本/文学芸術 記事一覧
2012年02月11日: 「小澤征爾さんと、音楽について話をする/村上春樹x小澤征爾」書評
2011年11月20日: 「吉原手引草」の感想
2011年09月24日: グレングールド、ほか2冊の書評
2011年06月18日: 司馬さんの教え
2011年04月09日: 「雑文集/村上春樹」の感想
2010年12月26日: 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹
2010年11月27日: 「ピアノの森19巻」の感想
2010年08月07日: 「冬の夢/スコットフィッツジェラルド・村上春樹訳」の感想
2010年06月26日: 「博士の愛した数式/小川洋子」の感想
2010年05月09日: 「1Q84 BooK3/村上春樹」感想
2010年03月27日: 石田衣良の最高傑作は?「約束」がやっぱいいよね
2010年03月20日: 「アホの壁 / 筒井康隆」感想
2010年03月13日: 波の上の魔術師
2010年02月27日: 「浮世の画家 / カズオイシグロ」書評
2010年02月13日: かもめ食堂
2010年01月10日: 村上春樹/走ることについて語るときに僕の語ること
2010年01月04日: 「料理人/ハリー・クレッシング」感想
2009年12月29日: 「村上ラヂオ/村上春樹」感想
2009年12月19日: 1Q84/村上春樹
2009年11月08日: 池袋ウエストゲートパーク(9)ドラゴンティアーズ
2011年11月20日: 「吉原手引草」の感想
2011年09月24日: グレングールド、ほか2冊の書評
2011年06月18日: 司馬さんの教え
2011年04月09日: 「雑文集/村上春樹」の感想
2010年12月26日: 夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹
2010年11月27日: 「ピアノの森19巻」の感想
2010年08月07日: 「冬の夢/スコットフィッツジェラルド・村上春樹訳」の感想
2010年06月26日: 「博士の愛した数式/小川洋子」の感想
2010年05月09日: 「1Q84 BooK3/村上春樹」感想
2010年03月27日: 石田衣良の最高傑作は?「約束」がやっぱいいよね
2010年03月20日: 「アホの壁 / 筒井康隆」感想
2010年03月13日: 波の上の魔術師
2010年02月27日: 「浮世の画家 / カズオイシグロ」書評
2010年02月13日: かもめ食堂
2010年01月10日: 村上春樹/走ることについて語るときに僕の語ること
2010年01月04日: 「料理人/ハリー・クレッシング」感想
2009年12月29日: 「村上ラヂオ/村上春樹」感想
2009年12月19日: 1Q84/村上春樹
2009年11月08日: 池袋ウエストゲートパーク(9)ドラゴンティアーズ
「小澤征爾さんと、音楽について話をする/村上春樹x小澤征爾」書評 [本/文学芸術]
【小澤征爾さんと、音楽について話をする/村上春樹x小澤征爾/11年11月初版】
この人の文章ってほんと美しいです。癒されるというか読んでると心が浄化されます。
枕元に「ポートレートインジャズ」と「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」を置いて、
寝る前に少し読んで寝るようにしています。なんか疲れた頭にいいような気がするので。
村上氏は文章はリズムだと言いきります。その作家が長く続くかどうかは、文章のリズムを見ればわかる、
だけど誰もそんな評価をしないと。彼は何度かそのことを言ってるので、リズムって大事なんでしょう。
本作品は、マエストロのインタビュー集です。傑作「アンダーグラウンド」でもわかるように、
村上氏は優れたインタビュアー(聞き手)です。ジャズバーのマスター経験が生きてるのかな。
ボストン時代にマエストロの娘さんと仲良くなり、その縁でつきあうようになったそうです。
音楽以外の話をしてたようですが、興味深い話が多くこれは誰かが残すべきだと。
ぼくはそんなにクラシックに詳しくないので、本が面白く感じられるか心配してましたが、
まったくその曲を知らなくても楽しめます。読めばクラシックが無性に聞きたくなります。
それにしても、キラ星のごときスーパースター達との交遊がすごいです。
スーパースターというより、20世紀の偉人達のような人々です。
バーンスタインのアシスタント指揮者に、週100ドルの薄給で雇われるところから頭角をあらわします。
薄給のため他のアシスタントはアルバイトしますが、小澤氏は寝食を忘れて泊り込みでスコアをさらいます。
カラヤンにも師事していて直弟子扱いです。
桐朋の斉藤先生に、学生の頃から指揮者を叩き込まれたので、若いうちから相当のレベルであったようです。
グールドの家に行ったとか、パパゼルキンに信頼されピーターを頼むと言われたり、
ルービンシュタインにはうまいもの食わせてもらったとか、
アバドが小澤氏の後任でバーンスタインのアシスタント指揮者になったときに、
女性問題で巻き込まれたとか、ほんと色々あります。
クラシックの人たちは高尚なイメージが強かったのですが、彼らも生身の人間ですね。
史上初の100万ドル女優のエリザベステーラーと、膝突き合わせて音楽聴いたり、
才能があれば、交遊が広がるんだなあ。
この本、海外でも売れそうです。
名著「ホロヴィッツの夕べ」はジュリアード音楽院のデュバルが音楽的知識の深さと、
人あたりのよさ(便利屋)で、ホロヴィッツ夫妻に気に入られ、
友人として何度も自宅に招かれインタビューを重ねたものです。
一種男芸者的な対応で、夫妻に取り入った風にも感じられます。
まあホロヴィッツ夫妻に畏敬の念を抱かない人はいないとは思いますが。
それに対して本書の2人は対等です。お互いへの尊敬が感じられます。
春樹氏の深い洞察により、マエストロは初めてその音楽的な意味に気づいたりします。
春樹氏の音楽的知識の深さと、それを言葉にしてコミュニケーションできる能力から、
