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【戦略がすべて/瀧本哲史】要約まとめ~AKB48のビジネスモデル [本/Biz経済]


戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)

  • 作者: 瀧本 哲史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/12/16
  • メディア: 新書


【戦略がすべて/瀧本哲史/15年12月初版】
近所の本屋でビジネス本の1位になってました。ちょっと前だけど。
2011年の武器シリーズはベストセラー。面白い本でした。

本書はぜんぶで7章24項ある。それぞれ1項毎に著者が「まとめ」を数行書いてます。
本文で読んだほうが、ネタ(例示)がおもしろく理解しやすいのですが、
「まとめ」でも、書いてある概要は理解できます。

せっかくなので以下に、著者自身による24項「まとめ」を。ざくっと半分ぐらいにしました。
「まとめ」のあとに、いつもの読書メモを。

1.コケるリスクを排除する-AKB48の方程式
・人を売るビジネスには、成功の不確実性、稼働率の限界、交渉主導権の逆転の壁がある。
・才能勝負の世界ほど才能は事後にしかわからないので、AKB方式で選ぶべき。
・見える仕事には顔となる人材を、見えない仕事にはコモディティ化された人材を使う。


2.全てをプラットフォームとして考える-鉄道会社の方程式
・プラットフォームビジネスの関係者は、顧客、運営者、参加者。
・運営者の仕事は、集客、ビジネスモデルの提供、プラットフォームの管理。
・リアル空間でも、プラットフォームビジネスを構築できる。
・ブランドの打ち出し、スタイルやクオリティの提案が成功のカギ。


3.ブランド価値を再構築する-五輪招致の方程式
・プレゼンは、聴衆が何を求めてるかで、見せ方が決まる。
・オリンピックは千載一遇の日本ブランド再構築の機会である。

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4.儲ける仕組みを手に入れる―スター俳優の方程式
・給与の差は所属企業が社員に与える資源量で決まる。
・儲ける仕組みの外にいるコモディティは高い報酬を与えられない。
・儲ける仕組みに参画し、ビジネスの利益と損失を帰属された資本家に報酬は集まる。


5.資本主義の歩き方を学ぶ-RPGの方程式
・RPGには職業システムやショートカットなど、資本主義社会の世界観、働き方がひそかに組み込まれてる。
・スマホの課金で決まるゲームをやるより、勝ち方が多様な麻雀をやるべき。


6.コンピューターにできる仕事はやめる-編集者の方程式
・無から有を生み出せるのは、人間の知恵だけ。
・コンピュータにできる仕事しかできない人間は淘汰される。


7.人の流れで企業を読む-人材市場の方程式
・企業は、商品市場、資本市場、人材市場で評価されている。
・人の移動は定期的にモニターし、指標となる人物には定期的に会う。


8.二束三文の人材とならない-2030年の方程式
・安易に起業を考えるより、社内の評価と会社の変革を考える。
・熟知している業界で足りないビジネスを始めることで、起業の成功性が高まる。


9.勝てる土俵を作りだす-オリンピックの方程式
・楽勝できる土俵を見極め、徹底的にそこに資源を投資する。
・場をつくることで、人間が刺激しあい、ネットワークをつくり能力を高める。
・舞台裏のヒトへの投資が、表舞台のヒトの成果につながる。
・資金援助を切実に必要としている人に直接投資することが、カネの最も効率的な使い方。


10.多数決は不毛である-IPS細胞の方程式
・合議制、効率性からイノベーションは生まれない。
・選択と集中は、ハイリスクハイリターンのチャレンジ案件を潰してしまう。
・一見非効率でみんなが賛成しない戦略的な投資を、一定の比率で行う必要がある。


11.人脈とは外部の脳である-トップマネジメントの方程式
・組織の方向性はトップではなく、トップが外部から招く人材で占うことができる。
・トップマネジメントにとって、異見をもつ多様な人材との関わりが優れた意思決定を生む。
・つきあってる人間が同じような人間ばかりでは、新しいものは生まれない。


12アナロジーから予測を立てる-北海道の方程式
・アナロジー(歴史や他分野からの類推)から未来を予測することで、
ビッグデータには導けない仮説を導き出せる。
・北海道のように、未来を読むための縮図や実験場を見つける。

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13.ネットの炎上は必然である-ネットビジネスの方程式
・ネットには炎上するような情報のほうが、収益を生みやすい構造がある。
・怪しげな情報にひっかかる少数の信者を見つけることが、ネットビジネスでは重要な戦略となっている。


14.不都合な情報を重視する-新聞誤報の方程式
・新聞などメディアの取材は、結論ありきのものが多い。
・誤報自体が増えたのではなく、発覚する機会が多くなった。


15.若者とは仲間になる-デジタルデバイスの方程式
・変化は日常の些細なところから始まっている。
・昔を知らない若い世代のほうが、新しい環境を構築しやすい。
・古い世代は未来の変化に敏感になり、若者とのコラボをはかるべき。


