疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/09/25
  • メディア: 文庫


【疲れすぎて眠れぬ夜のために/内田樹/2003年4月初版】

ワンピース・ストロングワーズの解説や、
2010年新書大賞の日本辺境論など最近絶好調の内田樹。
神戸女学院の教授で武道家でもある思想家です。

村上春樹やらワンピースやらポップロックカルチャーなんかを語らすと、視点が大変面白い人です。
やっぱり普段女子大生にゼミとかで囲まれてると、気が若くなるのかなあ。

ワンピースを「21世紀日本の生み出した聖書のようなもの」と、
大胆なことを言ったりする先生ですが、いつもなるほど、ということを書きます。

基本的には、いつもブログに書いてることを本にしてるようです。
そういう意味では、内田ブログを読んでれば本を読む必要はないのですが。
(ぼくも最初はたまたまヒットしたブログからファンになりました。
なんて賢い、どっかのおっさんやなぁとか思ってましたが)

疲れすぎたひとに、この本からの一節を。


『疲れたら、正直に「ああ、へばった」と言って、手を抜くということは、
生きるためにはとてもたいせつなのです。疲れるのは健全であることの「しるし」です。
病気になるのは生きている証拠です。飽きるのは活動的であることのあかしです。

でも、「一ランク上の自分」に取り憑かれた人は、身体や精神が悲鳴をあげるまで痛んでも、
なかなか休みません。疲れて立ち止まると、そういう弱い自分を責めます。

向上心は確かにある方がいい。でも、あり過ぎてはいけない。
人は夢と現実を同時に生きなければなりません』


以下に読書メモを。


(広告)





<礼儀作法>
礼儀作法の目的は何よりまず「仮面をかぶることによって自分の利益を最大化すること」です。

権力を持つ人間、決定権を持つ人間、こちらに対して強制力を発揮できる人間の前では、
絶対に自分の「素顔」を出してはいけない。これが礼儀の基本です。

わかりやすいのが軍隊です。「逆らうことのゆるされない場所」では、
上官の前では仮面のように無表情になります。生き延びるために仮面をかぶるのです。




<紋付の位置>
菊と刀でも、日本人は他人の目を気にする恥の文化と言われてますが、
人の視線を過剰に意識することで自分を律する、日本人の倫理性を端的に表象するのが「紋付」です。

家紋は5つついてあり、胸に2つ、袖のうしろに2つ、背中に大きな紋がひとつ。
3対2の比率で「後ろから見られるもの」なのです。

昔の武士が歩いているとき、その意識は背中にあったということです。

ちなみに「菊と刀」の過去記事です。↓
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-09-11




<リアルタイムでビートルズを聞いてた人の割合>
60年代に中高生だった世代は、ビートルズ世代とか言われますが、(内田樹氏は1950年生まれ)
内田氏がいた東京の中学でリアルタイムでビートルズを聞いてたのは、
450人中10人だったそうです。

内田氏自身が各クラスをまわりビートルズ聞いてるやついる?とアンケートとってまわったらしい。
その10人で「A HARD DAY’S NIGHT」を見にいったとのこと。
後の人たちは、舟木一夫や坂本九を聞いてるか、ポップスにぜんぜん興味のない人たち。
ストーンズやキンクス聞いてるのは、
450人中2~3人というのが1964年の東京の中学生の音楽的水準でしたと。




ビートルズでA HARD DAY’S NIGHT♪
イントロのジャーンは、12弦エレキギター+ピアノ+ベースを同時にならし、
さらに厚みがほしいと、アコギとピアノをかぶせて作り出したそうです。ジョンの単独作。



(広告)