【僕は君たちに武器を配りたい/瀧本哲史】要約まとめ [本/ハウツー]
【僕は君たちに武器を配りたい/瀧本哲史/11年9月初版】
「武器としての決断思考」の瀧本哲史が、同時期に出版した本。
今回の本は本物の資本主義が日本にやってきて、労働者がコモディティ化するなかで、
どうやって生き延びていくべきかを書いた本。
前半が豊富な事例を挙げながら、グローバルな資本主義やその歴史を解説し、
後半はどうやって生き残るかを解説します。
東大法を出て、東大院の研究助手後にマッキンゼーに入社、
事業立ち上げや投資のコンサルなんかの仕事をやったのちに独立。
企業再生やエンジェル投資家の活動をしながら京大で教育、研究、産官学連携活動を行っています。
年齢は開示してないけど、なんとなく40前後かなぁ。
写真を見ると30代半ばのようにも見える。ずんぐり丸顔でいかにも意思が強そうです。
調整型の人間の顔じゃあないです(笑)
この前読んだ10年後に食える仕事~は、内需国日本では、日本語と言う参入障壁があり、
そこの強みが生かせるブルーオーシャンで働くのが、生き残りの道で、
政府としてもそれを守る政策をすべきと、提言までした本でした。
今回の本は、日本人で生き残れるタイプを、わかりやすく汎用性を持たせて説明しています。
ぼくは、そこのポジションに身を置けそうもありませんが^^
儲かる漁師と儲からない漁師という寓話で解説してます。漁師には6つのタイプがあります。
①とれた魚をほかの場所に運んで売ることができる漁師
=トレーダー。商品を遠くに運んで売ることができる人
②一人でたくさんの魚をとるスキルを持ってる漁師
=エキスパート。自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人
③高く売れる魚を作り出すことができた漁師
=マーケター。商品に付加価値をつけて市場に合わせて売ることができる人
④魚をとる新たな仕組みを作り出す漁師
=イノベーター。まったく新しい仕組みをイノベーションできる人
⑤多くの漁師を配下にもつ漁師集団のリーダー
=リーダー。自分が起業家となりみんなをマネージしてリーダーとして行動する人
⑥投資家的な漁師
=インベスター。投資家として市場に参加してる人。
資本主義社会のなかで、安い値段でこき使われず、主体的に稼ぐ人間になるためには、
この6つのタイプになるのがもっとも近道となる。
ただこのうち①と②は今後生き残るのが、難しくなるそうです。
①のトレーダーは多くの営業マンのことで、
インターネットの普及でB to BもB to Cも、これまでの購買行動が激変したことが理由。
営業利益つまり「さや」を抜くことが年々難しくなっていると。
広告代理店、総合商社、アパレル、流通などの豊富な事例から解説してます。
②はここ10年間の産業のスピードの変化が、
これまでとは比較にならないほど早くなっているから。
せっかくの知識やスキルがあっという間に過去のものになる。
「士」のつく職業もコモディティ化しているとのこと。
以下に読書メモを。
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<派遣禁止は本質からずれている>
行き過ぎた資本主義が人間を苦しめるという文脈で、資本主義の考え方自体が攻撃され、
製造業の派遣は原則的に禁止されたが、本質からずれている。
賃金が下がったのは技術革新が進んだことが本当の理由。
工場のラインがオートメーション化され、コモディティ化した労働者がそこに入っても、
高品質の製品が作れるようになったことが、賃金下落のほんとの原因である。
<日本のビジネスモデル、擦り合わせ製造業は陳腐化>
単純に部品を組み合わせて製品を作るのは「組み合わせ産業」と呼ばれ、
「擦り合わせ」とは区別される。
「擦り合わせ製造業」では、それぞれの部品やユニットを、
最終的にもっとも性能や機能を発揮できるようにカスタマイズして設計し組み立てる。
この開発プロセスをもっていることが日本の強みだった。
「ものづくり」で日本が世界を席巻した強みはここにあった。
しかし時代は変わった。工作機械の進歩はすさまじく、
中国では人海戦術で多品種の製品をつくるようになり、
品質やコストにおいて、差をつけることが難しくなった。
<監査法人の価格差>
じつは監査の仕事はコモディティ化している。どこの事務所に頼んでも受けられるサービスは同じ。
日本では上場企業が会計監査を行う場合、新日本、トーマツ、あずさ、あらた、
のいずれかの4大監査法人に頼むのが常識である。
これら以外の監査法人に頼むと、「この会社の財務状況は大丈夫なのか?」と見なされ、
