宗教消滅 資本主義は宗教と心中する (SB新書)

  • 作者: 島田 裕巳
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2016/02/06
  • メディア: 新書


【宗教消滅/島田裕巳/16年2月初版】
「葬式は、要らない」の島田裕巳の新作です。
ちょっと息子に送って読まそうかと思うほど面白かった。送っても読んでくれないですが^^


いま世界の宗教に何が起こっているのか?
ヨーロッパを中心とした先進国では、キリスト教の教会離れが急激な勢いで進行している。
これは近代社会になって以降、必然的に起こる「世俗化」が勢いを増していることを意味する。
世俗化とは、社会から宗教の影響力が失われていくこと。


なぜそうなったのか?
先進国の高度資本主義が、行きつくところまで行きついたと。
現在でも経済成長が急速に進行している国々では、プロテスタントの福音派が勢力を拡大している。
福音派は、病気治しなどの奇跡を強調し、カリスマ性を発揮する牧師の扇動的な説教によって、
信者たちが鼓舞され、熱狂的な信仰を生むことに特徴がある。

結局宗教というのは、弱者が救い(人とのつながり等)を求めて入信するものだと。
経済が高度成長するときは、格差が拡大して不満が出たり、
地方から都会に出てきて寂しい思いをしたり。
そういうものが信者獲得につながってる。


宗教にはセオリーがあるそうです。
経済の急速な発展(日本の場合は高度経済成長)は、格差などのひずみを生む。
そのひずみが新しい宗教を発展させる。急速に拡大した宗教は、政治的な力を獲得する方向に向かう。

50年代半ばから70年代半ばの高度経済成長。
集団就職列車が走っていた。この集団就職の時代に大幅に勢力を拡大したのが、日蓮系の新宗教。
創価学会、立正佼成会、霊友会。現世利益の実現を掲げて多くの会員を獲得することに成功する。

地方から都市への大規模な労働力の移動のなかで、十分な学歴のない、
高卒や中卒の人たちを吸収したのが日蓮系新宗教で、とりわけ創価学会だった。
都会に人間関係のネットワークをもたない人たちには、創価学会のネットワークは魅力だった。

こうした世代は高齢化してます。
創価学会は、いかに下の世代に信仰をつたえていくかに力を注いだ。
それでも新規の信者は増えないし、若い世代は池田大作名誉会長のことを知らず、
「池田先生のために」という意識は乏しい。


現在創価学会はどうなっているか?
本書ではかなり核心にせまってます。

まず創価学会の場合、会員数は世帯で発表されている。
827万世帯が学会の公式発表。この数字はこのところ全く変化してない。
これは会員世帯の実数ではなく、本尊曼陀羅が授与された世帯の合計と考えるべき。
会員を辞めても、本尊曼陀羅を返却したりしないし、その制度がない。

会員の世帯数に変化がないということは、新たな会員が増えていないことを意味する。
実数はつかみにくいが、参考になる数字はNHK(96年全国県民意識調査)が提供している。

これは全国4万人以上を対象にしたかなり大規模な調査であり信頼度は高い。
それによると自分は創価学会の会員と答えている人間は3.0%に及んでいる。
これに総人口をかけると約380万人という数字が出てくる。

ほかにNHKが1999年に行った日本人の宗教意識調査では2.3%という数字になっている。
これだと290万人という会員数になる。

この2つの調査からすると、創価学会の会員数は300万人前後と考えていいのでは。
ただしNHKの全国県民意識調査からすでに20年の歳月が流れている。
はたして実数は不明であると。



なるほど。人生80年として20年は4分の1。96年の数字に4分の3をかけると300万人弱になります。
99年の数字に4分の3をかけると210万人強。ざっと250万人前後じゃないでしょうかね。

ちなみに衆院比例代表の公明党の得票率は、
2014年12月は731万4000で13.7%もありました。過去6回の平均でも13%前後です。
みんな選挙に行かないけど、学会の人や頼まれた人は必ず行くんでしょうね。



以下にその他の要約読書メモを。

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<教会税とは>
ドイツでは教会税の制度があり、所得税とともに所得税の8%~10%が徴収される。
しかも教会税は教会が徴収するのではなく、ドイツ国家が徴収する。
カトリックであれプロテスタントであれ、教会に所属していれば自動的に所得税が割り増しになる。

ドイツのほかに、アイスランド、オーストリア、スイス、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、
などにも存在している。

ドイツの場合は税金が高い。消費税は19%(食品や書籍は7%)。
多くを税金にとられるので、若い世代を中心に教会税を支払いたくない人がいる。
ドイツでは住民票に宗教について記入する欄があり、そこにキリスト教と記入すれば、
自動的に教会税を徴収される。

ただ支払ってなければ、教会での儀式に与ることはできなわけで、
結婚式を教会で挙げることができなくなる。
そのため結婚するまでは教会税を払い、結婚するとさっさと教会を離脱して、
教会税を支払わなくなる人間もいるという。




<世界のカネ余り>
日本が先鞭をつけた利子率の低下。
日本に先駆けて利子率の極端な低下を経験したところがあった。
それが17世紀初頭のイタリアのジェノヴァで、金利が2%を下回る時代を11年にわたって経験している。

当時スペインの皇帝が南米で銀を掘り出し、スペインの取引先であるイタリアの銀行に、
それが集まってきたため、イタリアではマネーがダブつくという事態が起こった。
金銀はあっても、その投資先がないという状況に陥ったのである。

すでに16世紀のイタリアでは、山の上までブドウ畑が広がるという事態が生じていた
それはワインを製造するためで、当時はワイン製造が最先端の産業だった。
頂上までブドウ畑が広がれば、その先はない。だからイタリアでは投資先がなくなってしまったのである。




