SSブログ
本/Biz経済 記事一覧
2014年04月01日:  これから日本と世界経済に起こる7つの大激変/渡邉哲也
2014年03月22日:  「アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日」まとめ
2014年01月28日:  世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機/三橋貴明
2014年01月25日:  進撃のセブンイレブンなぜ圧倒的に強いのか~セブンイレブンコーヒー原価は?
2014年01月21日:  なぜ日本の貧困率は高いのか?~「統計データが語る日本人の大きな誤解」より
2014年01月18日:  そして日本経済が世界の希望になる/ポール・クルーグマン
2013年12月28日:  なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編
2013年12月21日:  これから5年の競争地図
2013年10月15日:  5年後、メディアは稼げるか/佐々木紀彦
2013年09月25日:  「マネーと経済これからの5年/吉田繁治」書評と要約
2013年09月07日:  なぜオスプレイは沖縄にあるのか?~世界の真実/長谷川慶太郎
2013年08月31日:  「コーポレートブランディング格闘記」要約まとめ
2013年08月27日:  株主優待ハンドブック2013-2014年版
2013年08月17日:  大いなる探求 経済学を創造した天才たち 上巻/シルヴィア・ナサー
2013年07月30日:  日本株で20年に一度の大波に乗る方法/管下清廣
2013年07月20日:  「10万人に愛されるブランドを作る」要約まとめ
2013年07月13日:  これからすごいことになる日本経済+1冊
2013年07月06日:  金利・為替・株価 大躍動/植草一秀
2013年06月25日:  【2030年世界はこう変わる】要約まとめ
2013年06月08日:  「日本経済を創造的に破壊せよ」要約まとめ

本/Biz経済 ブログトップ
前の20件 | 次の20件

これから日本と世界経済に起こる7つの大激変/渡邉哲也 [本/Biz経済]



これから日本と世界経済に起こる7つの大激変 (一般書)

これから日本と世界経済に起こる7つの大激変 (一般書)

  • 作者: 渡邉哲也
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/01/11
  • メディア: 単行本


【これから日本と世界経済に起こる7つの大激変/渡邉哲也/14年1月初版】
著者は2009年に「本当にヤバイ欧州経済」で、その後の欧州危機をピタリとあてました。あのときユーロは130円強で、その後97円まで下落。かなりの説得力だったので、ユーロの空売りをしてたらよかったなぁと。これは必ず下がると思いましたが、やり方がよくわかりませんでした^^

それ以来ブログをチェックしたり、新刊本を読んだりと情報源にしています。一度当たったからといってずっと当たるとはかぎりませんが^^;

7つの激変は以下。
①金融自由主義の崩壊
②タダ乗り屋であるグローバル企業への規制
③国家が主導する経済への変化
④先進国と新興国の立場の変化
⑤米中蜜月から離別へ
⑥引きこもりから攻めに転じた日本
⑦流通業より生産者が主体となる社会

以下に読書メモを。

(広告)




<対中国の経済制裁カード>
アメリカの「国際緊急経済権限法IEEPA」。安全保障上の問題が生じた国やその国民の資産を、凍結や没収できる金融制裁の仕組み。安全保障上の問題とは、安全保障条約を締結している日本などの一部同盟国などにも適用される。

この権限を米国が行使すれば、中国が保有する米国債と中国人が保有する米国国内の資産を無価値にすることができる。しかも現在は国債の現物証券を売買しているのではなく、登録制であるため、登録抹消だけで済む。こうすれば市場に流れている米国債の価格に直接的な影響を与えることもない。ちなみに習近平は米国に3.76億ドル、温家宝は27億ドルの金融資産がある。

加えてこの法律は、敵対国家との通商制限などを含んでおり、これが実施された場合、米国の国内金融機関は中国との取引ができなくなる。ドルは基軸通貨であり、人民元はハードカレンシーですらないので、中国人民元の死と中国の銀行の破綻、中国企業の破綻を意味する。

一部メディアが、中国が持つ1兆3000億ドルの米国債を投げ売る可能性を指摘し、だから米国は中国の言いなりにならざるをえないと評論するが、IEEPAを知らないか、あえて知らないふりをしているのである。


<中国の環境破壊>
imagesCAORGCL0.jpg
古来よりきれいな水と空気のない文化文明が成長したためしはない。ところが現在の中国は人が住むことすら難しくなっている。都市部における交通警官の平均寿命が43歳という驚くべきデータがそれを裏付けている。


<株式と不動産はゼロサムか>
ゼロサムゲームではない。「私の損=誰かの得」ではない。評価が変わっているだけでいつまでたっても1株は1株だし、50坪は50坪である。そしてこの評価は市場の資金量で決まる仕組みとなっている。

バブルの時は信用が信用を生み、架空資金が急増する。土地を担保にカネを借り、そのカネを株式に投資し、持ってる株式を担保にまた株式を買うという正の信用創造が生まれ、バブルが弾けると、この信用創造でつくられた架空の部分が一気に消えるだけなのである。


<スターバックスの税金逃れの方法>
imagesCA57AGW5.jpg
現在の国際的な課税制度は「二重課税」を防止する仕組みとなっている。たとえば本社を米国に持ち、子会社を日本に持つグローバル企業があった場合、米国で課税されていれば、日本においては子会社部分の税金を払わなくてよいのである。これを悪用すると「二重非課税」が可能になる。

2012年スターバックス英国法人に対して英国で大規模なデモが起きた。英国で31%のシェアを持ち、3億9000万ポンドの売上があるにもかかわらず、同社は15年間にわたり赤字決算を続け、英国に法人税を払っていなかった。インフラのタダ乗りである。

スターバックスはオランダ(タックスヘイブン)を利用した租税回避を行なっていた。具体的にはオランダに会社を作り、英国法人からロイヤリティとして6%を支払い、コーヒー豆はスイスの法人に20%の手数料を払って英国に納入される仕組みになっている。要は税金の安いオランダに権利管理会社をつくり、海外の利益を吸収することで、それぞれの国では赤字にするということだ。

同様の仕組みは、グローバル企業の多くが採用している。グーグルはアイルランドとオランダを利用して、アマゾンはルクセンブルクを利用して、本来それぞれの国に払うべき税金を払わないで済む体制を構築している。


<シンガポールとは何か>
imagesCA3FWX0A.jpg
日本のグローバル企業が租税回避先としてよく使っているのはシンガポールだ。シンガポールという国は、客家とユダヤ人が作った人工国家、計画国家だ。上海租界がなくなったときに疎開地として作られた。かつて欧州や日本、世界中の国々が、上海のなかに治外法権地域をつくっていた。それが上海租界だ。そこには香港のハンセンバンクや欧州の金融資本が集まり、アジア全域を金融的に支配していた。

この上海租界は第二次大戦終結と共に失われてしまったが、そのとき彼らが逃げた先が、香港とシンガポールだった。現在シンガポールはアジアの金融センターと評されている。金融センターとは、グローバリスト、レントシーカーたちが自由に利用できる地域であることを意味する。

「日本は金融センターとしてのシンガポールを見習え」という声がしばしば聞かれるが、それは言い換えると、「金貸しを集めて、金貸しが暮らしやすい社会を作る」ということなのである。それがはたして日本の目指すべき姿なのか?


<そもそも新しい成長分野などあるのか>
一見新しそうに見える分野も、古い商売に読み替えるとその正体が明らかになる。その多くは昔からある商売を横文字にするなどして、毛色を変えたにすぎないものだ。

ヘッジファンドは仕手筋。ネット金融はただの金貸しで、昔も今も何ら変わらない。かつてIT企業の寵児ともてはやされたライブドアの堀江貴文氏にしても、やっていたことは横井英樹と同じ、乗っ取り屋であった。

産業競争力会議のメンバーのバックグラウンドを昔の産業名に読み替えてみると、彼らの正体がわかる。パソナ会長の竹中平蔵氏は、口入れ業である。楽天などは口銭取り以外の何物でもない。お祭りのときにテキ屋の親分がテキ屋を集めて、縄張りに店を出させるかわりに場所代を取るのと一緒。要はインターネットテキ屋。それが新しい商売と言えるだろうか。
imagesCAYBW1NV.jpg
かつての士農工商ではないが、商人よりも職人や農家といった生産者のことを、もっと考えのベースに置かないと、国家を支えるインフラは強く豊かなものにはならない。このことをもう一度強く思い出すべきであろう。


<今後の世界のマネーの動き>
・資金動向は米国は量的緩和の縮小、日本と欧州はさらなる量的緩和。

・結果的には米国の縮小分を日欧が補うが、先進国は量的緩和資金を抱え込み、これまでのように資金が新興国に大量に流れ込むことはない。

・新興国の急激な発展は見込めない。BRICSなどの中進国は「中進国の罠」に苦しむ。

・量的緩和の縮小による新興国からの資金逃避に関しては、日本とASEANにより通貨スワップが拡充されていて、リスクは低くなっている。

⇒これらにより為替はさらなる円安に進む。


・資源価格:中国の鈍化と、先進国の地産地消の動きにより、中長期に船舶の輸送が行なわれづらい環境になる。そうなると資源価格は上がりにくい。

・お金の量が増えれば資源の価値が上がり、お金の量が減れば資源の価値は下がる。米国の量的緩和の縮小と先進国による資金の抱え込みにより、通貨の希薄化が止まり、お金の価値が上がって、資源の価値が下がる。

・株式については米国の量的緩和縮小や日本の消費増税により一時的な下げがあっても、先進国市場はゆるやかに伸びる。

・中国バブルが弾けても世界中に伝播するとは考えにくい。金融ビッグバン以前の日本と同じで国際マーケットに参加していないローカル市場であり、債務にしても人民元建ての国内債務である。

・金は米ドルが不安定化すれば価格が上昇する。

・世界的な金融規制の中、アンダーグラウンドの人は換金性の高い資産として金の保有量を増やそうとする。

・ダイアモンドは金属探知機にかからない。換金性ダイアモンドはタバコ1本につき6個ぐらい詰め込んで隠せる。アンダーグラウンドな人には注目されている。


彼女はお金持ち♪
靴底にはダイアモンド♪
彼は貧しい♪
ポケットは空っぽで 失くすものはない♪

ポールサイモンの歴史的名盤グレイスランドから、シューズにダイアモンド♪



Graceland

Graceland

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony Legacy
  • 発売日: 2011/10/24
  • メディア: CD



(広告)



nice!(26)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日」まとめ [本/Biz経済]



アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日

アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日

  • 作者: 桃田 健史
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2014/02/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【アップル、グーグルが自動車産業を乗っ取る日/桃田健史/14年3月初版】
自動車王国ニッポン。世界の自動車生産台数は2012年で84百万台(トラックバス込)。そのうち日本メーカーは31%の26百万台を生産しています。日本国内生産が10百万台、海外生産が16百万台。圧倒的ですよね。
http://autoinfoc.com/seisan/gurobaruseisan/s-gurobaruseisan-1.html

細かいことは書けませんが、自動車向け生産財でシェアの高い製品を担当してたことがあり、いろんなカーメーカーやティア1を訪問してた時期がありました。もう5年以上前に担当を離れましたが。

やってるときに思ったのは、自動車向けはコストダウン要求は厳しいけど、基本的に需要が大きく変動しない、農耕型ビジネスであるという事です(重工業向けとの対比で)。計算できるベースロードになる。

(自動車産業に関する過去記事より抜粋)
『・自動車産業は、鉄、ゴム、ガラス、エレクトロニクスなど多くの素材、部品産業に支えられている。また販売、輸送、保険、整備、駐車場、ガソリンスタンドなど、多分野の産業とかかわっている。日本で自動車産業(関連も含めて)に従事する人は、全就業人口の8%近くに上ると言われている。しかもより間接的な道路の建設まで含めれば、経済波及効果はもっと大きい。

・自動車産業の雇用は1991年に94万人⇒現在は79万人。この中には一次、二次下請けなどの自動車部品製造業も含まれるが、すべての自動車関連産業を含んでいない。日本自動車工業会によると、すべての関連産業を含めると545万人程度と、日本の全就労者数6257万人の8.7%を占める。』

日本の自動車産業が強いのは、エンジンという技術アドバンテージがあるからです。それが電気自動車に移行すると、台湾のパソコンみたいな廉価版ビジネスになる可能性が高い。

今の日本の国力を維持するには、そんなことは許されないじゃないですか。製造立国という国のかたちが変わってしまう。狩猟型じゃない農耕型の製造業が壊滅すると、雇用影響が大きすぎます。被害が甚大すぎて手当てのしようがない。。

で、タイトルに危機感を覚えたので読んでみました。著者は日経BPやダイアモンドに連載を持つ自動車産業ジャーナリスト。う~ん、専門的な話が多いので僕ではちょっと消化不良かも。ITに強い人向けです。

目次は以下。

『第1章 自動車産業を襲う「テレマティクス」の衝撃
IT大手の参入で激変する自動車産業
自動車産業の拠点はデトロイトからシリコンバレーへ
グーグルがアンドロイドで自動車参入
「iOS in the car」で一気に動くアップル
グーグルの自動運転開発の真意
インテル参入で激化する車載OS覇権争い
「スマホでカーナビ」で車載型カーナビは消滅!?
欧米が牛耳る自動車の音声認識
自動運転の要「地図データ」をめぐる開発競争

第2章 乗り遅れる日系メーカーの迷走
自動車の国内製造がなくなる日
日系メーカーを辞めていく技術者たち
「カーナビ大国・日本」を崩壊させる政策 「2秒ルール」に固執する自動車メーカー
「コストの積み上げ方式」が部品メーカーを潰す!?
米国が狙う脆弱な日本のサプライチェーン
“ITS先進国"日本は、じつはガラパゴス
カーナビ、ETC、VICSは日本が世界一
ホンダ、トヨタが模索するテレマティクスの課金モデル

第3章 混沌とする次世代車開発の行方
米ZEV規制に振り回されるEV
EVブームに消えた投資マネー
「ロードスター」は未完のEVだった
テスラ「モデルS」は本格EVなのか
第二次燃料電池車ブームが到来!?
先行き不透明なパーソナルロボット事業

第4章 スマホが変える自動車ビジネスの未来
「生活」をクルマに持ち込む「ブロートイン」
トヨタの次世代型顧客管理システム
アプリを使った新たなカービジネスが誕生
未来型移動手段「モビリティミックス」
「空飛ぶクルマ」が続々と登場

第5章 日本の自動車産業は生き残れるのか
既存の自動車ビジネスの衰弱
不人気になった自動車産業
「現状は茹でガエル」日本企業の危機感』

本書は警告します。「ダイムラーとベンツが自動車の量産化を始めてから128年。自動車産業はいま、100年に一度の転換期にある。そこに立ちはだかるのは、アップル、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、インテルなど欧米の大手IT系企業だ。彼らの武器であるスマートフォンとクラウドが、クルマに対して巨大な影響力を持つようになってきた。それは車載OSやカーナビ、インターネットラジオなどの社内装備だけではない。エンジンやサスペンションの制御、さらには自動車の製造から販売まで、自動車産業のすべてが欧米のIT産業の支配下になる可能性がある。こうした重大な局面に立っているにもかかわらず、日本の自動車産業界には危機感が希薄だ。」

以下に読書メモを。

(広告)




<自動車業界の3つの大きな潮流>
・先進国から新興国へ市場が転換。
・動力源の電動化。
・次世代テレマティクス。

<次世代テレマティクスとは>
自動車業界で「自動運転」以上に注目されている言葉。テレコミュニケーションとインフォマティクスの融合を指す造語。カーナビとスマホを連携させて、リアルタイムに情報やサービス提供をするシステム全般のこと。

テレマティクスにより、交通情報やニュースを車載器でリアルタイムに得られたり、音楽や動画などの車内エンタメが楽しめたり、音声認識による自動運転、エンジンやサスペンションの制御、車両自己診断装置などのセーフティ、セキュリティサービスなどが利用できる。

⇒リアルナイトライダーか^^
Knight-Rider-KITT-22[1].JPG

< iOS in the carとは>
2013年6月にアップルが発表した「iOS in the car」。iphoneにsiriで音声入力すると、車載器のモニターにios専用画面が対応するというもの。これによりドライバーはハンドルを握ったまま、電話、カーナビ、音楽、iメッセージが使える。


<OAAとは>
2014年1月のニュース。グーグルがアンドロイドを車載器に搭載するためのコンソーシアムを立ち上げた。「オープン・オートモーティブ・アライアンス(OAA)」グーグルの他に、GM,アウディ、ホンダ、ヒュンダイなどが参加。車載器をアンドロイドで動かす。車載器の標準化に関わるOAAの登場は、自動車産業にとっては大きな衝撃である。

アンドロイドの基本は無料OSのリナックスであり、すでにインフィニティで車載器OSとして採用されている。よってアンドロイドによる車載器OS化は理論上可能。一方現在のところiOSで直接車載器を動かしている事例はない。

将来グーグルが狙う領域は、自動運転技術で不可欠となる地図情報の完全制覇、他に類のない位置情報解析法、Uberを完全に買収しての世界各地での自動運転タクシー事業等々。詳細は本書で。


<次世代テレマティクスの日本の現状>
2013年12月に東京で行なわれた、日系電機メーカーが名を連ねるモバイルクラウド委員会のアイデアソンでは、日系のクラウドの現状は「ゆで蛙」であり、アップル、グーグル、アマゾンなどによる「塀に囲われた庭」であると。グーグルなどのゲートキーパーが利益の大半を奪ってしまい、ネットワーク、デバイス、アプリ、サービスなどに投資をしても資金回収と収益獲得が難しいと分析している。