マエストロのほうが軽く(長嶋監督みたいなもの)感じられたりもします。
ウイーン歌劇場の音楽監督という、マーラー曰く音楽界の頂点に立ったマエストロの、
(マーラーはその職を得るために、ユダヤ教からキリスト教へ改宗します)
リラックスしたポップな回顧は、世界中の春樹ファン、音楽ファンに受け入れられる、
歴史的な1冊になると思われます。これを最初に読める日本人は幸せです。
またクラシック入門にも最適です。クラシックジャーナル編集長の中川右介や、
高嶋ちさ子のクラシック本なんかも、わかりやすい入門ガイドブックとして面白いですが、
本書も同様かそれ以上の効果があると思います。
アルゲリッチ姉さんと小澤氏のリハーサル風景です。それにしても彼女は天真爛漫です^^
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「吉原手引草」の感想 [本/文学芸術]
ご無沙汰しています。
資格試験が無事におわりました。ようやく読書の秋です。
【吉原手引草/松井今朝子/07年3月初版】
たぶん今年読んだ小説のなかでは一番面白かったでありんす。2007年の直木賞受賞作品です。
作者の松井今朝子は祇園の料亭の長女として生まれ、
早稲田の演劇科を卒業後松竹に入社し、歌舞伎の制作に携ります。
退社後は歌舞伎の研究家・脚本家になります。そういう経歴なので、江戸期の風俗や文学に造詣が深い。
いわゆる生まれながらの専門家です。
付け焼刃でなく深い見識をもったまま、もしドラのような極上のストーリーを書いた。
この本を読めば、江戸期の吉原のシステムがよくわかります。
女衒、引手茶屋、たいこもち、やり手婆、指切り屋、床廻し、新造、女芸者、花魁、
彼らがどのような仕事をしていたか。
ちなみに主人公は一言もしゃべりません。
ある人物の消息を尋ねて吉原内のいろんな立場の人に聞き込みをします。
すべて一人称で女衒やら、たいこもちやらが、自分の仕事をコミカルに語りながら、ある人物を回想します。
それをつなげていくと、最後に秋晴れのような清清しい気分になります。
おもわず、む~と唸ってしまいました。直木賞おそるべし。。
江戸の暮らしが見えてくる!吉原の落語 (青春新書インテリジェンス)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2011/10/04
- メディア: 新書
【吉原の落語/渡辺憲司/11年10月初版】
江戸の男たちには二つの大きな夢があったそうです。
一つは伊勢神宮の参拝で、もう一つが吉原で羽目を外すことです。
著者は江戸文学が専門の立教大の名誉教授。
吉原のシステムはこの本1冊でだいたいわかります(吉原手引草より詳しい。当たり前か)。
新書なので3時間ほどで読めるし、15席の落語のあらすじの後に、教授の江戸風俗の解説がありんす。
・江戸の男女比
1721年(享保六年)の調査では江戸の町人の人口は50万人でした。
武士の数は大名の機密事項なのではっきりはわからないですが、50万人近くいたようです。
(全国では武士1割、農民8割、工商1割)
享保六年の江戸の町人の男女比は、男32万人、女18万人だそうです。
武家の男女比はこの本には出てませんが、ググると江戸の武士階級の男性比率は7割だそうです。
圧倒的に男が多いので、あぶれるものも多く、
夜でも提灯がいらない不夜城のような吉原はあこがれだったようです。
・遊女の基本的な値段
時代時代で異なりますが、1750年以降のランクでみてみます。
※この本では、1両を8万円(1文20円)で換算してますが、
前に読んだ武士の家計簿では、現代の賃金換算では1両を30万円としています。
中を取って1両=20万円(1文50円)くらいでみとけば良いでしょう。
「呼出」最上級
料金は不定。10両でぎりぎり。
揚げ代(遊女の料金)は最低1~2両、引手茶屋への祝儀、妓楼への祝儀、飲食代、
芸者やたいこもちへの祝儀、禿・新造への祝儀で十両がMINとなる。
落語の紺屋高尾の染物職人の久蔵の給金は3両/年。久蔵は3年働いて高尾に会いに行った。
この本の落語では一番、ジンとくるいい話です。
「昼三」
揚げ代が昼でも夜でも三分の遊女。一両が4分だから4分の3両。
1両が4000文なので、3000文。腕のいい大工の日当が450文。
呼出は見世に並ぶことはしないが、昼三の中には並ぶものがあり、それ以下の遊女は並ぶのが原則。
「附廻」
料金は2000文
「座敷持」
附廻より安価な遊女。一応上級遊女なみに自分の部屋を持っている。
江戸も末期になると座敷持までを花魁と呼ぶ。
「部屋持」
部屋持ちというが自分専用の部屋はない。大部屋をついたてで仕切った割床で客と接する。1000文。
「切見世」
もっとも安価で、100~500文程度。
最安値は線香を立てて燃え尽きるまでが100文で、
燃え尽きると100文足して延長(なんかキャバクラみたい)。
もっとも1本で終わるはずがないそうです。庶民の多くはこの切見世女郎を相手にしていたようです。
星空の下 市場で幾度となく男に抱かれた♪
悲しまないで 言っておくけど
彼らはチェスの歩兵のようなもの
わかってほしい あれは慈善事業なの
甘い言葉もこの口からすべらしたけど 本気じゃなかった
だれが想像したかしら そんな私がこんなに取り乱すなんて♪
エラも、サラも、ジューンクリスティも、ペギーリーも、noonも、
上記のバースをはずして「いつからこんなになってしまったの、あなたにときめく」
という部分だけ歌ってます。ホリーコールやカーメンマクレエは娼婦のバースを歌っています。
個人的にはいれるべきと思います。
HOW LONG HAS THIS BEEN GONG ON/CARMEN McRAE
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グレングールド、ほか2冊の書評 [本/文学芸術]
<グレングールド/青柳いずみこ/11年7月初版>
もっとも人気のある(定性的ですが)ピアニストは誰でしょう?