16.教養とはパスポートである-リベラルアーツの方程式
・現代は情報を制限し、自分に都合のいい情報だけ吸収する風潮がある。
・イノベーションを生むには、異なる複数の考え方、を組み合わせることだ。
・教養とは「異なる思想」に触れることだ。


17.優秀な人材を大学で作る-就活の方程式
・企業の採用には育成型のシステムと、競争型のシステムがある。
・優秀で才能のある人材は、競争型に集中する。
・企業が大学教育に求めているのは、「思考力」「多様な視点」「コミュニケーション能力」である。


18.エリート教育で差別化を図る-東京大学の方程式
・大学は社会の状況に合わせて戦略的に差別化し、競争していくべき。
・イノベーションには実学だけでは不十分であり、多様な分野の独自性とネットワークも必要。


19.コミュニティの文化を意識化する-部活動の方程式
・部活が当人が意識しないままに、その後の人生を左右することは意外と多い。
・人は社会に出てから所属した会社、業界、組織の暗黙のルールを、知らないうちに身につけている。


20.頭の良さをスクリーニングする-英語入試の方程式
・東大入試は記憶力やある種の地頭力だけではなく、高速な論理操作や判断推理の力が求められる。
・現在の大学入試は、大学教育を受ける前提能力をはかれない。
・英語入試を廃止すると、知的スクリーニングの役割が失われる。
・英語入試によって、論理的思考力や判断推理力がある程度測定できる。


21.入試で人間力を養う-AO入試の方程式
・大学入試改革は、高等教育を変えるという点で意味がある。
・多面的な人物評価は難しいが、高校生活を組み替えるように誘導する効果はある。


22.勝ち組の街を足が選ぶ―地方創生の方程式
・資本主義は常に、「勝ち組」と「負け組」をつくる。
・救済すべきは負け組の個人であって、企業ではない。
・地方自治体も提供するサービスをめぐる競争によって淘汰されるべき。


23.マーケティングで政治を捉える-選挙戦の方程式
・現代の日本において、政策で差別化をするのは困難である。
・したがって各党は、ニッチな政策か、ブランドイメージで差別化をはかるしかない。
・細かな政策より、ワンフレーズのインパクトや感情的なストーリー性のほうが強い。


24.身近な代理人を利用する-地方政治の方程式
・コモディティ化、万年化によって、組織は構造的に無能な人であふれる。
・先進的な政策に通じ、国政のネットワークを持つ地方議員を、ロビイストとして活用することができる。



その他の読書メモを。

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<大企業との給与格差はなぜ生まれるか>
中小企業でも、スキルはそんなに変わらない。しかし大手社員のほうが給与は高い。
この理由は極めて簡単。マクロでみれば、従業員一人あたりの「付加価値額」が大手のほうが高いから。
大手と中小では、一人の社員に割り当てられる「資源量」が大きく違う。
社員の資源に対する利益率があまり変わらないのであれば、
大企業のほうが容易に利益を上げることができる。

従業員一人あたりに投入されている資源量を「資本装備率」とよび、
資本から生まれる付加価値額の比率を「資本生産性」とよぶが、
多くの産業で、大企業と中小企業の資本生産性はそれほど変わらず、
差がつくのは「資本装備率」なのだ。

製造業においても、資本生産性は中小のほうがやや高かったりするが、
資本装備率が2倍以上違うので、従業員一人当たりの付加価値額に2倍以上の差がつく。
従業員の給与は、付加価値額に労働分配率をかけたもので決まる。
労働分配率は業種によって多少違いはあるが、国際比較でみても時系列でみても、
60%前後がベンチマークであり、大きな差はない。
結局のことろ、スキルというより、もともと社員に与えられている資源量で給与差がついている。




<オリンピックでメダルを増やす方法>
じつは「オリンピックでメダルを増やすにはどうすればいいか」という問いは、
コンサルティング会社の採用面接でも良く出される問題。著者もマッキンゼー時代に良く出していた。
言い換えれば、オリンピックの成果は、経営戦略の勝利と見ることが可能。
マネジメントの視点からのオリンピックの詳細は本書にて。




<カモの見つけ方>
振り込め詐欺や、ネットの詐欺メール(コンテンツ)などでは、
話が不自然だったり、文章がおかしかったりすることが多い。
これはじつはワザとやってる。
もし詐欺の途中でおかしいと気付かれ、警察に届けられると詐欺師としては不都合。
最後まで騙し続けられるカモを探すには、最初の段階で明らかにおかしいものを提示し、
それでもおかしいと思わない人を選び出す必要がある。