<カーナビの未来>
じつはカーナビは日本だけで売れるガラパゴス商品だ。日本国内では約7割に車載型カーナビが装備されているが、欧米市場では2割、世界平均ではカーナビの普及は1割程度。

カーナビは転換期を迎える。日本では車載器はカーナビだが、世界では車載器は今後テレマティクスの心臓部となる。つまりナビゲーションに特化した日本の車載器ビジネスは、大きな転換器を迎えることになる。




誰が今夜君を家まで送るのか♪

CarsでDrive♪  自動運転になれば、OAAが送ることになるんですよねぇ。。
そういえばこのMVのスーパーモデルとリックオケイセックは、結婚しています。



Heartbeat City

Heartbeat City

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Elektra / Wea
  • 発売日: 1995/04/12
  • メディア: CD




(広告)




nice!(23)  コメント(24)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機/三橋貴明 [本/Biz経済]


2014年 世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機 (一般書)

2014年 世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機 (一般書)

  • 作者: 三橋貴明
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/11/30
  • メディア: 単行本


【2014年世界連鎖破綻と日本経済に迫る危機/三橋貴明/13年11月初版】
1月20日号の日経ビジネス(シリコンバレー4.0)を読んでてふと考えてしまった。マイケルポーターが昨年末安倍総理と会談した時を振り返り、安倍総理を非常に高く評価していました。安倍政権の規制緩和路線、いわゆる新古典派経済学的な動きへの評価です。え、あのファイブフォースの聡明なマイケルポーターもかと。スティグリッツやクルーグマンとは反対側の考え方です。

なんでだろうと考えてて思ったのは、人は経験したことしか理解できないのかなぁと。日本以外はデフレを近年経験していません。これまでずっと数%のインフレでした。だからデフレ時にも規制緩和、緊縮財政というデフレ化政策しか出てこない。

三橋氏も本書で指摘しています。
「デフレ時に何故デフレ化政策である新古典派経済学が推進されるのか。戦後の世界経済はデフレと無縁であり、経済学はインフレ抑制策として発展した。これが政治家や政策担当者たちがデフレ環境下にありながら、デフレ化政策を推進してしまう理由の1つであろう」

現在のアメリカ、ヨーロッパ、日本は民主主義vs新古典派経済学の戦争だそうです。

フランスのオランド大統領は「われわれの敵には名前がなく、顔もなく、政党にも属していません。選挙の洗礼も受けたことがありません。それでもわれわれを支配しています。その敵とは金融界です」グローバル金融こそが真の敵であると明言し、フランス国民は拍手喝采した。

オバマ大統領は08年の大統領選で「北米自由貿易協定は投資家を利するだけだ。自由貿易協定には労働者と環境の保護規定を盛り込むことが必要だ」と訴え当選した。

イタリアのレッタ首相は「緊縮財政による死を終わらせる」と宣言した。

安倍首相は「新しい国へ」のなかで「ウォール街から世間を席巻した強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国は瑞穂の国にふさわしい市場主義の形があります」と書いている。

ところが現実は何も変わらなかった。フランスはユーロという新古典派経済学をベースとした(読書メモで後述)構造にはまり込み、10%を超える失業率で身動きが取れない。イタリアは12%を超える失業率の中、緊縮財政が継続され、国民は暴動を起した。アメリカはオバマ大統領はTPPを推進し、国内では財政均衡主義に基づく債務上限引き上げをめぐり、数ヶ月ごとに政府機関が閉鎖されかねない事態を招いている。日本ではTPP、消費増税、法人税減税、労働市場の自由化、電力自由化、農業医療分野の規制緩和、公共投資のコンセッション方式、規制緩和特区など当初の公約とは真逆の路線を歩んでいる。

良書です。とくに第6章で戦後のマクロ経済の流れが俯瞰できる。そのまま教科書にしてもいいくらいわかりやすいです。第6章だけでも読む価値があります。

以下にその他の読書メモを。

<ユーロは1%の富裕層のためにつくられた>
イギリスの大手紙ガーディアンに衝撃的な記事が掲載された。「ロバートマンデル、ユーロの邪悪なる天才」というタイトルで、共通通貨ユーロの設計者であるマンデル教授(コロンビア大学)の構想をスクープした。マンデル教授は新古典派経済学の権威で、金融緩和論者が好むマンデルフレミングモデルの生みの親。

『選挙で選ばれた政治家からマクロ経済政策を奪い、規制緩和を強制することは、ユーロ構築にさいした計画の一部だ。ユーロが失敗しているという考えはあまりにもナイーブ(幼稚)である。ユーロは1%の富裕層が当初から計画していたとおり、予定通り正しく機能している。ユーロは危機のときにこそ真価を発揮する。為替レートに対する政府の干渉を排除し、不況期にケインズ的な金融財政政策をとりたがる政治家を妨害できる。「政治家の手が届かないところに金融政策を置くんだ。金融政策と財政政策が使えないとなると、雇用を維持する唯一の解は、競争力を高めるために規制を緩和することのみになる」マンデルの言う規制は労働法、環境規制、税制など。すべてはユーロによって洗い流され、民主主義が市場価格に干渉することは許されなくなるだろう』


<新古典派経済学の理想の税制>
「法人税ゼロ、所得税ゼロ、税金は人頭税のみ」が新古典派経済学の理想の税制。人頭税とは国民1人あたりの行政コストを均等に負担させる税だ。年収1億円であろうが、100万円であろうが同じ金額の税金が課せられる。とはいえ人頭税の導入は政治的に不可能に近い。実際、戦後初の新古典派経済学的な政治家であったサッチャーは、1990年に人頭税の導入を図ったため支持率を大きく失って退陣した。(イギリスの人頭税は93年に廃止された) 所得が少ない国民は激怒する。マジョリティは所得が少ない国民だ。現実的には「法人税ゼロ、所得税ゼロ、税金は消費税のみ」というのが美しい税制の妥協案になる。


<フィッシャー方程式>
実質金利=名目金利―期待インフレ率。実質金利は名目金利から期待インフレ率を差し引いたものに等しい。名目金利がゼロの場合、期待インフレ率が2%とすると実質金利はマイナス2%になる。実質金利がマイナスになれば、企業の設備投資は増えるはずだ。


<ワシントンコンセンサス>
新古典派経済学の考え方は、ワシントンコンセンサスと総称される。ワシントンコンセンサスとは、IMFが財政破綻(返済不能)した発展途上国に押し付ける処方箋で、緊縮財政と規制緩和によりインフレ率を抑制し、為替レートの暴落を押しとどめようというデフレ化政策である。


<金融政策だけでは不十分>
FRBが量的緩和しても、アメリカの失業率は7%を切れない。FRBにせよ日銀にせよ発行した通貨が何に使われるか管理することはできない。わかりやすい例で言うと、母親が息子に仕送りを送っても、それは何に使われるかわからない。むろん母親は息子に健康的なものを食べて元気に過ごしてほしい。ところが息子はそれを悪い遊びに使ってしまうかもしれない。母親が目的を達成したいなら、お金ではなく健康的な食べ物を送るべきなのだ。息子に支出させるのではなく、みずから健康的な食べ物を購入し、宅配便を呼べばいい。

発行したドルや円が投資家に借りられ株式に投じられても、雇用や賃金は増えない。だからこそ中央銀行が発行したお金は政府が国債で借り入れ、国内の投資や消費に回さなければならない。


最近涙もろいのか、さだまさしの「案山子」を聴くと、ほろりときました。さだまさしが25歳のときに作った歌です。日本のミュージックシーンでは、不世出の天才です。僕が言わなくてもみんな知ってることだけど。100人のアメリカ人音大生が評価した日本の音楽でトップでした⇒http://www.maniado.jp/community/neta.php?NETA_ID=17829





(広告)



nice!(26)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

進撃のセブンイレブンなぜ圧倒的に強いのか~セブンイレブンコーヒー原価は? [本/Biz経済]


進撃のセブン-イレブン

進撃のセブン-イレブン

  • 作者: 川嶋幸太郎
  • 出版社/メーカー: ぱる出版
  • 発売日: 2013/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【進撃のセブンイレブンなぜ圧倒的に強いのか/川嶋幸太郎/13年11月初版】
飲んだあとの「コンビニおでんうどん」120円ぐらい。安くて旨いです。冬場の店外での立ち食いは寒いですが。ファミマのチキンもケンタより旨い。この本を読んでセブンの100円コーヒーを飲んでみましたが、会社にあるバリスタよりうまいかもしれません。金の食パンは、まぁ食パンでした^^

ファミマの納豆は78円で近所の食品スーパーより安いし、おいてあるスイーツはどこのコンビニでも美味です。とても身近なコンビニ。最近とくに店舗が増えたような気がします。家から徒歩5分圏内に3軒もあります。にょきにょき。

そんな身近なコンビニですが、シェアやら業態やら知らないことだらけでした。本書を読むと「へ~」という話が満載です。ちょっと以下に書き出してみます。


・2012年11月に全国のコンビニは5万店を超えた。かつては国内3万店が限界と言われた。さらなる限界と言われた5万店を超えても、2013年セブンは1500店を新規に出店し、ファミマも1500店、ローソンは870店。閉鎖店もあるが、2013年は、5万店に3000店が上乗せされた


・各社の状況は、セブン1万5831店(13年8月)売上3兆5000億円、ローソン(三菱商事系)1万1130店売上1兆9065億円、ファミマ(伊藤忠商事系)9481店売上1兆7153億円、1店あたりの1日の売上(12年度)&平均来客は、セブン67万円1052人、ローソン47万円873人、ファミマ50万円950人。本体の営業利益はセブン1831億円、ローソン617億円、ファミマ426億円。


・その他の中小コンビニは以下。サークルKサンクス(ユニーグループ)6424店9467億円、ミニストップ(イオン)2168店3527億円、デイリーヤマザキ(売上1兆円に達する山崎パングループ)1648店2292億円、セイコーマート(北海道特化型)1154店1846億円、ココストア731店1089億円、スリーエフ679店977億円、ポプラ713店924億円。


・コンビニは100平米に2700アイテムを並べる。売れないものはすぐに撤去する。


・ベンダーが工場を設置して1日3回の食事に合わせた配送体性が確立しない限り、セブンイレブンはそのエリアに進出しない。


・セブンのおにぎりは1日平均すると300個/店売れる。棚にフルで100個並べれるので、だいたい1日3回転する。1年間のセブンのおにぎりの売上は16億8222万個で1700億円。


・従業員がレジでバーコードの前に押してるボタンは、客の年齢と性別を打ち込んでいる。年齢は正確ではなくだいたいの年齢だが、メーカーにとってはいかに貴重な情報か。


・コンビニは全体売上10兆800億円5万店、スーパー17兆8170億円4万7000店。


・コンビニは365日24時間営業だから店舗のシャッターは下ろされたことがない。実は過去1日だけコンビニがシャッターを下ろしたことがある。1989年1月7日。昭和天皇崩御の日。


・一般的に弁当などの場合、廃棄ロスは5%程度が適正だとされる。そのくらいを見込んで多めに仕入れると、棚が埋まってちょうどいいくらいになる。しかし廃棄はオーナーの損。機会ロスのほうがマシと発注を手控える傾向が増えた。セブン本部の対策として、2009年より廃棄ロスの15%を一律に本部が負担することにした。


・セブンイレブン本部と加盟店との利益配分は、粗利の43~45%をセブン本部が取る。これは他のコンビニに比べ10%ほど高い。ただし水道光熱費の80%は本部が負担する。オーナーが経費削減のため店の電灯を暗くしたりすると、店が薄暗く、商品も薄汚れて見えるから。


・セブンの日本以外の出店数は3万5000店。15カ国。米8144店、タイ7210店、韓国7064店、台湾4867店、中国1925店など。ファミマの海外出店数は1万2708店。


その他の読書メモを。

(広告)




<1回10億円の会議>
店舗と本部をつなぐのがOFC。1人で7店ほど担当する。問題点を見つけ改善方法を提案するコンサル的な役割。孤独なコンビニオーナーは経営を相談できるし、OFCは店舗の数字が上がらなければその能力を問われる。全国に2000人いて、2週間に1回本社に集結して鈴木会長以下一堂に集まり1日かけて会議をする。2000人が集まる交通費は1回10億円。 テレビ会議をすればよさそうなものだが、直接顔を合わすと情報量が違う。数字ではわからない空気や緊張感とともにトップの信念を下に伝達する。



<セブンの歴史>
元は米国サウスランド社が始めたコンビニチェーン。1973年にイトーヨーカドーの鈴木社長がサウスランドと契約を結び、マニュアルとノウハウを導入した。米国の店舗数はガソリンスタンド併設型で8200店舗。米国は冷凍や加工食品主体の日持ちすることが前提のマニュアル。日本は弁当やおにぎり主体なので、マニュアルは一新した。

サウスランド社はオイルショックで本元のオイルビジネスで行き詰まり、日本のセブンイレブンにハワイの店舗などの売却を打診。段階的に買収し、1990年には4億3000万ドルでサウスランド株の70%を買い取った。これで本家と分家が入れ替わり、その後日本型経営の導入で、米国セブンは持ち直した。



<セブンカフェ>
セブンの1杯100円のコーヒーは2013年初年度の販売数は4億5000万杯。1店舗当たり年間3万杯1日82杯計算になる。マクドでさえ3億杯なので爆発的なヒット。フル稼働すれば6億杯いくと言われる。原価率は30~50円程度。デカンタ作り置きや、あらかじめひいた豆をカートリッジ式では香りと風味が劣化する。そのため1杯づつ挽き立てにした。コーヒー豆は三井物産と丸紅からブラジル産&グアマテラ産を調達。焙煎は東日本はAGF、西日本はUCC。コーヒーマシンの製作は富士電機。1万5000店分なので従来のマシンの4分の1の価格でも利益が出るという。アイスコーヒー用の製氷は小久保製氷冷蔵。ブランドマネジメントはユニクロを担当した佐藤可士和。



JDサウザーでSad Cafe♪ ロングランには4人目でクレジットされてましたが、実際はJDサウザーがメインで作詞作曲したんでしょうね。

サッドカフェで過ごした素晴らしい青春の日々。夢が叶うものもいれば、散るものもいる。サッドカフェの奥底に残した思いもある。青春は甦らないけど、ぼくとサッドカフェの奥底で夜中に会わない?っていうしゃれた歌です。たしかに昔好きだった人に、たまに会いたくなることはあるかもしれません。美しい思い出のままのほうがいいとは思いますが。。サッドカフェとは伝説のライブハウス「トルバドール」のこと。

2月24&25日にJDサウザーとカーラボノフがビルボード大阪でライブするので、行く気満々でした。なんなら松葉杖ついて行くつもりだったのですが、所用と重なり断念。次来るかなぁ。。。。





(広告)



nice!(27)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

なぜ日本の貧困率は高いのか?~「統計データが語る日本人の大きな誤解」より [本/Biz経済]



統計データが語る 日本人の大きな誤解 (日経プレミアシリーズ)

統計データが語る 日本人の大きな誤解 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 本川 裕
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2013/11/09
  • メディア: 新書


【統計データが語る日本人の大きな誤解/本川裕/13年11月初版】


真実が役に立つかどうかは別として、今の日本人は誤解と思い込みが広がって不幸になっています。この本が100以上の統計データで炙りだした日本の現状は、言葉にすると以下の通りです。

『失業率はどんどん高まっているわけではなく、日本の経済力は高く、技術力も世界と比較して向上し続けている。経済格差も貧困も拡大しておらず、相変わらず日本は国際的には平等社会を維持している。また世界一の「小さな政府」が効率的に機能しており、高齢化の割には医療費は非常に低く抑えられている。その中で食べ過ぎや肥満にならず、世界一の平均寿命を達成し、女性は生き生きと美しく暮らしている。これらのことから日本人は、人類全体の希望の星となっている』

しかしこんなに素晴らしい日本を、グローバリゼーションで変えていく必要はあるのだろうか。。。

本書は2014年の新書大賞でいい線いきそうです。毎年2月頃に去年1年の新書からベスト10を決めます。たいていは知的好奇心を満たす、新しい視点や考え方を提示したものが選ばれます。さて今年の大賞は何がとるのか。未読の渋いところが選ばれると、楽しみが増えます。


以下に読書メモを。

(広告)




<都道府県のGDP規模、世界の同等国(2010年度)>


・東京都=韓国=91兆円
・大阪府=イラン=36兆円
・愛知県=南アフリカ=32兆円
・神奈川県=タイ=30兆円
・埼玉県=香港=20兆円
・千葉県=イスラエル=19兆円
・北海道=チリ=18兆円
・兵庫県=アイルランド=18兆円
・福岡県=フィリピン=18兆円
・静岡県=パキスタン=16兆円
・茨城県=ウクライナ=11兆円
・広島県=ハンガリー=11兆円
・京都府=カタール=9兆円



<日本は年齢別所得格差が大きいから相対的貧困率が高い>


相対的貧困率とは、国民を所得の高いほうから並べてちょうど真ん中の人の所得を求め、この半分の値を貧困線と仮定し、これ以下の水準にある人を貧困者としてその割合を示す指標である。相対的貧困率の国際比較では、日本はアメリカについて世界2位であり、格差が広がったとされるが実は日本の格差は逆に縮小している。(相対的貧困率以外のデータではそういう結果になる)

なぜ日本の相対的貧困率は悪化したのか?じつは相対的貧困率は年齢別の所得格差によって影響される。日本は年齢別の所得格差が大きいから相対的貧困率が高くなる。生涯所得が同じ国が2つあるとする。一方は若いときは200万円、年配になると800万円で、平均年収は500万円とする。もう一方は年齢にかかわりなく年収が500万円の国であったとする。前者は相対的貧困率は250万円以下になるのでかなりの割合になるが、後者は定義上ゼロである。