アルゲリッチかポリーニか、リヒテルかホロビッツかルービンシュタインか。
たぶんアイコンの域までいってるのはグールドなんでしょう。
書物も一番たくさん出てるし、タワレコ行っても扱いが違うし。
ハンニバルレクター博士がゴルトベルクを愛聴したり、
坂本龍一もブラームスの間奏曲集をお気に入りだったり。
大きなコンクール歴のないグールドがなぜセンセーショナルなデビューができたのか。
ニューヨークで行った自主リサイタルでコロンビアの重役が聞きにきていて、
とても気に入って契約を結べたから。
現代のようにピアニストが飽和してる状態ではなく、
需要にたいして不足していた時代のようです。
コロンビアのオッペンハイムが誰かいいピアニストがいないか、
ヴァイオリン奏者のシュナイダーに質問したところ、
54年に音楽祭で共演していたグールドを推薦し、リサイタルを聴きにいって感動しました。
また55年はレコード業界の商革新があり、前年比30%売り上げが伸びた年でもあります。
通信販売に大手のコロンビアも乗り出し、1年もたたないうちに40万人も会員が増えた。
新規会員は、広告に出てるジャケットから好きなものを4枚まで無料で提供されました。
そのなかにゴルトベルク55年版も入っていた。幸運も重なりました。
ルイアームストロングを抜き1位になったグレングールドは、
ヴォーグ、ライフ等の一般紙で写真入りで紹介され、
バーンスタインの言うところの「グールドより美しいものを見たことがない」
という美形も相まって、時代の寵児となりました。
著者の青柳いずみこは、30年のコンサート歴と9枚のCDをだしているピアニストであり、
東京芸大でドビュッシーの論文で博士号を取得してる文筆家でもあります。
ピアニストという立場からのグールド論、楽曲評がおもしろく、知的な文章に好感ももてます。
グールドの透明感と相性がぴったりの1冊に仕上がっています。
<現代版 魔女の鉄槌/苫米地英人/11年6月初版>
世界3大発明とはなんでしょうか。活版印刷、火薬、羅針盤だそうです。
いわれてみれば、マスコミ、武器、大航海とそれにより文明が大きく進展したものばかりですね。
コンスタンティヌス大帝の時代には、
テレビやラジオ、活版印刷の本のようなマスコミがありませんから、
唯一の大衆洗脳手段は宗教者の教導でした。
権力者と宗教は互いに結びつき関係は長く続きます。
教会は腐敗し、15世紀には現世の悪事が金銭によって許されるという免罪符まで登場し、
宗教改革へ繋がっていきます。
魔女狩とは、教会と権力が結んで、自分たちに害を与えるものを排除する仕組みです。
犠牲者は900万人とする説もあり、15世紀の「魔女の鉄槌」は、
新技術の印刷による大量複製によりベストセラーとなり、魔女狩に大きな影響を与えました。
この本は権力者サイドの情報統制(電通のB層戦略)による今回の原発問題の進展を、
現代の魔女狩と位置づけて解説していきます。
著者ベッチーの結論としては、権力者側(世界&日本)が原発を推進してるので、
しばらくすると日本も原発推進に戻るとのこと。さてどうなるものでしょうか。。
<デフレの終わり/若林栄四/11年7月初版>
「ファンダメンタルズが相場を決定する」
「市場参加者の需給バランスによって相場は動く」
おそらくこの二つのいずれかの立場から、相場を語っている人が大半のなか、
著者の結論は相場は勝手に動くと。
サイクル分析や黄金分割理論から、今後のマーケット予測を具体的に解き明かします。
(日本経済)
・2012年2月に1ドル=74円の円高をピークに円安局面となる。
・本格的な円安トレンドの到来で物価もインフレ基調になり、
日本経済の回復への期待感から株価も上昇トレンドに入っていく。
・2012年10月に日経平均は1万2千円程度に上昇。
・2013年10月9000円に向けて再び下落基調。ここが逆三尊の最後の安値
・ここから、20年続いたベアマーケットからブルマーケットへ転換。長期上昇局面へ。
(ドル)
・2012年2月以降、長期のドル高局面へ調整を繰り返しながら進む。
2025年に180円までいく可能性あり。
(ユーロ)
・対ドルは2012年2月に1.5超えをピークとしてダウントレンドへ。
2026年にユーロ消滅か上昇局面へ。ユーロ/円は円のほうが安い。
金や米国債、米株価、豪ドル等ほかにも大胆な予想をしています。
読後感がさわやかなのは、今後の日本経済を明るく見せてくれたからだと思います。
モーツアルト嫌いのグールドは、それを証明するためにソナタ集を録音したと言っていますが、
青柳いずみこは、「このようにK331を演奏できる人がモーツアルトを嫌いなわけがない」
と言い切っています。この爽快感、ぼくもそう思います。
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司馬さんの教え [本/文学芸術]
むかし読んだ司馬さんのエッセイの中に、物書きの極意というか、
何かを書く時、司馬さんが気をつけていることが書いてありました。
たったふたつです。
1.ひとつの記事には、ひとつのことしか書かない。
2.自分のこととか思いは抑える。
だいたいそんな内容だったと思います。
ひとつの記事にたくさんのことを詰め込むと、話が散漫になってしまうのと、
だれもあんたの薄っぺらの経験談なんか聞きたくないということか。
まあブログというもの自体が、思いっきり自我の放出なので、
参考にしつつ、若干抑える程度がいいのかなあ、とか思ってます。
なかなか難しいですけど。。
本ブログはやっぱり紹介する本が、すべてだと思います。
良書のばあいは1冊の本で書けますが、ハズレ本の場合は、
1冊ではもちません。
司馬さんの教えからは逸脱しますが、最近ハズレ本というか、
記事にならない本が多かったので、ひとやまいくら的寸評を以下に。
リーディング3.0
電子端末を使うと、場所もとらないし、どこでも本が読めて情報収集が著しく進む。
みんな新しい情報をどんどん吸収しよう!とかいう本。
この人、ぼくの中では「職業的ビジネス本作家」です。
