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日本経済のミステリーは心理学で解ける~経済成長の限界はどこか? [本/Biz経済]



日本経済のミステリーは心理学で解ける (一般書)

日本経済のミステリーは心理学で解ける (一般書)

  • 作者: 廣宮 孝信
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/08/19
  • メディア: 単行本


【日本経済のミステリーは心理学で解ける/廣宮孝信/14年8月初版】
マクロ経済本の奇書。面白い本でした。著者には2009年のデビュー作「国債を刷れ」から注目しています。現在日本の経済論壇は、リフレ派(金融緩和のみ)vs国土強靭派(金融緩和+財政支出)の論戦となっていて、著者は国土強靭派です。2009年頃は、あの三橋氏が著者の事を、とにかく頭が良くて仕事が早い、ドラえもんのような人、と評していました。困った時に相談すると、一瞬で解決してくれると。39歳、大阪大学工学部卒。

2009年の時点で「国債を刷れ」は衝撃作でした。まさにパラダイムシフト。当時わざわざ購入して読みました。今となっては、もっと財政出動すべきという考え方は、一定の賛同を得ています。三橋一派6年以上の言論活動による成果だと認識しています。というか、デフレのときはそうすべき、増税は間違い、財政出動すべきというのは、今やクルーグマン、スティグリッツなどのノーベル経済学賞受賞者たちの、共通認識になってる。明らかに今の財務省主導の経済政策は間違っている。

で、今回の本。なんとなくみんな思ってるけど、口に出さなかったこと。経済循環は人の想念で動いてるんじゃないか、という壮大な仮説です。

『経済を知るためには、個人の心理、脳の仕組みを知ることが必須である。なぜなら一人ひとりの人間の心理と行動の総合計こそが経済だからだ。例えばいま日本経済は、国の借金に対する過度の恐怖にとらわれ、政府による適切な歳出拡大を妨げ、必要な景気対策が不十分となっている。日本の繁栄は、こうした心理的恐怖を処理できるかどうかにかかっている。本書は心理学、物理学の該博な知識を縦横無尽に駆使して、経済の本質を解明していく。 』

目次は以下のサイトで:http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-612.html

前半は怒涛のように面白く、後半、個人の心理学に落とし込んで以降は、ちょっと中ダレします。自己啓発っぽい展開になっちゃう。個人的にそこは求めてない。


以下に読書メモを。


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<大恐慌がむしろ成長を加速させる> 詳細な検証は本書にて
すべての物体に働いている万有引力・重力を押しのけて、宇宙全体は加速度的に膨張している。普通に考えれば、宇宙全体はむしろお互いに引き寄せあって、どんどん縮んでゆくはず。宇宙全体の体積は増えているのに、エネルギー密度は薄まることなく一定だ。宇宙全体では、どこからともなくエネルギーが追加され、エネルギーの総量が増えているからこそエネルギー密度は変わらない。ダークエネルギーが元になっている。

経済的事実は、「ある国が破綻や大いなる挫折を経験した後、その国の経済は加速成長した」「多くの国々は、何度も限界に達した後、そのたびに限界を突破してきた」ここ100~200年において、アメリカ、イギリス、日本などで実際に観察できる事実である。

以下に3か国の一人当たり実質GDP推移を示す。いずれの国にも共通するのが、最大の挫折の後にこそ成長が加速していた。

(以下のフォト、クリックで拡大)
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グラフを見ると、われわれは130年ほど前の日本人と比べて、一人当たり20倍以上も物質的に豊かになっている。平成人は一人で明治人20人分以上の豊かさを味わっている。明治人からすれば、平成人は王侯貴族並のぜいたくな暮らしをしている。

また、財政破綻国もたいていの場合、超回復する。1990年から2002年までの期間で財政破綻を経験した33か国のうち、ジンバブエとウクライナ以外の国は超回復していた。