また高齢化が進むと働いてない高齢者が増え、年金のみの低所得者世帯も増えるので、相対的貧困率は益々上昇する。日本の場合は終身雇用や年功賃金が見直され賃金のフラット化が進んだが、高齢化がそれを上回る勢いで進展した為、貧困率が上昇している。



<貧しさのため生活必需品が買えなかった経験の国際比較(2013年度)>


順に食料、医療、衣服が買えなかった経験があるものの割合=%を各国ごとに示す。
日本:2、3、3  米国:24、31、27  カナダ:9、11、11  英国:15、10、19  ドイツ:8、10、10  フランス:20、19、23  イタリア:10、15、23  ロシア:23、33、34  中国:8、30、14  韓国:26、26、35  インドネシア:25、37、31  メキシコ:53、51、54

日本ほど貧困者の少ない国はない。幸せな状況は相変わらずである。



<日本人は本当に仕事で多忙なのか・32個のグラフデータで詳細に検証>


国際比較を中心とした統計データが語るところでは、日本は長時間労働の国であり、自殺率の高い国であるが、仕事のストレスは特段大きくはなく(国際比較では中位)、仕事の疲れもあまり感じず(米食が影響)、また「うつ」になる人も少なく、むしろ睡眠を削ってまで自由を謳歌し、おしゃれをしながら楽しく暮らす方向にある。



<日本人の好きな料理ランキング(2007年度)>


1位から順に、すし72%、刺身67%、ラーメン62%、味噌汁62%、焼き魚60%、焼肉59%、カレーライス58%、ギョーザ57%、サラダ56%、豚汁けんちん汁55%、すき焼きしゃぶしゃぶ55%、肉じゃが54%、炊き込みご飯53%、日本そば53%、鳥のから揚げ51%、うどん51%、天ぷら51%、漬物50%、おでん50%、納豆48%



<主要国の1人1日当たり供給カロリー(2009年度)>


国連のFAO調べ2009年度。中国3036、フランス3531、ドイツ3549、イタリア3627、日本2723、北朝鮮2078、韓国3200、米国3688。欧米に先行し日本は反転低下しはじめた。ちなみに農水省作成データでは日本2439。消費時点での消費ロスを差し引いた純食料ベースのため国連と差異が出る。



<OECD先進国の肥満度ランキング(2012年OECDデータ)>


トップは米国、日本は最下位。国際的な肥満の定義はBMI30以上。BMI30以上の人口比率(主要国)は以下。米国36%、英国26%、カナダ24%、ドイツ15%、フランス13%、イタリア10%、スイス8%、韓国4.1%、日本3.5%。



<日本の他殺は半減した>


98年にピークの808人を印した後、14年後の2012年には383人と半数以下となった。日本人の家族関係と人間関係は急速に良好となっている。警察当局はなぜその成果を社会にPRしないのか。推測では警察の人員を減らされては困るから。他殺が半分に減ったのなら、それを取り締まる人員も半分にしたらと政治家に提案されては困るからだ。政治家を選ぶのは国民であり、国民にそう思われるのは不都合である。

ちなみに日本の殺人の半分は家族親族間です。



これまで一人で生きてきて♪
それがどんなものか
わからなかった

いま僕は家族を持ち
これまでのどんなものより
信頼している

私を取り囲む
すべての愛に感謝したい
ともに泣き笑い 
家族の一員になる

自分が何かの一部になることは
これまで考えたこともなかった
それは僕を謙虚にさせた

私たちの全てはお互いであり
私の必要な全てはそこにあった
(Joe Walsh ''Family'' 歌詞抜粋訳by don)


70年代にチェーンソーでホテルを破壊しまくった、ハチャメチャなジョー・ウォルシュ。4度目の結婚で彼が到達した心境でしょうか。アナログマンの中の美曲で、ファミリー♪ リンゴスターの義理の弟になってるようですね。






アナログ・マン

アナログ・マン

  • アーティスト: ジョー・ウォルシュ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2012/06/13
  • メディア: CD



(広告)



nice!(30)  コメント(18)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

そして日本経済が世界の希望になる/ポール・クルーグマン [本/Biz経済]


そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)

そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書)

  • 作者: ポール・クルーグマン
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2013/09/14
  • メディア: 新書


【そして日本経済が世界の希望になる/ポール・クルーグマン/13年10月初版】
ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞者。NYタイムズのコラムはマーケットを動かすほどの影響力を持つ)へのロングインタビューの書き起こし本。タイトルはアベノミクスへの期待による。

「私はかつて、日本がスーパーマンだった時代、を覚えている。日本がやることに敵うはずがない、と痛感した世代なのだ。その後日本経済が窮地に陥り、もはや日本から見習うものは何もないと考えている人もいる。この政策実験がうまくいけば、日本は世界各国のロールモデルになることができる。アベノミクスによってデフレから脱却できるなら、それは将来への大きな示唆になるのだ」

解説含めて196pの薄い本です。クルーグマンが何者か俯瞰したい方は、3~4時間ぐらいでサラッと読めるので一度如何でしょうか。マクロ経済の話をするときに「クルーグマンが言ってた」という枕詞は、非常によく効きます^^

目次は以下
1章:失われた20年は人為的な問題だ
2章:デフレ期待をただちに払拭せよ
3章:中央銀行に独立性はいらない
4章:インフレ率2%達成後の日本
5章:10年後の世界経済はこう変わる

4~5章にとくに目新しいものはありません。だいたいどの未来予測もいい加減です。そんなものがわかれば誰も苦労しない^^


以下に読書メモを。

(広告)




<流動性の罠からの脱出方法>
「流動性の罠」別名「ゼロ・ローワーバウンド」。中央銀行が金利をゼロまで下げても金融政策として十分ではないという状況。そこで中央銀行がインフレ期待を高め、実質金利をマイナスにすれば「流動性の罠」から脱却できる。インフレ目標やマイナス金利に現実味がないというなら、期待インフレ率を高めるため、減税などの財政政策と、ゼロ金利などの金融緩和を組み合わせた政策を打ち出すことが有効。



<金利上昇について>
「流動性の罠」のもとでは、赤字国債を発行しても、民間投資の機会を奪うクラウディングアウトは発生しない。過剰な貯蓄があるからだ。余った貯蓄供給が吸い上げられるまで、経済が「流動性の罠」を逃れるまで、金利上昇が生じることはない。

長期金利は短期金利が上がるだろうと人々が信じなければ上がらない。財政赤字が一時的なものであれば、金利に与える影響はなく、財政赤字が長く続くと思われれば、金利にある程度の影響が出てくる。



<円安は悪か>
円安のデメリットを言う人もいるが、円安効果はいかなる懸念にも勝る。輸入品価格は上昇するが、さまざまな国の例を分析しても、それが経済を縮小させる効果を生むと示唆する結果は得られない。通貨安にはあきらかに経済拡大の効果がある。日本は純債権国であり、円相場が下落すれば、自国通貨建てでみた富の価値は増大する。円相場の下落が日本の産業の競争力を高めるのは明らかだ。日本の製造業の不振は、日本の製造業に問題が起こったわけではない。円が強くなりすぎたためだ。

震災以降高止まりする資源価格のもとで、日本では貿易赤字が基調になった。そうしたなかでの円安進行は交易条件を悪化させるという議論もある。以前から減価された通貨が貿易収支を悪化させるという論調はあった。そうした考え方は「弾力性悲観論」と呼ばれるが、過去50年にわたって弾力性悲観論は幾度となく誤りであることが証明されている。

⇒わかってたことだけど、クルーグマンに言われると、本当にそうなんだなぁと思えます。クルーグマンにも間違いはありますが。



<中央銀行の独立性>
中央銀行の独立性は比較的新しい考え方である。1990年代までイングランド銀行は英財務省の一機関だった。1997年にイングランド銀行は独立性を獲得する。その独立性は「金融政策の運用手段はイングランド銀行に任せる」というもので、政策の目標は政府が決定している。

中央銀行が独立性を有するべきという信奉は、1970年代に起こった問題への反動だ。そのとき多くの政府は失業率を下げようとして、過剰な拡大政策を打ち出すような状況にあった。中央銀行は財政政策による高金利の火消し役になっていて、それが高インフレの原因になった。当時の問題は、いかに高インフレを押し留めるかということだった。だからこそ独立した中央銀行がインフレに対して強硬な態度をとるというやり方が必要だったのだ。

いまの日本で中央銀行が独立していない、という事ならその方がよい。かねてから日銀は独立性をもってるほうが問題視されてきた。



<日本政府の債務削減方法>
イギリスの場合、GDP比200%を超える借金が、1970年代には50%まで下がった。イギリスは何をやったのか。彼らはけっして借金を返済しようとはしなかった。穏やかなインフレと経済成長を両立させながら、少しずつ均衡策を実施していった。年率で名目GDPは7%、実質GDPは3%、インフレ率は4%ほどの上昇を継続させた。日本でも4%のインフレがベストであることは言うまでもないが、2%のインフレ目標を達成し、財政赤字がかなり減少するならば、たとえ借金が完済されることはなくとも、一定の割合で減っていくのは間違いない。



<日本の消費増税について>
消費増税の実施は理解できない。1997年に消費増税にトライし日本は失敗している。1998年リセッションの引き金になった。財政均衡への時期尚早の努力は、回復をかえって遅らせ、経済を弱らせる結果を招く。

⇒なんでデフレ脱却まで待てなかったのか。2014年は日本経済にとって、財政の崖レベルの逆風が吹きます。



風に逆らいながら駆けてきて♪
まだ風に向かって走っている

ボブシーガー&シルヴァーバレットバンドでアゲインスト・ザ・ウインド♪名曲です。歌詞にジェニーが出てくるのと、走り続けるという内容がマッチしてるからか、フォレストガンプのVがあてられています。いい映画ですよね。





(広告)



nice!(27)  コメント(18)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編 [本/Biz経済]



なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編

なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編

  • 作者: 山田 英夫
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2012/07/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編/山田英夫/12年7月初版】
ビジネスモデルのイノベーションに関する良書。著者は早稲田のビジネススクールの教授(専門が競争戦略、ビジネスモデル)。三菱総研でコンサルをされていたようで、文章が学者の書く固いものと違って、読みやすいです。

ビジネスモデルのイノベーションは、自分でつくるか、同業者のモデルを模倣するか、異業種にあるモデルを参考に構築するか。本書は異業種をヒントとしたビジネスモデルの構築に着目して、それを発見するための視点を提供する目的で書かれています。

サラリーマンもビジネスモデルを構築する、それぐらいの夢を持ったほうが仕事が楽しくなる。それぞれの階層に応じて、この本を参考に自社のビジネスモデルを考えてみる。考えることは楽しいし、場合によっては社内ベンチャーを任されたりして、貴重な経験が出来るかもしれません。日々忙しすぎて、そんな時間はない!という御仁も多いとは思いますが。

とにかくいろんな事例が詳細に書かれていますが、以下に一部の概要だけ列挙します。

・スター・マイカ:賃借人が住んでいるマンションを売買する「オーナーチェンジ」に特化した不動産業。賃貸に出されているマンションを買い集め、賃借人が退去した後にリフォームし、それを売却して利益を上げる。一種の裁定取引。賃貸中のマンションの価格は、空室マンションに比べると平均25%(日本の場合)安くなる。

・楽天バスサービス:空室をいかに販売するかを手がけていた元ホテルマンが、高速バスをインターネットで予約・販売するポータルサイトを始め、バス業界全体のレベニュー・マネジメントを実現した。

・スルガ銀行:ビジネスを個人サービスに特化し、他行が手がけない(できない)ような商品・サービスで利益を上げている。働く女性向けのローンや銀行員向けカードローンなど。

・コマツ:GPSとセンサーを組み合わせたシステムで、壊れる前日に予防保全する。盗難防止、中国での代金回収(遠隔操作でエンジンが停止できる)、ユーザーのコスト削減支援、需要予測etc。基本的には富士ゼロックスと同様のビジネスモデル。

・星野リゾート:旅館業から再生・運営受託事業へ進出。所有と運営の分離が普通の米国のホテル業界から見れば、星野のやりかたは当然かもしれないが、日本では新しいビジネスモデル。ゴールドマンサックスと提携し、資金はゴールドマン、運営ノウハウを星野リゾートが提供する。

旅館業においては専門職である料理人を採用することが難しい。解決策としてセントラルキッチン方式をとる。千葉県のセントラルキッチンから全国に料理を冷凍して供給する。これで素人でも料理長になれるようになった。ファミレスのセントラルキッチンとの違いは、2割は現地で作ること。地元の食材にこだわったメインディッシュとデザートで食事の評価は決まると考えている。セントラルキッチン比率が8割というのは経験則で決まった。

・パーク24:土地所有者から賃借して機器を設置。土地所有者が事業リスクを負わず土地賃貸料が得られる。
・ブリジストン:リトレッド事業(すり減ったタイヤの表面のゴムを貼り替えて再度使う)
・GEの航空機エンジン事業:航空機エンジンを売り切りからリースへ切り替え。
・青梅慶友病院:患者の家族の顧客満足を考える。
・フランスベッド:介護用ベッドのレンタル。新品のようにリオフォームする。
・トランスファーカ:無料レンタカー。回送を消費者に代行させる。多数のレンタカー会社の乗り捨てデータベースを持ち、最適な回送作業のシステムを組み、その上で回送作業を一般消費者に委ねる。

等々・・

以下にその他の読書メモを。

(広告)




<レベニューマネジメント>
需要を予測して価格を変化させながら、販売量と販売価格の積であるレベニュー(収入)を極大化すること。米国の航空会社が発祥。固定費比率の高いホテル業界などでは定着している。過去のデータと需要予測から価格変動させる。バスにも同様の手法を導入したのが、楽天バスサービス。


<インテル・インサイド>
実はインテル・インサイドのブランディングは、インテルの日本法人から生まれた。その動機は新卒採用。採用活動で苦戦したインテルの日本法人は、パソコンメーカーの広告と組み合わせて、インテルブランドを広めることを企画した。「Intel In It」を東芝のダイナブックで宣伝した。この成功を見たインテル本社はインテル全社で展開することを決めた。


<タイヤのリトレッド>
タイヤの表面のゴムを張り替えるリトレッドは、新品より安く省資源だ。使用する資源の量は、新品を100とすると32ですむ。欧米のトラック、バスは新品とリトレッドの比率は半々。日本のリトレッド比率は15%で、ブリジストンは2015年に35%とすることを目標とした。ブリジストン社内ではカニバリゼーション(共食い)を懸念する声があったが、利益率は新品を上回る。


<オフィスグリコ>
貯金箱方式を採ることによって、代金回収の確実性は捨てた。しかし代金回収率は95%。設置数は2011年には11万台を超え、売上は40億円を上回った。30~40代男性という白地需要を開拓し、カニバリゼーションというより需要拡大に貢献した。何よりも定価で売れる仕組みは利益率面で貢献。ちなみに「置き菓子」はグリコの登録商標。


<フリーミアムの例>
アドビ:PDF閲覧は無料、PDF作成は有料
スカイプ:PC同士の通話は無料、電話への通話は有料
エバーノート:1ヶ月60メガバイトまで無料、月額450円で1ギガバイト、広告の非表示etc。初めて使う会員のうち最初の月に有料会員になるのは1%程度、1年半後には6%が有料会員になる。
ドロップボックス:1ヶ月2ギガバイトまで無料で、年間99ドル払うと容量が50ギガバイトまで拡大できる。2011年現在で5000万人いる会員のうち4%が有料会員。利益は2億4000万ドル。


<高速バス>
東京⇔大阪間が4000円


一日バスを待っている♪
給料を持って家に帰る
ぎゅうぎゅう詰めのバスだけど
おれはうれしい
バスは俺を家に帰してくれる

この季節、高速バスで帰省する人も多いと思います。実家へ帰るのは何か甘酸っぱくて、うれしいんですよね。ZZTOPの3枚目で出世作。1973年ビルボード8位のトレス・オンブレスの1曲目です♪このアルバムはカッコイイです。

Waitin' For The Bus♪





Tres Hombres

Tres Hombres

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Rhino / Wea
  • 発売日: 2006/02/27
  • メディア: CD


(広告)



nice!(33)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

これから5年の競争地図 [本/Biz経済]


これから5年の競争地図: グローバルものづくりのトレンド

これから5年の競争地図: グローバルものづくりのトレンド

  • 作者: 中村 吉明
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 単行本


【これから5年の競争地図/中村吉明/13年11月初版】
元経産省の課長さんが書いたマクロ経済本。データがグラフ等でよく整理されており、近未来シナリオを再確認するのに役立ちます。

目からウロコの話は多くはありませんが、日本のバイオ産業の競争力が弱いということは初めて知りました。山中教授の活躍もあり、この分野は日本が先行していると思い込んでいました。そのへんは読書メモで後述します。


目次は以下。
1.これからも仕事は増えない
・工場の撤退は止まらない

2.アメリカ製造業のトレンド
・アメリカでは新しい仕事が生まれている

3.メイドインUSAの復活?
・M・ポーターの提唱する共通価値の創出とは(CSRとCSVの違い)

4.自動車産業はどうなる?
・コンボとチャデモ、電気自動車の規格競争のゆくえ

5.電機産業はどうなる?
・垂直統合か、水平分業か。EMSの活用はいいことか

6.バイオ産業はどうなる?
・M&Aよりオープンイノベーションが効果的?