そりゃ本田氏のような人は、泳ぎ続けるマグロのように情報を収集しつづけないと、
作家として死んでしまいます。う~ん枯渇したか。。
普通の人は、そんなに情報収集しなくても十分生きていけます。
英語は訳さず学べ
これも流行りの電子端末をつかって英語のサイトを読んでると、
ある日突然意味がわかってくるという本。
ぼくにはできへん^^
いまの時代、英語のサイトで十分に英語学習ができるというところだけは共感します。
ただ外資系で上司が外人で報告書や社内会議が英語という人なんかには、
もっと本気の学習方法が必要だと思います。
ちなみに知り合いの外資系の人間は、フィリピン人のスカイプ(5千円/月)をはじめてるようです。
スピードラーニングは、日本語だけ頭に残って英語が残らない(半年間の学習結果)、
子供は絶対に外資に買収されない会社に入れると息まいてました。
すべては音楽から生まれる
たんなる音楽エッセイ。
この人「脳科学を売りにした作家」なので音楽と脳科学の関連を期待したのですが、
自分の趣味音楽の賛美でした。
ちなみに上述の苫米地氏も「脳科学という権威」を背景に自説をかなり強引に主張しますが、
脳科学、一種のオカルトと同じで流行りなんでしょう。
ちなみにモーツアルトじゃなくても好きな音楽(メタルでも)なら、脳はリラックスするようです。
シューカツ
これは個人的にはとても面白かったです。
人並みにシューカツやら、若手社員のときリクルーター経験があるので。
マスコミのシューカツをする早稲田の男女7人の物語です。
早稲田に行った、高校の部活の友人二人を思い出しました。
ひとりが日経新聞で、ひとりが「JJ」とかいう雑誌をやってた出版社に入社しました。
女性モデルを面接したとかいう話をきいて、すごくうらやましかった記憶があります。
女性誌に配属になった男性社員OBの嘆きの話がでてくるのですが、
じつは彼もしんどかったのかなあとか。。
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何かを書く時、司馬さんが気をつけていることが書いてありました。
たったふたつです。
1.ひとつの記事には、ひとつのことしか書かない。
2.自分のこととか思いは抑える。
だいたいそんな内容だったと思います。
ひとつの記事にたくさんのことを詰め込むと、話が散漫になってしまうのと、
だれもあんたの薄っぺらの経験談なんか聞きたくないということか。
まあブログというもの自体が、思いっきり自我の放出なので、
参考にしつつ、若干抑える程度がいいのかなあ、とか思ってます。
なかなか難しいですけど。。
本ブログはやっぱり紹介する本が、すべてだと思います。
良書のばあいは1冊の本で書けますが、ハズレ本の場合は、
1冊ではもちません。
司馬さんの教えからは逸脱しますが、最近ハズレ本というか、
記事にならない本が多かったので、ひとやまいくら的寸評を以下に。
リーディング3.0 ―少ない労力で大きな成果をあげるクラウド時代の読書術
- 作者: 本田 直之
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2011/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
リーディング3.0
電子端末を使うと、場所もとらないし、どこでも本が読めて情報収集が著しく進む。
みんな新しい情報をどんどん吸収しよう!とかいう本。
この人、ぼくの中では「職業的ビジネス本作家」です。
そりゃ本田氏のような人は、泳ぎ続けるマグロのように情報を収集しつづけないと、
作家として死んでしまいます。う~ん枯渇したか。。
普通の人は、そんなに情報収集しなくても十分生きていけます。
英語は訳さず学べ! キンドル・iPad・iPhone対応 ドクター苫米地の次世代英語脳のつくり方
- 作者: 苫米地英人
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2010/09/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
英語は訳さず学べ
これも流行りの電子端末をつかって英語のサイトを読んでると、
ある日突然意味がわかってくるという本。
ぼくにはできへん^^
いまの時代、英語のサイトで十分に英語学習ができるというところだけは共感します。
ただ外資系で上司が外人で報告書や社内会議が英語という人なんかには、
もっと本気の学習方法が必要だと思います。
ちなみに知り合いの外資系の人間は、フィリピン人のスカイプ(5千円/月)をはじめてるようです。
スピードラーニングは、日本語だけ頭に残って英語が残らない(半年間の学習結果)、
子供は絶対に外資に買収されない会社に入れると息まいてました。
すべては音楽から生まれる
たんなる音楽エッセイ。
この人「脳科学を売りにした作家」なので音楽と脳科学の関連を期待したのですが、
自分の趣味音楽の賛美でした。
ちなみに上述の苫米地氏も「脳科学という権威」を背景に自説をかなり強引に主張しますが、
脳科学、一種のオカルトと同じで流行りなんでしょう。
ちなみにモーツアルトじゃなくても好きな音楽(メタルでも)なら、脳はリラックスするようです。
シューカツ
これは個人的にはとても面白かったです。
人並みにシューカツやら、若手社員のときリクルーター経験があるので。
マスコミのシューカツをする早稲田の男女7人の物語です。
早稲田に行った、高校の部活の友人二人を思い出しました。
ひとりが日経新聞で、ひとりが「JJ」とかいう雑誌をやってた出版社に入社しました。
女性モデルを面接したとかいう話をきいて、すごくうらやましかった記憶があります。
女性誌に配属になった男性社員OBの嘆きの話がでてくるのですが、
じつは彼もしんどかったのかなあとか。。
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「雑文集/村上春樹」の感想 [本/文学芸術]
<雑文集/村上春樹/11年1月初版>
今週は桜が満開ですね!
