「核の戦国時代」が始まる

  • 作者: 日高 義樹
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/07/13
  • メディア: 単行本


【核の戦国時代が始まる/日高義樹/16年7月初版】
みなさんは、「オバマドクトリン」ご存知でしょうか?
オバマ大統領の戦略で、「戦わないこと」です。オバマの8年間は「戦わない記録の連続」だった。
その間抑止力が弱くなり、世界は混乱した。

つぎの大統領候補、トランプは主張します。
「日本は安全保障をアメリカに頼り切っているが、経済ではアメリカと対等にやっているのだから、
中国から攻撃されたら、自分で北京まで攻め込んで戦う決意を持つべきだ」
「在日米軍費用は、全額日本が負担すべきだ」

ふんだんな経済力(かつて世界のGDPの30%)をもって、
軍事力を行使してきた、アメリカの時代は終わりかけています。

アメリカ人は、世界の警察するのは疲れたと思っている。
とくに日本をアメリカの軍事力で守り続けることには、厳しい批判があちこちから出ています。

「アメリカは日本をなぜ守り続けるのか。
アメリカは日米安保条約によって日本を守り、日本が経済的に発展するのを助けてきた。
そしていま日本は、経済的にアメリカと対立する格好になっている。
アメリカは何のために日本を助けてきたのか」

「日本はいつまでアメリカに守ってほしいと思っているのか。
いつになったら自分で自分の国を守るようになるのか。その意志があるのか」

沖縄基地についても、米海兵隊の首脳は維持したいと思ってるが、
アメリカ国民は沖縄基地を維持することが、重要だと考えてない。

著者がワシントンのパーティーや会合でよく耳にする話。
「沖縄にいるアメリカの若者をできるだけ早くアメリカに戻したい」
「日本人と日本政府は、米軍にいつまで沖縄にいて欲しいと思ってるのか」
アメリカ国民の多くが、海外にアメリカ軍を派遣することに批判的だそうです。

トランプ発言は、その声を集約してるにすぎません。


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11月8日トランプ大統領が決定すれば(親中ヒラリーよりはマシ)、
在日米軍の費用負担が現実化します。もう目先まで迫っている。

日本の追加負担はググると約6000億円/年ぐらい。
現状の防衛費はGDPの1%で5兆円ほどなので、いうほどゴッツイ金額ではない。

在日米軍というのは、じつは日本だけでなくアメリカにもメリットがある。
ロシア、中国、北朝鮮を封じ込めるに、日本は絶妙の場所にあって、
これがないと、核を持った潜水艦がアメリカの近くまでやってくる。



在日米軍基地は、アメリカの安全保障にも必要なものです。
その意味で、日本が追加負担するべきなのか疑問は残ります。


本書によると、トランプは第7艦隊のコストまで、日本側に分担させようとしています。
第7艦隊は空母「ロナルドレーガン」、電子戦闘艦「ブルーリッジ」など横須賀中心に8隻配備。
第7艦隊支援艦(病院船や潜水艦母艦など)が10隻日本各地に。
佐世保と沖縄には大型の上陸用艦艇がいる。

・艦艇寿命50年で割り、1年あたり十数億ドルを日本負担
・第7艦隊1万数千人の給料負担も日本負担
・海軍だけでなく、海兵隊の費用と給料も日本負担
(米は陸、海、空、海兵隊で4軍)

さすがにこれはちょっと・・・
第7艦隊には、日本だけでなく米国も守られている。





「日本を守る核の傘」、核抑止力の問題について。
アメリカで起こっている、日米安全保障不要論。
これまで日本を守ってきた、強力な「核の傘」が消えることを意味します。
核兵器を製造することはたやすい。しかし保有するだけでは効果的な抑止力になりません。

全米各地に、1メガトンの核弾頭を10搭載するミニットマンミサイルを450基展開。



14隻の原子力潜水艦をすべて太平洋に展開させ、中国の軍事基地を狙っている。
ステルスB2やB52Hなどの戦略爆撃機による核攻撃体制の維持。

あたりまえの話ですが、これらが日本を守っています。
中国やロシアと、お互いがナイフを突きつけてるから、ケンカが起こらない。
相手の口車に乗ってナイフをおさめたら、チベットやウイグルみたいになる。
けっして憲法9条が日本を守ってるわけではない。




中国の脅威にいかに対応するか?
安全保障の歴史的転換期に、日本はどうすべきか?

倉山&江崎対談をべつの本で読むと、以下の対応策が出てました。
・アメリカに言われたカネを出す
・アジア版NATOを設立し、自主防衛へ踏み出す
・アメリカのカネの減額交渉

4月27日のトランプの外交政策スピーチ。
「平時の世界標準であるGDPの2%の防衛費負担を、日本を含むほとんどの同盟国が行っていない」

日本だと約10兆円ですか。
現状は約5兆円、GDPの1%相当です。
日本はこれから楯だけじゃなく、矛(ナイフ)が必要です。
日本を殴ると、殴り返される。目には目をじゃないと、ならずもの国家は退かない。

日本が取るべき選択は、
アメリカ、インド、オーストラリアと連携して、アジア版NATOのようなものを目指す方向でしょうか。

トランプに対しては、「日本はこれらの目的のためにカネを使う。それで問題はないだろう」
と直談判する。もしアメリカに要求されるままに「カネだけ出します」というのは情けない。
「日本は俺たちと一緒に戦う気はないんだな」と。いよいよ見切られる。