7.これからのシナリオ
・アジャイルなチームをつくろう


これからのシナリオは、ベストと現実的と最悪の3つが用意されていますが、現実的なシナリオの要旨は以下。
・自動車産業は少しずつ世界市場シェアを落とすが、依然として存在感を発揮
・電機産業は苦境のまま、日本製品は世界市場から消えていき、リストラも続く
・バイオ産業では、iPS細胞の応用、産業化をほとんどアメリカに握られる

これからも日本が世界の一等国であることを望みますが、何もしなければずるずると後退していくかもしれません。もう一度チャレンジャーの気持ちで頑張る必要があると、再認識させられました。

以下にその他の読書メモを。


(広告)





<国力を維持するには製造の拠点を持たなければならない byクリスアンダーソン>
日本は戦後一貫して一次産業人口が減少し、90年代のバブル崩壊後は二次産業人口も減少している。ずっと伸びているのは三次産業。三次産業の賃金は低い。正社員の割合が宿泊・飲食サービス業は37%。製造業は79%とサービス業は身分がより不安定。

H24年の厚労省の業種別月間給与額は以下。
飲食サービス業:12.7万円
生活関連サービス業:21.9万円
その他サービス業:25.3万円
卸売、小売業:27.1万円
医療福祉:29.5万円
製造業:37.2万円

⇒空洞化で製造業が衰退し三次産業(サービス業)に雇用がシフトすると、派遣が増えて身分が不安定になり、給料も激減します。この流れをほっておくと中間層の喪失となり、国内市場はジリ貧となる。クリスじゃなくとも分厚い中間層の創出には、強い製造業の復活が必要です。



<建設業の就業者数の推移>
1997年の685万人⇒2012年503万人
⇒復興需要で人手が足りず、賃金が高騰している理由がよくわかりました。



<3Dプリンターの新用途>
産業用では、鋳造鋳型の製作に3Dプリンタを活用する動きがある。鋳鉄やアルミニウム合金などの生産方法も劇的に簡単化される。経産省は13年度から5年計画で研究開発を進める。参考図書は水野躁「3Dプリンタ革命」や「ニューズウィーク日本版13年8月6日号」

⇒鋳鋼はダメなんでしょうか?



<国内自動車大手8社の2012年生産比率>
国内生産:944万台(内輸出446万台)
海外生産:1,524万台



<トヨタとヒュンダイの戦略の違い>
トヨタは新興国市場に参入する際、年産数万台程度の小規模工場からスタートする(アコーディオンライン)。市場が育てば規模を拡大する。ヒュンダイは最初から30万台という大規模な工場を建設し、規模の経済で価格を下げる戦略。

日本の自動車メーカーの売上に占める研究開発費は、ヒュンダイに比べはるかに大きい。ヒュンダイはマーケティングやデザインにカネを投入する。10年先の技術より、直近のブランドイメージの獲得を重要視する。短期的にはヒュンダイは売上を大きく伸ばしている。



<自動車産業の雇用>
1991年に94万人⇒現在は79万人。この中には一次、二次下請けなどの自動車部品製造業も含まれるが、すべての自動車関連産業を含んでいない。日本自動車工業会によると、すべての関連産業を含めると545万人程度と、日本の全就労者数6257万人の8.7%を占める。



<日本のバイオ産業の競争力は弱い>
2012年に日本の貿易赤字は6.9兆円に膨らんだが、そのうち医薬品の輸入超過額は1.6兆円。10年前の5倍に膨らんでいる。輸出は減少傾向にあり、輸入は増えている。主な増加理由は抗がん剤などの高額な薬をアメリカやドイツなどからの輸入に頼っていること。競争力の低下が著しい。



<医薬品は開発費のウエイトが高い>
通常の製造業の売上高に占める開発費のウエイトは3%前後だが、医薬品は20%にもなる。化学で8%程度。日本の新薬の開発成功率は2005~2009年で0.003%。開発費が高く、成功確率が低い。

これまで売れ筋で稼ぎ頭だった医薬品が特許切れとなり、ジェネリック医薬品に取って変わられた(医薬品の2010年問題)。簡単な薬はほぼ出尽くした感があり、今後はより開発が難しいものしか残っていない。

⇒この本に2012年の世界売上TOP10の製薬の表があり、10位に日本企業で唯一、大塚製薬の躁うつ病治療薬「エビリファイ」が食い込んでいました。エビリファイだけで約5300億円/年の売上。ちなみに1位はアッヴィの抗リウマチ薬「ヒュミラ」。約9300億円/年の売上です。

「エビリファイ」は内海聡の「精神科は今日もやりたい放題http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2012-11-10 」で叩かれていた薬です。昔は二大精神病であった「躁うつ病」を、気分の変調である「うつ病」患者に適用して売上を上げたいだけだと。軽い病を重く診断してキツイ薬を出す。

製薬会社や医者のビジネスも大事かもしれませんが、患者の健康第一に考えて欲しいです。それにしても金額がビッグビジネスすぎて、横槍を入れようもんなら抹殺されそうです^^;




あんたのせいでこうなった♪
あんたがいなけりゃ生き返る
精神安定剤を飲んだのと同じように♪

ノラジョーンズでHappy Pills♪彼女ほどの美貌と名声があっても、色々と苦労はあるんでしょうね。ちなみにノラのお父さんは、ジョージハリスンのシタールの師匠です。60歳のときに生まれた娘で、成人になるまであんまり会わなかったとか。ノラ父がいなければ、「ノルウェーの森」や「黒くぬれ」は生まれなかったかもしれません。




(広告)



nice!(29)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

5年後、メディアは稼げるか/佐々木紀彦 [本/Biz経済]


5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?

5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?

  • 作者: 佐々木 紀彦
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2013/07/19
  • メディア: 単行本


【5年後、メディアは稼げるか/佐々木紀彦/13年8月初版】
今後5年、メディア業界は100年に1度の激震を経験するそうです。メディアは変わる必要があるのでしょうか。紙媒体はウェブにシフトせず、今のままで生きていけるのか。

「東洋経済オンライン」編集長の佐々木紀彦が、ジャーナリストとプレーヤーの両方の視点で今後のメディアを見通す一冊です。東洋経済オンラインは2012年からの1年間で、PVを10倍の5301万PVに到達させたそうです。たしかに日経ビジネスオンラインのように、無料会員登録しなくても2ページ目が読めるのは大きい。(ちなみにヤフーは月間45億PV。マスメディアと言えるには月間1億PVからとか。)

ところでみなさんはビジネス週刊誌は何かお読みでしょうか?ぼくは会社で回覧される日経ビジネスをざっと読んでます。ネット情報並に新鮮で面白い記事が多い。10月14日号では「世界のトップ大学/東大は生き残れるか」東大学長の危機感が半端なかったです。秋入学を推進しないと優秀な学生を集められない、教授の給料を1000万円じゃなく世界レベルの2000万円にして、もっと研究費も潤沢にしないと優秀な教授を集められない。ごもっともです。「Mooc」家にいながら世界の有名大学の講義をネットで受講できるサービス、パソコンがあれば安価にいろんなサービスを享受できます。ふと読みながら佐々木紀彦の語ったエリート教育の本質を思い出していました。「米国製エリートは本当にすごいのかhttp://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2011-09-18

非日常の全寮制や優秀な教授というのもエリート育成の要因ではあるのですが、本質は①年間120冊以上の良書を読み②それをレポートし③同レベルの学生と議論する。これさえできれば米国エリート並みの知的筋力は身につきます。ただ大きいのは世界の知識ストックの大半は英語なんですよね。こればかりは英語ができないとアクセスできない。日本のように国力があれば、ある意味言語が「イノベーションのジレンマ」なのか。

話が横にそれました。海外メディアの惨状と新しいビジネスモデルについては、「本当のことを伝えない日本の新聞http://donhenley.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09 」にも書かれてましたが、本書の方がより突っ込んで分析しています。これからメディアを目指す人は必読書とも言えるでしょう。


以下に読書メモを。

(広告)




<紙の本が日本で残る理由>
電子書籍はアメリカでは普及しても、日本では普及しにくい。米国は書店の数が少ない。米国の国土面積は日本の25倍だが、書店数は日本の3分の2。大阪府の面積に2店しか書店がない計算になる。米国で仕事帰りにふらりと書店に寄るライフスタイルは、よっぽどの大都市でないと無理。車社会の西海岸はその傾向が特に強い。さらに米国の本は重い、そしてハードカバーが25ドルと高く、電子書籍は10ドル前後と価格差が大きい。日本は身近に本屋が多く、本は軽く、元々安価で電子書籍と価格差が少ない。

<デジタルメディアは評価が見える>
デジタルメディアでは個人の貢献度が「見える化」される。どの記者がどれくらいPVを稼いだか、どの編集者の企画がヒットしたか、読者の評価はどうだったか。すべてのデータが白日の下にさらされる。ざっくりとした印象では中年以上のメディア人で給料に見合う働きをしているのは、せいぜい1~2割。

<新聞読者の高齢化>
読売新聞は購読者のうち、50代が28%、60代以上が37%に上る。最先端のビジネスパーソンが読む媒体ではなくなっている。新聞は「若者(記者)が書いて、高齢者が読む」媒体となっている。

<血みどろの米メディア>
米国新聞社のフルタイム職員数は2000年の5.6万人から2012年には4万にまで減った。約3割が職を失った。週刊誌も「ニューズウィーク」が「紙」から2012年末に卒業した。ウェブに特化するのはコスト削減するための苦渋の決断。

<日米の新聞の広告への依存度>
米国の新聞は広告への依存度が高く、収入に占める割合は8~9割。(日本の新聞社は2~3割。宅配システムにより守られる購読料が大きい)その広告収入が、過去5年に半分以下に落ち込んでしまった。

<米メディアの広告単価>
米メディア業界は、広告に関して「1:10:100」の法則がある。これは紙で100万円だった広告は、オンラインでは10万円、モバイルでは1万円となってしまうこと。

<オンライン広告はテクノロジー企業が牛耳る>
2012年時点で5社のテクノロジー企業がウェブ広告の64%のシェアを握る。(グーグル、フェイスブック、ヤフー、マイクロソフト、AOL)伝統メディアに残されたパイは全体の34%しかない。モバイル広告分野ではグーグル、フェイスブックの2社の合計シェアが2013年で約7割。

<どうすればネット広告で儲けれるか>
広告を面白くする。それに尽きる。ブランドコンテンツは新マーケット。企業はモノやサービスを直接売るためでなく、ブランディングや業界全体の理解を深めるための記事を掲載する。古典的な例は、ミシュランの料理ガイド。本業はタイヤであり、料理とはなんの関係もない。しかしこの料理ガイドがヒットしたことで、ミシュランの名前が世界に知れ渡り、タイヤのブランディング、販売にも大きく寄与した。商品を直接アピールせず自社のブランドと認知度を高め、長い目で売上につなげる。これがブランドコンテンツの狙い。

<文章>
文章を書くこと自体が、裸の自分をさらすようなもの。ショーペンハウエルは「文体は精神の持つ顔つきである。それは肉体に備わる顔つき以上に、間違いのない確かなものである」

文章術を学ぶには、谷崎潤一郎の「文章読本」がいちばん。この本で普遍的なテクニックを学んだ上で、論理的で美しい文章をたくさん読み込むのが、わかりやすい文章を書くスキルを磨く王道。



季節や世界のように♪
夢や人生のように
すべては変わる必要がある

ポールヤングでEverything must change




文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1996/02/18
  • メディア: 文庫



(広告)



nice!(22)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「マネーと経済これからの5年/吉田繁治」書評と要約 [本/Biz経済]



マネーと経済 これからの5年 ‐ データで読み解く

マネーと経済 これからの5年 ‐ データで読み解く

  • 作者: 吉田繁治
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2013/08/22
  • メディア: 単行本


【マネーと経済これからの5年/吉田繁治/13年9月初版】
今は2008年ごろと違って、日本がデフォルトすると言う人はあんまりいません。とはいえ手放しで国債を刷り続けられるわけではなく、この本によるともう限界にきているようです。

マクロ本が好きでよく読んでいますが、アベノミクスの問題点、日本の国家財政に関する本では、この本が一番論理的で説得力があります。データを丹念に読み解いて論考している。式を読み解き理解しながら読むと時間がかかるし、なにより三つ星級の良書なので、手元に置かれることをお薦めします。

・アベノミクスのマネタリーベースの異次元緩和は危険である。かなりの確率で失敗しそう。
・20%円安の原因は、12年11月以降の中国が買わなくなった米国の新発債3000億ドル(30兆円)買いと推測。
・これまで国債が儲かるから保有していた生保などの金融機関が、国債価格下落損を避けるため国債を売り越す。
・長期国債を日銀以外買わなくなる。⇒政府が財政信用を失ったことを意味する。
・異次元緩和の停止宣言をせず(市場を驚かせない)、金利を高騰させないよう国債購入を減らす必要がある。
・異次元緩和は手段。目的は実質GDPで2%の成長。
・労働人口は毎年1%減る。1人あたりの生産性を1年に3%上昇しないとGDPは2%増えない。
・公共投資の乗数効果はリーマン危機以降は1~1.4と低い。国土強靭化のファイナンスもどうするか。
・本筋の成長戦略は、設備投資減税、土地の減価償却、米国並みの住宅ローン減税。詳細は本書で。


以下に読書メモを。

(広告)




<マネタリーベースとマネーサプライ(ストック)の関係、資金循環>
円の総発行額は、紙幣が82兆円、日銀に銀行・保険会社が預けた当座預金が83兆円。この2つが企業や世帯が実体経済で使うマネーサプライ(M3:1152兆円)の元になるマネタリーベース165兆円(13年6月20日現在)。

マネーサプライは資金循環表の右端の、家計の現金・預金848兆円、民間非金融預金法人の現金・預金225兆円が主なもので、13年5月で1151兆円。
日本の13年3月末の全金融資産は3352兆円(家計1571兆円+民間非金融法人842兆円+政府503兆円+海外投資家からの日本への投資436兆円)。

異次元緩和とは、日銀が2年間で140兆円のマネタリーベース(円の総発行額)を増やし、280兆円付近にし、銀行をマネーでジャブジャブにし、貸付の増加を通じてマネーサプライで70兆円以上(6%)の増加を図り、国の経済を2%インフレにして、経済復興を図るというもの。

経済統計では日本はマネーサプライの増加で4%/年が物価上昇0%の地点。マネーサプライを6%増やすと、数年内に2%の物価上昇が期待できる。

ところが1%国債金利が上がれば国債価格は5%下がる。異次元緩和のジレンマ。

以下の3つの表をじっと眺めてると、日本経済の全体イメージがなんとなくわかります。眺めるだけではイメージが湧かない人は、本書を読みながらであれば、理解できると思います。(クリックで拡大)

DSC_0132.JPG

DSC_0134.JPG

DSC_0133.JPG



<1円の円安介入に必要なドル買い円売り>
政府が1.5兆円を使い「ドル買い・円売り」に介入誘導すれば、民間が追随し、約1円の円安に向かう。



<国債保有は金融機関にとって合理的な行動だった>
2006年に1兆円の10年の長期国債を買い、金利は1.7%だったとする。
①7年間の受取金額は、1兆円x1.7%x6年=1020億円
②時価の上昇分。長期金利は1.7%から0.5%に下がっているので、1兆円x(1+1.7%x残存期間4年)÷(1+0.5%x4年)=1兆471億円(4.71%の価格上昇)
③結果:金利収益1020億円+キャピタルゲイン471億円=合計1491億円
金融機関にとって国債を買うのに、増加の事務経費はほとんどかからない。保有も管理も経費はゼロ。企業融資と違って経費がかからない。1491億円は純利益といっていいもの。国債金利は低いとは言え、調達コストの預金金利もほぼゼロ。自己資本を減らす貸倒引当金の積み立てもいらない。金融機関はリスクのある株を売り、利益が出ず回収リスクも高い企業融資を総額で減らし、安全資産である国債の買いと保有に奔走した。



<企業融資はなぜ減ったか>
1%になっている低金利にはジレンマがある。金利が低すぎて銀行の業務費用1%と回収リスク1%を下回ってしまう。



<横浜銀行の国債売り>
地銀最大手の横浜銀行は、異次元緩和を受け、保有する5年以上の中長期債をすべて売ったと寺澤頭取が言っている。寺澤頭取は財務省で理財局(国債の発行を行なっている部署)の局長だった人。国債の発行責任者だった元財務省官僚が先駆けて国債を売った。

三大メガバンクも13年4月と5月に20兆分の国債を売って、保有残を90兆円に減らしている。



<社会保障費>
12年度予算ベースで、年金54兆円+医療35兆円+介護・福祉他21兆円=110兆円を給付している。財源は保険料が61兆円。1年間で49兆円が足りず、国税29兆円+地方税11兆円+資産収入9兆円から補填している。働いている5000万人の全所得が245兆円なので、110兆円はとても大きい。この社会保障費は年3%で上昇するため、名目GDPの3%成長も必要となる。



<著者の言う財政破産状態>
・国の財政信用がなくなるため国債の増加発行ができなくなって、
・国が行なってきた政府支出や社会保障ができなくなり、
・返済と利払いのため国民は増税を受け入れ、負担を甘受せねばならない状態。

国債を返済できる方法は3つしかない。
①社会保障費の大削減(25兆円)と、税の負担増(25兆円)で50兆円の財政赤字をバランスさせる。これは大不況をもたらす。
②日銀がマネーを増発し続け、大きなインフレを引き起こす。金利は高騰し既発国債の価格は暴落する。10年後の満期に1枚100万円の額面金額が戻ってきても、年間インフレが7%で物価が10年で2倍になれば、その価値は50万円。
③国債残の増加は1年に4%なので、名目GDPの成長を3~4%とし、国債増があっても名目GDP比ではほぼ同じ状態を維持する。