ギリシアなどのユーロ圏は、国単独で何も決めれないユーロ縛りがある。そのため借金でというより、ストレスで首が回らない。独自通貨は経済の強力な安定剤になっている。

また経済力の根源は技術力であり、詳細は本書に譲るが、日本(政府+民間+家計)の財政余裕度は世界一となっている。




<経済成長の限界は?>
環境問題を考慮しても、経済成長の限界はかなり無限大に近いと著者は考える。資源は有限だが、再利用できるまで技術が発達したら。また宇宙全体ではエネルギーは無尽蔵。いずれそのエネルギーを利用できる技術が開発されるかもしれない。

究極の状態は、「必要な仕事、生産やサービスの提供はすべてロボットがやってくれる。人間は皆、毎日、蹴鞠や曲水の宴でもしながら、平安貴族のように遊んで暮らせる」

少なくとも、この究極の状態になるまで、経済成長は可能であるはず。




<集合的無意識のよくある誤解>
「全人類の心がつながっている、精神的なインターネットみたいなもの」と誤解してる人が多い。そうではなくて「生物学的に、全人類に共通するような心の機能が収まっている領域を指している」「何百万年という脳の進化の歴史の中で、脳に刻まれているもの」

人間の思考や行動には共通の心的パターンがあり、ユングは元型(アーキタイプ)と呼ぶ。この元型が入っている入れ物が「集合的無意識」

ユングによれば、このような全人類共通なパターンである元型が作動することによって生ずるタイプの情動は、極めて強力な感染力があり、それは時として歴史を変えてしまうほどに人々を突き動かす。

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<アメリカが進む第三の道>
民族の性格について。ル・ボンいわく、ラテン系(フランス人含む)は常に中央集権を好み、何かにつけ国家の仲介を求め、平等を求める。一方アメリカやイギリスなどのアングロサクソン系は、国家を無視して自己の創意にのみ頼る。

現代に至っても、フランスや中南米諸国は、社会主義的・保護主義的。イギリスやアメリカの保守政党は新自由主義的な「小さな政府」を望む。

アメリカの場合、アングロサクソン系住民が減り、ラテン系住民の割合が増え続け、今やラテン系住民が全人口の17%に達した。これからも続きそうなラテン住民の増加は、アメリカの政治体制を大きく変えてゆくだろう。アメリカは新自由主義と社会主義のいいとこ取りである「第三の道」以外に進むべき道はない。




<シンクロニシティの物的証拠>
スタンフォード大の関連機関であるハートマス研究所の実験。情動と思考によって、試験管に入れたDNAの形状が変化する。DNAの紫外線吸収率を念じることにより変化させる(詳細は本書にて)。様々な実験を行っているが、800m離れた場所でも、被験者が感謝や愛情の気持ちを伴って念じることにより、DNAの変化が起きた。

①意図するだけでは試験管の中のDNAの構造は変化しない。ポジティブであれネガティブであれ強い感情を伴って意図したときのみ、DNAの構造が変化した。

②強い感謝や愛情の気持ちを持って意図すれば、3つのDNAサンプルに同時に、異なる程度に影響を与えることができ、遠くの離れた場所のDNAサンプルに影響を与えることができた。

ハートマスの研究者は、DNAのこのような現象は量子力学の枠組みでしか理解できないと考え、「量子真空の構造と物質の構造の間のエネルギー的連結があり、人間の意志はそのエネルギー的連結に影響を与えることができる」との仮説を立てている。

ハートマスの研究者らは、人間の思考を伝える伝導体、媒体が、実は存在しているのではないか、と考えたわけである。そんなものは信じられないという人に。たとえば重力だって不思議な力だ。

⇒ナポレオンヒルの「思考は現実化する」を、証明するような話ですね。




<太陽や月の影響>
本書には様々な統計や、実験データがでているが(一例:1000件以上の外科手術を調べたところ、満月と新月には出血が異常に多くなる傾向が認められた)、結論として、太陽や月などの天体の運行により、7割から8割が水でできている人体は、確実に影響を受け、ストレスを受けると考えられる。



この前届いて、書いてる間ずっと聴いてた歌です。youtubeで見つけて、マデリンペルーかビリーホリデーのような声に魅了され思わず衝動買い。フランスで2008年のデビュー作がゴールドディスクになりました。その後2作目は出てないような。ワールドミュージック好きにはいいかも。


