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【世界連鎖暴落はなぜ再発したか/副島隆彦】~今後の金価格 [本/Biz経済]


世界連鎖暴落はなぜ再発したか

世界連鎖暴落はなぜ再発したか

  • 作者: 副島 隆彦
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: 単行本


【世界連鎖暴落はなぜ再発したか/副島隆彦/16年3月初版】
「官製相場」や、GRIFのことを「クジラ」と呼んで流行語にした副島氏。
陰謀論ぽかったり、極端なことをいう人ですが、本は面白い。
この人の分析を取捨選択して、投資の参考にすればいい。

『ついに世界は、株と国債(債券)の連鎖暴落の時代に突入した。
ダウは1万5000ドル台、日経は1万4000円台になる。

ドル円はあまり変動しない。日米欧先進国3地域で為替はあまり動かさないという秘密協定がある。
為替を動かさないことを基準にして、通貨量を一定の割合で増やしてる。
半年前の急激なドル安(1日6円の円高)は、中国政府の人民元切り下げが原因。
世界中のFX市場の取引が逆回転を起こした(詳細は本書で)。

世界経済の先行きは暗い。
個人資産の保全は、日本のしっかりした大企業の株を、「どん底値で拾う」。
トヨタの株なら6000円割れなら買う。5500円まであり得る。
もしくは金やダイヤモンドもいい

以下にその他の要約読書メモを。

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<これからの金>
金は1グラム4200円台(卸値)が出現したら買うべき。
15年12月から16年1月にかけて4200円台が出現した。
(卸値に約400円足すと田中貴金属などの小売価格。
400円の内訳は8%の消費税350円ぐらいと業者の手数料40円ぐらい。
小売価格から約100円引くと買取価格)

16年2月にはNY金で1オンス1150ドルの攻防をやっていた。
アメリカ政府がゴールドマンサックなどを使って、金の売り崩しを盛んにやってる。
しかしもう限界。今は1200ドル台に乗せた。

NYのスパイダーゴールドシェアという金ETFの残高が激減してる。
この会社には今や700トンぐらいの現物の金地金しかない。
ゴールドマンやシティバンクは、このスパイダーから金を借りて100倍のレバリッジでをかけて、
金を売り崩してる。

しかし実際にはこれらの金を借り出すことをしないで、いわゆる裸の空売りをしている。
数日以内の差金決済だから現物の金を担保にする手続きさえすっ飛ばして、
無制限に金を空売りしてるらしい。本当は違法なのだが、SECもグルだから見て見ぬフリで、
まったく取り締まろうとしない。

彼らが金を計画的に暴落させる理由は、ドル紙幣の信用を守ろうとするからだ。
米ドルがジャブジャブの刷りすぎで、今や紙切れに近いのをバレないようにするために、
金をわざと下落させる。この戦いは今後も続くが、最後には金が勝つ。

データを見ると、少しずつスパイダーの金保有残高と、金価格の下落にかい離が出てきている。
金の計画的な引き下げも、ここらが限界。

2015年6月15日のウォールストリートジャーナルによると、
ロンドンの金価格入札に、中国の銀行が初参加した。
金の価格を決める権限を、イギリスが中国と組むことで、アメリカから奪還する動きが起きた。
あと2年ぐらいで、アメリカの官民による金殺しの違法操作ができなくなる。




<モノサシとしてのトヨタ>
トヨタの株価は東証全体(570兆円)の5%を占める。
トヨタの株式時価総額は25兆円、1年間の総売上も25兆円、利益は2兆円ほど。
関連企業まで合わせると、トヨタが日本国民の10%(50兆円)の収入と利益をつくっている。
日本のGDPは570兆円だから、これも日本の時価総額とほとんど等しい。

このトヨタというモノサシを世界に当てはめてみる。

DSC_0322.JPG

世界の大企業の1、2位はアップルとグーグルだ。
時価総額でどちらも60兆円(6000億ドル)もある。
ところがアップルもグーグルも総売上はトヨタ並みかそれ以下である。
ITやネットの会社が時価総額が高いのはおかしい。
ネット企業は広告会社だ。ドットコム企業は中身のない空っぽ企業だ
スマホをはじめとして、これらの製品を実際につくってるのはほとんど中国だ。
実物、実需、実体のない企業は、ゆくゆくは売上総額のところまで株価が下落すべきである。




<HFT ハイフリが市場を破壊する>
ハイフリクエンシートレーディング。ロボットトレーディングのこと。
ハイフリは今や100万分の1秒で取引を繰り返す。

ロボットトレーディングはマーケットを侵食している。
為替市場は1日に600兆円が取引される世界だが、そのうち60%がハイフリ。
ハイフリは取引回数という数によって、相場につきものの時間のリスクを殺す。

ハイフリを使える立場のトレーダーはごく一部で、
ヘッジファンドのインド人が多い。彼らはコロケーションといって、
取引所の中の特別の場所にコンピュータを置いて、外部の目に触れることはない。

ハイフリはついに国債市場にまで入ってきた。
それで何が起きたか。なんと米国債が1日で40ベーシスポイントも動いた。
わずか数分間で、ゼロ金利状態の中で、0.4%が動いた。乱高下どころではない。
正規分布を想定すると、「30億年に1回の頻度でしか起こりえない確率」。
それが現実に起きてしまった。