<政府が財政信用を失ったあとの世界(日銀しか国債をファイナンスしなくなったとき)>
政府は一般会計の支出(98兆円)を20兆円抑え、20兆円増税をして40兆円の国債の新規発行をなくし、財政を再建する方向に向かうしかなくなる。政府は企業のように倒産はしないが、代わりに国民と企業に大きな迷惑をかける。年金54兆円、医療費35兆円、介護・福祉21兆円、公務員の総報酬40兆円、の合計150兆円が支払えず、どこかを重点的に、または平均的に20兆円(平均で13%)は支出を減らさざるを得ないことになる。20兆円は消費税で10%分になる。



悩んでいると♪
マザー・マリア※があらわれて
賢明な言葉を授けてくれる
「なすがままに」
※ポールの母親はマリア・マッカートニー。14歳のときに乳癌で亡くなる。亡くなった母親とも解釈できる。

ポールがホワイトハウスで演奏しています。さすがに声は往時の勢いはありませんが。
レットイットビー♪なすがママで、キュウリがパパ。



(広告)



nice!(21)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

なぜオスプレイは沖縄にあるのか?~世界の真実/長谷川慶太郎 [本/Biz経済]



2014年〜 世界の真実 (WAC BUNKO)

2014年〜 世界の真実 (WAC BUNKO)

  • 作者: 長谷川慶太郎
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2013/07/03
  • メディア: 新書


【2014年~世界の真実/長谷川慶太郎/13年7月初版】
当たりの1冊です。付箋(読書メモ)だらけになりました。1冊の本で付箋が3つぐらいしかないスカ本もあれば、知らない情報がぎっしり詰まった、ジューシーな本もあります。長谷川慶太郎85歳、ジューシーです。

最新の国際情勢が200pほどでさらっと理解できます。読み易くどのページにも濃い目の情報が満載です。あまりに面白かったので、最近控えていたウイスキーを出してきて、干しブドウを食べながら読みました。

飲んだのはグレンリベット12、カミュVSOPです。ブランデーの4大ブランド、レミー、マーテル、オタール、カミュのVSOPクラスの中では一番カミュがまろやかです。ストレートで飲むならカミュかなぁ。ブドウの皮の渋みが感じられるオタールもわりと好きですが。

前置きはこのくらいにして、早速の読書メモを。








<シェールガスの単価>
米国エネルギー省によると、埋蔵量は人類が400年間使っても大丈夫と推定。米国の実績では発電コストは1キロワットあたり6円程度。ちなみに日本の太陽光発電の買い取り価格は42円。シェールガスの7倍でコスト面で勝負にならない。IEAの推定では2015年にシェールガス産出量が、ロシアの天然ガス産出量を超え、2017年にはシェールオイルを含めた米国の石油産出量がサウジを抜く。米国は世界一のエネルギー資源大国の座につく。すでに天然ガスが最も安い国は米国。なぜか。米国内には250万キロものパイプラインがある。これは貴重なインフラであり、シェールガスを開発したら、それにつなげばいい。


<シェールガスで慌てるロシア>
原油価格が80ドル以下だと、ロシアは外貨獲得が厳しくなる。ロシアは国内の産業が成熟してないので、外貨が稼げなければ国民生活に支障がでてくる。ロシアの輸出は65%を天然貸ガスと原油が占める。主な輸出先は欧州。2010年までは天然ガス価格を毎年引き上げてきた。2011年以降は逆に下げている。米国がナイジェリアのガスを輸入しなくなり、それが欧州に流れ込み、ロシアのガスと競合したからだ。いまやロシアの窮地を救う得意先は日本しかない。


<メタンハイドレード>
日本近海には、国内で使うガスの100年分がある。現在日本の電力料金は原発による発電を入れた平均で1キロワット20数円だが、メタンハイドレードが実用化されれば、10年後には5円程度になると推計される。この開発は早いと見込まれる。理由は安倍政権がメタンハイドレード商業化のために、日本政策投資銀行に1兆円の融資枠を設けたこと(これまでは政府の投資額はたった200億円)、民間企業が必死になってきていること。


<円高は賃高>
米国のGMの労働者の平均賃金が2万7千ドル。トヨタの一般従業員の平均賃金が5万8千ドル(1ドル=100円計算)。日本経済にとって国際競争力を増すには円安しかない。


<なぜロナルドレーガンは地震が起こって3日後に三陸沖に着いたか>
ゲーツ国防長官と、胡錦濤 の会談で、「共産党が人民解放軍をコントロールする文民統制は崩壊している」ことが判明し、オバマに報告。オバマは危機的状況を理解し第7艦隊の増強を図り、3月9日に第7艦隊にとって2隻目の原子力空母となるロナルドレーガンを日本に向かわせた。3.11は向かっている途中で起きた。


<オスプレイが沖縄にある理由>
オスプレイは非常に脚の長い飛行機で、沖縄から四川省まで無着陸で往復できる。中国が崩壊したとき、中国全土に散らばっているアメリカ人居住者の救出が可能だ。それがオスプレイが沖縄にある理由。






<中国不動産価格の下落は暴動に>
人民日報によると、中国における不動産価格の在庫は金額にして約60兆円。GDPの11%にあたる。不動産価格が下がり、金融機関は多額の不良債権を抱える。中国の銀行は4大銀行も地方も経営基盤の弱いところはいつ倒産してもおかしくない状況。しかし中国政府としては地方の金融機関を倒産させられない。預金保護制度を備えてないから、金融機関の倒産により預金者は預けたカネをすべて失う。そうなったら暴動は必至だ。ことはその地方で終わらず、全国で取り付け騒ぎが発生し、恐慌⇒大暴動につながる。


<日本での報道>
中国経済はものすごく悪いが、悪い情報はできるだけ抑えて外に出ないように中国政府は気をつけている。特に大事なのは日本への報道である。日本からの投資がなくなったら、中国経済はもたない。


<習近平指導部の敵は文革派>
共産党指導部は中国の内政をコントロールできない状態に落ち込んでいる。反習近平の勢力が北朝鮮を握っていて、それに習近平は指一本触れられない。反習近平の勢力とは、共青団、太子党といった派閥に関係が無い。毛沢東を信奉し、文化大革命を支持する文革派のことである。文革派は長く少数派であったが、失業者や就職できない大卒者が増え勢いを盛り返した。


<反日デモ収束の理由>
もとは失業者のガス抜きとして中国政府はこれを利用し、1200円の日当まで払って参加者を動員した。なぜ9月19日を境に反日デモが抑えられたか。デモの参加者の中に、毛沢東の肖像画を掲げるものがいたからだ。間違えば文革派の反政府デモに転じる恐れが生じ、デモを禁止した。


<文革派の支持層>
有力な支持層は人民解放軍。幹部はすべて文革派。人民解放軍からすれば、共産党は建国当時のような共産革命のための組織ではなくなっている。胡錦濤は人民解放軍を党の軍隊から国の軍隊にしようとしたが、当然のごとく軍は国軍化に反対した。鄧小平以降、共産党が進める改革解放路線は、人民解放軍にとって自分たちの存在意義を否定することに他ならない。


<人民解放軍 瀋陽軍区>
「3つの50万トン」という言葉がある。石炭、石油、穀物を50万トンずつ、中国が北朝鮮に無償で提供するという援助契約だ。そのなかで一番大事なのが原油の50万トンであり、北朝鮮は中国経由で原油の供給を受けている。北朝鮮のパイプラインのバルブを握っているのは、北京ではなく人民解放軍の瀋陽軍区である。したがって正確には、「中国の人民解放軍・瀋陽軍区が北朝鮮をコントロールしている」というべき。実は人民解放軍の7つの大軍区のうちで、瀋陽軍区が突出して強い力をもっている。陸軍の戦闘部隊の70%が瀋陽軍区に集中し、戦力の充実している部隊が置かれている。人民解放軍のエリートともいえる瀋陽軍区が先軍政治を求め、文革派を支持して、北京の中央政府と対立している。反乱を起すと中央政府は対抗できない。唯一瀋陽軍区に足りないのは核兵器だ。核兵器の貯蔵施設は成都軍区にある。


<北朝鮮の核開発の真相>
核兵器開発をやらせているのは瀋陽軍区。中央政府と対立したときに、北朝鮮の核兵器を北京に向かって打ち込むぞと脅すため。2012年4月の核ミサイル発射実験は、温家宝への報復。薄熙来が失脚したことへの報復。中国の権力闘争というと、太子党と共青団の派閥抗争と理解されることが多いが、 薄熙来は文革派の有力者だった。薄熙来の常務委員就任は文革派にとって大きな目標だった。文革派の有力な支持層は人民解放軍だが、それがつぶされたことに腹を立てたのだ。とくに瀋陽軍区内の大連市長や遼寧省長を務めた薄熙来は「瀋陽軍区のエージェント」といわれるほど、つながりが深かった。


<中国の3つのジレンマ>
北朝鮮制裁を拒否すれば、国際社会で孤立し、その結果欧米との貿易に支障がでるようなら経済状況が悪化する。(中国の輸出の3分の1が欧州、25%が米国、20%が日本)それは暴動を招き、体制を崩壊させるかもしれない。したがって北京は国際社会に同調するしかない。しかし国際社会に同調し北朝鮮に制裁を行なうと、瀋陽軍区が反旗を翻す恐れがある。もうひとつのジレンマは地方との関係だ。地方経済にとって大事なのは日本からの投資だ。日本から資本が入らないともたない。尖閣問題で日本からの投資がトーンダウンすると、一番最初に中央政府に反発するのは地方政府だ。


<中国崩壊のシナリオ>
人民解放軍と、不満を持つ暴動参加者(毛沢東の時代の方がみんなが貧乏で平等だった。そのほうがいい)が手を組むシナリオより確率の高いシナリオは、内戦による崩壊だ。人民解放軍の7つの軍区は一定の独立性をもって、軍事行政もやり、国防体制を維持しているが、瀋陽軍区が突出した存在だ。北朝鮮が核兵器開発に成功し、瀋陽軍区がその核兵器を握れば、これにかなう軍事力は中国国内に無い。瀋陽軍区は共産党に対して反乱を起せば、東北三省を独立させるだろう。三省だけで人口は2億人を超える。ひとつ独立すれば、他の軍区も一斉に独立宣言するに違いない。1920年代のはじめに軍閥が割拠したのと同じ状態が復活する。あのときと同じように軍区同士が領土争いを始めれば内戦となる。最終的には、中華人民共和国が崩壊して、中華民国連邦になると著者は推測している。




7人の中国人兄弟は大海原を飲み込み[るんるん]
7000年の間 共同体が統治する

R.E.Mで7 chinese brothers♪ 84年のReckoningから。ヒットした玉手箱の1つ前ですね。










nice!(22)  コメント(16)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「コーポレートブランディング格闘記」要約まとめ [本/Biz経済]



コーポレートブランディング格闘記―B to Bブランディングの実践ストーリー

コーポレートブランディング格闘記―B to Bブランディングの実践ストーリー

  • 作者: 石井 淳蔵
  • 出版社/メーカー: 日経広告研究所
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 単行本


【コーポレートブランディング格闘記/石井淳蔵、横田浩一/07年3月初版】
日経新聞の「BtoBブランド研究会」が2年以上研究を重ねて発行した本。慶応、神戸大、早稲田、明治の教授や各企業の担当者が参加、報告書をまとめる段階で「論文より小説風のストーリーのほうが面白い」と小説仕立てに。舞台は産業用部品を生産する架空の中堅エレクトロニクス企業の吉村電工。主人公は経営企画部のタカシくん。新社長から「ブランド戦略を立案せよ」と企画部長経由で担当するよう指示を受け、その構築に格闘します。

ブランディングには3つのタイプがあります。コーポレートブランド、商品シリーズのブランド、技術ブランドです。本書ではコーポレートブランドを一から作り上げる過程が描かれています。ブランドを勉強するための本ではなく、実践するための本です。何かの参考になるかもしれないので、全体を流れに沿って要約しました。少し長いですが。

1.ブランド戦略の開始
社長から新体制の経営方針の中にブランド戦略を組み込むよう指示がある。若手中心で各部門のキーマンを選別し社内にプロジェクトチームを発足。社長の具体的なイメージはわからない。部長から渡されたペーパーには目標として以下が書かれていた。

・企業価値向上
・ROE向上
・ブランド戦略
・選択と集中
・働きがいのある会社
・新規事業へのチャレンジ
ビジネススクールで習ったブランド戦略は、マーケティング戦略でちょっと触れただけ。本屋にはブランド戦略ブームで500冊のブランド関連本が並ぶ。範囲は広く、広告、人事、採用、IR、かなりの分野が絡む。


2.プロジェクトチームの編成とそれぞれのブランド意識
広報担当、企画部、広告宣伝担当、生産管理、人事、営業、経理IR担当でプロジェクトチームを編成。サポートは広告会社、コンサル。ブランド戦略不要論が飛び出すキックオフ会議となる。


3.情報収集
コンサルに相談。一般的なブランド展開は、ブランドステートメントやビジョンを作る。次に社内外へ向けたコミュニケーション。そしてブランドイメージやパーセプション。自社のブランドイメージの現状把握も大切。外部調査を活用&社内従業員の意識調査。広告会社に相談し他社の実例を確認。ブランドづくりの効果としては主に次の5つ。

・知名効果:リクルート&IR。
・社内ブーメラン効果:世間の知名度が上がり、社内に跳ね返る。
・社内での価値統一効果:社員自らが自己規制。
・取引コストの削減効果:営業やサービスにおいて、これまで以上に顧客と関係を結びやすくなる。
・市場価値を創造する:顧客が新たな選択肢をつくってくれる。


4.自社ブランドの現状を把握する
大手広告会社の営業と面談。吉村電工のブランディングの現状について、客観的評価を報告してもらう。担当者は「日経イメージ調査」を中心に報告。具体的なブランディングの進め方をレクチャーしてもらう。
・まずコアコンピタンスを表現したステートメントをつくる
・それをあらゆるステークホルダーとコミュニケーションしていく。

社内向け:ブランドブック配布、社員研修
社外向け:広告展開。企業広告の他に、商品広告の中にもタグを入れる。社外に向け発信する情報全てに、ステートメントやデザインを入れ、企業の考え方を伝達していく。コンタクトポイントごとにコミュニケーションの仕方を整理しておく。顧客に対しては営業マンとウェブのホームページ。マス広告。株主に対してはアニュアルレポートやCSR報告書。社員に対しては社内報やウェブのイントラネット。


5.ブランディングの必要性をチーム内で確認
2回目のブランドプロジェクト会議、前回はネガティブ意見が多かったが、少し前向きに進展。従業員の意識調査をすることになる。


6.当社のブランドビジョンについて検討しよう
アンケートの回答率は本社で8割、連結対象グループで3割。質問内容は、
・あなたは会社に対して忠誠心が高いですか?
・一流イメージか?
・この会社で働き続けたい? etc


7.ブランドビジョンについて考えよう
前回の会議で、ブランドビジョンを表すステートメントの検討が課題となり、メンバーそれぞれが実施した社内各セクションの意識調査の結果を持ち寄り議論。社員調査と日経イメージ調査との比較を行なう。


8.当社らしいブランドビジョンとは
プロジェクトチーム内で議論した内容を資料としてまとめ、それをもとに広告会社よりロゴデザインやステートメントを提案してもらう。プレゼンシートにまとめられたブランドロゴやステートメントをチーム内で検討する。
A案:イノベーション&トラストカンパニー
B案:あなたの夢を技術でサポート

(BtoBカンパニーのステートメント参考例)
富士ゼロックス:The Document Company
島津製作所:Access to your success
キャノン:make it possible with canon
等々 この本に載ってた9割がなぜか英語。


9.ブランドビジョンについて、社長との議論
広告会社からはさらに複数の提案があったが、イノベーション&トラストカンパニーをチーム内で推す事と決め、社長に報告。今後20年、30年と会社の精神的な支柱となっていくビジョン。悪くは無いがピンとこないと、再検討を言われる。


10.20年後の会社を支えるステートメントとは
チームで再度議論を行い、もう一度同じ案で行くこととする。


11.社員とブランドを共有するために
ステートメントが決まり、新しいロゴが広告会社から提案される。ブランドブックを全社員に配布。ロゴの使用のレギュレーションや、最低限の行動基準を記した解説冊子、手帳にも挟めるミニ冊子も用意する。

ブランディング活動に関する経費について、通常の広告宣伝費とはケタが違い、経理部長が説明を求めてくる。ロゴ作成やステートメント、それにまつわる広告の作成費、新聞広告費等。経理部長は適正価格を知りたいと。ケースバイケースで適正価格は不明であると説明すると、他社の広告宣伝費だけでもわからないかと。クボタで年間46億円、富士ゼロックスで年間42億円。


12.ブランドによる社内コミュニケーション
さまざまな場面で一人ひとりが会社を代表している。すべてのセクションに対して研修を行なう。ブランドブックを渡しただけではみんな読んでない。講師はプロジェクトメンバー。ビデオを作成し効果的に使用する。


13.社外へ向けてのブランディング発信
いよいよ広告展開。最初は主要駅周辺の看板および新聞、雑誌。プレゼンは2社の広告会社へ依頼。オリエントシートには、
・目的:知名度、好感度向上とともに、弊社へのロイヤリティ向上
・対象:ビジネスマン、学生、株主

決定後は、広告展開のための撮影やコピーの検討、媒体の選別。あらゆる印刷物へステートメントとロゴを掲載するため、すべてのセクションにレギュレーションを伝え、ホームページのリニューアル、新聞、雑誌社との打ち合わせ等、事務局の二人では手が回らなくなり、応援を頼む。