信頼を失いかねない。
しかし4大監査法人のサービスは基本的に同じだ。違っているのは値段だけだ。
その値段もほとんど「会社の立地」で決まっているといって過言ではない。
東京駅の駅前にあるトーマツがいちばん高く、飯田橋にあるあずさがいちばん安い。
単純な監査業務は儲かる商売ではない。基本的には労働集約型のビジネスで、
レバレッジをかけて少ない労力で大きな利益を得ることは難しい。
そのため高給を得ようとすれば、自分で監査法人の社長になり、
部下の会計士補からサヤを抜くしかない。
<弁護士業界のあらたなマーケット>
弁護士になっただけでは儲からなくなり、マーケティングのセンスがいる。
日本でも成功報酬型の弁護士ビジネスが少し前に流行した。「サラ金の過払い請求市場」。
このビジネスはどれだけの多重債務者を集められるか数の勝負になる。
そのためある弁護士事務所では、弁護士に払う給料より、戦略的に広告を出し、
債務者を集客する担当者の給料のほうが高かったそうだ。
サラ金各社に対する過払い訴訟もそろそろ商機が去り、弁護士業界では、
「次はサービス残業を従業員に強いていた会社を相手どり、
未払いの残業手当を請求するのがあらたなマーケットになるだろう」と言われている。
<バングラデシュのグラミン銀行の金利>
貧困者向けの小口金融で世界的に有名になった、バングラデシュのグラミン銀行。
このマイクロファイナンスは人々の貧困を緩和すると同時に、最貧国の産業を育て、
事業を生み出すものとして話題となった。
グラミン銀行の金利は、サラ金も裸足で逃げ出す年利25~30%。
多いところでは40%もとってるそうだ。ただしこの機関はただ貸すだけでなく、
貸す側が毎週集会を開き、無償で個別のアドバイスなどを行っている。
<スーパーサラリーマン>
数年前、まだ国が納税額によって長者番付を発表していた時代に、
「一介のサラリーマンが100億円の年棒をもらっている」と話題になったことがあった。
それにはカラクリがあった。
実質的には彼は同社のオーナーなのだ。ヘッジファンドというビジネスは、
運用益によって100億円くらいの利益がでることがある。
ここでポイントになるのは、役員にボーナスをだすと、
個人の所得税とは別に法人税ととして莫大な税金がかかり、
半分ほど国に持っていかれてしまうことだ。
そこでK氏は、オーナーである自分を「運用部長」という役職の一従業員であるとして、
その自分に賞与として渡すことで節税対策をしたのだ。
<クレイジーな人だけがリーダーになれる>
マイクロソフトのCEOでビルゲイツの腹心を務めるスティーブバルマー。
「ビルが天国を語り、スティーブが地獄に叩き落す」でよく知られる人物。
バルマーは学生時代フットボールのマネージャーをやっていた体育会系の人物。
このときに荒くれ者をコントロールするスキルを身につけたと思われる。
SAT数学では800点満点をとり、ハーバードを2位で卒業。
大学時代は学内機関紙の広告部長をやり、ビルゲイツとは学生寮の同じ部屋に住んでいた。
P&Gに入社し順調に出世階段を上ってる最中に、
ビルから石鹸なんか売ってる場合じゃないだろうと説得されてマイクロソフトに入る。
以下にYOUTUBEの画像があるがまるでプロレスラーの登場シーンのように過激だ。
マイクロソフトの社員がグーグルに引き抜かれそうになったときは、
会議中にその人物にむかって椅子を投げつけたそうだ。
笑わないでください(笑)↓
http://www.youtube.com/watch?v=wvsboPUjrGc
<2chのブラック企業偏差値まとめ>
この本で紹介されてたサイト。最近の本はサイトの紹介なんかがよくありますね。
自分の会社が入ってないか、確認するのも面白いかも。
http://jobranking.sakura.ne.jp/sougou/black.html
ウィリー・ネルソンで、クレイジー♪
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こんにちは^^)
いつも簡潔明瞭な書評とご意見 慧眼と心服しております。
ある角度から見ると生きにくい時代ではあります。
私は息子たちに父親としてどのような導きができるか
何らかのヒントが与えられるかを最近の思考の中心としています。
私が就職する頃以前はほぼ統一された価値観と評価軸の中に
居ましたのであまり迷いはありませんでしたが
今~今後の世の中は多面的な世界であり図るべきものさしは
貨幣だけなのか?とも思われます。
あぁ・・・ブータンのように国民総幸福なる概念を少しでも
取り入れようという政治家さんはいないのでしょうか?
