無人島セレクション Desert Island Selection

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/09/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【無人島セレクション/無人島セレクション編集部/14年9月初版】
もしも無人島でひとりぼっちになるとしたら、何を持っていきますか?たった1枚のレコード、たった1冊の本、たった1本の映画だけです。とても古典的な問いですが、18人の大人の男がこの企画に参加して、1つのアイテムに4pずつぐらい書いてます。

3つのことを思いました。1つは年代別にやって欲しいということ。30代、50代、70代では体験してる時代が違うので、その作品に対する思い入れが違う。「思い出の隆起/レミニセンス・バンプ」の時期が違うので、年代が離れるとあんまり共感できない。

2つ目は著述者に対しての要望です。池上さんみたいに、できるだけ自分を押しころして欲しいということ。読む側のニーズは単純にいろんな名作を知ることです。誰も著者の人生体験を知りたい訳じゃない。自分の知らない名作を知って、読んだり聴いたりするときの参考にしたい。それだけです。これは難しいのかもしれません。自分もできてないですから・・。

3つ目はこの本は残酷だということ。18人が同じテーマで書いてるので、誰が面白いか一目瞭然です。どうしても自分の人生とシンクロしてる作品を推すのはしょうがない。そこまではいいのですが、ルールに文句付けてる人がいる。無人島に1作品だけは無理だとか、無人島の生活のことを書いたり。そういう埋め草的な文章はつまらない。誰もそんなことは望んでません。推す作品とその理由を書いてくれればいい。与えられた仕事に、与えられた資源でベストを尽くして欲しい。文句を言ってもはじまらない。

そういう意味では一番好印象だったのが、萩原健太でした。タタターンとリズムのある文章で、歴史を語り、背景を語り、その作品がどれだけ素晴らしいか書いている。そのことに注力している。無人島でどんな生活を送るかなんか一言も書いてない。潔い。自分もかくありたいです。

以下に18人の選んだ作品を。参考のために生年も書きました。もう少しアラフォー、アラフィフの人を多くして欲しかった。



・浅井慎平1937年生まれ:
音楽:パブロ・カザス/無伴奏チェロ組曲
映画:キッドナップブルース(自作)
本:レイモンド・チャンドラー/長いお別れ


・泉麻人1956年生まれ:
音楽:フィル・スペクター/スペクターズ・クリスマスアルバム
映画:アメリカン・グラフィティ
本:吉野源三郎/君たちはどう生きるか


・太田和彦1946年生まれ:
音楽:オイゲン・ヨッフム指揮/ブルックナー交響曲全集からブルックナー交響曲8番
映画:2001年宇宙の旅
本:伊良子清白全集 第1巻詩歌編


・奥田英朗1959年生まれ:
音楽:デイブ・メイソン/スプリット・ココナッツ
映画:眼には眼を
本:久保田二郎/ああパーティの夜はふけて


・片岡義男1940年生まれ:
音楽:選べない
映画:拳銃魔
本:広辞苑第一版


・亀和田武1949年生まれ:
音楽:ローリング・ストーンズ/ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト
映画:欲望の翼
本:ロレンス・ダレル/アレクサンドリア四重奏


・熊谷達也1958年生まれ:
音楽:ラリー・カールトン&松本孝弘/テイク・ユア・ピック
映画:GANTZ
本:佐藤泰志/海炭市叙景


・椎名誠1944年生まれ:
音楽:選べない
映画:選べない
本:選べない


・ジョン・カビラ1958年生まれ:
音楽:イーグルス/ロングラン
映画:フォレスト・ガンプ
本:A Day in The Life of America(写真集)

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・しりあがり寿1958年生まれ:
音楽:ブライアン・イーノ/Ambient1 Music for Airports
映画:インランド・エンパイア
本:クライブ・パーカー/イマジカ


・高橋幸弘1952年生まれ:
音楽:男と女 オリジナルサウンドトラック
映画:ストレイト・ストーリー
本:呑奇鵬程/トカラ列島巨魚迎撃記風乃戯言


・立川志らく1963年生まれ:
音楽:藤山一郎全曲集
映画:ザッツ・エンタテイメント
本:立川談志遺言大全集1


・玉村豊男1945年生まれ:
音楽:イズラエル・カマカ・ヴィヴォオレ/Facing Future
映画:テレビのテストパターン映像または無映像画面
本:ジャン・グルニエ/孤島


