【子育てが終わらない/小島貴子+斉藤環/12年7月初版】
この前会社の先輩と飲んでいたら、お子さんが市役所の公務員試験に受かったと喜んでいました。
これでようやく二人とも就職が決まり子育てが終わったと。
また別の先輩と飲んでたら、次男は就職が決まったけど、
長男は博士課程に進学することになったので、まだ3年ほど仕送りが必要だと。
博士課程は平均3年程なので、27歳ぐらいになってしまいます。
限定されるのでぼやかしますが、東大か京大のどちらかです。
日本のトップで理系の研究を続けるということは、それは素晴らしいことだと思うけど、
27歳まで仕送りと言うのはどうなのでしょうか。
話を聞きながら、理系ならマスターまでで就職して欲しいと思ってしまいました。
この本は、30歳までの子育て本です。
思春期までの子育て本はあるけど、それ以降の子育て本は無い、との考えから生まれた対談本です。
ひとことで片付けると、夫婦で仲良くコミュニケーションしてください。という結論でしょうか。
すいません、なんでも1行でかたずけるのはよくないですね^^;
以下に読書メモを。
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<海外のひきこもり>
同居率が高い地域はひきこもりが起こりやすい。
日本、韓国、イタリア、スペイン、アイルランドは、どれも先進国の中で親子の同居率が高い国で、
成人した子の親との同居率は7割前後。そのかわり若年層のホームレス化は起こりにくい。
どんな社会でも若者は不適応に陥る可能性があるが、形態は2通りあって、ひきこもりかホームレス。
ドロップアウトした人が家の中か路上かの違いだけ。
個人主義の傾向が強い国であるイギリス、フランス、アメリカなどはひきこもりは少ないかわり、
若いホームレスが何十万人もいる。
日本ではひきこもりは70万人いるとされているが、
若いホームレスは1万人以下ということで異常なほど少ない。
(米国の20~24歳の8月の失業率は37%と今日の新聞にでてました。大丈夫か)
したり顔の評論家の言う、「恥の文化」や「縮み志向」は関係ない。
<パラサイトシングルの世界の呼び名>
ニートやひきこもりは別として、パラサイトシングルはすごく増えている。
これの呼び名は各国ごとにある。
韓国では「カンガルー」、カナダでは「ブーメラン」、
イタリアでは「バンボッチョーニ(大きなおしゃぶり坊や)」、
フランスでは「タンギー症候群」タンギーという2001年のフランス映画が元になっている。
(パラサイト青年を扱ったコメディ映画。日本未公開)
<レジリアンス(レジリエンス)>
いま精神医学ではレジリアンスという言葉がたいへん流行っている。
同じストレスを受けて傷つく経験をしても、そのストレスで病気になる人と、
あるいはそのストレスを糧にして成長する人と2通りいる。
この違いをレジリアンスという。病気に対抗する力のことで、「抗病力」などとも訳されている。
このレジリアンスの強さを決める条件のひとつが、
子供時代の親からの無条件の肯定であることがよく言われている。
「強い自己」を形成するのに、他者から条件抜きで肯定された経験があるかどうかというのは、
大事なことである。
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<問題解決のためにやってはいけない5つのこと>
本書のメインテーマ。問題解決においてコミュニケーションがうまくいってない場合、
そこには5つのパターンがある。
決めつけ:お前はこういうやつだ、こいつはこういうやつだ、など。
逃げ:もう好きにすればいいよ、自分を巻き込まないでくれ
分担:僕がここまでやるんだから、君はここまでやって
威圧:なんで俺の言うことが聞けないんだ。
提案:自分の考えを押し付け、相手がそのジャッジしかできなくなる。
この5つのパターンで子供に接すると「一緒に問題解決はできないんだな」と沈黙してしまう。
<欲望>
引きこもりの人の司法試験チャレンジなんかは、ほんとに本人の望むことか。
人は一般的に長くひきこもっていると、自分の欲望がわからなくなる。
精神分析家のジャックラカンの有名な言葉「欲望は他人の欲望である」。
これは、人間の欲望は社会から供給されてくるという。
仕事でも遊びでもなんらかの形で社会と接していなければ、人間の欲望はどんどん枯渇してくる。
<承認>
人間の心理の根底にあるのは、他者からの承認の欲望。
よくないのは人が話をした後に、「評価」をするということ。
要するに相手の話を聞かずに、自分の価値観を出してしまう。
<その他>
・精神年齢は実年齢の7掛けと言われはじめている。
・先進国では教育期間が延びるという傾向が指摘されている。
日本では高等教育 (大学、短大、通信制など)への進学率が81.1%(2011年)となった。
・日本の男性の生涯未婚率は、75年の2%から11年の20%と10倍になった。
・今、日本の新婚の3割が「授かり婚」#59130;
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