SOHA でC EST BIEN MIEUX COMME CA♪


もうひとつおまけに、SOHAでMil Pasos♪ こんな風に踊ってみたい^^



D'ici Ety D'ailleurs

D'ici Ety D'ailleurs

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin
  • 発売日: 2008/06/20
  • メディア: CD



関連図書:
【宇宙が始まる前には何があったのか/ローレンス・クラウス/13年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-04-19

【さっさと不況を終わらせろ/ポールクルーグマン/12年7月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-11-03

【そして日本経済が世界の希望になる/ポール・クルーグマン/13年10月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2014-01-18

【U理論/オットーシャーマー/10年11月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-12-11

【㈱貧困大国アメリカ/堤未果/13年6月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-11-05

【思考は現実化する/ナポレオンヒル】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-05-04

【全脳思考/神田昌典】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30

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コメント 10

DEBDYLAN

イイっすね♪
ステキな音楽の紹介ありがとうございます(^^)
by DEBDYLAN (2014-12-16 22:56) 

heroherosr

成長が加速して欲しいですが、最大の挫折は経験したくないです。
by heroherosr (2014-12-18 17:38) 

扶侶夢

>なんとなくみんな思ってるけど、口に出さなかったこと。

経済学のみならず、多くの分野で“神話や定義の検証”がなされていますね。
口に出さなかったことがもっと語られる時代。いよいよそんな時代になって来たか…という感じです。
私たちももっと感性を自由にしなければ、時代を把握できなくなりますね。
これまでのマーケティング理論は“お役御免”であることを悟らねば…。
by 扶侶夢 (2014-12-18 20:23) 

みかん

経済というと、つい難しく考えて人間の動きとは
別の生き物?!なのかなとか思っちゃいますが、
やはりこれも人の心理、という基本的なところから・・・
なのですねぇ。 面白いです。

昨日、Stacey KentのThe Changing Lights入手しました~☆
メモを片手にCD屋で「ナイー(;´・ω・)」と呟きながら
うろうろしてたら、店員のおじさんが
ササッと見つけてくれました~。すごぉく良い♪デス>^_^<
朝用の2枚に加え、これは夜の定番になりそうです!
by みかん (2014-12-19 01:05) 

don

DEBDYLANさんこんにちは~
なんで2枚目のアルバムが出ないのか、謎ですが[__犬]
by don (2014-12-20 11:35) 

don

heroherosrさんこんにちは~
デフレが長いですからねぇ。
今こけたら大変です[__犬]
by don (2014-12-20 11:36) 

don

扶侶夢さんこんにちは~
神話の検証。これも科学の発達でしょうか。

読書メモは残さなかったですが、10月初版の
「臨死体験 9つの証拠 」を読みました。
内容的には、「プルーフオブヘブン」みたいでしたが、
証言者の数がネットを使っての調査だったので、多かった。
知らない世界は、どんどん解明されていくかもしれません。

なかなか感性を自由にできないですが。
やっぱりこれまでの常識に縛られてます[__犬]
by don (2014-12-20 11:43) 

don

みかんさんこんにちは~
お、ご購入されましたか。15ドルぐらいでしょうか。
店員のおじさん、テキサスだったら、やっぱり
スタンハンセン(プロレスラー)みたいな人なんでしょうね。

リズムがボッサなんで、朝に聴くのもいいですよね。
つい聴いてしまう、居心地のいい音です[__犬]
by don (2014-12-20 11:52) 

song4u

サントリーと竹鶴さん、そしてニッカウヰスキー。
以前、何かのきっかけで読みかじって、少しだけ知っていました。
しかし、ウヰスキーと言えばこれだなあ、ぼくの場合。
https://www.youtube.com/watch?v=60oXx_kXEOo
by song4u (2014-12-20 22:06) 

don

song4uさんこんばんは~
石川さゆりは、年齢不詳ですよね。
あまりに美しいので、ググると○○才でした。
見えないなぁ[__犬]
by don (2014-12-21 18:51) 

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