広島の桜も、九州の桜も。
神戸福原桜筋の桜も妖しく咲き誇ってました。
九州で泊まりの出張があったので、旅の共に「雑文集」もって行きました。
これまで未収録のエッセイなんかを中心にしたものです。
エルサレム賞受賞スピーチ「壁と卵」も収録されてます。
やっぱり本人の日本語訳はいいなあ。
彼の文体が好きでいつも癒されてる読者としては、だれかの日本語訳よりよっぽどいい。
なんかこう、グッとくるものがあります。
音楽についての雑誌向けのエッセイがいいです。
なぜか彼の文章を読んでると、無性にその音楽が聞きたくなる。
出張中はウオークマンXを持参してたので、たいていの聞きたい曲は聴けました。
ジャズベースのビルクロウの項では、
スタンゲッツやジェリーマリガンやポールチェンバース、レイブラウンなんかが聞きたくなります。
ビリーホリデイやセロニアスモンクやビーチボーイズ、
ビートルズなんかも聞きたくなること請けあいです。(ドアーズも)
短編ごとに聞く曲を変えてたので、結構せわしなかった。
そういえば今回はクラシックの話はなかったかな。。
泊まりの出張のときは、時間があれば散策するのが好きです。
今回は小さな街の旅館の裏山に登ってみました。満開の桜に誘われちゃいました。
小山だけど結構な階段です。
革靴ではちょっとしんどい山道
もう少しです。
山頂からの小さな街の眺めです。
帰りは九州新幹線の「さくら」にのりました。内装の色が違うかな。
トムウエイツでYou Can Never Hold Back Spring、春は必ずやってきます。
今週読んだ他の本です。宅急便を規制や業界と戦いながら、
日本に根付かせたクロネコの社長の経営哲学本。
MK,ダイソー、ドトール、イエローハットの4人の社長の哲学です。
社長には2種類のタイプがあります。仏のような(本人いわくですが)タイプと、
おい!こら!と怒鳴りあげるタイプです。どうもダイソーの社長は後者のようです。
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夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹 [本/文学芸術]
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)
- 作者: 村上 春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/09/04
- メディア: 文庫
【夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです/村上春樹インタビュー集/10年9月初版】
ぼくが中学の頃けっこう尊敬していたローカルラジオのDJが、「風の歌を聴け」を絶賛していました。
ようやく同じ感覚をもった小説家があらわれたと。
それはすぐに買わなくちゃ~と、読んで以来の春樹ファンです。
かれの小説は、ストーリーはもうひとつなのですが、その口語体のPOPな文体に魅了されます。
異界と現世を行き来するオブセッションな世界には、それほど魅力を感じませんが、
ユーモアや比喩表現のセンス、文学、音楽に関する博識が、たまらなく魅力的です。
ストイックで、文壇にも群れない、ハードボイルドを感じさせる私生活にも魅了されます。
今回のインタビュー集は539pの読みごたえのある本です。
インタビュー嫌いの彼は、活字媒体のインタビューだけに応えるようですが、
12年間で18回のインタビューに応えています。そのうち海外のインタビューが12回です。
文学を評論したり、興味のあることや、私生活について語りつくしています。
彼の創作スタイルについてもオープンに回答しています。
しかしどこの国のインタビュアーも同じようなことを、聞いてくるもんですね。
人の興味はだいたい同じようなものか。。
以下こころに残った部分を。
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人の精神というのは、地表の部分を高くしようとすればするほど、
地下の部分も同じだけ呼応して深くなるわけです。
つまり人が善を目指そうとすれば、悪というのは補償作用として必ずその人の中で、
同じぶん伸びていきます。
⇒そうなのか。。感覚的にはわかるけど理解はできない。
アーノルドシェーンベルグいわく
「音楽というのは楽譜で観念として読むものだ。実際の音は邪魔だ」
⇒音楽的才能にあふれた人は、そんなものなのかな。。凡人にはわかりません。
レイモンドカヴァーは、紅茶ばかり飲んでどこか落ち着かない感じがありました。
アディクションというか、何かにひっきりなしに結びついていないと落ち着かない。
それに加えてどうも愛情に対するアディクションみたいなものもあったみたいです。
人なつっこいというか、わりに人に強くくっついてしまうところがあります。
⇒ぼくにもそういう部分あります。あなたにもありませんか?
お金で買うことのできるもっとも素晴らしいものは、時間と自由である、
というのが僕の昔から変わらない信念です。
⇒若いときはそれがあるけどお金が無い。年をとると逆になりますよね。
人間の存在というのは二階建ての家だと僕は思ってるわけです。
一階は人がみんなで集まってごはん食べたり、テレビ見たり、話したりするところです。
二階は個室や寝室があって、そこに行って一人になって本読んだり、一人で音楽聴いたりする。
そして、地下室というのがあって、ここは特別な場所でいろんなものが置いてある。
日常的に使うことはないけれど、ときどき入っていって、なんかぼんやりしたりするんだけど、
その地下室の下にはまた別の地下室があるというのが僕の意見なんです。
それは非常に特殊な扉があってわかりにくいので普通はなかなか入れないし、
入らないで終わってしまう人もいる。
⇒一階が五感、二階が意識の部分、地下室が心理学では無意識、仏教では末那識。
地下二階は心理学では集合的無意識、仏教では阿頼耶識。ということをわかりやすく言ったのでしょう。
村上春樹は、意識してユングは読まないようにしてるそうです。
河合隼雄とはバカ話しかしないとか言ってました。
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「ピアノの森19巻」の感想 [本/文学芸術]
今週11月22日は、「ピアノの森」最新刊19巻発売日でした。
ピアノの森を読まれたことがない方に、簡単なご紹介を。
「森の端」と呼ばれる風俗街の、娼婦の息子に生まれたカイ。
ひとが蔑むこの街から、足抜けできない状況の中で、母子ともに明るく生きていきます。
そんなカイは、森にすてられたピアノがたったひとつのおもちゃでした。
カイの子供から青年への成長を描いたマンガです。
小学校編もおもしろいのですが、その後様々な人との出会いにも恵まれて、
いま19巻では、ショパンコンクールの2次予選の舞台に立っています。
かれは12人のファイナリストに残れるのでしょうか。。
このピアノの森は不定期連載なので、次巻がでるのに1年ほど待つ時もあります。
今回ははやくて4ヶ月でした。
ピアノの森の作中の演奏を読みながら、アルゲリッチやポリーニやルービンシュタイン、
アシュケナージ、ホロビッツなんかの演奏をあわせて聴いてると、なんだか幸せを感じます。
フィクションを読む場合、僕の場合は、小説よりマンガに優位性を感じます。
その世界に入るのに、小説は時間がかかりますが、マンガは一瞬で入れるからです。
同じようなスタイルのマンガ(日本人が世界に挑むまでの道のりを描く)では、
・バイクレースGP500を舞台にしたしげの秀一「バリバリ伝説」
・ゴルフのセントアンドリュースで二クラウスと死闘を演じる、ちばてつや「あした天気になれ」
・テニスのウインブルドンセンターコートの感動のラストがこころに残る、浦沢直樹の「HAPPY」
(YAWARAより、つよく惹かれる部分がある)
・世界的なロックバンドに成長する、ハロルド作石「BECK」
なんかが、名作としてこころに残っています。
日本には、優れたマンガ(ワンピースなんか)がたくさんあるので、
秋の夜長に、マンガを読むのもいいんじゃないでしょうか。
今の時代は、ツタヤディスカスなんかのコミックレンタルも充実してますしね。
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「冬の夢/スコットフィッツジェラルド・村上春樹訳」の感想 [本/文学芸術]
【冬の夢/スコットフィッツジェラルド・村上春樹訳/09年11月初版】