HFTを動かす側からすると、上昇でも下落でも方向性はどちらでもいい。
とにかく価格が変動することが儲けにつながる。HFTの連中は、自分で相場を動かしにかかってる。
ゆくゆくは市場が破壊される。

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<GRIF>
GRIFの最高投資責任者(M氏)は素人。
マーケットを相手に株式や債券の運用を手掛けた経験がない。

ロンドンのコラーキャピタルでアジア統括責任者だった。
プライベートエクイティ(PE)の世界ではエリートのようだが、マーケットを相手にしたことがない。
PEは特定の投資家や企業を相手に、営業交渉をするのが仕事。公開市場が相手ではない。
株式投資、債券投資の経験がない人が「最高投資責任者」として適任なのか。

業界ではとても140兆円を任せられる人ではないとの評判。
M氏の抜擢人事をめぐって、塩崎厚労相と世耕官房副長官が大喧嘩した・・・略。

GRIFでは内部対立も起きている。
GRIFには8つの部署がある。管理部、企画部、情報システム部、投資戦略部、
運用部、運用リスク管理室、インハウス運用室、監査室。
内部対立は「運用部」で起きている。


運用部内の債券畑と株式畑の対立が起こっている。
二人のY氏が犬猿の仲であることから。
一人は金融バクチの現場にいた人で、もう一人は学者。まさに水と油。

GRIFはすでに10兆円程度(推測値)の損失を出している。
まともな感覚ならば、日本株の指数がマイナスになった時点でやり直し。
「申し訳ありません。株式のアクティブ運用でリスクを取りすぎました」
と頭を下げたうえで、ポートフォリオの白紙、見直しをすべきだ。
しかし日本政府とGRIFはこれからナンピン買いをしようとしている。

「難平買い」とは暴落した株をさらに買いますこと。
由来は、「相場を平たくするのは難しい」から。
一つの投資手法だが、買いました株がさらに暴落すれば、損はもっと膨らむ。




<防衛関連株は長期強気>
ゴールドマンサックス(ブルームバーグインタビュー)によると、アジアの地政学的緊張はすぐに消えない。
日本の防衛関連株への長期投資は良い賭けだと。今後日本は軍事に力を入れる。

ゴールドマンは、日本の防衛関連売上高の大きい20銘柄で構成する、
「日本防衛関連銘柄バスケット指数」を作成。投資家に向け保有を推奨した。
同指数には、三菱重工、川重、IHI,新明和、三菱電機、NEC,日本航空電子のほか、
航空機器メーカーの島津製作所、衛星事業を手掛けるスカパーJSATホールディングが含まれる。

大災害の次には金融恐慌が起きる。
関東大震災の後に復興債を償還できなくて金融恐慌が起きた。
そのあと昭和恐慌が襲い掛かり、統制経済と戦争。戦争は80年周期で襲い掛かる。
これは人類史の法則。また同じことを繰り返す可能性が高い。

実需を食い物にして、仮需の世界が崩壊。どうしたらいいかわからなくなって、
「すべての帳簿を燃やす」



戦争はまぬけで♪
人はおろかだ♪

カルチャークラブで、戦争の歌♪



Waking Up With the House on Fire

Waking Up With the House on Fire

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin Records Us
  • 発売日: 2003/10/07
  • メディア: CD




(関連記事)
【膨張する金融資産のパラドックス/吉田繁治/15年12月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-02-27

【そして偽装経済の崩壊が仕組まれる/塚澤健二/15年12月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2016-01-12

【金はこれから2倍になる/林則行/15年2月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2015-04-18


あともう少しでGWです。今年は何連休ですか?
またね♪




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コメント 4

song4u

株価は期待値だとよく言われますが、それにしても時価総額という
指標がいかに脆弱であるかの説明みたいですね。
売られ始めると一気に紙切れ化するし、買われ始めると実態とは
かけ離れた値が独り歩きします。
This is the 人間の欲望・・・って感じ。

2位(google)、3位(MS)、4位(FB)は特に実態基盤が危うい。
特にFBなどは無いも同然?
この3社が10年後にどうなっているか、誰にも分からないと思います。
と言うか今の世の中、どんな企業も10年後は見通しにくいでしょうね。
有名企業の10~20%ぐらいは無くなってるかもしれません。
by song4u (2016-04-25 23:58) 

don

song4u さんこんにちは~
IT企業は検索を通して情報は持ってるんですよね。
人の欲望の事はよく知ってる。
そういう情報を次のビジネスにつなげることができたら、
長く続く会社になるんでしょうね。どうなることやら。

どちらかというと重厚長大製造業は、息が長いような気がします。
息子たちには、そっち方面を進めてます。[__犬]
by don (2016-04-26 12:31) 

heroherosr

FPなのに、こういうジャンルに詳しくないんですよね
まあ、株屋あがりでなく保険屋あがりのFPですからねえ・・・
by heroherosr (2016-04-26 20:10) 

don

heroherosrさんこんにちは~
知っててもなかなか当たらないですからねぇ。
マクロやファンダメンタルどおりに動かない。
占いみたいなもんでしょう[__犬]
by don (2016-04-27 12:29) 

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