・・・などという私自身の他力本願的感覚が最もいけないというのも
理解はしているのですが(笑)
長文駄文失礼しました(^m^)
by rtfk (2012-03-24 16:26)
②で①でもある私はどうしますかねえ。
未払い残業代はしばらく前から言われていますが、どうでしょうね、過払いのように猫も杓子もという風にはならないような気がしています。
by heroherosr (2012-03-24 18:09)
rtfkさんこんばんは!
過分なおことば、ありがとうございます[__るんるん]
息子さんへの導き、ぼくも思考の中心です。
おんなじ価値観ですね^^
貨幣じゃない価値観は、資本主義を脱却しないと
出てこないでしょうね。。米国の経済学者ラビバトラが言うには、
日本の昭和40年前後が、世界で一番幸せなプラウト主義経済に
もっとも近くて、一億総中流社会を実現していた日本を絶賛しています。
今回の断末魔の資本主義社会を変えるのは、日本からだと
彼は言っています。格差をなくせば幸福度は高まりますが、
世界標準は、グローバルな資本主義だし、そう簡単には
いかないでしょうね。
世界の人と淀みなく英語で会話できるように、英語の勉強を
必死にやるように息子には仕向けてますが、グーグル同時通訳機
が完成すれば、不要になりますしね。。
結局この前rtfkさんが言われたように、自分で考えさすのが
一番なんでしょうね[__ひらめき]
by don (2012-03-24 19:42)
heroherosrさんこんばんは!
そうなんですか、少し前から言われてたのですか。
知らなかったです。
たしかに言われるように、サラリーマンが会社を訴えて
残業代をもらっても、昇進の道が閉ざされて損しますよね。
あ!転職組でもとの会社を訴えるのはあるかもしれませんね。
ちなみに地元の労働基準監督署にタレこむと、会社に監査が入り
残業代をちゃんと払うようになります。最近はどこの会社も
コンプライアンスでピリピリしてますから^^
by don (2012-03-24 19:50)
>ギターをとっかえひっかえする人間は、女を同じように
>扱うとか言われるけど
なるほど~! 確かに思い当たる節がありますなぁ^^;
by yukky_z (2012-03-24 21:39)
MSって、体育会系だったんですね!(爆)
ビジネス環境を取り巻くスピードの速さは、勝利の方程式さえも一時的なものとしてしまうのですねぇ・・・・
by seawind335 (2012-03-25 00:32)
私は生き残れそうにありません。
今から娘を教育し直すしか・・・・・・・・・・・他に道がありません。
by mignon (2012-03-25 01:00)
ウィリー・ネルソン渋い、格好いいですね!
この格好良さをなかなか日本人が理解してくれないのは残念です。
by せいじ (2012-03-25 11:07)
yukk_zさんこんばんは!
ギターに限らず、車やタバコやいろんなものに
例えられますね。移り気ということなんでしょうけど。
プロの場合は、お客さんのために音を追及してるとも
言えますが、ウイリーはギターで勝負してないんでしょうね^^
by don (2012-03-25 20:52)
seawind335さんこんばんは!
スティーブは激しいですよね^^
それにしても諸行無常とはいえ、最近の変化の
スピードにはついていけません[__ふらふら]
by don (2012-03-25 20:56)
mignonさんこんばんは!
ぼくも生き残れそうにないです。
なんとか少しでも生きながらえて、バトンを
息子に渡したいです。。
by don (2012-03-25 20:59)
せいじさんこんばんは!
ウイリーは渋いですよね。彼のボーカルは独特の
響きがあって、魅かれるものがあります[__るんるん]
by don (2012-03-25 21:00)
いつもながらの素晴らしく簡潔な「読書メモ」で、何だか読んだ気になってしまうのでした。
ところで、「ブラック企業就職偏差値ランキング」、これはなるほどなあと思いました。
私の会社は幸い入っておらず、ホッとしました。
by 伊閣蝶 (2012-03-26 12:40)
伊閣蝶さんこんばんは!
あたたかいお言葉、ありがとございます[__ぴかぴか]
ブラック企業偏差値、しんどい会社で一生懸命働いてる
人には申し訳ないのですが、自分の働いてる会社が入ってないと、
ホッとしますね[__かわいい]
by don (2012-03-27 22:09)