ビジネスマンが読む 子どもが勝ち組になる本: 10代のうちに絶対に教える「7つのこと」

  • 作者: 和田 秀樹
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2011/12/17
  • メディア: 単行本


【ビジネスマンが読む子供が勝ち組になる本/和田秀樹/11年12月初版】
著者曰くなんと強欲なタイトルだろう。何度となくこういう本を読んでますが、いつも書いてることは一緒です。
「勉強させましょう。本を読ませましょう。学歴をつけさせよう」内容は想像できちゃうのですが、親ばかなのでつい定期的に読んでしまいます。

「いつの時代も親の願いはただひとつ。子供が自分より幸せになること by金八先生」
「人の親の 心は闇に あらねども 子を思う道に まどひぬるかな by藤原兼輔」

ドラッカーのネクストソサエティあたり?からの引用で、次の時代は、単純労働はロボットに取って代わられ、知識労働とサービス労働にシフトする。生き残るには、子供に勉強させて学歴を身につけさせるべきと。

10年後の未来の日本を見通すところは、マクロ経済の理解の弱さから(本著のなかで医学はわかるけど経済はよくわからないと本人が言ってます)かなり痛い自説の予想をしてますが、適当に読み飛ばしてください。著者が書きたかったのでしょうね。あとで読み返すと本人が後悔するのではないでしょうか。

基本的には和田氏が灘高-東大なので、勉強はやれば誰でも身につくと思ってます。ただ最新の遺伝学と心理学の発見では、以下の状況です。
①知能の大半は遺伝であり、努力しても大してかわらない
②性格の半分は環境の影響をうけるが、親の子育てとは無関係で子供同士の社会的な関係でつくられる。そしていったん身についた性格は変わらない

走るのが得意な子供と同じように、知能も遺伝なので、和田氏のいう努力をして勉強しても、時間に比例しないでしょう。

著者がこの本で伝えたかったのは、父親が子供に社会の厳しい現実を10代のうちに伝えるべきである。ということです。ちなみに和田氏のいう10代のうちに教えるべき7つのことは以下で、今日からでもすぐに教えてくださいと。
1.格差社会の厳しさ
2.お金の価値と労働の価値・・高校時代にアルバイトでもさせたらよいと。
3.知識と知恵の重要性・・ドラッカーから引用
4.予想される日本の将来・・自分の器量の範囲で説明すればよいと思います。
5.本当の頭のよさとは
6.相手のニーズを読む人が成功する
7.他人に踊らされないこと・・メディアリテラシー

以下に読書メモを。

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<いきなり黄金伝説>
格差社会をわかりやすく子供に説明する。1ヶ月1万円生活を一生続けれるか。フリーターの平均年収は110万円。月収にすると9万円ほど。そこから家賃光熱費、携帯電話代を払うと、食費が月に1万円になりかねない。一生、いきなり黄金伝説の生活を続けるのが嫌なら、勉強しよう。



<ロボットに負ける>
ASIMOに代表されるロボットの二足歩行技術は、年々進化しおそらくあと10年のうちには、一般の道路工事程度なら、ほぼロボットが代行できるようになると言われている。たとえばASIMOの価格が1000万円で5年保証とする。1年のコストが200万円。5年間でのメンテナンスコストが200万円とすると、1年間の総コストは240万円となる。今の日雇い派遣と同程度のコストとなる。しかも人間は8時間労働だけど、ロボットは24時間労働し、人間の3倍働ける。

厳しい言い方かもしれないが、ロボット程度の仕事しかできない人間は、どんどんロボットに仕事を奪われていく。勉強して知識を身につけない人間には残酷な未来が待っている。



<資産をもたないものは知識を武器にするしかない>
現在はキャピタルゲインへの課税率は10%で、われわれ労働者への課税は最高で50%程度。株式売買益の税率を上げればよいと思うが、マーケットにダメージを与えるとの理由で抑えこまれている。株をたくさん所有している金持ち優遇政策。

現在の株主資本主義は、株主利益の最大化が目的。そのため株価を維持するために、人件費の圧縮、人員の削減が平気で行われ、失業率が上がることも辞さない。

政治も株価を上げるのが良い政策となり、株主の意向に逆らえない政策が続いている。いったい誰のための経済政策なのか。

勉強してできるだけいい環境で知識をつける。それが資産を持たないものがこの世で生き残っていく戦略。



<1967年生まれは世界一の学力層>
国際数学理科教育調査の1981年の調査では(1967年生まれ中二)、日本がダントツの世界1位であったが、90年代の学力調査ではアジアの国々に負けている。現在の40代以上は世界一の学力層の人々で、それなりの国際競争力が保たれているが、30代以下はアジアの国々の劣位に立ち、今後日本の凋落が本格化する可能性がある。


P.S.
和田さんの言うように教育が大事なのはよくわかるのですが、教育費はほんと高いです。中学受験率は首都圏で2割、関西圏で1割強の状況ですが、どれだけの費用がかかるか。

まず最低でも小学校5年からは、四谷大塚などの大手塾へ通うことが必要になります。だいたい1百万/年かかり、子供が2人で2百万/年必要です。私立中学に進学してからもだいたい子供2人で2百万/年が必要です。

これにイベントごと(短期海外留学)や高等部進学費、特定の大学受験時の高3の塾費(MAXで2百万らしい)等で、私立校最後の数年は子供2人で4百万/年はかかります。実際我が家も今年からそのモードに突入です。

国立大学に入っても、2百万/年1人はかわりません。理系に行かせて院まで行くと、子供2人で4百万/年が6年続きます。(授業料60万、仕送120万+α)

この教育費4百万/年と言うのはきついです。仮に年収が10百万あっても、税医療厚生でabt20%引きで手取りは8百万です。住宅ローン&旦那の小遣いを2百万とすると、残額は6百万しかありません。ここから教育費4百万を使うと、2百万/年での生活となります。食費10万+光熱通信5万+予備1万で終わり、服代や交際費も出ません。

世の中不況で、業績連動型ボーナスの影響で年収はダウン、奥さんも一生懸命パートに出ていますが、「働けど 働けどなお 我暮らし楽にならざり じっと手を見る」状況です。資産、年収、家族構成等ライフスタイルは千差万別ですが、平均的家族像の4人家族が、少しいい教育を受けさそうと思うと、啄木の心境にならざるを得ないのが今の日本です。

CATVでずっとブラウン管を使ってましたが、この正月にようやく液晶テレビを購入しました。AQUOS32型で24千円とお買い得でした。こんなに美しい工業製品が、たぶん10年ほど使えてたった24千円。かたや教育という形のないものは、約30万円/月かかります。形のないものは高い。今更ながら実感するこの年始です。

いっそのことミュージシャンにでもさせて夢の印税生活!というのも、もっと競争の激しい世界ですね。。76年のシルバー(1枚だけだして解散)の美名曲「ミュージシャン」です。この曲のために昔LPを買いました。CDがほしい今日この頃です。

(略歌詞)
家賃の期日は明日
僕の名前じゃ 小銭も稼げなかった
僕なりに成功しようと頑張っている
だけど新しい職を探した方がいいとも思う

僕は自分自身にこう問いかけている
ミュージシャンになるってことは何なのか
僕にはわかる
気楽な人生でないということが
ミュージシャンとして生きていくことは簡単なことじゃない

僕は敢えて険しい道を選んだと思う
なぜかと思い悩む必要はない
昔は僕もチャンスをものにしようとする希望を持っていた
高望みをし過ぎたのかもしれない

そして僕は微笑み続ける
痛みを忘れるために微笑む
心の中では泣いているんだ
説明するのは難しいけど


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