1920年から1925年にかけて、スコットフィッツジェラルドが書いて発表した短編小説。
1929年に大恐慌がおこりますから、バブル前の日本のような様相で、
「永遠の繁栄」と言われ、世界の富の半分がアメリカに集中していました。
フィッツジェラルド、24歳から29歳にかけての作品で、人気作家絶頂の時代です。
作者の人生を以下に(簡単ですが)
・まず裕福な家庭でうまれる
・プリンストン大学
・陸軍(内地勤務で除隊)
・広告代理店入社
・アラバマ・ジョージアの2州に並ぶ者無き美女ゼルダと婚約
・婚約破棄(金持ちじゃないと嫌という理由)
・退社し、実家で小説家を目指す
・流行作家になる
・ゼルダと結婚
・ゼルダは奔放に遊びまわる。パーティ漬けの毎日
・娘が生まれる
・ゼルダが統合失調症発祥
・作者もアルコール依存
・44歳でアパートで心臓麻痺で死亡
・ゼルダは入所していた療養施設の火災で死亡
この人の作品は、金ぴかの青春小説だけど影があり、
なんというか、胸がきゅんとなります。
彼の人生を投影しているような気がします。
滅びの美学を感じる。
本作は「若き日の名作集」で、村上春樹は「晩年の名作集」も今後出す予定だそうです。
晩年といっても30後半から44歳までですが。
「意識というものを創り出した神様の罪は重い」
人間は動物と違い、本能だけでなく、自我(意識)がありますからね~。
この人が言うと、つらかったんだろうなと、こちらまで沈思です。
ちなみにジャズエイジの象徴のフィッツジェラルドは、
今度映画になりますが、ゼルダの役はキーラナイトレイです。
ブライアン・アダムスのHave You Ever Really Loved a Woman をバックに、キーラの映像をどうぞ。
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「博士の愛した数式/小川洋子」の感想 [本/文学芸術]
あなたにとって、美しいものやほんとに楽しいことはなんですか。
この本は、美しいものやほんとに楽しいことを気づかせてくれます。
野球場でのナイターや、親しい人とのホームパーティなんかです。
高価なものや、レア体験話なんかは誰もが共感できません。
だってやろうにも、自分で手が届かないじゃないですか。
身近な日常レベルの話を、光り輝くもののように描き出してくれると、
そんなに良かったかな、ぼくもやってみようかなと思います。
朝日新聞が選んだ2000年代の50冊、第6位でした。
本屋に大きなコーナーがありどーんとおいてました。
よんでる間にみるみる涙がたまります。
あったかい涙です。
誰かを喜ばそうとして、一生懸命になることは美しいですね。
また、喜んでる人をみることは、人生最高の快楽です。
阪神に対する愛情に溢れてるので、
阪神ファンで未読のかたはぜひ読んでみてください。
このすばらしい本をまだ読んでない方がうらやましいです。
一から感動を味わえますから。
子供のころはじめて行った、ナイターでの甲子園は、
それはそれは本当に美しかった。
いまだに人生で、もっとも大きな感動のひとつです。
ジョンレノンでビューティフルボーイ。
父は失踪、母は同棲していたジョンは、ミミおばさんに育てられました。
専業主夫までして育てたショーンの歌です。
ジョンはショーンを育てながら、自分を癒していたのかもしれません。
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「1Q84 BooK3/村上春樹」感想 [本/文学芸術]
1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)
- 作者: 村上 春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/05/28
- メディア: 文庫
まあ一言でいえば、アラサーのファンタジー純愛小説かな~。
ジャクソンブラウンのレイトフォーザスカイのような、印象的な末文でした。
「だってあなた、ここのところ立ったまま寝ている馬みたいな顔してるわよ」
どんな顔やねん。。あいかわらずの春樹節です。
「牛河が目の前のきつい苦痛に耐えられるのは、
それよりも更にきつい苦痛が世の中に存在することを身をもって学んできたからだ」
そーなんですよね~、だからみんな逃げずに自分の持ち場を死守するんでしょう。。
あと、NHKと宗教団体を、忌み嫌うものの象徴として扱ってるような気がします。
どちらも不条理だからかな。もちろん肯定してる部分もあります。
世の中には絶対的な正邪はないですから。
もともと真理をずばずばと突いてくる人ですが、61歳になりさらに円熟してきました。
人生を言葉で描ききれてます。
牛河が秀逸なキャラです。だれしも共感する人の暗部を抱え込んでいながらにして、
人の直感(第六感)はこうして磨くべしというモデルになっています。
この前読んだナポレオンヒルの本と同じやりかたで、
牛河は幼少期にみずからの第六感を磨いてました。
村上氏も世界のベストセラーをよんで、モディファイ引用したか、経験から獲得したか。。
なぞもクリアになり、きれいにFINしてますが(一部未回収)、
Book4やBook0の話も持ちあっがってます。
北斗の拳のラオウ編以降のような蛇足になるので、やめてほしいけど、
Book4はこの人の人生経験のなかにない部分になるので、
想像だけで中身あるものを描ききれるか、興味はあります。
BooK1~3を通してのテーマです。ヤナーチェクのシンフォニエッタ♪
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石田衣良の最高傑作は?「約束」がやっぱいいよね [本/文学芸術]
どんなものでもしょせん金儲けにすぎない。
それは正しい。
同時に誰ひとり金のためだけに働く人間はいない。
こちらもまた正しい。
正しいことがいくつもあり、それがときにぶつかりながら世のなかがまわっていく。
石田衣良の短編集です。最高傑作に推す人もいます。
電車のなかで読むと、泣いてしまうのでやめておいたほうがいいでしょう。
とても重いテーマのはなしばかりですが、すべての話は最後に光が見えてきます。
・通り魔殺人に息子を殺された話
・ひきこもりの車椅子の青年と家族のはなし
・夫をなくし、息子が突然障害をもつはなし
・息子が脳腫瘍になった家族のはなし
プロ野球開幕。ぼくの好きな平野選手好プレー集です。
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「アホの壁 / 筒井康隆」感想 [本/文学芸術]
アホとはなんて素晴らしいものであろう。アホ万歳。
と締めくくられる筒井康隆さんの新書です。
バカの壁よりおもしろいです。
バカの壁は人とのコミュニケーションの難しさを、難解に解説した本でしたが、
アホの壁は、自分はなぜこんなアホなことをしてしまうか、を平易に解説した本です。
<目次>
・なぜこんなアホな本を書いたか
・人はなぜアホなことを言うのか
・人はなぜアホなことをするのか
・人はなぜアホなけんかをするのか
・人はなぜアホな計画をたてるか
・人はなぜアホな戦争をするのか
・アホの存在理由について
ぼくも配慮ある沈黙ができない性質なので、読んでて身につまされました。
ついつい、話題に関係ない、いらん自慢話なんかしちゃうんですよね~
お恥ずかしい。。
なんであの時あんなアホなことをしてしまったのだろうと、
身がよじれるくらい後悔したことのある人にはおすすめです。
フロイトを引用して、筒井氏が事例をもとに解説してくれます。
戦争のはなしは、フロイトとアインシュタインの間で、
「なぜ戦争はおこるか」についてやりとりした手紙を紹介しています。
マルサスの罠ではありません。あしからず。
<ペンは剣より強し>
リシュリューの名言ですが、ほんとは「権力のもとでは、ペンは剣より強し」と言ったそうです。
国家に反旗を翻し、反乱をたくらむものに対して、
いつでも逮捕状や、死刑執行命令にペンでサインできるんだぞ、と脅したようです。
どちらかというと、某大新聞の記者が喜んで使ってそうなフレーズなんで、笑ってしまいました。
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波の上の魔術師 [本/文学芸術]
ジェレミイベンサム(1748~1832)
最大多数の最大幸福を追求し、功利主義の創始者として知られるベンサムですが、
じつはめっちゃ質素だったそうです。
なにゆえ質素だったか?