14.ブランド発信によって何が変わったのか確認しよう
はじめて新聞に一面広告が出る日、落ち着かない。新聞社のインターネット調査でも好意的な回答が多い。営業部には広告やるほど儲かってるのか、と取引先からイヤミの電話もある。その後取引先企業を紹介するコラボレーション広告を作ることとし、顧客の中から選別する。営業部はコラボレーション広告の調整窓口となり、普段会えない顧客企業の重役などとも会え、人脈が広がる。

その後営業部には、様々な企業から「こんな部品ができないだろうか」「新しい企画の相談に乗って欲しい」「他社で調達していたが、同じものを作って欲しい」と問い合わせが入る。掲載広告のパネルをつくりコラボレーション広告をした顧客へ持参すると、会議室に飾られる。顧客の会議室に飾られるのは凄い効果。幹部も会議室を使うので、今後は稟議書に簡単にNoと言わなくなると、営業部は大喜び。


15.CSRとブランディングの密接な関係
社長からの指示で、プロジェクトメンバーにCSR担当者を加える。小学生へのものづくり教育を中心に、地域社会への貢献を具体的に取り組み、それを広告展開する。


16.次世代に続くブランドの循環効果とは
インターナル効果。若手社員が新技術を使ってロボットを作りたいと言い出した。技術本部では3千万円の予算は難しいけど、ブランド予算で捻出して欲しいと。ブランドが新しいものを産み出す好循環となりはじめた。


その他の読書メモを。


(広告)





<BtoB企業は人が命>
消費財企業の場合直接顧客と接するのは、パッケージやTVCMなど。他方BtoB企業の接点は人。営業だけでなくサービス担当者など、顧客と出会う機会が少なからずある。そのため一人ひとりが、会社が提供する価値を理解していることが大切。BtoB企業において、ブランド推進運動の形で、会社内部に向けたマーケティングを熱心にやるケースが多いのはそのため。



<製品ではなく、顧客に提供する価値で考える>
「ドリルがいくら売れたにしろ、お客さんが欲しいのはドリルではない。お客さんが本当に欲しいのは、そのドリルで開けた穴なのだ」



<事業を構成する三つの軸で考える>WWHで考える
自分たちは①誰に②どのような価値を③どのような技術を用いて、提供するのか。

IBM:①ビジネスの事業所に向けて②問題解決という価値を③コンサルティング・デリバリー・メンテナンスの複合技術を用いて提供する。

スカンジナビア航空:①ビジネス客に対して②飛行機発着の正確な時間を③さまざまな方法(サービス体系の変革、ジャンボ機をやめて都市間直行便の増発、ビジネス客に合わせた機内設計の変更)を用いて提供した。




ビリージョエルでスカンジナビアン・スカイズ[るんるん]



(広告)



nice!(22)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

株主優待ハンドブック2013-2014年版 [本/Biz経済]


DSC_0091.JPG
【株主優待ハンドブック2013-2014年版/13年6月初版】
株、あいかわらず購入してません。なぜか購入する気にならない。やっぱり今の相場が高く感じるんですよね。ガンホー株買わなくて良かった。100千円が52千円になってます^^;買ってればぼくのヘソクリが半分になってました・・

「現在の株価で、ヘッジファンドが投機するときの世界的な基準に思えるのは、PER(株価/次期予想純益)では15倍付近に思えます。13年8月22日の日経平均、1万3500円(225種の単純平均株価の指数)で言えば、PERは14.88倍です。東証一部の時価総額は396兆円で、 企業の純資産に対する株価の倍率は1.29倍です。

FRBは、2013年の年内には、QE3の毎月8.5兆円のマネー増発の縮小を開始し、2014年の央には、QE3を完全停止すると言っています。

日本を含む、世界の株価は、
・米国の量的緩和第三弾が、早く終わるという観測が出ると下がり、
・来年までは続くと見ると、上がっています。

日本の株式市場は、外国人投資家(主は英国と米国のヘッジファンド)による、オフショアからの売買が1日2〜3兆円の売買額の60%〜70%を占めるために、完全に「ガイジンが動かす相場」です。

米国FRBの量的緩和第三弾(QE3)が、9月17、18日に予定されている次回のFOMC(連邦公開市場委員会)で、どうなるか 」   by吉田繁治  詳細は吉田氏のメルマガを。

さすが吉田氏、彼の最新刊は8月22日に発売で、もちろん図書館で購入申請済みです。素人は株をしばらく買わないほうがいいかもしれません^^;

ところで株主優待本に出ていた優待名人曰く、「安く買って高く売ること。今は株高であてはまるものがなくなったが、PBRは1倍以下、PERは15倍以下、配当利回りは4%以上が基準」
素人はこれくらいシンプルな判断基準のほうが、いいのかもしれません。迷いがない。

PERとPBRは以下のサイトがわかりやすいです。
http://www15.plala.or.jp/simplelife/200608101035per.htm
個人的には、自己資本比率と、流動比率(黒字倒産回避)、経常利益率の3つは重視してます。

目を皿のようにしてチェックしましたが、優待利回りが高いものは、自社施設や製品の割引券等です。欲しいものやサービスが合致すれば、お得でしょう。生活動線上にシダックスのカラオケがあって、月に1回ぐらいは行くので、シダックスでも買おうかな^^

以下にこの本から満足度が高く、個人的に使えそうなものを以下に。

外食:       最低投資金額
1.マクドナルド:100株約27万円、約3000円相当の無料引換券が年2回。+配当利回り1.1%
2.コロワイド:500株約45万円、グループ全店で利用できる1万円分の優待ポイントが年間4回。+配当利回り0.6%
3.吉野家HD:1株約11万円、3000円分のサービス券が年2回。+配当利回り1.8%
4.カッパ・クリエイトHD:50株9万円、かっぱ寿司食事券5250円が年1回。+配当利回り0.8%

レジャー:
1.シダックス:100株約5万円、シダックス代金525円券x5枚が年1回。+配当利回り3.1%
2.ラウンドワン:100株約6万円、500円券x4枚とクラブカード2枚。+配当利回り3.1%
3.第一興商:100株約26万円、BIGECHOの500円券x10枚が年2回+配当利回り2.3%

商品券:
1.ビッグカメラ:1株約4万円、1株で年3000円買い物券、5株で5000円、10株で10000円+配当利回り2.4%
2.リコーリース:100株29万円、クオカード3000円。+配当利回り1.5%
3.明光ネットワークジャパン:100株12万円、クオカード3000円。+配当利回り2.2%


DSC_0090.JPG
【朝倉慶の今儲かる、これから爆騰する83銘柄/12年4月初版】
ついでにもう一冊。破綻論者の朝倉氏。本に書かれる前に買うべきなんでしょうけど、いつか買うかもしれないので、爆騰予想銘柄を以下にメモ。

・日本カーリット:PER7.4、 PBR0.67、  配当利回り1.7%
・オリエントコーポレーション:PER68.6、 PBR1.0、 配当利回り―
・トーセイ:PER30.5、 PBR1.8、  配当利回り0.66%
・マルハニチロホールディングス:PER9.1、 PBR1.4、 配当利回り1.66%
・三島松島産業:PER12.7、 PBR0.9、 配当利回り2.7%
・国際石油開発帝石:PER10.1、 PBR0.82、  配当利回り1.38%
・いちごグループホールディングス:PER167、 PBR6.34、  配当利回り0.27%
・木徳神糧:PER9.1、 PBR0.65、  配当利回り1.23%
・片倉工業、トーア紡コーポレーション、常和ホールディングス、ケネディクス、昭和シェル石油、東邦亜鉛、石井鐵工所、昭和飛行機工業、三井物産、三菱商事、ジャックス、イー・ギャランティ、東京急行電鉄、東京ドーム、藤田観光、よみうりランドetc

今夜出て行くわ[るんるん]
永遠の愛を誓ったけど
お金のことを考えてなかった
カネがすべてを変える

3分ごろのエレキバイオリンが、ギターソロ以上にカッコイイ♪
シンディローパーでマネーチェンジズエブリシング♪


(広告)



nice!(22)  コメント(16)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

大いなる探求 経済学を創造した天才たち 上巻/シルヴィア・ナサー [本/Biz経済]


大いなる探求(上) 経済学を創造した天才たち

大いなる探求(上) 経済学を創造した天才たち

  • 作者: シルヴィア・ナサー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: 単行本


【大いなる探求 経済学を創造した天才たち 上巻/シルヴィア・ナサー/13年6月初版】
「エマ」というマンガをご存知でしょうか。19世紀末、産業革命以後のヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした、メイドと貴族の身分違いの恋を描いたラブロマンスです。恋愛モノがお好きな人には(きらいな人はあんまりいないと思うけど)、お薦めのマンガです。

エマと同時代の経済学を創造した天才たちのストーリーです。もちろん彼らの生い立ちやロマンスが盛り込まれています。よく調べてある。上巻はマルクスとエンゲルス、マーシャル、ウェッブ夫妻、フィッシャー、シュンペーターの話。前に読んだ「経済学者の栄光と敗北/東谷暁 」はケインズ以降でしたが、この上巻はマルクスからケインズまでです。下巻は未読ですが、ハイエクやサミュエルソンあたりは東谷氏の本とかぶります。読み比べてみるのも乙かもしれません。



19世紀半ばからの60年間の経済思想の大きな流れを、本書から簡単に要約します。


まず小説家のディケンズ、ジャーナリストのメイヒュー、哲学者のマルクスが、人類を貧困に縛り付けてきた物質的条件が、昔ほど固定的でなく変形させることも可能になりつつあることを描き出します。特にマルクスは1848年の「共産主義宣言」で企業は同じ資源の投入によってより多くを生み出すが、労働者の賃金は増えないと論じます。

1880年代にはアルフレッド・マーシャルが、企業間の競争がより高い賃金とより安い製品価格という形で社会に還元されることを発見します。人々は生産性を上げることで個人的にも集団としても経済環境を好転させることができると。

ベアトリス・ウェッブは本書のハイライトです。鉄道王の娘でロンドンの社交界と思想をリードし、シンクタンクの先駆者であり、福祉国家の概念を生み出します。第二次大戦後のイギリスの福祉国家の設計は「私たち全員がウェッブ夫妻から吸収した思想から芽生えたものだ」と、福祉国家の青写真を作成したウィリアムベバリッジは晩年に告白しています。チャーチルはベアトリスの家に何度も招かれ、ベアトリスの尊大さに辟易しながらも自分の無知さに気づき、「起きている間は政府白書を読み漁り、ベッドに入ってからは百科事典を読みふける」生活に改めました。

一方で社会学者のジョン・スチュワート・ミルは、福祉国家はやがて全税収を吸い尽くすと主張し、マルクスは福祉国家は不合理な推論だと批判しました。

アーヴィンフィッシャーは、通貨が実体経済に甚大な影響を及ぼしうるということ、政府が通貨供給を改善することで経済の安定性を強めることができるということを、最初に見抜いた経済学者でした。


以下にその他の読書メモを。


(広告)





<マルクスとエンゲルス>
マルクスはエンゲルスと同じく、ブルジョワ階級の父のもとに生まれた放蕩息子だった。浪費家であるという点も、知識人だったという点も共通している。また2人ともヨーロッパにおけるドイツの知的、文化的優位を信じており、同時に強烈なフランスかぶれで、イギリスの富と国力に反感を抱いていた。

だがマルクスは多くの点でエンゲルスと好対象でもあった。エンゲルスの饒舌さ、豊かな順応性、陽気な人柄などとはマルクスは無縁だった。マルクスは議論で相手を圧しないと気が済まず、性急で生真面目だった。マルクスはエンゲルスより2つ半年上なだけだったが、すでに結婚して赤ん坊の娘までいて、哲学の博士号を取得済みで、会う人に対して自分を「マルクス博士」と呼ぶよう主張して譲らなかった。

エンゲルスは何をするにも手際よく、実際的だった。一方マルクスは「事務をとった経験がなく」「生身の人間と商取引を行なった試しがなかった」。エンゲルスはいつでも両袖をまくり上げて執筆に取りかかることが可能だったが、マルクスはたいがいの場合、カフェでワインを飲みながら、ロシア貴族やドイツの詩人、フランスの社会主義者などと議論をして時間をつぶしていた。




<マルクスの家計>
マルクスの家計は財政難と改善を繰り返す。基本的にはパトロンはエンゲルスだった。1862年にNYトリビューン紙の連載を失った時の収入源は強烈で、やむをえず鉄道会社の事務員になろうとした。しかし字が汚い、英語が話せないという理由で就職に失敗した。

その1~2年後にはマルクス家の経済状況は改善する。予想もしない遺産相続が何件か発生したのに加えエンゲルスが毎年375ポンドの資金援助をしてくれるようになったのだ。その後マルクス家の年間支出は500ポンドから600ポンドの水準にあったが、これは当時のイギリスの最富裕の2%に入れる数字である。




<アルフレッド・マーシャルのデータベース>
マーシャルは集めた情報を整理し、自分専用のデータベースから情報を取り出す方法を独自に開発する。糸で縫い合わせた自家製のノート、「赤い手帳」がそれで、各ページに音楽や技術から賃金水準にいたるまでの様々なデータが、時系列に沿って記入されていたのである。どれかのページの、どれかの事項を選べば、同じ時期に他の領域では何が起きていたのかが、一目でわかるようになっていた。


(広告)





<19世紀後半のロンドンのシーズン>・・エマを読むと一目瞭然ですが。
毎年3月になると上流社会の1万人がロンドンに殺到する。ロンドンの社交の季節、「シーズン」が始まる。およそ3~4ヶ月間、イギリスの上流階級は首都に滞在して、手の込んだ縁結びの儀式を繰り返すことになる。午前中は乗馬を楽しむことに費やし、午後には男性は議会議事堂か社交クラブに通い、その妻と娘は買い物と知人の邸宅の訪問に興じる。夕べになると、市内のあちこちで開催されるオペラや晩餐会や舞踏会に上流人士とその妻や娘が詰めかけ、豪華に着飾った様を見せびらかし合うのだった。議会の開会に合わせて始まる毎年のシーズンの期間中、ロンドンは国際的な婚姻市場の中心地となるのである。

裕福な夫婦は息子をオックスブリッジで学ばせるのと同じ調子で、娘にロンドンのシーズンを2~3回経験させたいと考えた。ロンドン市内に屋敷を持たない上流家族は、堂々たる館を見つけて借り、高価な品々を大量に購入してその館に運び、大勢の召使を雇い、社交活動を行なう。シーズン中、適当な結婚相手を探すための「踊り」に参加するための努力と費用は、オックスブリッジを卒業するのに必要な費用に匹敵するものだった。




<結核とフィッシャー>
結核は19世紀版のAIDSだった。20世紀初頭においては、大都市における死亡事例の3件に1件は結核による衰弱が原因で、犠牲者のほとんどが少年少女だった。結核に罹患したと知った者は、それがもとで職を失うことや、社会のつまはじきにされることに怯えなくてはならなかった。アーヴィン・フィッシャーは31歳で結核にかかり6年後に健康を完全に回復した。

結核から回復した後のフィッシャーは、凄まじいまでの創造性を発揮するようになった。彼は療養生活の間、インド哲学の書を読み、瞑想もするようになっていたのだが、そうやって芽生えた考えの数々を、健康になってからの5~6年の間に次々と発表していった。




<エジプト>
19世紀末から20世紀初頭にかけての世界経済におけるエジプトは、今日の中国に相当する存在だった。急成長を遂げる巨大新興国だったのだ。エジプトがオスマントルコの属州からイギリスの保護国へ変質した後、アメリカの南北戦争が世界的な綿花不足をもたらした。エジプトの支配者イスマイルはこの機会を捉えて、エジプト全体を巨大な国営綿花プランテーションに改造しようとした。そしてイギリスとインドの間の貿易量が増大していることを知ったイスマイルは、スエズ運河の建設に着手する。融資の形で巨額の投資資金がエジプトへ流れ込んだ。

その後巨大プロジェクト数々は継続不能であることが明らかになり、イスマイルは6年後に破産状態となった。スエズ運河株式の44%の売却を強いられ、エジプト政府を債権者の管理下に置く事になった。歴史家の中には、イスマイルがもっと賢明に投資し対外債務を避けていれば、20世紀のエジプトは「アラブの日本」になっていたのではないかと想像するものもいる。



マルクスが憂鬱とし、エマではとても印象的に描かれるロンドン万博のクリスタルパレス。
二人の恋はどうなるのでしょうか。

君みたいな女性は他にいなかった[るんるん]
僕はどうしても君と一緒にいたかった
E.L.O/ロンドン行きの最終列車



エマ  全10巻 完結セット  (Beam comix)

エマ 全10巻 完結セット (Beam comix)

  • 作者: 森 薫
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック




(広告)



nice!(20)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

日本株で20年に一度の大波に乗る方法/管下清廣 [本/Biz経済]



日本株で20年に一度の大波に乗る方法 (青春新書PLAY BOOKS)

日本株で20年に一度の大波に乗る方法 (青春新書PLAY BOOKS)

  • 作者: 菅下 清廣
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2013/04/26
  • メディア: 単行本


【日本株で20年に一度の大波に乗る方法/管下清廣/13年5月初版】
ネット証券に入金したまま、まだ何も購入してません。目をつぶってバットを振っても当たった時期は、12年の年末で終わったようです。とはいえ、アベノミクスで日本には資産インフレの時代がやってきます。著者によると「これから資産インフレの3年が始まる。肝に銘じておきましょう」とのことです。

かつてのバブルのように、買えばなんでも上がるのではなく、これからの上昇相場は、値上がりするものと値上がりしないものがハッキリ分かれるとのこと。わかりやすくいえば、もう大企業に投資しても大きくは儲けられない、株式市場ではこれから成長する企業の株価が上がる。評価の定まっていない新興企業を見分けることが資産を10倍、20倍にするコツであると。まぁ至極まっとうなご意見です。

