造で24%、普通酒で43%ぐらい。
さすがに普通酒になると、コメの酒じゃない感がバリバリで、糖蜜との混成酒と呼ぶべきものかと。
とはいえ市場シェアは普通酒7割です。



「土佐鶴本醸辛口」が好きな人はどれくらいいるのか?
検索すると、共同通信の名物酒コラム「日本酒 津々浦々」の「酒蛙」氏が、
これ以上ない褒め言葉を贈ってました。
2400種類以上の日本酒評論書いてる人で、記念すべき「第一回コラム」
飲み飽きしない酒。そこに行き着くまでが長かった。
こうして行き着いたのが「土佐鶴 本醸辛口」。ラベルにうたっている通り辛口だ。
しかも、うまみと酸味のバランスが良く、癖が無い、芯(しん)のあるしっかりした酒。
常温で良し、ぬる燗(かん)で良し。
資源ごみに出すのを大儀がっていたら、部屋に土佐鶴の空き瓶がごっそりたまってしまった

なんか自分の気に入ったものを、絶賛してる人がいると、すごくうれしい。
そうかあ、この人も「土佐鶴本醸辛口」に行きついたのかぁと。
みなさんは、なにかお勧めの日本酒ありますか?一升瓶2500円以下で。手に入りやすいもの。
あればぜひご教示ください。<_ _>




今夜きみに会えるかな♪
ダウンタウンの電車の中で♪

この歌は85年のトム・ウエイツが原曲で、ボブ・シーガーとロッド・スチュワートがカヴァーしました。
ロッドのバージョンが有名です。変りダネでパティ・スマイス(ザ・ウォリアー♪の女の子)で。
あれ?エイス・ワンダー(ステイ・ウイズ・ミー)のパッツイ・ケンジットと混同してた^^




土佐鶴酒造 本醸造酒 本醸辛口 [ 日本酒 高知県 1.8L ]

  • 出版社/メーカー: 土佐鶴酒造
  • メディア: 食品&飲料




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