武器としての決断思考 (星海社新書)

  • 作者: 瀧本 哲史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2011/09/22
  • メディア: 新書


【武器としての決断思考/瀧本哲史/11年9月初版】
京大の人気講義を1冊にまとめた本です。ディベートのやりかたがよくわかります。
ただディベートって普通の日本の会社ではあんまり使いません。
会議なんかで反論の応酬合戦は見たことないし、人前で恥をかかせる格好になるので、
そういうのは事前に二人で議論をしたあと全体会議に挑んだりします(根回し)。

著者の考え方には全面的に賛成で、息子らには本書のような考え方を身につけて欲しいと願います。
知識⇒判断⇒行動をセットでこなせる人間が交換不能な人材で、その判断を的確にするために、
自分の思考の中でディベートを行うのが有効であるという考え。

自分を客観的に見ることのできる人材の、もう一歩進んだバージョン。
物事を判断するとき頭の中で競わせてメリット、デメリットを考えた上で決める。

たぶん世の中のおじさんは、そういうことは瞬時に頭の中でやってて、
この本ほど込み入ったマトリクスの場合分けはしてないにしても、
2軸のマトリクス分析くらいはやってるはず。

将棋で言うと5~6手先まで考えるのがおじさんで、この本の推奨は15手先のイメージです。
そうすればいいのはわかるけど、めんどくさい。

若い人はそういう思考パターンがなかったりするので、身につけると武器になると思う。
だけどむかしディベートを学んだ若手の後輩がいて、なんでも突っかかってきて、
正直いって得な会社人生ではなかった気がします。

思えば人生は判断の連続です。今日の晩酌はビールにしようかワインにしようか。
ワインを飲むと次の日の大事な仕事に悪影響がでるかもしれません。

そういうものを連綿とつなげていって今の自分があるわけです。
あの日ビールを選んどけば、あの仕事はうまくいって。。。とか

それと行動のところがほんとに難しい、ビールがいいのは頭ではわかるんだけど、
ストロングな酒を体が求めてしまう。誘惑に負ける。


以下に読書メモを。


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<三大推論>
推論には大きく分けて3つのタイプがあります。①演繹 ②帰納 ③因果関係
これらは3大推論と呼ばれて論理的思考の基本中の基本。ディベートでは相手の推論の部分を攻める。

①演繹
アリストテレスが体系化した方法で通常は3段論法。
(前提)
・ナイフで人を切るのは犯罪だ
・A氏は毎日のように人を切っている
(結論)
・よってA氏は犯罪者だ
これの間違いを指摘せよ。⇒A氏は外科医だった


②帰納
帰納は演繹の逆で、いくつかの個別事例から、一般的な結論を導きだすもの

・私の友人の関西人は早口でよくしゃべる。よって関西人は早口だ
これの間違いを指摘せよ。⇒事例が少なすぎる


③因果関係
原因Aがあるとき、結果Bがおきる。このときAとBには因果関係がある。

・オタクだから異性にモテない。
これの間違いを指摘せよ。⇒異性にもてないからオタクかもしれない。
原因と結果のどちらが時間的に先行してるかチェック必要。

・英語ができる人ほど年収が高い。
これの間違いを指摘せよ。⇒おそらく学歴のほうが影響してる。
相関関係と因果関係の混同には注意が必要




<年金は何歳からもらうのが一番得か>
支給開始年齢は65歳からだが、60歳から繰上げなら70%支給(その後生涯その金額)
70歳から繰下げなら142%支給。

死ぬ年齢で何歳からの支給が一番得か変わる。

75歳までに死ぬ:60歳からの繰上げ支給が得
76~80歳の間に死ぬ:65歳からの支給が得
81歳以上生きる:70歳からの繰下げ支給が得




<17世紀フランスの哲学者パスカルの言葉>
「人間は自然の中で最弱の1本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である。
これを押しつぶすのに、自然は何の武器もいらない。風のひと吹き、
水のひとしずくで簡単につぶすことができる。

しかし自然がこれを押しつぶすとき、人間は自然よりも高貴であろう。なぜなら人間は、
自分が死ぬこと、自然の力が人間の力に勝ってることをよく知っているからだ。
自然はそのことを何も知らない。

だから私たち人間の尊さは「思考」のなかにこそある。

私たちが拠って立つべき基盤は思考のなかにあって、
私たちが満たしきることのできない時間や空間にあるのではない。

私たちはよく考えるように努力しなければならない。そこに道徳の本質があるのだ」

パスカルは難病のため30代で死ぬ運命にありました。
人生はなかなか思うようにはいきません。つらいときも苦しいときもある。

人生は1回きりしかありません。どんなに困難な状況、
困難な時代にあっても前を向いて歩いていくしかありません。

そのときに必要になるのが「思考」であり、その思考をもとにした「決断」なのです。



ふと思い出し、さっきアマゾンでCDを購入した、NGDBのプレインダートファッションから。
ロングハードロード♪




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