・萩原健太1956年生まれ:
音楽:ビーチボーイズ/トゥデイ
映画:アメリカン・グラフィティ
本:デイブ・ヴァン・ロンク/グリニッジヴィレッジにフォークが響いていた頃 デイブヴァンロンク回想録


・古田新太1965年生まれ:
音楽:タモリ3
映画:オレがやるよ!それだったらオレがやるよ!じゃあオレがやるよ!どうぞ!どうぞ!どうぞ!
本:吉田豪の喋る!!道場破り プロレスガチンコインタビュー集


・細野晴臣1947年生まれ:
音楽:ザ・スリーサンズ/トワイライトタイム
映画:社長道中記
本:広辞林(昭和14年発行版)


・誉田哲也1969年生まれ:
音楽:ポリス/シンクロニシティ
映画:伝説のワニジェイク
本:攻殻機動隊


・松山猛1946年生まれ:
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ/ウルガ
映画:ぼくの伯父さん
本:小島政二郎/食いしん坊

ウルガはモンゴル映画のサントラです。環境音楽みたいでなんか癒されたので思わず買ってしまった。



Urga

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: I.M.S Records
  • メディア: CD




少しですが、読書メモを。


<ストーンズのライブの日本語>
ゲットヤーヤヤズアウトの5曲目のミッドナイトランブラー。5分43秒に「かっちょいい」と掛け声が入る。誰が1969年のNYで、ミックに向かって「かっちょいい」と叫んだのか。

⇒ストーンズの数あるライブアルバムの中でも、最高傑作に推す人が多い。




<イーグルスのThe Greeks Don't Want No Freaksの意味>
Greeksとはギリシャ人の事ではなく、アメリカの大きな大学によくある任意のクラブが設置した男子寮(クラブ)、Fraternityのメンバーの事。ジョン・ベラルーシ主演映画、アニマルハウスの舞台がその手のクラブ。その団体名は主にギリシャ文字で構成されていて、たとえば、πβk。クラブの大多数は白人の金持ちの子息で構成されていて、排他的で高慢な連中と捉える人が多く、Greeksは彼らを揶揄する呼び方。

対するFreaksは、自分はアメリカのメインストリームだと自認するGreeksにとっては対極の存在。ロングヘアの反権力的に見える連中を指す。

⇒歌詞は、ダンスパーティでまじめなGreeks系の女の子が、Freaks的なバンドの兄ちゃんと草むらでやってるところを見つかって・・・という欲望の前では人間は平等、もしくは若さを揶揄してるようにも取れる歌です。




<立川談志の名言>
・学問は貧乏人の暇つぶし
・努力は馬鹿に与えた夢
・上品とは欲望に対する動作がスローモーなだけ




<その他気になった本>
・リチャード・ドーキンス/利己的な遺伝子
・デズモンド・モリス/裸のサル
・ヘミングェイ/キリマンジャロの雪
・金子光晴/絶望の精神史
・リチャード・アヴェドン/観察
・アーヴィング・ペン/Flowers
・ベンヤミン/都市の肖像、一方通行路
・スーザン・ソンダク/土星の徴しの下に、写真論
・ツヴァイク/昨日の世界
・新 宮沢賢治語彙辞典
・内田百聞/冥途



もしよかったら、あなたのイチオシ作品を一つ教えてください。無人島というと悩んじゃうので、繰り返し見たり聴いたりしてる個人的に大事な作品でいいです。

僕個人の無人島セレクションは、今回は長くなるので割愛します。またの機会という事で。ちなみに深みのない、誰でも知ってるメジャー作品です。



ストーンズの「カッチョイイ」は、5:40ぐらいです。たしかに言ってます^^ボストン絞殺魔事件の事を歌ってます。



ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト!

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: USMジャパン
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: CD



関連図書:「思い出の隆起/レミニセンス・バンプ」
【脳の中の時間旅行 なぜ時間はワープするのか/クラウディア・ハモンド/14年3月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-07-05

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