ベンサムにとっての快楽の源泉は、書を読み音楽を聴くという精神的営みであって、
俗人にとっての快楽である酒池肉林とは縁遠かったそうです。
なんか吉田兼好(1283~1352)っぽいです。
かれの名言には、
「名利に使われて、閑かなる暇なく、一生を苦しむこそ、愚かなれ」
金や地位を追い求めて、心を労してあくせくするのは、アホや!
というのがありますね。
日本人のベースには、兼好おじさんの精神が流れていて、
清貧でおだやかな生活を永らく好んでましたが、
今後はどうなるのでしょう。
貯蓄を好み、投資をしない日本人の精神性について、
この本を読みながらふと考えてしまいました。
モンテクリスト伯と、ベストキッドと、スティングをたして、
三で割ったようなハッピーエンドのこの小説は、
伝説のメリルリンチトップディーラー菅下氏に、
取材を重ねて書かれたもののようです。
むかしドラマ化もされてる極上のエンターテイメント作品ですが、
なんのために必死で危ない橋を渡ってまで金を稼ぐか?
さすがに石田衣良、本と音楽と、うまいラーメン以外に何がいるのかと言い切るだけあって、
小さな恋心が起点であったとあぶりだしています。
日々、波の上で翻弄される小船のような生活をおくっているぼくの、
STYXでは一番好きな曲です。ボートオンザリバー♪
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「浮世の画家 / カズオイシグロ」書評 [本/文学芸術]
・若いころには退屈で味気ないものが、年をとると、そういうものこそ一番大事だとわかってくる。
・世の中で一番いいものは夜に集まってきて夜明とともに消えていく。
あいかわらず、いいこと書きますね~。
戦中と戦後で周りの思想が変わっていく中、自分が変われない老画家が、
過去を回想しながら未来を肯定するまでを描いた作品です。
なかなかに渋いです。
5歳で英国に移住し、日本語がまったく話せないカズオイシグロ。(英国に帰化してます)
本作では英国ウイットブレッド賞を受賞。
アンソニーホプキンス主演の「日の名残り」では、ブッカー賞(英国の最も権威ある文学賞)を受賞。
「わたしを離さないで」は米タイム誌のオールタイム100ノベルに、刊行年に唯一選出される快挙。
昨年から映画撮影開始(キーラ・ナイトレイ主演)。本年封切予定です。
こんにちはキーラです。映画見てね。
村上春樹の「ノルウエーの森」の最も印象的なシーンには、
ビルエバンスのワルツフォーデビーがBGMですが(今年の映画ではどうなるか?)
「わたしを離さないで」は、ネバーレットミーゴーです。
題名をあらわすほどの、キーとなるサウンドです。
これはイシグロと仲良しのステイシーケントが、
ブルーノート移籍第1弾アルバムに、吹き込んでます。
このアルバムでは、イシグロが作詞で4曲提供しています。
個人的には、このスタンダードを誰のバージョンで使うか、
もしくは新曲をつくるのか、あるいは誰か新録するのか、
今からとても楽しみなのです。
ステイシーケントで、ネバーレットミーゴー♪
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かもめ食堂 [本/文学芸術]
数年前に、もたいまさこ、小林聡美で映画にもなってた「かもめ食堂」
「やっぱり猫が好き」のメンバーや!面白そーと思ったのですが、結局見なかった。
図書館で「む」のところを探してたら、群ようこ/かもめ食堂が目に付きました。
まるでサザエさんのような、日常のひとこまをきりとった、
いやな気分がひとつもしない癒される本でした。
ざーっと3時間程度で読めちゃいます。
かもめ食堂のお客さんで日本おたくのトンミ君は、ガッチャマンが大好きなんですが、
ん?ガッチャマンにはかもめは出てこなかったような気がします。
ミミズクの竜、コンドルのジョー、大鷲の健、他に誰かいたかなー、かもめはおらんかったでしょう。
ささくれだった日常に癒されたい方はどうぞ!
かもめつながりで、1982年ビルボード年間チャート89位!