何に投資すればいいか。著者のお奨めは以下。
・単純な話、デフレ時代にダメだったもの、値下がりしたものを買えばいい。デフレ時代の3大ダメ投資は、不動産、株、外貨建て証券、他にはゴルフ会員権など。これからはこういうものが全部買い。野村證券、みずほ銀行、三井不動産などは既に上がり、デフレの修正相場は一巡しつつある段階ではあるが。

・カネあまりの金融相場に移行するので、新しい成長産業を買う相場、インフレ期待で含み資産を持つ企業の株を買う相場、この2つのセクターの波に乗ることが重要。選球眼の良し悪しが要求される。

・アベノミクスの本命はネット関連。ガンホーオンラインの株価は20倍。バイオ関連も本命テーマ。

・新成長株を見出す自信が無い人は、資産インフレ株。含み資産を持つ割安株。三菱地所や三井不動産などを買っていては、資産倍増は難しい。大企業は投資家の評価が定まっていて、投資意欲にも限界がある。一例で言うと不動産なら、夢真ホールディングスのような銘柄。企業規模ははるかに小さいのに、インフレで含み資産の価値が上がり、それを元にどんどん業績を拡大するという可能性がある会社。

・次の潮目は、新成長産業株、資産インフレ株が高値をつけたタイミング。そうなると相場は調整を始め、アベノミクスの第3の矢、成長戦略のトレンドに乗った銘柄の上昇へと相場が移行する。この相場は息が長く、大企業、新興企業、中堅企業すべてが対象になる。

・成長戦略のトレンドは詳細不明だが、以下の3つは大きなテーマになる。
「ニューエネルギー、エコ」関連、 「規制緩和」関連、 「生活消費」関連。一例ではミドリムシ特需のユーグレナ。バイオ関連の新興企業で、ミドリムシを大量培養し、そこからジェット燃料を製造する技術を開発した。

・円安は120円を目指す長期トレンドになるので、金利と為替差益を両取りできる外国の金融商品。カントリーリスクを考えると民主国家に投資すべき。クーデターが起これば資本凍結の恐れがあるので。

・BRICSは今後10年停滞する。主要なマーケット関係者はBRICSは伸びると見る人が多いが、著者の持論は「身分差別や特権階級が制度的に守られている国は成長しない」中国共産党の腐敗、インドのカースト制、などは貧困層を切り捨てている。ロシアはプーチンの独裁。資源国家としては残る。唯一期待のブラジルは、政府が民間企業に高圧的。投資先は米国、日本、独、英、仏しかない。独は素晴らしいがユーロ圏という重荷を負っている。調整に時間がかかるユーロ圏を除外すると、米国と日本しか5年後の世界経済を牽引する国は無い。

・ゴールドは2013年は下落調整局面。


円安について最近読んだものから補足します。ポイントは2つ。デフレの脱却と、経常収支の赤字化です。過去20年、米国は2~3%のインフレ、日本はほぼ0%だったので、購買力平価は右肩下がり直線で現時点で95円レベルまで下がってきています。この直線を基本に、為替はあるリズムで円高や円安に振れているので。これがデフレ脱却すると、直線自体が右上がりになる可能性が出てきます。大転換です。
imagesCA13YSH8.jpg

さらに日本の経常収支は今後数年で、トントンになりそうです。マクロで見ると、経常黒字で手元にドルがたまる、円に換金する(=ドルを売って円を買う)、この動きが円高につながっています。いよいよ経常収支が赤字になると、長期円安相場の始まりです。後述しますが貯蓄率も下がっている。日本は資源国でもないので、貯蓄以外に担保するものが無い。

適切な円安は、工業国日本の株価を上げます。最初の一撃は安倍総理だったかもしれませんが、これは長期の転換期に差し掛かっていると、最近思うようになりました。

以下に読書メモを。

(広告)




<アベノミクス>
・1本目の矢は「円高の是正」:日銀の量的緩和
・2本目の矢は「景気対策」:国土強靭化。東日本の復興、古くなった橋などの社会インフラの刷新。
・3本目の矢は「成長戦略」:著者はTPP参加賛成派。ぼくは反対派ですが、仕組みが変わるので相場は動くでしょうね。


<日本の貯蓄率>
1970年代:世界一の貯蓄率。23.2%
現在:4%。年収400万円の人が年間に16万円を貯蓄している。
一般にインフレの国では国民の貯蓄率が上がる。日本の貯蓄率が大きく下落したのはデフレが主因。


<4つの景気循環サイクル>
・キチンサイクル(2年半~3年半周期):在庫循環
・ジュグラーサイクル(7~10年周期):設備投資循環
・クズネッツサイクル(約20年周期):建設需要循環
・コンドラチェフサイクル(40~45年周期):技術革新・インフラ更新循環




(広告)



nice!(23)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「10万人に愛されるブランドを作る」要約まとめ [本/Biz経済]



10万人に愛されるブランドを作る!

10万人に愛されるブランドを作る!

  • 作者: 中田 華寿子
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【10万人に愛されるブランドを作る/中田華寿子/12年5月初版】
学者じゃなく実務派の日本人が書いたブランド理念に関する本を読んでみたいと。著者は電通に入社後、スタバックスジャパンの立ち上げに参加し、マーケティング部から広報室長、執行役員とスタバの日本市場での拡大、浸透に携りました。2008年からは、ライフネット生命のマーケティング部長。

このライフネット生命、まったく知りませんでしたが、強烈なブランド理念を持つ会社です。

「20代から40代前半の若い人たちが、安心して子供を産み育てるこどができるように保険料を半額にする」

ネットだけで運営して、コストを極限まで下げて従来型保険の半額で保険サービスを提供します。ネット環境の無い50~60代の顧客から紙の資料や申し込みを要求された時も、涙をのんで断っています。ここで紙での申し込みを受け入れてしまうと、手作業で対応するスタッフと時間が必要になり、その分保険料が高くなる。契約は1件でも欲しい。社内で議論を繰り返したそうですが、創業時のブランド理念である「ネットを活用し、コストを抑え、保険が本当に必要な20代から40代前半に安い保険を提供したい」という想いを優先し、「No」という結論に達したと。

日本の生命保険市場は40兆円超。ここに知名度なし、予算なし、大手競合ありの三重苦でライフネットは参入しました。まず知名度ですが、独立系生命保険会社としては74年ぶりの開業だったそうです。新興保険会社はこれまでもソニーやオリックスがありますが、親会社の知名度が圧倒的でした。次に予算ですが生命保険会社を立ち上げるのに必要な資本金の相場が100億円だそうです。これに対して株主からの資本金は132億円。ある意味ギリギリの資本金レベルで、広告宣伝費に大きな予算はかけられません。最後に大手競合ですが、すでに先行は43社もあり、最大手の日本生命の営業職員数は5万人、ライフネットは44人です。

一言でいうと、ビジネスモデルとブランド理念の勝利です。認知されれば、一定層には必ずニーズのある保険会社です。認知されるためには、とにかくマーケティング。だけどTV広告を打つ予算が無い。
・還暦で起業した社長がツイッターでつぶやきまくる
・10名以上集まれば、全国どこにでも社長か副社長が講演に行く
・社員とスタッフの3分の1以上がソーシャルメディアを活用する
・社員総出でチラシを配る
etc

低予算で宣伝が出来るインターネットを最大限に活用しています。なんていうかアイデアと手作り感満載の広報宣伝活動です。

BtoBの製品サービスでのブランド理念進化には、手法的には参考になりませんが、ブランド理念というものが何者にも勝るということだけは、よく理解できた1冊でした。


以下にその他の読書メモを。

(広告)




<コトラーのマーケティング3.0>
マーケティングは消費者を取り巻く環境によって、ほぼ10年単位でその性格を変えてきた。80年代は消費者の物質的ニーズが圧倒的に高く、そのニーズに合った商品をマス広告を大量に投下して訴求したマーケティングの時代。「生産中心のマーケティング1.0」の時代。90年代は消費者の志向や価値観が多様化し始めた時代。消費者をセグメント化し、きめ細やかな商品ラインナップを充実させた「顧客志向のマーケティング2.0」の時代。

「マーケティング3.0」21世紀はどうなったか。消費者は商品だけではなく、企業やブランドの姿勢を見るようになった。商品の優位性の競争は、技術革新を経て行き着くとこまで到達し、大きな差異化が容易にできなくなったから。今の消費者は、商品だけでなく、企業の日常的な立ち居振る舞い、その企業の「人格」も、購買の重要な判断材料とするようになった。



<AIDMAとは>
従来のマーケティングで、見込み客層がその商品の購入を決定するまでに至るプロセスをAIDMAという枠組みで捉えていた。注目(アテンション)⇒関心(インタレスト)⇒欲求(デザイヤ)⇒記憶(メモリ)⇒購入行動(アクション)という一連のプロセスで消費者はモノを買う。そのフェーズごとに効果的で訴求力のあると思われるメッセージを発信することが重要という考え方。今日の消費者行動は、その行動様式を変えつつある。



<スターバックスの行動指針>
2009年3月まで使われていた、スターバックスの全世界共通の従業員行動指針(ミッションステートメント)は以下。これはマニュアルではない。常に「どうすべきか」と考える際の拠り所になるのがミッションステートメント。

・(従業員)働きやすい環境を提供し、社員が互いに尊敬と威厳を持って接する
・(多様性)事業運営上の不可欠な要素として多様性を積極的に取り入れる
・(商品の品質)コーヒーの調達、焙煎、流通において、常に最高レベルを目指す
・(サービス)観客が心から満足するサービスを提供する
・(地域社会)地域社会や環境保護に積極的に貢献する
・(収益性)将来の繁栄には利益率の向上が不可欠であることを認識する


オレとコーヒーショップで会ってくれ[るんるん]
駐車場で口でしてくれ
ホテルのベッドに連れて行ってやる
イギーポップみたいに踊るぜ

レッチリでコーヒーショップ♪





One Hot Minute

One Hot Minute

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
  • 発売日: 1995/09/06
  • メディア: CD


(広告)



nice!(26)  コメント(18)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

これからすごいことになる日本経済+1冊 [本/Biz経済]


【これからすごいことになる日本経済/渡邉哲也/13年1月初版】
DSC_0055.JPG
【これから来る超円安超円高の本命シナリオ/吉田恒/13年4月初版】
DSC_0056 (1).JPG

ファミマに行くと、目につくところにネット株入門の本が500円ぐらいで売ってました。アベノミクスでGO!みたいなノリです。我が家は奥さんが家計を握ってるので、株はさせてもらえません^^;やるなら、自分のヘソクリの範囲で、レバレッジをかけずに、ゼロになってもいい金額までです。

いろんな本を読むと、資産の10分1までぐらいがバクチに回していいお金ということのようです。だけどそれじゃあ、100万円ヘソクリ貯めても、たった10万円しかまわせません。

この前、コツコツと貯めていたヘソクリがそこそこになったので、その半分ぐらいをネット株で遊んでみようかと。どうせ寝かせてるお金なんで。SBI証券に○○万円ほど入金しました。

臆病なので、まだ買えてません^^;

最初が肝心なんですよね。今をどうみるか。

まず7月の中国バブル崩壊説。中国がトリガーになって、世界の株価がドーンと下落する。これがあれば、そく買おうと思って待っています。だけど最近読んだ本では、メインシナリオは中国のバブル崩壊はおきない。8%⇒5%成長に鈍化するが、引き続き経済成長する。植草氏の指摘では、ずっと中国崩壊言ってるけどおきないよ、そんなのはと。そうすると買うタイミングを逸する。

次が8~9月ごろの消費増税の導入可否決定。決定すると円高になる。その後に増税開始すると、円安になる。理屈は後述します。増税決定前後の相場は難解なので、一度ポジションは手放したほうがいい。

増税が決まるとしたら、駆け込み需要の無い、業績相場モノ(円高を嫌気するもの)の株価が下がる。そこを買うのがいいのかも。

一番いいのは、7月の中国バブル崩壊、底値で買い、増税回避で円安継続、業績相場モノの値上がり。ウハウハ売却益^^

難しいのは、円ウォンと日経平均の連動のことを、書いてる本を最近読んでないのですが、今韓国の銀行にIMFがストレスチェックに入ってますよね。この結果が11月に出る。これで韓国の銀行の健全性に?がつくと、ウォン安円高になって、これに敏感に反応した海外ファンドが日本株を売り越す。

なにせ日本株の保有の30%、売買の70%近くが海外ファンド勢で、その大半はロボットトレーディングなので、そのニュースが出れば、瞬時にそういう動きになる。ロボットに勝とうと思えば、マクロを予測してそこそこの中長期保有しか手がないかもしれません。

以下に読書メモを。


<保八とは何か>渡邉哲也
中国に関して言えば、保八(パオパー)と呼ばれるGDP成長率の8%維持という考え方が完全に崩壊した。なぜ中国は8%以上の成長を続けなければならないのか。簡単に言えば、債権や株式ファンドの形で中国に流れ込んでいる欧米からの借入れの金利が、平均8%だったからだ。中国は8%以上の成長お続けないと借金が払えないということになる。

8%成長は崩れたが問題ない。なぜかというと、いまは先進国側も金融危機によって利下げをしているので、それによって先進国の銀行の調達金利も下がっているからだ。いまなら5~6%前後の水準を維持している限り、中国からのキャピタルフライトはないという構造になっている。



<期待できない中国13億人の内需>渡邉哲也
日本では「中国の内需」への期待が叫ばれるが、比較的豊かな都市部の住人は最大で3億人程度といわれている。そのうち富裕層と呼ばれる人口が120万人ほどで、その10倍の1200万人程度が日本人と同レベルの生活ができているといわれる。そう考えると、今後内需が伸びていったとしても、その規模はせいぜい1億人弱ぐらいだろう。

ただし日本との最大の違いはモノを持っていないことだ。モノを持っていないからこそみんなが買うわけであって、かつての日本の「三種の神器」のように、自動車や家電製品が売れていくわけである。ところが、これもバブルによって増えた可処分所得が支えていた部分が強く、経済が停滞すると成立しなくなる。一気にクラッシュする可能性もあるといえる。



<円安はどこまでいくか>吉田恒
円安ドル高とは、日米卸売物価規準の購買力平価まで円が戻る動きというのが基本だ。2013年3月の購買力平価は95円程度。1980年代後半以降の円安で、ドルが購買力平価を最も上回ったのは、2007年6月の12%。これを現在にあてはめると、足元95円の購買力平価を少し上回る、100~110円程度となる。また、1980年代後半以降の円安ドル高の持続期間を調べると、4年以上の円安基調が続いたことはなかった。

今回の円安のスタートは2011年11月75円からだ。これまでのパターンだと2015年までには円安基調は一巡する。



<消費税増税による為替相場への影響>吉田恒
過去2回の消費税引き上げ後は、ともに1年程度といった比較的短期間に約30円もの大幅円安となった。1989年の消費税導入から1990年にかけては130円⇒160円。1997年はその後の1年半で120円⇒150円。

なぜか?過去2回の消費税引き上げ後に共通した現象はインフレ率の上昇だ。消費税増税で物価が上昇すると(モノの価値が上がる)、相対的に通貨の価値が低下する。つまり円安になるというのが基本的な理解。またインフレ率の上昇により、名目の金利からインフレ率を引いた実質金利は低下する。この実質金利低下を受けて、円安になったと考えるのも理解しやすい。

一方で過去2回の消費増税では、引き上げ前まで円高になっていた。これは駆け込み需要が金利上昇をもたらしたと考えられる。



<業績相場の日本株>吉田恒
業績相場とは、業績が良ければ株価が上がるということ。景気・金利と株価が順相関で、金利と株価が同方向に動く。これに対する言葉として、金融相場がある。これは金利上昇を嫌気して株価が下落する。金利低下を好感して株価が上昇する。というように金利と株価が逆方向に動くのが基本。

基本的には、金利(リード役の米国)が上昇すると、米金利上昇=ドル高=円安=日本の株高。

過去10年ほどは、米国の政策金利であるFFレートの推移と日経平均株価のチャートはほぼ連動。おお~、FFレートと日経株価がぴったりですね!
DSC_0054.JPG



FFといっても、ファイナルファンタジーではありません。
FFプレリュード(前奏曲)は落ち着きます。クリスタルのテーマとも言います[るんるん]
ゲーム自体は、6と10が好きです。プレリュードのサウンドは、作品によって微妙に違うんですね。



(広告)



nice!(24)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

金利・為替・株価 大躍動/植草一秀 [本/Biz経済]



金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み抜く

金利・為替・株価大躍動 ~インフレ誘導の罠を読み抜く

  • 作者: 植草一秀
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2013/03/22
  • メディア: 単行本


【金利・為替・株価 大躍動/植草一秀/13年4月初版】
ミラーマンと揶揄され、小沢&鳩山擁護、安倍批判など、どうも考え方が合わない人かなぁとスルーしていました。中国へのスタンスは、孫崎享と同じで、米国の利益のために衝突させられたと。そういえば最近、鳩山氏も尖閣は中国から日本が奪った、日本はもっと歴史を勉強して欲しいとか言ってましたが…

孫崎享の「戦後史の正体」が説得力があったし、中国との衝突は、たしかに経済の面から見ると国益に適わないので、尖閣はもう棚上げでいいような気がしています。経済発展という果実を得るには、尖閣は次の世代に棚上げで、中国経済成長の恩恵を受ける。北方領土は、面積二分で解決して、LNGをパイプラインで輸入しエネルギーコストを下げる。が現実的なシナリオかもしれません。ただ竹島だけは緊張関係継続でもいいような気もしますが^^