<SNSの現況>
交友関係を広げることを提供価値としていたフェイスブックに代表されるSNSは、
日常的なコミュニケーションツールとしての地位を失いつつある。

むしろ若者たちが普段使うサービスは、
少数の親しい友人たちとのクローズドなやりとりを楽しむLINEに移った。
Twitterの隠れた人気機能は「ミュート」機能である。
フォローを外すのはカドが立つが、ツイートはうっとおしいので表示させたくない。
つまり視界から消して黙らせる機能、それがミュートだ。
人々は再び自分の心地よい情報、人間関係を再確認する情報環境に回帰しつつある。

その結果起きているのが「蛸壺型」の社会認識。
ネトウヨ、サヨク、反原発など、同調するものが集まって互いを肯定しあう。
現在の教養ブームは、蛸壺化の反動か。
アランブルーム曰く、「教養とは、他の考え方が成り立つことを知ること」




<大学入試改革の答申内容>
大きく2つ。
・センター試験の廃止を含む改革。
・各大学ごとの二次試験改革。

センター試験は暗記した知識量ではなく、思考や判断など知識の活用力を問う形式に変える。
理科の問題文を英語にしたり、記述式を導入したり、成績は1点刻みではなく段階で示し、
複数回受験を認める方向。

二次試験については、面接や集団討論、高校時代の活動実績など、
多面的な人物評価を行う大学に、財政的なインセンティブをつける方針。

もともと入試の測定精度は3回試験をやれば、半分程度の学生の合否が入れ替わる。
「統計学上意味のある違い」はない。別の基準に変えても問題ない。
著者は今回の入試改革は評価している。「国際バカロレア」などの世界基準にも近い。

しかし大学教員の反応は芳しくない。
理念は素晴らしいが、実行が困難。
就活対策のように入試対策された生徒の、「多面的な人物評価」は難しい。




<AKB方式>
よく知られているように、AKB48のメンバーは、それぞれ別の大手プロダクションに所属していて、
AKBの活動のときだけ、プロジェクトメンバーとして「派遣」される。
だから大量のメンバーをチームに入れながら、リスクやコストを負う必要はない。
AKBはプラットフォームで、秋元康が運営者。タレントは参加者。ファンが顧客。
古典的なモデルで、宝塚歌劇や、コンサル会社や弁護士事務所などの、
「プロフェッショナルファーム」も似たような仕組み。

プロフェッショナルファームでは、「パートナー」と呼ばれる経営者が集まって出資経営する。
そこに専門職の従業員である「アソシエイト」が雇われている。
コンサルや弁護士事務所は、提供するサービスは、ある程度適正あるアソシエイトを訓練すれば、
一定水準のサービスを作れるようになる。

だからパートナーの重要な仕事は、顧客の獲得や維持になる。
パートナーに昇格するには、「太い客」を持ってくること。それが出世の条件。

パートナーは特殊な仕事ゆえ、誰にでも務まる仕事ではない。
たんに仕事の能力だけでなく、顧客との相性など人的要素にも影響される。
ある程度キャリアを積まなければ、誰に適性があるのか分かりにくい。

そこでアソシエイトを多めに採用して、その一部をパートナーに昇格させるモデルがとられる。
そしつのありそうな人間をとりあえず大量採用し、才能が開花して顧客を獲得できた人間だけが、
パートナーになれる。この仕組みは、AKBのシステムによく似ている。


AKB48の16年3月発売、10周年記念シングル、君はメロディー♪
旧メンバーの前田、大島、板野、篠田なども参加。だそうです。




43rd Single「君はメロディー Type E」初回限定盤

43rd Single「君はメロディー Type E」初回限定盤

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2016/03/09
  • メディア: CD




(関連記事)

【僕は君たちに武器を配りたい/瀧本哲史/11年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-03-24

【武器としての決断思考/瀧本哲史/11年9月初版】
http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-03-03

昨日居酒屋でホタルイカ食べました。春ですねぇ。
またね♪





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コメント 4

heroherosr

それに気付かないカモを探すために、うさんくさい文章だったりするんですか
単にだまそうとする方も頭が悪いのかと思っていました
by heroherosr (2016-04-03 15:42) 

DEBDYLAN

本(記事)の趣旨とは違うかもしれませんが。

趣味でライヴを企画し始めましたが、リスク(赤字)の回避と、
みなさんに喜んでいただける(集客できる)ライヴのバランス。
なかなか難しかったりします^^;

by DEBDYLAN (2016-04-03 18:19) 

don

heroherosr さんこんばんは~
ある一定の確率で、引っかかる人っているんでしょうね。
まさに弱肉強食[__犬]
by don (2016-04-03 19:37) 

don

DEBDYLANさんこんにちは~
バランスですか。そうでしょうね。
それにしても、プロデューサーみたいですね。
投資とリターンのバランスを考えるという。
[__犬]
by don (2016-04-03 19:40) 

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