国論は割れるでしょう。
9条改正の雰囲気醸成にあと30年かかると思いますが、外部環境の変化は待ってくれません。
日本はいま、どうすべきなのか。

以下にその他の読書メモを。


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<世界の核保有国>
アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国以外は核兵器を持てないことになっている。
だが現在では、イスラエル、インド、パキスタンがすでに核兵器を持っており、
北朝鮮も数発ないし10数初の核兵器を保有している。
イランも数年のうちには核兵器保有国になると見られている。




<習近平と軍部の対立>
さきごろのヘリテイジの発表。
「習近平に対する中国軍首脳の不満が高まっており、状況によっては不測の事態が生じる」

習近平は中国陸軍を20%、30万人減らすと同時に、
これまで固定的に配備していた部隊を移動させた。



中国軍はもともと地元民によって構成されている。
したがって軍と地元の政治が密接に結びついている。

その典型がかつて中国を滅ぼした軍閥であったが、共産党時代になっても中国政府は歴史を守り、
陸軍部隊を移動させることをしなかった。部隊の移動について、軍部の反感は強い。
そうしたなかで、習近平はさらに軍首脳の汚職を追及している。

「習近平は古い軍人によって支配されている共産党の基盤、地方の勢力を分断するために、
軍人をほかの地域に移動させた」

現在は経済不況で失業者が多い。2015年だけでも中国でストライキが10万件発生した。
陸軍兵力の削減は、さらに失業者を生みだすことになってしまった。

習近平が行っている改革は、歴史的には正しい。
戦闘が歩兵ではなく兵器で行われる時代に入り、必要なのは陸軍歩兵部隊ではなく、先端兵器だ。




<プーチン>
FSB(旧KGB)長官時代に、
エリツィンの汚職を調べていた検事総長を失脚させ、エリツィンの絶大な信頼を得る。
1997年エリツィンによって首相に任命される。
エリツィン引退後2005年に大統領になる。

プーチンは権力だけでなく、巨額の富を手に入れた。
そのやり方は、国有財産を友人たちに払い下げ、以後その友人たちを脱税や汚職の罪で追放し、
資産を取り上げるというもの。

2008年までの任期を勤め上げたあと、勝手に法律をつくり、
配下のメドベージェフに大統領を譲り首相になり、ふたたび2012年に大統領に返り咲く。
その間に莫大な富を手にした。

プーチンはソチ近くに1000億円という巨費をかけて「宮殿」と呼ばれる壮大な屋敷をつくった。
ロシア全土には同じような邸宅を20軒も持ち、
ヘリも入れれば58機の航空機と4隻の大きなクルーザーを持っている。
米国の試算によれば、プーチンの資産は1兆ドルに近いという。

プーチンは2005年から2006年にかけて、石油会社をはじめ多くの企業を民営化し、
友人たちに売り渡した。そのなかで最も大きいのは、石油大企業ユーコス。

プーチンはユーコスが成功すると見るや、
脱税の罪で友人のホドルコフスキーをシベリアの牢獄に送り込み、
ユーコスを腹心のロスネフチに与えた。
フォーチューンによると、プーチンは世界で3番目の金持ちの時期もあった。

冷戦後のロシアの統一を図るために、無慈悲な殺戮を続けるプーチン。
人道上許されるべきではない。しかしアメリカを始め各国も国連も、
プーチンの不法で非道な政治行動には目をつむっている。

膨大な量の核兵器をもってアメリカと対峙しているプーチンの国内政策に、
アメリカは口を挟むすべがない。ドイツもフランスもロシアに対抗する力を持ってない。
プーチンの残忍な行為が国連で取り上げられないこと自体、
国連がいかに無意味で無力な存在であるかを示している。

⇒イメージ戦略がいいので、日本でも人気があるような・・




プーチンは異常♪
恐怖でみんなを静かにさせる♪
懲役7年じゃ私たちには足りないよ♪

プッシー・ライオットで、プーチン・ライトアップ・ファイア♪
彼女たち3人は、モスクワ裁判所で禁固2年の実刑判決をうけました。
当初は懲役7年の可能性もあったので、そういう歌詞になってます。



(関連記事)
【チョムスキーが語る戦争のからくり/ノーム・チョムスキー、アンドレ・ヴェルチェク/15年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-08-15

【田母神国軍/田母神俊雄 10年10月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-12-18

なぜ中国はウイグル人やチベット人を虐殺するのか?
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-11-18

なぜフランスはテロに狙われるのか?
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-11-14-1



みなさんは、ブルーライトカットメガネお使いでしょうか?
欲しかったんですけど、メガネ新調するとき、お金をケチってカットメガネにしなかったんですよ。
この前会社のPC見てたら疲れたので、ブルーライトカットフィルムを購入するよう、
会社の女の子に頼みました。

なんと女の子曰く、PC設定でブルーライトカットができると!!
メガネいらんやん・・

以下のサイトに出てました。
http://matome.naver.jp/odai/2134899470957440901
Win7はいいんだけど、家のはWin8.1です。

ちょっと画面は違いますが、青の設定を以下のようにすればいいだけみたいです。
明るさ=0 ⇒ -20
コントラスト=50
ガンマ=1.0

セピア色というか、画面は黄色っぽくなりますが。
目にやさしそうです。

またね♪
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