<イスラム五行>
イスラム教では、礼拝、断食、喜捨、巡礼、信仰告白が信徒の果たすべき信仰行為とされている。
信仰告白は、「アッラーのほかに神は無し」「ムハマンドはアッラーの使途なり」と唱えるもの。




<欧州におけるイスラム教徒の割合>
欧州においては、キリスト教の退潮が進む中で、イスラム教が勢力を拡大している。
すでに西ヨーロッパ各国のイスラム教徒の割合はおしなべて5%のレベルに達しており、
これは15年後には10%に達すると見込まれている。

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<イスラム教とキリスト教の違い>
キリスト教の場合は、宗教の領域と世俗の世界を厳格に区別する傾向が強い。
とくにカトリックは、ローマ教皇を頂点とする教会制度は、それ自体で自立した世界をつくり、
世俗の世界のほうは、一般の法律によって支配されることになる。
教会の法と世俗の法が衝突したり、お互いの領域を侵犯することはない。

イスラムは、社会システムの基盤にイスラム法シャリーアがある。
神のメッセージであるコーランと、預言者ムハマンドの言行録であるハディースを法源とするもので、
一般の法律のもとになるとともに、社会生活を送る上での規範、エチケットの領域まで及んでいく。
つまりイスラム教徒であるということは、イスラム法に従って生きるということを意味する。
そこでは宗教生活と世俗の生活は分離されてない。

そうである以上、イスラム教徒がヨーロッパの社会に溶け込んでいくことは難しい。
とくにフランスのように厳格な政教分離を求めることは、必然的にイスラム教と対立することになる。

たとえばイスラム女性のスカーフ。イスラム教徒にとっては日常的な行為であり、
ことさら信仰を誇示することを目的としたものではない。
ところがフランスの社会では、それを信仰の誇示としてとらえ、
公共の領域において、スカーフを被ることを禁じる方針を打ち出した。

フランスの場合は、カトリックの信仰とイスラム教の信仰が対立しているのではなく、
世俗主義とイスラム教が対立する関係におかれている。




<神の見えざる手>
マルクスは、資本の究極の目的がその蓄積にあることを明らかにしようとした。
資本は最大の利潤をあげ自己増殖をとげていく。この資本が人格化されたものが資本家だという。
資本は「蓄積を目的とする」とされており、主体的な存在と見なされている。
資本家の目的が資本の蓄積にあるのではなく、資本家はむしろ資本によって動かされる存在。

一方で市場には「神の見えざる手」が働いているというとらえ方がある。
「市場原理主義」。この言葉を初めて使ったジョージソロスは、
市場原理主義は、18世紀において主張された「自由放任主義」と同じものと述べている。

マルクスのとらえる資本の背景に神の存在を認めるならば、
その神はひたすら自らを増殖させていくことを目的とした利己的な存在であり、
人間の幸福を必ずしも考えない存在である。

ところが市場を自動的に調整してくれる神は、反対に人間のために行動してくれる存在であるとされる。
どちらの神も絶対的なもので、世界を支配する力を発揮するが、その性格はかなり違う。

マルクスのとらえる神は恐るべき神だが、
市場原理主義において想定される神は、人類を根本的に救ってくれる優しい存在である。

市場を調整してくれる神の見えざる手を強調したのが、経済学の父とよばれるアダムスミスである。
じつはスミス、国富論のなかで「神の見えざる手」という言い方はまったくしてない。
ただ「見えざる手」という言い方はしている。

左マルクスと右アダムスミス。2人ともイケメンですね♪


「神の見えざる手」については、アダムスミスは市場原理主義にお墨付きを与える役割で、
持ち出されただけといえる。経済学の父が言ってるのだから、神に任せていれば、
市場は自動的に好ましい方向に調整されていき、最善の結果が得られると。

市場に自動調整機能があることは証明されていない。
神の見えざる手は、西欧の人の願望であるのかもしれない。

現実は経済危機が訪れ、そこに神の見えざる手が働いているようには見えない。
むしろマルクスの予言したように、ひたすら資本の自己蓄積が続き、世界は抑圧されている。




カールマルクスは子供のころ♪
悲惨な資本主義社会を見た♪
そこで彼は一生懸命勉強して♪
ある計画を思いついた♪
共産主義だ♪

カール 世界は平等じゃない♪
彼らは共産主義を試したけど♪
うまくいかなかった♪

カール 世界は平等じゃない♪
富めるものは益々富み♪
貧しいものは・・♪
ぼくたちを落ち込ませる♪


ランディニューマンで、ワールド・イズノット・フェア♪
金持ちが儲けたお金をパナマに逃がしてたら、おカネは回らずぼくたちは苦しくなります。
なんとかしてタックスヘイブンを潰したいですよね。


伴奏はピアノのみ。ランディの弾き語りです。けっこうお気に入りの1枚。

Songbook 1

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Nonesuch
  • 発売日: 2003/09/29
  • メディア: CD



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今日は新入社員の成果発表会に出席しました。パワポで器用に、そして堂々と発表してた。
若年層のほうが、コミュニケーションスキルが進化してるように感じます。

それといよいよ明後日からGWですね。今年は10連休。有休奨励日で休みなさいと。
人材確保に向けて、本年度から有休取得率の向上が目標になってます。
目標値は業界1位の会社と同日です。そうしないと優秀な人材が集まらないそうです。
そのために現場は、キャリア採用を行って増員しました。

いろいろと時代は変わってきてます。
またね♪