植草一秀の経済本。しっかりした1冊でした。今後の個人投資戦略を構築するには、目を通しておいて損にならない本です。過去のマクロ分析が秀逸です。ただ未来もそのパターンになるかどうかはわかりません。確率論でいうと、そうなる可能性が高いというだけです。「知識とは即ち過去である」という、オハラのクローバー博士の言葉が思い浮かびます。

相場にはたくさんの変数要因があるので、読み解き方も様々ですが、僕なりのこの本のポイントは以下。
・日経平均は1万7000円ぐらいまで行く可能性は十分にある。
・消費税増税が決まる秋口が、相場の難関。
・中国株は、2013年が底入れ反転の年になる。

ぜひ本書を読み解いて、自分なりのヒントをつかんで下さい。

以下に読書メモを。








<日本版 財政の崖>
増税や歳出削減によるGDP比3%の緊縮ブレーキを最近は「財政の崖」と呼ぶ。米国では計画通りに実行すると大惨事になるということで、うまく調整された。

日本では消費税増税が控えているが、増税の規模は13.5兆円。日本のGDPの3%弱に及ぶ。これには景気条項がついており、法律では2013年10月までに決定を下すことになっている。2013年4~6月期の経済成長率が、1~3月期に比べ何%増減したかによって判断を下す。4~6月期のGDP統計の発表は8月だ。経済成長率が高ければ、消費増税にゴーサインが出る。

問題は9~10月に巨大消費増税を最終決定した後の金融市場、経済の反応である。増税なら住宅や自動車などの分野では大規模な駆け込み需要が生まれる。2014年3月までは、駆け込み需要の景気押し上げ効果が強く表れやすい。

2014年4月以降はどうなるか。1997年橋本消費増税の時は、その後ほぼ3年の長期に渡って消費減退の傾向は続いた。

⇒米国ではGDP比▲3%のブレーキを、「財政の崖」とマスコミが大騒ぎをして調整できました。 日本のマスコミは、今回の増税が「財政の崖」レベルであることをおくびにも出さないでしょうね。 財務省が描いた絵だから。


<新聞と財務省>
経済専門紙でも、記者の知識、学識が十分高いわけではない。日本では多くのニュースソースを霞ヶ関官庁に依存している。その中心が財務省。財務省は全国紙の編集局長を集めて、定例の説明会を行なっている。この説明会で財務省が全国紙の論説を支配していると言って過言ではない。

新聞社の経営にとって命綱は、再販価格維持制度だ。新聞の再販価格は公正取引委員会の管轄下に置かれ、公正取引委員会が新聞社の命綱を握っている。この公正取引委員会の委員長のポストのほとんどが歴代財務省OBに握られてきた。新聞社はニュースソースを財務省に握られ、経営の根幹を財務省に握られている。新聞社で働く大半の記者の将来の希望は、この新聞社で役員になること。そして財務省の審議会の委員になることだ。

このような事情も影響して、新聞記者の執筆する記事は、財務省発表の書き写しになる。役所の御用機関に堕落してしまうのだ。記者の中には、正義感をもって信実を追求する者もいる。こうした「力のある」記者は、当然の事ながら社内では煙たい存在になり、処遇もされず、出世することもなくなる。かくして記者の牙は抜かれていく。


<太子党と共青団>
中国では、2つの勢力が5年ごとにトップを送り出す。言わばたすき掛け人事が行なわれていると言ってよい。江沢民は太子党の中心人物で、次の胡錦濤は共青団の中心に位置する。胡錦濤は後継者に共青団系の李克強を据えようとした。これに江沢民が抵抗し、太子党系列に属する習近平が後継者となった。

チャイナセブンと言われる政治局常務委員のうち、今回は江沢民系と太子党人脈が5名、胡錦濤が属する共青団系の人物は李克強の1名のみとなった。しかし5年後の大会では、太子党系の5名が全員定年となる。胡錦濤は5年後を見据えて、江沢民派と妥協を図った。

そして次期政治局常務員候補となる政治局員として、新たに胡春華が起用された。胡錦濤は習近平の次の中国のトップに、この胡春華を登用したいとの考えを有していると見られる。


<為替と景気>
むかし円高は、金利低下を通じて資産価値を上昇させるプラスの影響力を持っていた。しかし現在は円高が進行しても、金利はもうこれ以上下がらない。こうなると経済に与える影響としては、円高がもたらす輸出抑制効果、景気悪化効果が際立つ。これにより円高になると日経平均やGDPは下がる。

GDPに占める製造業の比率は既に17.6%と2割を切っている。しかし様々な産業の浮沈は、製造業の浮沈に連動して形成される傾向が強い。製造業の浮沈が、そのまま経済全体の浮沈を作り出す。


<日本政府のバランスシート>
日本政府の場合、内閣府が発表している国民経済計算統計によれば、2010年12月末時点で資産が1073兆円、負債が1037兆円で、わずかではあるが資産超過の状態にある。ちなみに米国は1000兆円を越す債務超過。日本政府の財務状況は危機とはかけ離れている。

非金融資産(固定資産、土地)579兆円
金融資産494兆円
期末資産1073兆円

負債1037兆円
正味資産36兆円


<米国長期金利に連動する日本長期金利>
主導権は米国にあり、それを映して日本の金利変動が生じる。このような金利の連動が生まれる原因は、「金利裁定取引」である。投資資金が国境を越えてより有利な投資対象を求めて動くことが背景にある。米国の金利が上がれば、資金がドルに流れる。その結果、国内では資金不足が生じて、金利が上がる。


<金融相場と業績連動相場>
金利低下を主因に株価が上昇する株式上昇相場を金融相場と呼び、企業業績拡大を主因に株価が上昇する株式上昇相場を業績相場と呼ぶ。

前者は、銀行、不動産、電力などで、共通する特性は負債の規模が膨大であるということだ。そして不動産価格は金利に連動して変動する特性を持つ。金利低下は価格上昇。金利上昇は価格下落をもたらす。


<この本で明示された注目すべき銘柄>・・・寸評は本書で。
積水ハウス、大戸屋ホールディング、信越化学工業、花王、テルモ、楽天、コマツ、SMC、トヨタ自動車、三菱商事、しまむら、三菱UFJファイナンシャル、三井住友ファイナンシャル、三菱地所、東京急行電鉄、ヤマトホールディングス、ニトリホールディングス、ファーストリテイリング


<米国の軍需産業は戦争が必要>
米国の軍事産業の規模はとてつもなく大きい。米国の国防費はGDPの5%にも迫る規模を保持している。6000~7000億ドルの規模、日本円で60~70兆円。日本の原子力産業が2兆円規模であることと比較しても、その巨大さがよく分かる。

この巨大軍事産業の立場から見れば、10~15年に一度の巨大戦争は、産業として生存し続けていくための必要不可欠な条件である。70年代前半には第四次中東戦争、90年には湾岸戦争、2001年~2003年にはアフガン戦争~イラク戦争が実行された。イラク戦争から10年の時間が経過する。軍事産業の視点に立てば、これから5年以内に、次の大規模戦争が必要となってくる。その最有力候補地はイランであり、次の候補地は、東アジア地区となる。


誰がこの国を戦争に導き[るんるん]
この国の平和を奪い
利益を得ているのか

誰が私たちを襲う本当の敵なのか
誰が自由と平和の本当の敵なのか

Jackson Browne - The Drums Of War♪





時の征者

時の征者

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: SMJ(SME)(M)
  • 発売日: 2008/10/01
  • メディア: CD



(広告)



nice!(20)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

【2030年世界はこう変わる】要約まとめ [本/Biz経済]


2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」

2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/04/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


【2030年世界はこう変わる/米国国家情報会議編/13年4月初版】
2030年。あなたはどこで何をしているのでしょうか?定年は65歳から70歳に延びて、まだ仕事をしているかもしれません。今の高校生は35歳になる。人生の悲哀がわかりはじめ、社会の中堅でがんばっている時です。

この本は米国国家情報情報会議がまとめた、グローバルトレンド(中長期)です。かつてこのレポートは大統領と閣僚にしか公開されてませんでした。今は一般に公開されて、とくに米国で中長期の予測を必要とする人たちは、このレポートを読み込み、このレポートから考えを出発させるそうです。

未来本を数冊読んでる人たちには、特に目新しいものはないと思います。あまり読まれてない方には、ベースとなるものなので、お薦めします。

一読して思うことは、アメリカは強い。もちろん不安要素もあります。医療保険、中等教育水準の低下、所得の分配がうまくいってない等。強みは移民の力で人口構成が若い。シェールガスでエネルギーコストが安い。強大な軍事力等。他の地域と比較するとやっぱり強いです。


簡単な要約を。


(4つのメガトレンド)
・個人の力の拡大
貧困層が激減し、アジアを中心に10~20億人もの新たな中間所得層が誕生する。極度の貧困層も現在の10億人から5億人に減る。人々はより健康になり、通信技術の発達で情報武装する。

・権力の拡散
欧米各国の力が衰え、世界は覇権国家ゼロの状態になる。中国の労働人口のピークは2016年に到来。インドのそれは2050年になる。中国が米国の国力を上回るのは2040年以降。

・人口構成の変化
高齢化や若者の減少。移民や都市化が世界のあらゆる場所で進む。2012年世界の人口は71億人。2030年は83億人。

・食料、水、エネルギー問題の連鎖
怖いのは天候不順。シェール系燃料の開発でエネルギー不足は解消。2030年までに世界の食料需要は35%拡大する見込み。これは輸出入の効率化や新技術を通じた生産効率の向上により、ある程度対処できるとみている。

(6つのゲームチェンジャー)
・危機を頻発する世界経済
新興国、特に中国、インドが世界経済の牽引役に。ただし中国は緩やかに失速。複数の民間予測を総合すると、中国は2020年までの年間実質成長率は年率5%程度に落ち着く。2020年時点での国民1人あたりのGDPは中国1万7000ドル、ブラジル2万3000ドル、ロシア2万7000ドル。G7諸国平均は、6万4000ドルと予測される。

・変化に乗り遅れる国家の統治力
ITの発達により国民の権利意識が向上。国家の統治力は次第に衰える。国民の1人あたりの収入が1万5000ドルを上回ると、民主化の動きが活発になると言われる。中国は今後5年以内にそうなる。中国の民主化は、国粋主義的な内向き傾向が中期的に強まるという意見で一致している。近隣諸国との軋轢がさらに悪化する可能性がある。

・高まる大国衝突の可能性
史上稀な平和な時代だが、中国VSインド、米国VS中国が表面化する可能性も。

・広がる地域紛争
中東やアジアで武力衝突は起こるのか。各地域のシナリオ解説は省略するが、東アジアの4つのシナリオを以下に。
①現状維持型:米国が制海権を維持し同盟国は米国の保護を期待できる。
②新均衡型:米国がアジアの警察官の役割を縮小すると、各国は新たな均衡を求めて対抗する。
③欧州式の共生型:中国が民主化を進め、米国がアジアの小国にも引き続き安全保障を提供する。
④中国覇権型:日本の衰退が急激に進んだり、インドの台頭が遅れると、アジアは中国を頂点とした秩序を構築する。

・最新技術の影響力
今後の世界を大きく左右するのは以下の4分野のテクノロジー
①情報技術:データ処理、SNS、スマートシティ
②機械化と生産技術::ロボット、自動運転技術、3Dプリンタ
③資源管理技術:遺伝子組み換え食物、精密農業、水管理
④医療技術:病気管理、能力強化(体の特定部位の機械化)

・変わる米国の役割
影響力は衰えるもトップ集団の1位に留まる。


ここまで見てきた4つのメガトレンドと、6つのゲームチェンジャーの組み合わせ方によって、2030年の世界の姿は無限大に想像することができる。この本では4つのメインシナリオが描かれている。
①欧米没落型:欧米が対外的な力を失い、世界は大きな混乱期に移行する。
②米中協調型:第三国で勃発した地域紛争への介入を機に、米中の協力体制が確立する。
③格差支配型:経済格差が世界中に広がり、勝ち組、負け組みが明確に。EUは分裂。
④非政府主導型:国家単位の政府はなくならないが、国と国、国と非政府機関を結びつけるコーディネータ型に留まる。


その他の読書メモを以下に。

(広告)




<米国以外のシェール系燃料>
中国や欧州でシェール系の燃料が見つかっている。中国政府の予備調査によると中国国内に眠るシェールガスの埋蔵量は米国の2倍と、世界最大の規模。ただ技術がなく採掘のペースは米国より緩やかなものになる。欧州では、北米より環境基準が厳しく、政治家の間ではシェール開発は懐疑的。すでにフランス政府は水圧を利用したフラッキング行為を禁止する法律を制定した。



<再生可能エネルギーは不発>
安くて豊富にある天然ガスの普及により、水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギーに対する注目はかすむ。IEAは2007~2050年の間のエネルギー全体に占める再生可能エネルギーの割合は、4%しか増加しないと見積もっている。2030年の世界では再生可能エネルギーが大きな存在になっているとは考えにくい。



<世界の水>
OECDは2030年に世界人口の約半数が、水不足の懸念のある地域に居住する状態になると予測している。2030年までに世界では年間6兆9000億立法メートルの水が必要となる。これは現在安定供給が可能な水量を40%も上回る水準である。土地や水源を効率的に使う最新技術の導入が遅れたり、地質を破壊する化学肥料の使用が続いたりすると、世界の食糧生産は需要に追いつかなくなる可能性がある。シェール系燃料は安価だが、地下水汚染の問題が絡んでくる。



(広告)



nice!(23)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

「日本経済を創造的に破壊せよ」要約まとめ [本/Biz経済]



日本経済を創造的に破壊せよ!

日本経済を創造的に破壊せよ!

  • 作者: 伊藤 元重
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2013/03/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



【日本経済を創造的に破壊せよ/伊藤元重/13年3月初版】

東大大学院の経済学教授で、安倍政権の経済再生諮問会議員。三橋貴明に「狼は来るのセンセ」と嘲笑されている人。片方だけの意見では公平を欠くし、新刊山積みされてたので一度読んでみようと。

・デフレ克服は喫緊の課題
・市場の信頼を失えば国債暴落は現実化する
・消費税引上げは不可避
・TPPへの参加は必須
・急成長するアジアを内需に取り込め
・民間投資を促す規制緩和こそ成長の鍵

まぁ一言でいえば新自由主義者で、公務員だから増税主義者。(国家破産=公務員破産を避けたい)

国債暴落の説明は、吉田繁治のように具体的じゃなくて、とても観念的で説得力にかけます。破綻後の風景がまったく見えてこない。消費税が欧州の国は20%ぐらいだけど日本は5%で上げシロがある。だからまだ、日本の国債は破綻してない。との事です。

TPPに関しては、保護主義で繁栄した国はない。と言い切っています。おお~カッコいい。そういえば世界の叡智ノームチョムスキーは以下のように語っています。

「アメリカが19世紀に発展を遂げたのは、より優れた英国製品の流入を制御すべく、世界一高い保護 関税をかけていたから。先進国はみなこのように発展した」

一度、世界最高の論客と言われるチョムスキーと、じっくり対談をされてはいかがでしょうか。

増税に関して。中国の国務院と世銀が共同でつくった2030年ビジョンには、人民元の自由化と戸籍制度の改善が書かれているそうです。足元は簡単にできないけど、将来を見据えると答えはひとつしかない。同じように日本の消費増税も、団塊の世代が後期高齢者になる2025年までには上げるしかない。やるなら今だ。景気条項で消費増税が先送りにならないことを願っていると。

いや、中国と同じで今はタイミングじゃないと思うのですが。増税すると税収は落ちます。目的は、増税ではなく、増収だと思うのですが…。

この本のタイトルの意味が伝わってきました。僕は破壊されたくない。スマイルカーブの上流と下流は伸びるかもしれないけど、多くの中間層(僕たち)は没落します。センセはそれでいいかもしれない。だけど僕は嫌です。

以下にその他の読書メモを。








<TPPとシェールガス>
米国やカナダではシェールガスの開発が進み、天然ガスの価格は日本が中東などから購入している価格の何分の一にもなるような低価格である。当然、日本も米国のシェールガスを輸入し、シェールガスの投資プロジェクトに参加することが期待される。しかし米国は、自由貿易協定や経済連携協定を結んでいない国とはシェールガスの取引はしない、という話が漏れ伝わってくる。

⇒センセ、これ重要な話なんですが、どこから漏れ伝わってきたのでしょうか? もう地理的なメリットがある、ロシアからの購入でいいような気がします。


<サムソンの強さ>
日本のある家電メーカーのトップが言っていた。「なぜサムスンが強いのか徹底的に調べた。いろいろ細かい要因もあるが、最も大きな要因は驚くほど単純だった。ようするにサムスンの人件費は我々の半分以下だったのだ」一人当たりGDPが2万2424ドルの韓国の企業が、4万5553ドルの日本企業よりも人件費が圧倒的に安いのは当然だ。


<グラビティモデル>
距離が近い国の間の貿易額の方が、距離が遠い国の間の貿易額よりも大きくなる傾向が強い。そして大きな国の間の貿易額の方が、小さな国の貿易額より大きい。物理学の引力の法則、「近いものほど引っ張り合う力が強くなり、重い物質ほど強く引き合う」を借用した、第一回ノーベル経済学賞受賞者ティンバーゲンの考え方。実によく当てはまるモデルで、国際経済学では基本的な考え方として定着している。

日本は将来に対する悲観論が蔓延しているようだが、それはおかしい。アジアはこれから世界で最も高い成長を実現するだろう。日本はそのアジアの中にある。



センセ、センセ[るんるん]
何が正しいか間違ってるか、教えて下さい
もし僕が生き延びることができれば
時間だけが教えてくれるのかな

38 Specialでティーチャーティーチャー♪










nice!(23)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:
前の20件 | 次の20件 本/Biz経済 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。