けっこうはやった気がしますが、年間にするとこんなもんか~。
髪型がかもめみたいで、CCBの原型と思われます。
I RAN (So Far Away) - A Flock of Seagulls
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村上春樹/走ることについて語るときに僕の語ること [本/文学芸術]
ぼくが村上春樹をはじめて読んだのは、
デュランデュランとホール&オーツが全盛の時代です。
大森一樹監督で映画化された「風の歌を聴け」。
ジェイズバーを撮影した店(ハーフタイム/三宮)も、
87年の頃にはファンが高じてしばらく通ってました。
この本は自叙伝です。(2007年刊、ランナー視点)
エッセイでもここまでは語ってないですね。
特に大学を卒業して店を始めて、小説家になるまでのところが面白い。
それなりの苦労話もあります。
奥さんに関する描写も、40代前後の刊では、
女はたまらんなという論調が多かったですが、
この本ではリスペクトして書かれています。
そういう意味では品位がある。
肉体と精神は一致するかも、とのくだりは、
短距離タイプの自分から考えて妙に納得しました。
村上春樹は1回/年フルマラソンと1回/年トライアスロンをやってる、
相当にストイックなおっさんです。
趣味は英語の翻訳だし、ぼくにない資質ばかりでうらやましいです。
中古LPレコード収集のマニアで、平気で1日レコード屋にいるようですが、
購入ジャンルは、ジャズ7割、クラシックが残りでロックは少々とのこと。
走りながら聞く曲についての描写要約は以下。
「ストーンズのベガーズバンケットを聞きながら走った。
その前日は、クラプトンのレプタイルを聞きながら走った。
どちらもけちのつけようのない音楽だ。
心にしみるし何度聞いても飽きない。」
トライアスロンに関する曲は、
バイクにブライアンアダムスの「死ぬまで18歳」とかいてるそうです。
バイクはきついらしくてハードな時は、死ぬまで18歳のリフを口ずさみながらこいでるそうです。
ブライアンアダムスで死ぬまで18歳♪
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「料理人/ハリー・クレッシング」感想 [本/文学芸術]
kazpapaさん紹介の本。昨年読んだベスト3に入ると。
1965年のハリー・クレッシング(米国)の作品で、
悪魔的な名コックが巻き起こす奇想天外な騒動を描く、ブラックユーモアの会心作。
いや面白かった。
最初から4/5までは、ぐいぐい読めます。
最後の1/5のところはハッピーエンドですけどブラックなんで。。
ダークファンタジー。。
ご紹介ありがとうございました。こんな本は紹介なければ絶対読まないですもん。
ぼくの場合は図書館ネット予約でしたが。
前に飲み屋のママが言ってましたが、
「料理と床がうまければ、絶対に男は帰ってくる」
そうでしょうね。そのとおりだと思います。
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「村上ラヂオ/村上春樹」感想 [本/文学芸術]
2001年のananでの連載をまとめたエッセイです。
1つが2~3P程度で、なんかの合間にちょこっとよめる。
<猫山さんはどこに行くのか?>
「借りてきた猫のように」という表現がある。
よくわからないけど、どうして猫を借りなくちゃならないんですか?
ヒーリングとかに関係あるのでしょうか?
いいえ、違います。(答えは下)
村上ラヂオよみながら、ラジオ聞いてると、いい歌ががかかってました。
なんかせつなくて胸がしめつけられる。
たしかデビューの頃じゃなかったでしょうか、あまりaikoのことは知りません。
これほんとに名曲ですね。。かぶとむしです。
ねずみを退治するためです。
昔は日本の家にはけっこう鼠がいて、
猫はその鼠をとるための「即戦力」として飼われていたようです。
ねずみ捕りの得意なねこを、むかしは貸し借りしていたようですね。なるほど。
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1Q84/村上春樹 [本/文学芸術]
120人待ちの(60人/1セット)1Q84は、
単純に120WEEK後に図書館からまわってくると思ってましたが、
わずか12WEEK後にまわってきました。みんな、待ちが長すぎて購入したんでしょう。
春樹氏の尊父は、甲陽学院の教頭先生だったそうです。
会社の同僚いわく、いい先生だったとのこと。
数年前に亡くなったらしいのですが、天吾と父親との、最後の会話なんかは、
そういう経験がないと想像だけでは書けないでしょうね。。
春樹氏は、人生の3冊に
・カラマーゾフの兄弟
・華麗なるギャツビー
・ロンググッバイ
をあげてましたが(なんかの翻訳本のあとがきから)、
カラマーゾフは比喩表現としてこの本にも出てきており、
私的な思いや経験がこの本のベースになってるなと感じました。
音楽は、クラシック、ジャズ、ロックとでてきますが、ロックはストーンズだけだったかな。
ひところに比べると、クラシック比率がたかくなってます。
来年の夏に続編の3が出るらしいです。指に力を入れた、青豆さんはどうなってるのか。
楽しみがひとつ増えました。
曲は「ふかえり」が天吾の部屋で聴いたレコードで
Mother's Little Helper /The Rolling Stones
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池袋ウエストゲートパーク(9)ドラゴンティアーズ [本/文学芸術]
ドラゴン・ティアーズ 龍涙―池袋ウエストゲートパーク〈9〉 (文春文庫)
- 作者: 石田 衣良
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/09/02
- メディア: 文庫
ようやくIWGP9巻/8月発売が、図書館からまわってきました。
(1Q84の120人待ちよりましですが・・)
今回もいつものように、4話掲載。
時事問題をネタにトラブル解決していくので、連載時から約半年遅れのネタにはなりますが。。
まあ旬のネタをうまく物語にしていく才能は素晴らしいです。
・池袋の出会系部屋のトラブル
・ホームレスのあぶれ手帳(失業保険給付手帳)をめぐっての暴力事件
・エステ業界の詐欺にかかる女たちの話
・中国人研修制度と言う名の労働力搾取の問題。
特に面白かったのは、中国問題の話。
中国には戸口(フーコウ)制度があり、基本的に生まれた場所以外で働くことはできない。
それで農村部の中国人は、黄金の国ジパングにあこがれ、
中国人研修制度を約1000倍の競争率で勝ち抜き、日本にやってくる。
3年間3K職場で必死に働けば、15万元(約220万円)が貯まり、
それは農村部の生涯賃金に等しいらしい。
本当に、こころの底から日本に生まれて良かったと思います。
釈迦に説法かもしれませんが、僕の知ってる範囲の中国の経済状況は14億人のうち、
沿岸部の4億人はまずまずの生活レベルで、
そのうちの上位10%=4000万人が日本と同じ平均約4百万円/年収です。
ここがいわゆる日本からすれば、ターゲット層ですね。残りの13.6億人は。。。。
話を戻しますが、IWGPは、水滸伝のように仲間がどんどん増えていくので、
1巻から読まないと、面白さが半減します。
どこの図書館でもおいてますので、よかったら読んでみてください。
ちなみに僕はドラマのほうは見たことありません。
ドゥービーズでチャイナグローブ♪
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