ハーバード流宴会術

  • 作者: 児玉 教仁
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2012/11/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【ハーバード流宴会術/児玉教仁/12年12月初版】
タイトルに惹かれて読んでみた本。著者は72年生まれで三菱商事の鉄鋼部門で働いていた人。2004年からハーバードビジネススクールに行って、2011年に三菱商事を退社。たしか三菱の鉄鋼部門はメタルワンに分社したはずですが、著者は出向しなかったのでしょう。ちょっとひっかかたのは、会社からバーバードに行かせてもらったのに、退社してること。まぁ色々とあったのでしょうけど…。

世に宴会部長という言葉があるように、宴会の仕切り術には一家言あるひとが多いでしょう。そういう意味では、若手がハウツーとして読むのもいいし、宴会部長の方も再確認の意味で酒でも飲みながら読むのがよろしいかと。

別に宴会の仕切りで、ハーバード流があるわけではありません。著者が三菱商事の鉄鋼部門で叩き込まれた幹事心構えが、世界一流の人々にも受けたということです。ハーバードビジネススクールは別名「パーティスクール」と言われるほど、宴会の多いところのようです。大学院なので、各国からエリートが人脈作りに派遣されてくるから、自然そうなるのでしょう。

半村良が造船王坪内を書いた小説の中で「鉄を売るには年齢が必要」とか言ってましたが、たしかに鉄鋼商社は毎晩飲み会で、家で飯を食ってない人が多いような気がします。会社の大小にかかわらず。日々人にもまれてるので、老成してる人も多い。


著者は言います。すべての宴会術は、たったひとつの原理に帰する。「人は誰しも自分のことをわかってほしい生き物」だから、自分の話を「聴いてくれる人」を待っている。

自分が主役になってる超快感の波が押し寄せたとき、人は無防備になり、すべてをさらけ出しはじめる。この「心のパンツを脱いだ状態」に参加者をいざなうことこそ、信頼関係を構築するための宴会において、もっとも大切なことだと。

参加者各位を主役にし、宴会弱者をも「ノーブレスオブリージュ」の精神でやさしく導くこと。ノーブレス~とはフランス語で「何らかの力を与えられし者には、弱きを助ける義務がある」という意味です。


宴会術を身につけるにはどうすればいいか。個人的には、経験、教育、資質がすべてだと思っています。新入社員のころ、20歳以上年上の商社マンと飲んだとき、鍋をつくりながら、人の飲み物に気を配り、会話も弾む。そんな人と接したときに、両手でピアノを流麗に弾いてるようなものだと感じました。これは新入社員にはできなくても、ある程度経験をつめばできるようになると思います。大事なのは教育で、そこの社風というか先輩方が、基礎を教え込んでいく必要があります。高級店での場数をふませるのも、教育のひとつだと思います。交際費削減の風潮ですが^^;

ただ資質はあるんじゃないかな。会社の研修でファシリテイターの講義を延べ10時間以上受けましたが、一緒に受けたメンバと会議しても、あまり仕切ってない。飲み会行っても、この本に書いてるような気遣いが出来ない。もって生まれた繊細さが必要だと思います。

だけどこれはバーターなんですよね。繊細で気が回る人間は注意力が散漫になる気がする。あくまで個人的な感覚ですが。鈍感な人間は集中力がすごい。ま、規格外の人はどこにでもいるでしょうけど。


以下に読書メモを。

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<外国人をもてなすホームパーティのこつ>
・まずは食べられる料理をきく。宗教的な理由や偏食な人が多い。

・名前は家族まで覚える。日本では「奥さん元気?」でいいけど、海外は一度名前を聞いたのにshe とかで呼ぶと、名前を覚えてない、と思われてしまう。宴会前に家族の名前を予習する。

・アペタイザーの時間を確保する。メインのテーブルとは別のスペースでドリンク片手に語り合う。時間通りに来ない人もたくさんいるので、アペタイザーで時間が調節できる。

・ランチョンマットは白い紙に毛筆の習字で漢字を書くと喜ばれる。アニータなら亜仁多など。ほぼ全員がお土産に持って帰る。

・たこ焼きマシンは最高。たこ焼きソースとマヨネーズの濃厚な味は、多くの外国人に馬鹿ウケ。ベースの生地だけつくっておくと、ベジタリアンにはチーズを入れるなど、個別対応ができる。ゲストにも自発的に焼いてもらうと盛り上がる。

・海苔巻きで「ミニ料理教室」メインディッシュの王道は手巻き寿司。野菜、焼肉、魚、なんでも。外国人の多くは、海苔巻きの作り方をまったく知らないので、教えてあげると感動される。

外国人は完璧な対応を期待するより、むしろ違いを楽しみにきている。



<明石家さんまの司会術>
さんまは、あまり自分の話をせずに笑いをとっている。
・話を引き出すこと
・話にオチをつけること

自分自身のスベらない話は、難易度が高い。さんまの域も難しいが、かれのやってることの3割でもできれば、名司会になれる。



<新聞を26回折ると富士山3776mの高さを超える>
新聞の厚さを0.1mmとすると、以下概算。
1回目:0.2mm
2回目:0.4mm
3回目:0.8mm
4回目:1.6mm
5回目:3.2mm
10回目:10cm
14回目:1.6m
20回目:100m
24回目:1600m



<外国人との宴席ではピンポンパンゲームは鉄板>
山手線ゲームのように共通となる知識がいらない。ピンポンパンゲームの内容は以下
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0

⇒これの変形版で、007ゲームというのをバブルの頃にやって、罰ゲームで飲みすぎ、タクシーで粗相をした記憶があります^^;


Don Henley -You're Not Drinking Enough #59126;
いろんな酔いつぶれた人がたくさん出てくる動画です。人の恥ずかしい姿は、見てると面白い。メーカーズマークのラッパ飲み(動画に出てくる)は、危険でしょう^^;

この歌にあるように、人はいろんなことを忘れるために飲むのだと思います。宴会部長としてあんまり気ばっかり使ってると、短い人生後悔することになるかも。人に迷惑をかけない程度に自分が最高に楽しめばいい。そう思いませんか? 

接待等で自分の評価を上げないといけない場合は、そうもいってられないかもしれませんが。




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